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2022.02.04
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!polly・JunIzawa, WOZNIAK・ERWIT ほか全15作品 -2022.02.02-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:1月31日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜15作品、まずはPart 1の8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!東京初期衝動がアルバムです!おめでとうございます。
金子:『えんど・おぶ・ざ・わーるど』という、タイトルだけ聞くとちょっと怖いですけど、でも全部ひらがなで書いてあるので、怖くも可愛らしくもあるのが彼女たちらしいですね。デジタルではアルバム全曲ではなく、ガイド版的なEPということで、いまちょっと聴いてもらった「マァルイツキ」もこの中に入ってるんですけど、音楽的にパンキッシュでポップで抜けがいいというのがありつつ、やっぱり彼女たちはキャラクターがとても面白くて。ボーカルのしーなちゃんがnoteに全曲解説を書いてて、それも面白かったんですよね。
MISATO:そうなんですね。
金子:「マァルイツキ」はアルバムのレコーディング終盤ギリギリに、安野モヨコさんとか岡崎京子さんの漫画を読んでて、「ラブリーな曲作りたい!」と、バっとバンドで集まって、2日間くらいで一気に作ったらしいです。
MISATO:え!すごい!それがリード曲になったんですか?
金子:なったらしいです。そういうエピソードが一つひとつ面白くて、解説を読むと、よりアルバムを聴く楽しみが増えるんじゃないかなと思います。
MISATO:ですね!noteチェックしてみます。そしてYUNOWA!
金子:年明けの放送で、2022年期待のアーティストとしてYUNOWAを挙げさせてもらったので、早速新曲が届いて、僕は非常に嬉しいんですけど。
MISATO:どうですか、厚武さん?
金子:相変わらずかっこいいですね。前半ちょっとダブっぽいところから入り、途中から生感のあるブレイクビーツが入ってきて、どんどんサイケになり、もう1回また最初のダブっぽいところに戻っていくという、この曲展開からしてかっこよいです。今作の影響源として、イギリスのGOGO PENGUINという新世代ジャズのバンドを挙げていて、ジャズなんだけどクラブミュージックの要素も入ってる人たちなんですが、なるほどなあと思って。やっぱりすごくいろんなところからインスピレーションを受けてるし、なおかつそれらが混ざりあって、独自のものを作り上げてるんだなと改めて思いました。
MISATO:Bon Iverあたりのサウンドにもインスパイアされていると資料には書かれてますね。
金子:Joy Divisionの名前も挙がってます。
MISATO:なるほど、納得。納得だけど、それをあくまでYUNOWAにしているという。一聴してYUNOWAだなと感じるのは、すごい具現力ですよね。
金子:この声とかはやっぱりYUNOWAならではのものですからね。
MISATO:そして1曲ご紹介したいのですが、いかがでしょう?
金子:今週はpollyがついにアルバムということで。
MISATO:やったーー!!1年3ヶ月ぶり!
金子:デジタルシングルを連続リリースしてきたので、この番組ではずっと紹介はしてきたんですけど、ついにアルバムが完成ということで。pollyの世界観が存分に詰め込まれた作品になってましたね。これまで何度か「光量の多い作品になるんじゃないか?」みたいなことを話してきたんですけど、アルバム全体通してもその印象があって、今回新しいアー写も全員が白い服を着てたりとか、やっぱりそういうイメージがすごくあって。
MISATO:ジャケットはちょっと靄がかかったような感じですね。
金子:だから、「光量が多い」と言ってもただキラッキラに明るいわけじゃなくて、やっぱりいまの世の中がちょっと暗かったり、混沌としているからこそ、逆にこういう光量の多い作品になった気がしています。歌詞を読んでも、喪失感がすごく感じられて、でもその先でもう一度出会うこと、もう一度手にすること、そこへ向けた希望や祈りみたいなところが、『Pray Pray Pray』というタイトルにも表れてるのかなと感じました。その中から今回は「愛している」という曲を聴いてもらおうと思います。アルバム全体で言うと、序盤はpollyらしいシューゲイズ・サウンド、中盤は結構「歌」が前に出ていて、後半はボーカルの加工とか、現代的なサウンドメイクへの挑戦みたいなところが感じられたんですけど、個人的に中盤の歌ゾーンがすごくいいなと思って。 海外のインディー・ロックからの影響みたいなのはもちろんあるんだけど、改めて思ったのが、pollyは歌心がすごく日本的なんですよね。
MISATO:シューゲイザーとかインディー・ロックとかの海外サウンドに振り切れる人たちなのに、やっぱりそこを残してるんだという、だから心に響くのかもしれないですね。
金子:そうですね。一昨年のアルバムが出たタイミングでのSENSAのインタビューだと、影響源として鬼束ちひろさんとかユーミンの名前を挙げていて、なるほどと思いました。
MISATO:そうなんだ!
