SENSA

2021.11.05

聴き手の心を惹き込む音楽「bokula.」

聴き手の心を惹き込む音楽「bokula.」

SENSAが注目するアーティストを紹介する「RECOMMEND」。広島市発ロックバンドbokula.を取り上げる。

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えい(Gt./Vo.)、かじ(Gt.)、さとぴー(Ba.)、ふじいしゅんすけさん(Dr.)からなる広島発のロックバンド・bokula.。2019年9月の活動開始から約2年間で、全国各地のライブイベントに多数出演するまでに勢いをつけている。今年4月にはLD&Kの新レーベル「STAY FREEEE!!!!!!!!」より初の全国流通盤「いつ失ってもいいように.」をリリースし、5月からは全国8会場を回るレーベルツアーに出演。更には、9月にリリースされた3rd EP「大人になる事.」を引っ提げ、11月から全国16箇所を回るツアーの開催が決定している。活発な活動で勢いに乗る今注目のバンドだ。

bokula.「ワンルームとふたり」





3rd EP「大人になる事.」に収録されたこの曲は、温もりのあるギターの音色と、切なさが香るえい(Gt./Vo.)の歌声が魅力的なラブソングだ。Music Videoでは、キャストに迎えられた木村魁希と石井紗那の自然な演技が楽曲の切なさとマッチしていて、無意識に惹き込まれてしまう。ふたりが別れるシーンから始まり、残されたワンルームで〈思い出を分別〉しようとする彼。その度に思い出すなんとなく似たような服を身に纏って手を繋いで歩いた道や、特に何をするでもなくワンルームで楽しそうに話す姿が、積み重ねてきたふたりの幸せを映し出していてやけに切ない。そして〈『忘れないで』はすれ違うのに〉や〈君からのSOSが散らかってた〉など、ふたりの間にできた距離感をほのめかす絶妙なワードセンスが、より一層リアルな世界観を引き出している。恋愛という括りを超え、人とのつながりや誰かが傍にいてくれる事の暖かさを感じさせてくれる楽曲だ。そしてそれが、消えそうな声でつぶやく最後のひとことに集約されているように思う。是非、Music Videoとあわせて聴いてもらいたい。

bokula.「この場所で.」





「ワンルームとふたり」と同じく、3rd EP「大人になる事.」に収録されたこの曲は、ライブに対して真正面から向き合って書き上げた曲とのこと。疾走感あるサウンドに勢いよく乗せられた歌詞は、ライブハウスを愛する人の心にグッと刺さる言葉ばかりだ。〈たった紙切れ一枚だけの出会いなんかで終わらせるつもりなんかない〉と彼らはライブに懸ける熱い想いを吐いている。だが、楽曲の歌詞はステージに立つ目線だけで語られているわけではなく、輝くアーティストをフロアで観て受け止める側の心情も描き出されているのだ。その両方がぶつかるような歌詞が、音楽がアーティストにとってもオーディエンスにとっても〈生きてく大きな理由〉になっていることを堂々と証明している。Music Videoでは、派手な照明の元で汗を流して歌い、力強く演奏する彼らの姿がある。誰もいないフロアが今のご時世を示唆させるが、一刻も早く〈誰もが違う目的や意味をもって/涙を流したり笑顔になる〉オーディエンスが満杯に溢れる世界が戻ってきてほしい。それまで彼らは"この場所で"待っていてくれるだろう。

bokula.「あの夜と.」





この楽曲について、えい(Vo/Gt.)は「亡くなってしまった彼と、一人ではどうしようもできない彼女の話」と述べている。だが、楽曲自体は非常にキャッチーなメロディーで勢いあるロックナンバーだ。歌詞の面でも〈あの夜と君はとても/おぼろげな星の様に美しかった〉という描写や、Music Videoで暖かい陽だまりの中で見せる彼女の優しい笑顔などから、悲観的ではなくむしろ前向きな印象さえ受ける。しかしよく見ると、ところどころでMusic Videoに映し出される言葉には、亡くなった彼を探しているような彼女の本音が見え隠れしているのだ。〈『最低ね』なんて言った事を思い出してしまうの〉というフレーズでも「今更後悔してる」という言葉が出てくる。そういった、サウンドや表情とは矛盾する言葉は、本当はどうしたら良いのかわからない彼女の葛藤や戸惑いを描いているようだ。そして〈この歌が終われば君を忘れられるから〉と気持ちにケリをつけようとする終盤の歌詞から、アウトロで一気にサウンドが増し、かじ(Gt.)のギターが痛烈に響く。非常にエモーショナルな展開で人間の強さと弱さの両面を絶妙に描いた、奥行きのある見事な作品だ。

bokula.というバンド名は「bokula.の音楽を聴いてくれている方たちも含めての"僕ら"でいたい。4人だけに固執しない」という意味をもってつけられたそうだ。その由来通り、彼らの音楽は聴いている人の心を惹き込む魅力がある。等身大で瑞々しい彼らのロックサウンドと、ワードセンスが光る歌詞の世界観は、これからも年代性別問わず多くの人に刺さるだろう。11月からのツアーや今後の活動にもより一層注目していきたい。

文:髙橋夏央

LIVE INFORMATION

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bokula.3ed E.P.「大人になる事.」release tour「セイテンノヘキレキツアー」
2021年11月12日(金)福岡県 Queblick
2021年11月13日(土)山口県 LIVE rise SHUNAN
2021年11月14日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2021年11月20日(土)島根県 アポロ
2021年11月26日(金)石川県 vanvanV4
2021年11月27日(土)新潟県 EARTH
2021年11月28日(日)宮城県 FLYING SON
2021年11月30日(火)茨城県 mito LIGHT HOUSE
2021年12月3日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
2021年12月5日(日)千葉県 千葉LOOK
2021年12月10日(金)京都府 KYOTO MUSE
2021年12月17日(金)東京都 CHELSEA HOTEL
2021年12月18日(土)静岡県 Shizuoka UMBER
2021年12月19日(日)愛知県 栄R.A.D.
2021年12月25日(土)大阪府 Shangri-La
2021年12月26日(日)広島県 ALMIGHTY

PROFILE

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bokula.
広島発4ピース、等身大ロックバンド。
2019年9月にVo.Gt えい、Gt. かじを中心に結成し、広島を拠点に 活動開始。
作詞作曲を手がける20歳のVo.Gtえいの真っ直ぐな歌声、誰もが共感できる日常を切り取った歌詞とキャッチーなメロディー、瑞々しいバンドサウンドとは裏腹に、叙情的なライブパフォーマンスで注目を集める。

LINK
オフィシャルサイト
@bokula_bandmate
@bokula_official

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