SENSA

2021.05.19

KOGREY DONUTS「NIKKI」──the band apart 木暮栄一の多才さを全開放するソロ・プロジェクト

KOGREY DONUTS「NIKKI」──the band apart 木暮栄一の多才さを全開放するソロ・プロジェクト

the band apartでは、ドラムのみならず、作詞作曲やアートワークを担い、近年ではバンド以外でもDJやリミックス、執筆などにおいて才能を発揮している木暮栄一の初のソロ・ワーク集。今作を聴けば、このような多岐にわたる活躍は、彼が常日頃いろいろな方向にアンテナを張り巡らせているから、そして彼の全ての大本にあるセンスがいいから、ということがわかると思う。それぐらい、木暮栄一そのものが、収録されている全8曲、つまり8つの方向から映し出されている。彼自身にとっても、"幽楽町ライン" "HKWDI City 2020"なんて、彼のローカルが伺える曲名からわかるように、今作はタイトルどおり『NIKKI』=日記のように作ったのだろう。このようにパーソナルでありながら、誰もが楽しめる、開かれたものになっているあたりからも、彼のキャラクターが見える。
イマっぽさとノスタルジア。ユーモアとシリアス。ポップな旨みとマニアックな毒々しさ。クラブに行きたくなるブレイクビーツがあるかと思いきや、ひとり部屋でぼんやり聴けるビートレス・トラックがある。......などなど、今作には相反するものたちが、まるっと収められている。これは、今作、というか彼自身が持つ裏表のない人間味の表れであり、すべてをまとめ上げるプロデューサー的な手腕の賜物でもあると思う。フルカワユタカが渋くギターを奏でる"Memory Lane"、村田シゲの才覚が光る"鎮守の森ミュージアム"など、盟友たちのここぞという一面を引き出すゲスト・ミュージシャン使いも秀逸。そこまでやってもらったんだから俺も......なんて思ったのかどうかはわからないけれど、最後に滋味深い自身初ヴォーカル曲"春夏秋冬"を収めているところも彼らしい。木暮栄一をバンドマンというだけではなく、アーティストと呼びたくなる、彩り豊かな一枚だ。

文:高橋美穂




RELEASE INFORMATION
木暮soloジャケ.jpg
KOGREY DONUTS「NIKKI」
2021年5月19日(水)
Format:CD / Digital
¥2,200(税込)

Track:
01. 幽楽町ライン
02. HKWDI City 2020
03. Madder
04. Memory Lane
05. きさらぎ団地
06. So Good 2020
07. 鎮守の森ミュージアム
08. 春夏秋冬

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LINK
オフィシャルサイト
@eiichi_kogrey

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