金子:そこが単なる洋楽のフォロワーじゃない、pollyならではの良さに繋がっているなと改めて思いました。その上で今回はサウンド的にも初めて海外マスタリングやってたりとか、より突き詰めたものになっていて、その両方の良さががっちりとアルバムに詰まってる印象ですね。
MISATO:「愛している」はもちろんのこと、アルバムには素晴らしい曲がたくさん収録されてますので、聴いてみてください!
MISATO:お送りしているのはpollyで「愛している」でした。このタイトル、すごくたまんないですよね。「愛してる」だと喋り言葉で、相手に届かせる言葉だけど、そうじゃないし、「愛していた」っていう過去形でもなくて。「愛している」になると自分の中でまだ現在進行形で、終わったものに対してまだ気持ちの整理がついていないという、この「愛している」という絶妙な単語感が素晴らしいです。
金子:痛切な想いみたいなものが伝わる曲ですよね。
MISATO:1月31日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜15作品の中から、後半7作品をダイジェストでご紹介しました。ゆうさりさんが、とてもいいんですけど。
金子:リリースはちょっと久しぶりで、昨年の5月以来ですね。年明けに放送された「関ジャム」の2021年ベストで、蔦谷さんが宗藤竜太くんの曲を挙げてくれていて、弾き語りの良さがめちゃめちゃ表れた作品であり、アーティストなんですけど、女性で言うと、ゆうさりさんがそのラインのめちゃいい人というか、FRIENDSHIP.的推しかなって。
MISATO:そうですね。
金子:ゆうさりさんは基本いつも弾き語りで、空気感を大事にしているアーティストという印象がすごくあります。今回の曲は写真家の山口明宏さんの個展の主題歌として制作したそうなんですけど、風景を歌や言葉だけでなく、音そのものから喚起させるというか、そういうちょっとアンビエント的な良さもある人で、その感じが宗藤くんとも通じるものがある気がして。
MISATO:そうかもしれないですね。
金子:やっぱりいいアーティストだなと、改めて思いましたね。
MISATO:息遣いとか、弦が擦れる音も含めて全てが完璧で、一つも無駄がないというか。空間の演出力というのはアンビエントと通じるところがありますね。 そしてERWITもいいですよ。
金子:ERWITもゆうさりさんと通じる部分があるというか。ちなみに、ERWITは個人的にイチオシさせていただいておりますが、昨年の11月についに上京を果たしたそうです。
MISATO:おめでとうございます!近くにいるの!?
金子:いるらしいです。
MISATO:そうなんだ!愛知の方なんですよね。
金子:前作には上京しようにもいまの世の中の状況もあり、なかなかできないみたいな心情が表れていましたけど、11月についに上京されたようです。
MISATO:ようこそ江戸へ。
金子:江戸へ(笑)。
MISATO:しかも、ちょっと気になるレコーディングをされているそうなんですが。
金子:そうなんですよ。それがゆうさりさんと通じる部分、空気感という話に繋がるんですけど。
MISATO:「一軒家の階段で全パートのレコーディングを行った」って、どういうことなんでしょうね(笑)。
金子:すごいですよね(笑)。
MISATO:しかも、全パート!?
