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2021.08.20
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!みらん・アンニュイ・ホリデイ・cadodeほか全15作品 -2021.08.18-
カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
MISATO:8月16日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全15作品の中から、まずは前半7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。前半も良いですねー。はじめましての方がいらっしゃいます。poor man's rose、福岡で結成されたバンドです。
金子:ギター・ボーカルとドラム・コーラスの女子2人組で、ライブではサポートも入れてやってるみたいなんですけど。2019年に結成されたバンドということで、若いバンドですね。FRIENDSHIP.からは今回が初めてのリリースで、女子2人のバンドっていうと最近はyonigeとかがパッと浮かんで、彼女たちもちょっとオルタナな感じがあるので通じるところはありつつ、キュレーターの平さんのコメントにもあるんですけど、どこかねごとっぽさを感じる部分があって。
MISATO:ありますねー。
金子:ボーカルのちょっと儚いけど芯がある感じとか、ねごとっぽさがたしかにあるなって。
MISATO:初期のねごとっぽい感じがありますよね。
金子:そうそう。
MISATO:生音の良さをしっかりと出しながら、ねごとのような空気感のコントロールがすごく上手にできている感じがありますよね。
金子:FRIENDSHIP.が誇るキュレーターには元ねごとの、miidaこと沙田瑞紀先生がいらっしゃるので。
MISATO:ということは、沙田さんももちろん聴いてらっしゃるということですよね?
金子:そういうことですね。
MISATO:うわー、何を思うんでしょうねー。
金子:感想聞いてみたいですね。
MISATO:プロデューサーで入ってもらうとか。
金子:いずれはね、そんなことも思っちゃいますよね。
MISATO:勝手にコラボレーションさせたくなっちゃいますね、私たちはすぐに(笑)。
そして、Pablo Haiku。ちょっとお久しぶりですが、またいいですね。
金子:彼らにとっての2曲目ですけど、やっぱり良いですね。前にも話したと思うんですけど、もともと一般公募で、mabanuaさんがゲストキュレーターで来たときに選ばれた人たちです。一般公募で送ってくる人たちの中にも、ある程度キャリアがあって過去にも作品を出してる人と、本当にまっさらの新人と2パターンいて、Pablo Haikuは本当にまっさらな新人だったんですよ。だから、デモで聴くことができたのも前回配信されてる「park」という1曲しかなかったんですよね。その1曲を聴いて、「すごくいいじゃん」となってリリースに至ったんですけど。とはいえ1曲だから、もしかしたら1曲だけ超いい曲ができて、(2曲目を聴いたら)「あれ!?」という可能性もあるわけじゃないですか。
MISATO:もちろんありますよね。
金子:だから、2曲目を聴くときって、「どういうのが出てくるんだろう?」ってドキドキするんですけど、Pablo Haikuは2曲目も超良くて。
MISATO:安心しますね、評価したこちら側も「よかったー、さすがだなー」って気持ちにさせてもらえる。
金子:本当に。前回がUKガラージっぽい感じだったのに対して、今回はマッドチェスターということなんですけど、いわゆるマッドチェスターのオリジナルというよりは、今っぽさがちゃんと加わっていて。
MISATO:そうなんだよなー。
金子:何よりちゃんとメロディが書けるんだなっていうことが伝わってきたので、これからも楽しみですね。
MISATO:今回の2曲目を聴かせてもらって、方向性も見えましたね。嬉しい!
