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2021.11.05
THE ORAL CIGARETTESがファンクラブ限定ツアーとして5都市を回った「BKW!! Premium Party 〜SUCK MY WORLD (Entire album as it is)〜」。タイトルからわかる通り、昨年4月にリリースされた5th Album『SUCK MY WORLD』を丸ごと再現するライヴを開催したのが本ツアーである。コロナ禍の真っ只中にリリースされた『SUCK MY WORLD』のリリースツアーは全公演中止となり、「音楽の起源に触れる」「人間の根源に還る」という作品コンセプトに基づく壮大な演出を予定していたアリーナ公演の数々は、世に放たれることなく温められることとなった。日々動転する新型コロナウイルスの感染状況、それに伴って日々変化する感染症対策のガイドライン。それらを鑑みて苦渋の中止判断をされたツアーを今こそリバイバルするべく開催されたのが今回の「BKW!! Premium Party 〜SUCK MY WORLD (Entire album as it is)〜」だったと言えるだろう。さらに、来年1月にスタートするホールツアー「SUCK MY WORLD」を前に、ファンクラブ=困難な時でもオーラルを人生の一部にし続けてくれたリスナーにこそ再度アルバムに込めたものを整理して伝える意図もあったと推測する。バンドに限らず、人との距離感が身体的にも精神的にも離れてしまったコロナ禍の中でむしろ「自分にとって大事なもの」「自分が愛している人」が浮かび上がったことによって、オーラルもまた自分達のそばにいてくれた人達の存在をより一層大切に包もうと考えただろうし、その意志は直近のシングル"Red Criminal"や"MACHINEGUN"の歌からも克明に感じ取れる。
『SUCK MY WORLD』に込めた意図を整理して伝えるライヴだったのではないか、と先述したが、『SUCK MY WORLD』はそれだけ丁寧な説明を要するほど急激な変化を果たした作品だった。それまでは歌謡的なメロディをロックサウンドに載せてアウトプットすることで形成されてきたオーラル節だったが、そもそもの音楽的な背骨をゴスペル、R&B、ファンクに入れ替えていったのが『SUCK MY WORLD』であり、そうして抜本的に音楽構造が変化したことが、本作がオーラルの歴史の中で異質かつ最重要である理由だった。そういった急激な変化の根底にあったのは、現代のロックバンドに対する「それでいいの?」という問いであり、ロックシーンを背負うバンドになるという意志を固めたオーラルは、フェスなどをはじめとした場所で市民権を得て消費されていくロックに危機感を抱いたという。特にロックを生き様だと捉える山中拓也(Vo/Gt)だからこそ、「ロックとは何か」という疑問が「人間とは何か」という根源的なテーマに直結するのもよくわかるし、そもそも型がなく自由なはずのロックバンドの根源を示すためにロックサウンドの枠を飛び出そうとしたのが『SUCK MY WORLD』だったのだ。一見壮大なテーマだし、実際にアルバムのオープニングを飾った"Introduction"では荘厳なトラックとナレーションが作品の重厚なテーマを克明に映し出す。しかしその実は、「ロックバンドの在り方」を今一度問うプリミティヴな思考だったとも言えるだろう。
前置きが長くなったが、今回のライヴで表現された『SUCK MY WORLD』は、その壮大な側面を見せるものではなく、上述したプリミティヴな部分──あくまで1曲1曲のグルーヴで魅せてアゲて踊らせていくものだった。恒例の「一本打って──」の号令に続いて"Introduction"の荘厳なトラックが鳴り響き、メンバーの登壇とともに雪崩れ込んだ"Tonight the silence kills me with your fire"では、ポストパンク/ゴスを参照した音楽性を可視化するように山中が艶っぽい動きを見せる。一転して"Fantasy"では粘っこいグルーヴがモノを言うファンクナンバーに乗って、あきらかにあきら(Ba/Cho)と鈴木重伸(Gt)が踊るように交わる。ロックスターの姿に疑問を呈した楽曲でこそ堂々たるロックスターの風格を表し、リズムとグルーヴを主役にした楽曲では真っ向から踊り、Funな空間を自ら演出していく。解説や理解よりも実感を第一にしたライヴパフォーマンスが矢継ぎ早に繰り出されていった。さらに"Color Tokyo"では、MVに施されたレーザー文字の演出をそのまま再現し、肉体的・視覚的なものだけで『SUCK MY WORLD』を伝え切る執念が感じられた。