金子:らしいです。
MISATO:エコーがいい感じにかかるとかですかね。
金子:曲の前半は、たしかにフィールドレコーディングに近いような音像感で、「なるほど、階段で録ってるのか」となんとなくわかるけど、後半は結構スケールが大きくなっていってますよね。でも「全パート」と書いてあるから、その部分も含めて一軒家の階段で録っているんですね(笑)。こういうレコーディング背景とかも面白いですよね。
MISATO:杉山さん(ERWITの本名)が急斜面の階段に腰掛けて歌ってる姿とか、録ってる姿をいま考えてるんですけど。
金子:階段ですから、決してそんなに広くはないですよね。わりと狭いところで、身を屈めながら録ったんでしょうね。
MISATO:お話し聞きたいですね。ぜひ番組のゲストにもいらしてください、お待ちしております。さあ1曲どうしましょうか?
金子:今週は我らがFRIENDSHIP.のキュレーターでもあるLITEの井澤さんと、同じくFRIENDSHIP. から作品をリリースしているWOZNIAKがコラボレーションをしているということで、この曲を紹介しようかなと思います。
MISATO:すごいコラボレーション。
金子:井澤さんは昨年80kidzのALI&さんとコラボしたJagというプロジェクトで、MOROHAのアフロさんをフィーチャリングして曲を出したりもしてましたけど、LITE本体でもいろいろと動きつつ、さらに個人でも活動をしていて、さすが精力的だなという感じです。今回の曲に関しては、井澤さんはもともと作曲のとき、ベースラインを決めるにあたって、毎回何十ものフレーズを生み出し、その中から厳選したものが1つの楽曲になるそうなんですね。でも、その中には生まれたものの、捨ててしまうフレーズもあって、今回はそれらを再構築して曲を作り、さらにそれをWOZNIAKにブラッシュアップしてもらって、できた曲とのことで。
MISATO:SDGsですね。
金子:あははははは。今風に言うとそういうことになりますね。無駄にしないという。
MISATO:持続可能、サステナブル(笑)。
金子:井澤さんのキャンプ活動とかにも通ずる感じがしてきましたね。
MISATO:あはは。そういうことだったのか〜。
金子:思想は全てに繋がっている。でもタイトルが「Fubuku」だから、吹雪いてる中でキャンプやっているのを想像すると寒そう(笑)。
MISATO:冬キャンできる人は本当にプロですからね。でも自然の中から何かインスパイアされたこともあるんじゃないですかね。
金子:ちなみにタイトルに関しては、井澤さんが構築した曲に、WOZNIAKが新しい風を吹き込んでくれたから「Fubuku」らしいですよ。
MISATO:なるほど〜。
金子:ベースラインを聴くとまさに井澤さんって感じなんだけど、ドラムであったり、エレクトロニックな音像に関してはWOZNIAKだなという感じで、本当にどちらでもない、このコラボレーションならではの曲になっていて、かっこよかったですね。
MISATO:一度使わなくなったパーツに命を新しく吹き込むって、音楽とかアートに関しては難しいんじゃないかなと思ってたんですけど、できるんですね。
金子:セルフリミックスというか、セルフサンプリングというか、そういう面白さもありますね。
MISATO:そういうことか。どうしてもタイトルだったり、テーマが一つひとつバラバラだろうから、それを一つに繋げるのって難しそうだなって、素人目だと感じてしまうけど、それができるのがWOZNIAKの手腕ですね。
金子:井澤さんからしても、第三者の目を通すことによって、一度捨てたネタを消化できるみたいなところもあるのかもしれないですね。
MISATO:個人だと主観が入っちゃいますもんね。こういうのはコラボレーションならではなんですかね。面白い曲でした。
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:1月31日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜15作品、まずはPart 1の8作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます!東京初期衝動がアルバムです!おめでとうございます。
金子:『えんど・おぶ・ざ・わーるど』という、タイトルだけ聞くとちょっと怖いですけど、でも全部ひらがなで書いてあるので、怖くも可愛らしくもあるのが彼女たちらしいですね。デジタルではアルバム全曲ではなく、ガイド版的なEPということで、いまちょっと聴いてもらった「マァルイツキ」もこの中に入ってるんですけど、音楽的にパンキッシュでポップで抜けがいいというのがありつつ、やっぱり彼女たちはキャラクターがとても面白くて。ボーカルのしーなちゃんがnoteに全曲解説を書いてて、それも面白かったんですよね。
MISATO:そうなんですね。
金子:「マァルイツキ」はアルバムのレコーディング終盤ギリギリに、安野モヨコさんとか岡崎京子さんの漫画を読んでて、「ラブリーな曲作りたい!」と、バっとバンドで集まって、2日間くらいで一気に作ったらしいです。
MISATO:え!すごい!それがリード曲になったんですか?