金子:ダンサブルな感じはありつつも、ちゃんと今のポップミュージックに落とし込んでるところが、ありそうでない感じで良いです。
MISATO:さあ、1曲お送りしたいのですが。
金子:今週はみらんを紹介したいと思います。
MISATO:今回はEPという形で『モモイロペリカンと遊んだ日』。
金子:独特なタイトルですよね。
MISATO:そうですね。あとEP全部通して美味しそうでした(笑)。
金子:「ポトフ」とか「シュガー」とかね(笑)。改めて紹介すると、1999年生まれ、兵庫県在住のシンガーソングライターで、昨年ファーストアルバム『帆風』という作品を配信でリリースしていて、それが7月にCD化されたばかり。そんな中で8月に新作EPのリリースということで、これも前にちらっと言ったと思うんですけど、ノスタルジックな雰囲気があって、カネコアヤノさんとかにも通じる雰囲気がありつつ、今のカネコアヤノさんがバンドでやってるのに対して、みらんさんはiPhoneのガレージバンドを使っていて。
MISATO:ねー、既存のアプリで。
金子:そのあたりは今っぽいというか。すごく凝ったトラックを作ってるというよりは、ちょっとチープな感じの打ち込みですけど、それがノスタルジックな感じを良い意味で新しくもしてるような感じがします。カネコアヤノさんにしても、最初から今のバンドと一緒にずっとやってきたわけではなくて、初期の頃は作風的にもいろいろ試行錯誤があって、その中で今のバンドメンバーと出会って、そこからより自分の作品の強度を高めていった、みたいな感じがあったので、みらんさんにしても多分今は試行錯誤中で、自分の作品というものを無邪気に楽しみつつも探してるみたいな時期なのかなと思って。みらんさんは元バレーボウイズのネギさんとコラボレーションをしていて、今回のEPにも2曲ギターで参加してるんですけど、今後みらんさんがバンドになるかどうかは別として、ネギさんみたいに一緒に作品を作ってくれる人との出会いから何か広がっていくものがきっとあると思うので、ここからがすごく楽しみなシンガーソングライターだなと思っております。
MISATO:Part 1はこれからが楽しみなアーティストさんたちがたくさんいますね。
金子:そうですね。
MISATO:みらんさん、このEP通して聴くと、その試行錯誤の中に彼女の名刺代わりとなるというか、こういうスタイルが得意なんだな、好きなんだなっていう好みもわかるようなEPになってますね。
金子:CDと配信が同時に出るんですけど、CDと配信で曲順が違うっていう試みも面白いなと。
MISATO:へー、面白いですね。
金子:曲順によって曲の印象が大きく変わったりするから。
MISATO:変わる! こだわりがそこにも詰まっているわけですね。ぜひ聴き比べてみてください。
MISATO:8月16日週リリースの新譜ダイジェスト、Part 2でした。こちらもはじめましてさんがいらっしゃいます。谷口貴洋さん。
金子:彼は元andymoriの小山田壮平くんと一緒に Sparkling Recordsというレーベルを設立しているシンガーソングライターで、小山田くんの周りにはいいシンガーソングライターがいっぱいいるんですよね。一緒にバンドをやってる長澤知之くんとか、あと僕折坂悠太くんのことを初めて知ったのって、小山田くんと対バンしてるときだったりして。
MISATO:そうなんですね。
金子:そういう中で、この谷口さんも非常に個性的なシンガーソングライターで、FRIENDSHIP.からは初めてのリリースですけど、過去にも作品を色々とリリースしていて実績のある方なので、ぜひそちらも含めて聴いてもらいたいなと思っております。
MISATO:続いては、番組でご紹介するのは初になりますね、アンニュイ・ホリデイ。こちらもオヤマダさんですね。
金子:メンバーの名前がオヤマダさん(笑)。結成が2020年10月なので、本当に新しく始まった人たちで、リリースは昨年の11月以来とちょっと久しぶりなんですけれども、セルフライナーノーツが届いてまして、「以前からシティポップという括りで評価されまして、私たちとしてはその認識がなかったので...だったら夏!シティポップ!!ドライブBGM!!!なグッドミュージックを作ろう」ということで、完成したのが今回の曲だそうで。
MISATO:最高ですね!