山中は「コロナ禍でいろんなことを考えたと思うし、日々不安なことが多かったと思う。だから、アルバムのことを改めて説明するよりも、何も考えずに楽しんでもらいたい」とライヴ中に語ったが、アルバムをリリースしてから1年半の時間を経たことによって、オーラル自身も『SUCK MY WORLD』を消化できたことがこの言葉に表れていたと思う。ゴスペルやR&B、ファンクを背骨にした楽曲達は「ブラックミュージック」と称されるものだが、もっと言えば、それらは身ひとつで鳴らせる超肉体的な音楽であり、黒人音楽のリズムを消化することはそのまま音楽の根源のひとつに触れることでもある。その肉体的なグルーヴをこの1年半で磨き上げられたからこそ、『SUCK MY WORLD』を変化としてではなくオーラルの肉体として鳴らせるようになったのではないか。舞台演出も天井に吊るされた植物の巨大オブジェのみで、大仰な演出は一切なし。ロザリーナを客演で迎えた"Don't you think"も含めて、限りなくソリッドな構成でひたすら楽曲を連打していくだけのライヴは、この楽曲達をきっちりモノにしたオーラルの現在地をはっきり映していた。たとえば"Naked"や"Maze"に顕著だったのは、ハイテンションな爆音で埋め尽くすのではなく隙間を生かした立体的なグルーヴでじわじわと高揚していくアンサンブルだ。まるで要塞のようなドラムセットは、1曲1曲に異なるリズム・ビート感に応えるものとして中西雅哉(Dr)が築いていったものだろうが、1曲ごとにビートの音色も質感が異なる細やかさには『SUCK MY WORLD』に至るまでの試行錯誤と鍛錬の数々が映っていたし、それを軸にして4音が絡み合う小気味よさが、体をぶつけ合えず制限がある中でも一人ひとりの内面的な熱を引っ張り出していく。アルバムの世界観ではなく、あくまで1曲1曲の力で『SUCK MY WORLD』を伝え切る。そういうソリッドな構成だったからこそ、「音楽とは何か」を問うと同時に「自分とは何か」を山中が綴り切った"The Given"が際立っていたし、説明よりも音楽を、音楽の中に生き様を、という彼らの姿勢がむしろストレートに伝わるライヴになっていた。その潔さとバンドの地力に貫かれているのがこのライヴの素晴らしさだった。
ハイライトは"Hallelujah"と"Slowly but surely I go on"。『SUCK MY WORLD』でも肝になったゴスペルナンバーだが、多幸感に貫かれたメロディ、ハンドクラップの波、祝福感のあるクワイアが折り重なって、声を出せず体を触れ合わせることもできない中でも、一人ひとりが音楽と一体になっていく。「みんなでひとつになろう」という言葉が何のリアリティも持たなくなり、あくまで一人ひとりなのだという事実が克明に浮かび上がったコロナ以降の時代。誰に合わせるでもなく、個々が自分のリズムで体を躍動させる楽曲こそが最もクリティカルで威力を発揮するのだと痛感する場面だった。それはアルバムの楽曲を順に演奏していったこのライヴ自体にも言えることで、ファンへの信頼と愛があるからこそ「自分のリズムで楽しめ」という意志をポンポン手渡していく姿勢が終始貫かれていた。
「やっぱりTHE ORAL CIGARETTESはロックシーンを背負ってやっていきたいと思ってます。先輩から受け継いできたものやから。せっかくならみんなと一緒に守っていきたいし、これからも力を貸して欲しい。たとえばフェスとかではイカつい顔してガンガンやっていくけど、ファンクラブのみんなの前では笑い合えるような空間を作っていければと思ってます。本当にありがとう。......こうしてみんなと今を過ごせているなら、俺は人生に悔いはないんです。ただ、もっとみんなに元気になって欲しいし、そんな曲をたくさん作ってからこの世を去りたい。まだまだミュージシャン、バンドマンを辞められない。それを楽しみに、生きがいにしてくれたら嬉しいと思ってます。進めてないとか、全然上手くいかへんとか、みんなにもあるやろうけど、俺らにもあるから。少しずつ進んで行きましょう」(山中)