金子:なったらしいです。そういうエピソードが一つひとつ面白くて、解説を読むと、よりアルバムを聴く楽しみが増えるんじゃないかなと思います。
MISATO:ですね!noteチェックしてみます。そしてYUNOWA!
金子:年明けの放送で、2022年期待のアーティストとしてYUNOWAを挙げさせてもらったので、早速新曲が届いて、僕は非常に嬉しいんですけど。
MISATO:どうですか、厚武さん?
金子:相変わらずかっこいいですね。前半ちょっとダブっぽいところから入り、途中から生感のあるブレイクビーツが入ってきて、どんどんサイケになり、もう1回また最初のダブっぽいところに戻っていくという、この曲展開からしてかっこよいです。今作の影響源として、イギリスのGOGO PENGUINという新世代ジャズのバンドを挙げていて、ジャズなんだけどクラブミュージックの要素も入ってる人たちなんですが、なるほどなあと思って。やっぱりすごくいろんなところからインスピレーションを受けてるし、なおかつそれらが混ざりあって、独自のものを作り上げてるんだなと改めて思いました。
MISATO:Bon Iverあたりのサウンドにもインスパイアされていると資料には書かれてますね。
金子:Joy Divisionの名前も挙がってます。
MISATO:なるほど、納得。納得だけど、それをあくまでYUNOWAにしているという。一聴してYUNOWAだなと感じるのは、すごい具現力ですよね。
金子:この声とかはやっぱりYUNOWAならではのものですからね。
MISATO:そして1曲ご紹介したいのですが、いかがでしょう?
金子:今週はpollyがついにアルバムということで。
MISATO:やったーー!!1年3ヶ月ぶり!
金子:デジタルシングルを連続リリースしてきたので、この番組ではずっと紹介はしてきたんですけど、ついにアルバムが完成ということで。pollyの世界観が存分に詰め込まれた作品になってましたね。これまで何度か「光量の多い作品になるんじゃないか?」みたいなことを話してきたんですけど、アルバム全体通してもその印象があって、今回新しいアー写も全員が白い服を着てたりとか、やっぱりそういうイメージがすごくあって。
MISATO:ジャケットはちょっと靄がかかったような感じですね。
金子:だから、「光量が多い」と言ってもただキラッキラに明るいわけじゃなくて、やっぱりいまの世の中がちょっと暗かったり、混沌としているからこそ、逆にこういう光量の多い作品になった気がしています。歌詞を読んでも、喪失感がすごく感じられて、でもその先でもう一度出会うこと、もう一度手にすること、そこへ向けた希望や祈りみたいなところが、『Pray Pray Pray』というタイトルにも表れてるのかなと感じました。その中から今回は「愛している」という曲を聴いてもらおうと思います。アルバム全体で言うと、序盤はpollyらしいシューゲイズ・サウンド、中盤は結構「歌」が前に出ていて、後半はボーカルの加工とか、現代的なサウンドメイクへの挑戦みたいなところが感じられたんですけど、個人的に中盤の歌ゾーンがすごくいいなと思って。 海外のインディー・ロックからの影響みたいなのはもちろんあるんだけど、改めて思ったのが、pollyは歌心がすごく日本的なんですよね。
MISATO:シューゲイザーとかインディー・ロックとかの海外サウンドに振り切れる人たちなのに、やっぱりそこを残してるんだという、だから心に響くのかもしれないですね。
金子:そうですね。一昨年のアルバムが出たタイミングでのSENSAのインタビューだと、影響源として鬼束ちひろさんとかユーミンの名前を挙げていて、なるほどと思いました。
MISATO:そうなんだ!