金子:たしかにシティポップというよりは渋谷系の流れみたいなイメージを持ってました。
MISATO:一昔前は何でもかんでもシティポップの括りになっちゃってましたもんね。あれはすごくいたたまれない気持ちになることもあったんですけど。
金子:いろいろな解釈ができる言葉ですからね。
MISATO:広いですしね。もちろんシティポップ要素はあると思いますけど、それに「じゃあ、いいよ!のってく?」と言えるこの2人の、懐の広さと遊び心というか。
金子:その感じがいいですよね。で、実際にできあがってる曲は、それこそど真ん中なシティポップかというと、やっぱりそうじゃなくて、彼ららしい90年代感もあるし。
MISATO:いいなー。
金子:ちなみに、もうひとつコメントで、「私たちが思うシティポップの定義は、海には限りなく近づくけれど、絶対に入水はしないタイプの人が作る音楽」だそうです。
MISATO:あはははは。陸サーファーみたいなことよね?最高です。
金子:このひねくれた感じがありつつ、でも音楽は非常に良質で。良いですね、アンニュイ・ホリデイ。
MISATO:さあ、1曲どうしましょうか。
金子:もう1曲はcadodeいきましょうかね。cadodeもやっぱり良いですね。FRIENDSHIP.からリリースするのは「三行半」に続いて2曲目なんですけど、改めて紹介すると、ボーカルとプロデューサー、さらにはマネージャーとの3人組ユニットという。その時点で珍しいんですけれど、やっぱりebaさんの作るトラック、かっこいい。
MISATO:かっこいい!
金子:「三行半」を紹介したときは「米津玄師以降」みたいなことを言わせてもらったと思うけど、今回はよりオリジナリティを増していて、トラックの音数は少ないんだけど、ボーカルのミックスとかも含めてすごく気持ちいいし、メロや歌自体も良くて、非常に素晴らしいポップスになってると思いました。この番組で紹介してる人だと、アツキタケトモとかもそうですけど、J-POP的なんだけどトラックがすごく攻めてて、先鋭的な人たちがすごく増えていて、今週のリリースの中だとSyunMacuもそうですね。彼らも「新しいJ-POP」という言葉を掲げていて、今回「線香花火」という曲でしたけど、DAOKOの「打上花火」とかを思い出す、日本人の好きな情緒的な感じがあったりして、その感じはcadodeも持ってるんですよね。攻めたトラックメイクと叙情的なメロディーの組み合わせが「新しいJ-POP」を生み出しているなと、cadodeを聴いて思いましたね。
MISATO:ボーカルのkoshiくんにとっての虚無感が「あの夏」というワードになっているだけで、聴いてくださってる方にとってはその虚無感を得た瞬間が秋かもしれないし冬かもしれない。それぞれ置き換えて聴いて欲しい楽曲だなという風に感じました。なおかつ、虚無感というところがテーマなのに、さっき厚武さんがおっしゃったみたいに、ebaさんの今の音で作る前衛的なトラックによって、虚無感だけじゃなく、ちゃんとポップスに消化されているというか、あまり神格化されないところに落としてるっていうバランス感が絶妙ですね。
金子:ただ内省的なだけじゃなくて、ちゃんとポップミュージックとして聴けるというか。
MISATO:お盆を過ぎた時期にこの曲を聴くのもよきかなと思います。
金子:今週は夏を感じさせてくれる曲がたくさんありましたよね。
MISATO:いろいろな夏を教えてくれた感じがありましたね。ありがとうございます!
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
FRIENDSHIP.
キュレーターの金子厚武とラジオDJ MISATOによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!