山中の言葉は、心を許せるファンクラブのメンバーに対する言葉であると同時に、「誰に何を歌うのか」「大切にすべきは誰なのか」がこの1年半で明確になったであろうこともまた表していた。仲間と生き、ともに愛する音楽を鳴らす。言葉にすればたったそれだけだが、『SUCK MY WORLD』以降に原初たるロックサウンドを研ぎ澄ましていったのは、オーラルの音楽が何を背負い、誰に届くべきかを掴んだことが大きいはずだ。
そしてアンコールで演奏されたのは"Red Criminal"と、このツアーで初披露された新曲"MACHINEGUN"。『SUCK MY WORLD』をリリースする以前から、本作以降は再度ソリッドなロックサウンドに回帰しようと構想していたと本人達も語っていたが、『SUCK MY WORLD』の楽曲を演奏したのに続いてこの2曲を鳴らしたことにより、『SUCK MY WORLD』以前と以降のオーラルがどう変貌したのかがわかりやすく伝わったはずだ。ヘヴィなポストハードコアである"Red Criminal"にしろ、オーラル王道の疾走ナンバーをシュンタロウ(Hello Sleepwalkers)とともに塗り替えた"MACHINEGUN"にしろ、その曲の肝になっているのは激烈なテンション以上に4音の緻密な絡み合いであり、各フレーズの動きがフックになってメロディをさらに飛ばしていく様が目に見えるようだった。これまでにないグルーヴと隙間の使い方が要求された『SUCK MY WORLD』を経たことで、オーラルの王道もまた刷新された。そんなこともまた伝わってくるライヴだったと言えるだろう。ラストは事前にアンケートを実施し、ファンからのリクエスト第一位だった楽曲"アクセス×抗体"。『5150』のカップリング楽曲がセレクトされる辺りはさすがファンクラブイベントだ。きっちりハイテンションな楽曲を打ち上げてライヴを大団円で締めるのもまた、オーラルらしい。来年から始まるホールツアーへの予感と、ただの再現に終わらず現在進行形で走っているオーラルの姿と。その両方が感じられるライヴだった。
写真:ハタサトシ
02 Tonight the silence kills me with your fire
03 Fantasy
04 Dream In Drive
05 Maze
06 Don't you think(feat.ロザリーナ)
07 Hallelujah
08 Breathe
09 ワガママで誤魔化さないで
10 Shine Holder
11 Naked
12 Color Tokyo
13 From Dusk Till Dawn
14 The Given
15 Slowly but surely I go on
EN1 MACHINEGUN
EN2 Red Criminal
---MC----
EN3 アクセス×抗体
『SUCK MY WORLD』に込めた意図を整理して伝えるライヴだったのではないか、と先述したが、『SUCK MY WORLD』はそれだけ丁寧な説明を要するほど急激な変化を果たした作品だった。それまでは歌謡的なメロディをロックサウンドに載せてアウトプットすることで形成されてきたオーラル節だったが、そもそもの音楽的な背骨をゴスペル、R&B、ファンクに入れ替えていったのが『SUCK MY WORLD』であり、そうして抜本的に音楽構造が変化したことが、本作がオーラルの歴史の中で異質かつ最重要である理由だった。そういった急激な変化の根底にあったのは、現代のロックバンドに対する「それでいいの?」という問いであり、ロックシーンを背負うバンドになるという意志を固めたオーラルは、フェスなどをはじめとした場所で市民権を得て消費されていくロックに危機感を抱いたという。特にロックを生き様だと捉える山中拓也(Vo/Gt)だからこそ、「ロックとは何か」という疑問が「人間とは何か」という根源的なテーマに直結するのもよくわかるし、そもそも型がなく自由なはずのロックバンドの根源を示すためにロックサウンドの枠を飛び出そうとしたのが『SUCK MY WORLD』だったのだ。一見壮大なテーマだし、実際にアルバムのオープニングを飾った"Introduction"では荘厳なトラックとナレーションが作品の重厚なテーマを克明に映し出す。しかしその実は、「ロックバンドの在り方」を今一度問うプリミティヴな思考だったとも言えるだろう。