金子:そこが単なる洋楽のフォロワーじゃない、pollyならではの良さに繋がっているなと改めて思いました。その上で今回はサウンド的にも初めて海外マスタリングやってたりとか、より突き詰めたものになっていて、その両方の良さががっちりとアルバムに詰まってる印象ですね。
MISATO:「愛している」はもちろんのこと、アルバムには素晴らしい曲がたくさん収録されてますので、聴いてみてください!
MISATO:お送りしているのはpollyで「愛している」でした。このタイトル、すごくたまんないですよね。「愛してる」だと喋り言葉で、相手に届かせる言葉だけど、そうじゃないし、「愛していた」っていう過去形でもなくて。「愛している」になると自分の中でまだ現在進行形で、終わったものに対してまだ気持ちの整理がついていないという、この「愛している」という絶妙な単語感が素晴らしいです。
金子:痛切な想いみたいなものが伝わる曲ですよね。
New Release Digest Part 2
MISATO:1月31日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜15作品の中から、後半7作品をダイジェストでご紹介しました。ゆうさりさんが、とてもいいんですけど。
金子:リリースはちょっと久しぶりで、昨年の5月以来ですね。年明けに放送された「関ジャム」の2021年ベストで、蔦谷さんが宗藤竜太くんの曲を挙げてくれていて、弾き語りの良さがめちゃめちゃ表れた作品であり、アーティストなんですけど、女性で言うと、ゆうさりさんがそのラインのめちゃいい人というか、FRIENDSHIP.的推しかなって。
MISATO:そうですね。
金子:ゆうさりさんは基本いつも弾き語りで、空気感を大事にしているアーティストという印象がすごくあります。今回の曲は写真家の山口明宏さんの個展の主題歌として制作したそうなんですけど、風景を歌や言葉だけでなく、音そのものから喚起させるというか、そういうちょっとアンビエント的な良さもある人で、その感じが宗藤くんとも通じるものがある気がして。
MISATO:そうかもしれないですね。
金子:やっぱりいいアーティストだなと、改めて思いましたね。
昨年公開した、ルーツや人となりを探っていくINTERVIEWシリーズ「Highlighter」もぜひチェックを!
MISATO:息遣いとか、弦が擦れる音も含めて全てが完璧で、一つも無駄がないというか。空間の演出力というのはアンビエントと通じるところがありますね。 そしてERWITもいいですよ。
金子:ERWITもゆうさりさんと通じる部分があるというか。ちなみに、ERWITは個人的にイチオシさせていただいておりますが、昨年の11月についに上京を果たしたそうです。
MISATO:おめでとうございます!近くにいるの!?
金子:いるらしいです。
MISATO:そうなんだ!愛知の方なんですよね。
金子:前作には上京しようにもいまの世の中の状況もあり、なかなかできないみたいな心情が表れていましたけど、11月についに上京されたようです。
MISATO:ようこそ江戸へ。
金子:江戸へ(笑)。
MISATO:しかも、ちょっと気になるレコーディングをされているそうなんですが。
金子:そうなんですよ。それがゆうさりさんと通じる部分、空気感という話に繋がるんですけど。
MISATO:「一軒家の階段で全パートのレコーディングを行った」って、どういうことなんでしょうね(笑)。
金子:すごいですよね(笑)。
MISATO:しかも、全パート!?