New Release Digest Part 1
MISATO:8月16日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全15作品の中から、まずは前半7作品をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。前半も良いですねー。はじめましての方がいらっしゃいます。poor man's rose、福岡で結成されたバンドです。
金子:ギター・ボーカルとドラム・コーラスの女子2人組で、ライブではサポートも入れてやってるみたいなんですけど。2019年に結成されたバンドということで、若いバンドですね。FRIENDSHIP.からは今回が初めてのリリースで、女子2人のバンドっていうと最近はyonigeとかがパッと浮かんで、彼女たちもちょっとオルタナな感じがあるので通じるところはありつつ、キュレーターの平さんのコメントにもあるんですけど、どこかねごとっぽさを感じる部分があって。
MISATO:ありますねー。
金子:ボーカルのちょっと儚いけど芯がある感じとか、ねごとっぽさがたしかにあるなって。
MISATO:初期のねごとっぽい感じがありますよね。
金子:そうそう。
MISATO:生音の良さをしっかりと出しながら、ねごとのような空気感のコントロールがすごく上手にできている感じがありますよね。
金子:FRIENDSHIP.が誇るキュレーターには元ねごとの、miidaこと沙田瑞紀先生がいらっしゃるので。
MISATO:ということは、沙田さんももちろん聴いてらっしゃるということですよね?
金子:そういうことですね。
MISATO:うわー、何を思うんでしょうねー。
金子:感想聞いてみたいですね。
MISATO:プロデューサーで入ってもらうとか。
金子:いずれはね、そんなことも思っちゃいますよね。
MISATO:勝手にコラボレーションさせたくなっちゃいますね、私たちはすぐに(笑)。
そして、Pablo Haiku。ちょっとお久しぶりですが、またいいですね。
金子:彼らにとっての2曲目ですけど、やっぱり良いですね。前にも話したと思うんですけど、もともと一般公募で、mabanuaさんがゲストキュレーターで来たときに選ばれた人たちです。一般公募で送ってくる人たちの中にも、ある程度キャリアがあって過去にも作品を出してる人と、本当にまっさらの新人と2パターンいて、Pablo Haikuは本当にまっさらな新人だったんですよ。だから、デモで聴くことができたのも前回配信されてる「park」という1曲しかなかったんですよね。その1曲を聴いて、「すごくいいじゃん」となってリリースに至ったんですけど。とはいえ1曲だから、もしかしたら1曲だけ超いい曲ができて、(2曲目を聴いたら)「あれ!?」という可能性もあるわけじゃないですか。
MISATO:もちろんありますよね。
金子:だから、2曲目を聴くときって、「どういうのが出てくるんだろう?」ってドキドキするんですけど、Pablo Haikuは2曲目も超良くて。
MISATO:安心しますね、評価したこちら側も「よかったー、さすがだなー」って気持ちにさせてもらえる。
金子:本当に。前回がUKガラージっぽい感じだったのに対して、今回はマッドチェスターということなんですけど、いわゆるマッドチェスターのオリジナルというよりは、今っぽさがちゃんと加わっていて。
MISATO:そうなんだよなー。
金子:何よりちゃんとメロディが書けるんだなっていうことが伝わってきたので、これからも楽しみですね。
MISATO:今回の2曲目を聴かせてもらって、方向性も見えましたね。嬉しい!
金子:ダンサブルな感じはありつつも、ちゃんと今のポップミュージックに落とし込んでるところが、ありそうでない感じで良いです。
MISATO:さあ、1曲お送りしたいのですが。
金子:今週はみらんを紹介したいと思います。
MISATO:今回はEPという形で『モモイロペリカンと遊んだ日』。
金子:独特なタイトルですよね。
MISATO:そうですね。あとEP全部通して美味しそうでした(笑)。
金子:「ポトフ」とか「シュガー」とかね(笑)。改めて紹介すると、1999年生まれ、兵庫県在住のシンガーソングライターで、昨年ファーストアルバム『帆風』という作品を配信でリリースしていて、それが7月にCD化されたばかり。そんな中で8月に新作EPのリリースということで、これも前にちらっと言ったと思うんですけど、ノスタルジックな雰囲気があって、カネコアヤノさんとかにも通じる雰囲気がありつつ、今のカネコアヤノさんがバンドでやってるのに対して、みらんさんはiPhoneのガレージバンドを使っていて。
MISATO:ねー、既存のアプリで。