前置きが長くなったが、今回のライヴで表現された『SUCK MY WORLD』は、その壮大な側面を見せるものではなく、上述したプリミティヴな部分──あくまで1曲1曲のグルーヴで魅せてアゲて踊らせていくものだった。恒例の「一本打って──」の号令に続いて"Introduction"の荘厳なトラックが鳴り響き、メンバーの登壇とともに雪崩れ込んだ"Tonight the silence kills me with your fire"では、ポストパンク/ゴスを参照した音楽性を可視化するように山中が艶っぽい動きを見せる。一転して"Fantasy"では粘っこいグルーヴがモノを言うファンクナンバーに乗って、あきらかにあきら(Ba/Cho)と鈴木重伸(Gt)が踊るように交わる。ロックスターの姿に疑問を呈した楽曲でこそ堂々たるロックスターの風格を表し、リズムとグルーヴを主役にした楽曲では真っ向から踊り、Funな空間を自ら演出していく。解説や理解よりも実感を第一にしたライヴパフォーマンスが矢継ぎ早に繰り出されていった。さらに"Color Tokyo"では、MVに施されたレーザー文字の演出をそのまま再現し、肉体的・視覚的なものだけで『SUCK MY WORLD』を伝え切る執念が感じられた。
山中は「コロナ禍でいろんなことを考えたと思うし、日々不安なことが多かったと思う。だから、アルバムのことを改めて説明するよりも、何も考えずに楽しんでもらいたい」とライヴ中に語ったが、アルバムをリリースしてから1年半の時間を経たことによって、オーラル自身も『SUCK MY WORLD』を消化できたことがこの言葉に表れていたと思う。ゴスペルやR&B、ファンクを背骨にした楽曲達は「ブラックミュージック」と称されるものだが、もっと言えば、それらは身ひとつで鳴らせる超肉体的な音楽であり、黒人音楽のリズムを消化することはそのまま音楽の根源のひとつに触れることでもある。その肉体的なグルーヴをこの1年半で磨き上げられたからこそ、『SUCK MY WORLD』を変化としてではなくオーラルの肉体として鳴らせるようになったのではないか。舞台演出も天井に吊るされた植物の巨大オブジェのみで、大仰な演出は一切なし。ロザリーナを客演で迎えた"Don't you think"も含めて、限りなくソリッドな構成でひたすら楽曲を連打していくだけのライヴは、この楽曲達をきっちりモノにしたオーラルの現在地をはっきり映していた。たとえば"Naked"や"Maze"に顕著だったのは、ハイテンションな爆音で埋め尽くすのではなく隙間を生かした立体的なグルーヴでじわじわと高揚していくアンサンブルだ。まるで要塞のようなドラムセットは、1曲1曲に異なるリズム・ビート感に応えるものとして中西雅哉(Dr)が築いていったものだろうが、1曲ごとにビートの音色も質感が異なる細やかさには『SUCK MY WORLD』に至るまでの試行錯誤と鍛錬の数々が映っていたし、それを軸にして4音が絡み合う小気味よさが、体をぶつけ合えず制限がある中でも一人ひとりの内面的な熱を引っ張り出していく。アルバムの世界観ではなく、あくまで1曲1曲の力で『SUCK MY WORLD』を伝え切る。そういうソリッドな構成だったからこそ、「音楽とは何か」を問うと同時に「自分とは何か」を山中が綴り切った"The Given"が際立っていたし、説明よりも音楽を、音楽の中に生き様を、という彼らの姿勢がむしろストレートに伝わるライヴになっていた。その潔さとバンドの地力に貫かれているのがこのライヴの素晴らしさだった。
ハイライトは"Hallelujah"と"Slowly but surely I go on"。『SUCK MY WORLD』でも肝になったゴスペルナンバーだが、多幸感に貫かれたメロディ、ハンドクラップの波、祝福感のあるクワイアが折り重なって、声を出せず体を触れ合わせることもできない中でも、一人ひとりが音楽と一体になっていく。「みんなでひとつになろう」という言葉が何のリアリティも持たなくなり、あくまで一人ひとりなのだという事実が克明に浮かび上がったコロナ以降の時代。誰に合わせるでもなく、個々が自分のリズムで体を躍動させる楽曲こそが最もクリティカルで威力を発揮するのだと痛感する場面だった。それはアルバムの楽曲を順に演奏していったこのライヴ自体にも言えることで、ファンへの信頼と愛があるからこそ「自分のリズムで楽しめ」という意志をポンポン手渡していく姿勢が終始貫かれていた。