金子:らしいです。
MISATO:エコーがいい感じにかかるとかですかね。
金子:曲の前半は、たしかにフィールドレコーディングに近いような音像感で、「なるほど、階段で録ってるのか」となんとなくわかるけど、後半は結構スケールが大きくなっていってますよね。でも「全パート」と書いてあるから、その部分も含めて一軒家の階段で録っているんですね(笑)。こういうレコーディング背景とかも面白いですよね。
MISATO:杉山さん(ERWITの本名)が急斜面の階段に腰掛けて歌ってる姿とか、録ってる姿をいま考えてるんですけど。
金子:階段ですから、決してそんなに広くはないですよね。わりと狭いところで、身を屈めながら録ったんでしょうね。
MISATO:お話し聞きたいですね。ぜひ番組のゲストにもいらしてください、お待ちしております。さあ1曲どうしましょうか?
金子:今週は我らがFRIENDSHIP.のキュレーターでもあるLITEの井澤さんと、同じくFRIENDSHIP. から作品をリリースしているWOZNIAKがコラボレーションをしているということで、この曲を紹介しようかなと思います。
MISATO:すごいコラボレーション。
金子:井澤さんは昨年80kidzのALI&さんとコラボしたJagというプロジェクトで、MOROHAのアフロさんをフィーチャリングして曲を出したりもしてましたけど、LITE本体でもいろいろと動きつつ、さらに個人でも活動をしていて、さすが精力的だなという感じです。今回の曲に関しては、井澤さんはもともと作曲のとき、ベースラインを決めるにあたって、毎回何十ものフレーズを生み出し、その中から厳選したものが1つの楽曲になるそうなんですね。でも、その中には生まれたものの、捨ててしまうフレーズもあって、今回はそれらを再構築して曲を作り、さらにそれをWOZNIAKにブラッシュアップしてもらって、できた曲とのことで。
MISATO:SDGsですね。
金子:あははははは。今風に言うとそういうことになりますね。無駄にしないという。
MISATO:持続可能、サステナブル(笑)。
金子:井澤さんのキャンプ活動とかにも通ずる感じがしてきましたね。
MISATO:あはは。そういうことだったのか〜。
金子:思想は全てに繋がっている。でもタイトルが「Fubuku」だから、吹雪いてる中でキャンプやっているのを想像すると寒そう(笑)。
MISATO:冬キャンできる人は本当にプロですからね。でも自然の中から何かインスパイアされたこともあるんじゃないですかね。
金子:ちなみにタイトルに関しては、井澤さんが構築した曲に、WOZNIAKが新しい風を吹き込んでくれたから「Fubuku」らしいですよ。
MISATO:なるほど〜。
金子:ベースラインを聴くとまさに井澤さんって感じなんだけど、ドラムであったり、エレクトロニックな音像に関してはWOZNIAKだなという感じで、本当にどちらでもない、このコラボレーションならではの曲になっていて、かっこよかったですね。
MISATO:一度使わなくなったパーツに命を新しく吹き込むって、音楽とかアートに関しては難しいんじゃないかなと思ってたんですけど、できるんですね。
金子:セルフリミックスというか、セルフサンプリングというか、そういう面白さもありますね。
MISATO:そういうことか。どうしてもタイトルだったり、テーマが一つひとつバラバラだろうから、それを一つに繋げるのって難しそうだなって、素人目だと感じてしまうけど、それができるのがWOZNIAKの手腕ですね。
金子:井澤さんからしても、第三者の目を通すことによって、一度捨てたネタを消化できるみたいなところもあるのかもしれないですね。
MISATO:個人だと主観が入っちゃいますもんね。こういうのはコラボレーションならではなんですかね。面白い曲でした。
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.