金子:そのあたりは今っぽいというか。すごく凝ったトラックを作ってるというよりは、ちょっとチープな感じの打ち込みですけど、それがノスタルジックな感じを良い意味で新しくもしてるような感じがします。カネコアヤノさんにしても、最初から今のバンドと一緒にずっとやってきたわけではなくて、初期の頃は作風的にもいろいろ試行錯誤があって、その中で今のバンドメンバーと出会って、そこからより自分の作品の強度を高めていった、みたいな感じがあったので、みらんさんにしても多分今は試行錯誤中で、自分の作品というものを無邪気に楽しみつつも探してるみたいな時期なのかなと思って。みらんさんは元バレーボウイズのネギさんとコラボレーションをしていて、今回のEPにも2曲ギターで参加してるんですけど、今後みらんさんがバンドになるかどうかは別として、ネギさんみたいに一緒に作品を作ってくれる人との出会いから何か広がっていくものがきっとあると思うので、ここからがすごく楽しみなシンガーソングライターだなと思っております。
MISATO:Part 1はこれからが楽しみなアーティストさんたちがたくさんいますね。
金子:そうですね。
MISATO:みらんさん、このEP通して聴くと、その試行錯誤の中に彼女の名刺代わりとなるというか、こういうスタイルが得意なんだな、好きなんだなっていう好みもわかるようなEPになってますね。
金子:CDと配信が同時に出るんですけど、CDと配信で曲順が違うっていう試みも面白いなと。
MISATO:へー、面白いですね。
金子:曲順によって曲の印象が大きく変わったりするから。
MISATO:変わる! こだわりがそこにも詰まっているわけですね。ぜひ聴き比べてみてください。
New Release Digest Part 2
MISATO:8月16日週リリースの新譜ダイジェスト、Part 2でした。こちらもはじめましてさんがいらっしゃいます。谷口貴洋さん。
金子:彼は元andymoriの小山田壮平くんと一緒に Sparkling Recordsというレーベルを設立しているシンガーソングライターで、小山田くんの周りにはいいシンガーソングライターがいっぱいいるんですよね。一緒にバンドをやってる長澤知之くんとか、あと僕折坂悠太くんのことを初めて知ったのって、小山田くんと対バンしてるときだったりして。
MISATO:そうなんですね。
金子:そういう中で、この谷口さんも非常に個性的なシンガーソングライターで、FRIENDSHIP.からは初めてのリリースですけど、過去にも作品を色々とリリースしていて実績のある方なので、ぜひそちらも含めて聴いてもらいたいなと思っております。
MISATO:続いては、番組でご紹介するのは初になりますね、アンニュイ・ホリデイ。こちらもオヤマダさんですね。
金子:メンバーの名前がオヤマダさん(笑)。結成が2020年10月なので、本当に新しく始まった人たちで、リリースは昨年の11月以来とちょっと久しぶりなんですけれども、セルフライナーノーツが届いてまして、「以前からシティポップという括りで評価されまして、私たちとしてはその認識がなかったので...だったら夏!シティポップ!!ドライブBGM!!!なグッドミュージックを作ろう」ということで、完成したのが今回の曲だそうで。
MISATO:最高ですね!
金子:たしかにシティポップというよりは渋谷系の流れみたいなイメージを持ってました。
MISATO:一昔前は何でもかんでもシティポップの括りになっちゃってましたもんね。あれはすごくいたたまれない気持ちになることもあったんですけど。
金子:いろいろな解釈ができる言葉ですからね。
MISATO:広いですしね。もちろんシティポップ要素はあると思いますけど、それに「じゃあ、いいよ!のってく?」と言えるこの2人の、懐の広さと遊び心というか。
金子:その感じがいいですよね。で、実際にできあがってる曲は、それこそど真ん中なシティポップかというと、やっぱりそうじゃなくて、彼ららしい90年代感もあるし。
MISATO:いいなー。
金子:ちなみに、もうひとつコメントで、「私たちが思うシティポップの定義は、海には限りなく近づくけれど、絶対に入水はしないタイプの人が作る音楽」だそうです。
MISATO:あはははは。陸サーファーみたいなことよね?最高です。
金子:このひねくれた感じがありつつ、でも音楽は非常に良質で。良いですね、アンニュイ・ホリデイ。
MISATO:さあ、1曲どうしましょうか。
金子:もう1曲はcadodeいきましょうかね。cadodeもやっぱり良いですね。FRIENDSHIP.からリリースするのは「三行半」に続いて2曲目なんですけど、改めて紹介すると、ボーカルとプロデューサー、さらにはマネージャーとの3人組ユニットという。その時点で珍しいんですけれど、やっぱりebaさんの作るトラック、かっこいい。
MISATO:かっこいい!