「やっぱりTHE ORAL CIGARETTESはロックシーンを背負ってやっていきたいと思ってます。先輩から受け継いできたものやから。せっかくならみんなと一緒に守っていきたいし、これからも力を貸して欲しい。たとえばフェスとかではイカつい顔してガンガンやっていくけど、ファンクラブのみんなの前では笑い合えるような空間を作っていければと思ってます。本当にありがとう。......こうしてみんなと今を過ごせているなら、俺は人生に悔いはないんです。ただ、もっとみんなに元気になって欲しいし、そんな曲をたくさん作ってからこの世を去りたい。まだまだミュージシャン、バンドマンを辞められない。それを楽しみに、生きがいにしてくれたら嬉しいと思ってます。進めてないとか、全然上手くいかへんとか、みんなにもあるやろうけど、俺らにもあるから。少しずつ進んで行きましょう」(山中)
山中の言葉は、心を許せるファンクラブのメンバーに対する言葉であると同時に、「誰に何を歌うのか」「大切にすべきは誰なのか」がこの1年半で明確になったであろうこともまた表していた。仲間と生き、ともに愛する音楽を鳴らす。言葉にすればたったそれだけだが、『SUCK MY WORLD』以降に原初たるロックサウンドを研ぎ澄ましていったのは、オーラルの音楽が何を背負い、誰に届くべきかを掴んだことが大きいはずだ。
そしてアンコールで演奏されたのは"Red Criminal"と、このツアーで初披露された新曲"MACHINEGUN"。『SUCK MY WORLD』をリリースする以前から、本作以降は再度ソリッドなロックサウンドに回帰しようと構想していたと本人達も語っていたが、『SUCK MY WORLD』の楽曲を演奏したのに続いてこの2曲を鳴らしたことにより、『SUCK MY WORLD』以前と以降のオーラルがどう変貌したのかがわかりやすく伝わったはずだ。ヘヴィなポストハードコアである"Red Criminal"にしろ、オーラル王道の疾走ナンバーをシュンタロウ(Hello Sleepwalkers)とともに塗り替えた"MACHINEGUN"にしろ、その曲の肝になっているのは激烈なテンション以上に4音の緻密な絡み合いであり、各フレーズの動きがフックになってメロディをさらに飛ばしていく様が目に見えるようだった。これまでにないグルーヴと隙間の使い方が要求された『SUCK MY WORLD』を経たことで、オーラルの王道もまた刷新された。そんなこともまた伝わってくるライヴだったと言えるだろう。ラストは事前にアンケートを実施し、ファンからのリクエスト第一位だった楽曲"アクセス×抗体"。『5150』のカップリング楽曲がセレクトされる辺りはさすがファンクラブイベントだ。きっちりハイテンションな楽曲を打ち上げてライヴを大団円で締めるのもまた、オーラルらしい。来年から始まるホールツアーへの予感と、ただの再現に終わらず現在進行形で走っているオーラルの姿と。その両方が感じられるライヴだった。
写真:ハタサトシ
BKW!! Premium Party〜SUCK MY WORLD (Entire album as it is) 2021/11/01(Mon)@Zepp DiverCity SET LIST
01 Introduction02 Tonight the silence kills me with your fire
03 Fantasy
04 Dream In Drive
05 Maze
06 Don't you think(feat.ロザリーナ)
07 Hallelujah
08 Breathe
09 ワガママで誤魔化さないで
10 Shine Holder
11 Naked
12 Color Tokyo
13 From Dusk Till Dawn
14 The Given
15 Slowly but surely I go on
EN1 MACHINEGUN
EN2 Red Criminal
---MC----
EN3 アクセス×抗体