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2021.03.24
これは2021年の国産ジャズを代表する一枚になるのではないか。多忙を極めるドラマー・石若駿のプロジェクトAnswer to RememberやGentle Forest Jazz Bandに参加したトランペッター、佐瀬悠輔の初リーダー作『#1』は、実にブリリアントな傑作である。参加メンバーは海堀弘太pf、⼩⾦丸慧gt、新井和輝b、秋元修drという腕利きばかり。どこをどう切っても名演が溢れ出してくる。
佐瀬は冒頭からメリハリの効いたフレーズを豪快に吹きまくり、一方で叙情的なバラードにも柔軟に対応。JUJU、KID FRESINO、藤原さくら等のサポートで見せた適応能力の高さが本作でも発揮されている印象だ。
アンサンブル全体を俯瞰しつつ、「ここぞ!」というタイミングで斬りこんでくる佐瀬のソロは、エリック・ドルフィーのグループにおけるフレディ・ハバードやブッカー・リトルの向こうを張るかのよう。そのせいか本作、ビバップとフリーの裂け目から生まれたドルフィーの『アウト・トゥ・ランチ』(64年)と、時代も場所も超えてシンクロしたような趣もある。
そして、このバンドで最も強烈なプレゼンスを放っているのが、菊地成孔率いるDC/PRGにも参加するドラムの秋元修。動的なポリリズムを突き詰め、複数のビートやタイム感を同時に感じさせる彼のプレイは、間違えなく本作のハイライトのひとつだ。彼が生み出すグルーヴがバンドの推進力になっているのは明白で、本作のサウンドに立体感と奥行きをもたらしている。
ちなみにインターネットには、秋元がaikoの「カブトムシ」を聞きながら2拍7連7拍子を乗せてポリがけしたという動画がアップされている。これまた彼の異能ぶりを裏書きするのに充分な映像で興味深い。
それにしても、混沌としたフリー・ジャズが10分以上に渡って展開されるラスト・ナンバーの「LANDMARK」をリード・トラックにもってくるところがニクい。1曲目から5曲目までは緩急と抑揚を考え抜いた構成ながら、最後の最後にドシャメシャな曲で強烈なインパクトを残し、去ってゆく。口当たりが良くて後味も爽やか、なんて終り方はそもそも念頭になかったのだろう。その意気や良し、と賛辞を贈りたい。
文:土佐有明
佐瀬悠輔「#1」
2021年3月24日(水)
Format: Digital
Label: FRIENDSHIP
試聴はこちら
佐瀬悠輔「#1」アルバムCD販売サイトはこちら
FRIENDSHIP.
佐瀬は冒頭からメリハリの効いたフレーズを豪快に吹きまくり、一方で叙情的なバラードにも柔軟に対応。JUJU、KID FRESINO、藤原さくら等のサポートで見せた適応能力の高さが本作でも発揮されている印象だ。
アンサンブル全体を俯瞰しつつ、「ここぞ!」というタイミングで斬りこんでくる佐瀬のソロは、エリック・ドルフィーのグループにおけるフレディ・ハバードやブッカー・リトルの向こうを張るかのよう。そのせいか本作、ビバップとフリーの裂け目から生まれたドルフィーの『アウト・トゥ・ランチ』(64年)と、時代も場所も超えてシンクロしたような趣もある。
そして、このバンドで最も強烈なプレゼンスを放っているのが、菊地成孔率いるDC/PRGにも参加するドラムの秋元修。動的なポリリズムを突き詰め、複数のビートやタイム感を同時に感じさせる彼のプレイは、間違えなく本作のハイライトのひとつだ。彼が生み出すグルーヴがバンドの推進力になっているのは明白で、本作のサウンドに立体感と奥行きをもたらしている。
ちなみにインターネットには、秋元がaikoの「カブトムシ」を聞きながら2拍7連7拍子を乗せてポリがけしたという動画がアップされている。これまた彼の異能ぶりを裏書きするのに充分な映像で興味深い。
それにしても、混沌としたフリー・ジャズが10分以上に渡って展開されるラスト・ナンバーの「LANDMARK」をリード・トラックにもってくるところがニクい。1曲目から5曲目までは緩急と抑揚を考え抜いた構成ながら、最後の最後にドシャメシャな曲で強烈なインパクトを残し、去ってゆく。口当たりが良くて後味も爽やか、なんて終り方はそもそも念頭になかったのだろう。その意気や良し、と賛辞を贈りたい。
文:土佐有明
RELEASE INFORMATION
佐瀬悠輔「#1」
2021年3月24日(水)
Format: Digital
Label: FRIENDSHIP
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佐瀬悠輔 オフィシャルサイトFRIENDSHIP.