金子:「三行半」を紹介したときは「米津玄師以降」みたいなことを言わせてもらったと思うけど、今回はよりオリジナリティを増していて、トラックの音数は少ないんだけど、ボーカルのミックスとかも含めてすごく気持ちいいし、メロや歌自体も良くて、非常に素晴らしいポップスになってると思いました。この番組で紹介してる人だと、アツキタケトモとかもそうですけど、J-POP的なんだけどトラックがすごく攻めてて、先鋭的な人たちがすごく増えていて、今週のリリースの中だとSyunMacuもそうですね。彼らも「新しいJ-POP」という言葉を掲げていて、今回「線香花火」という曲でしたけど、DAOKOの「打上花火」とかを思い出す、日本人の好きな情緒的な感じがあったりして、その感じはcadodeも持ってるんですよね。攻めたトラックメイクと叙情的なメロディーの組み合わせが「新しいJ-POP」を生み出しているなと、cadodeを聴いて思いましたね。
MISATO:ボーカルのkoshiくんにとっての虚無感が「あの夏」というワードになっているだけで、聴いてくださってる方にとってはその虚無感を得た瞬間が秋かもしれないし冬かもしれない。それぞれ置き換えて聴いて欲しい楽曲だなという風に感じました。なおかつ、虚無感というところがテーマなのに、さっき厚武さんがおっしゃったみたいに、ebaさんの今の音で作る前衛的なトラックによって、虚無感だけじゃなく、ちゃんとポップスに消化されているというか、あまり神格化されないところに落としてるっていうバランス感が絶妙ですね。
金子:ただ内省的なだけじゃなくて、ちゃんとポップミュージックとして聴けるというか。
MISATO:お盆を過ぎた時期にこの曲を聴くのもよきかなと思います。
金子:今週は夏を感じさせてくれる曲がたくさんありましたよね。
MISATO:いろいろな夏を教えてくれた感じがありましたね。ありがとうございます!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FM福岡で毎週月曜日から金曜日まで深夜にオンエアされる、福岡市・警固六角にある架空のマンションの一室を舞台に行われ、次世代クリエイターが様々な情報を発信するプログラム「ミッドナイト・マンション警固六角(けごむつかど)」。"303号室"(毎週水曜日の27:00~27:55)では、FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」をオンエア。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、MISATOと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。番組後半ではThe fin.のYuto Uchinoが月替りでゲストを迎え、深い音楽談義を繰り広げるコーナーを展開。
放送時間:毎週水曜日 27:00~27:55
放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
MISATO
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。
TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。
安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10
Yuto Uchino(The fin. Vocal / Synth / Guitar)
神戸出身、ロックバンドThe fin.のフロントマン、ソングライター。80~90年代のシンセポップ、シューゲイザーサウンドから、リアルタイムなUSインディーポップの影響や、チルウェーヴなどを経由したサウンドスケープは、ネット上で話題を呼び、日本のみならず海外からも問い合わせ殺到している。
The Last Shadow Puppets、MEW、CIRCA WAVESなどのツアーサポート、そしてUS、UK、アジアツアーを成功させるなど、新世代バンドの中心的存在となっている。
オフィシャルサイト / @_thefin / @yuto__the_fin
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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」FRIENDSHIP.