SENSA

2021.05.18

明日には何かが変わる。希望をあきらめないシティポップ「YONA YONA WEEKENDERS」

明日には何かが変わる。希望をあきらめないシティポップ「YONA YONA WEEKENDERS」

SENSAが注目するアーティストを紹介。今回のレコメンドは、4人組バンドのYONA YONA WEEKENDERS

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YONA YONA WEEKENDERS
「ツマミになるグッドミュージック」 を奏でるメロコア・パンク出身の4人組バンド。
2018年9月、自主制作盤『誰もいない sea』を会場限定で発売、2019年11月に初の全国流通盤1st EP『夜とアルバム』リリース。12月に表参道WALL&WALLで奇妙礼太郎を招いたリリースパーティをソールドアウト。以降、DÉ DÉ MOUSE、YonYon、松田chabe岳二らをDJに招いた深夜自主企画「BUREIKOcheers. 01」を開催したほか、フェスにも多数出演。2020年には「君とdrive」がHONDA CARS TV CMに抜擢。2021年4月7日(ヨナの日)にビクターエンターテインメント内スピードスターレコーズからメジャー1stシングル『いい夢』をリリースした。

バンドに取材をするときに、「どんな音楽に影響を受けているか?」と聞くことがある。その意図は、具体的なルーツを聞くことで、そのバンドが鳴らす音を読み手が想像しやすくなること、逆にそのバンドをすでに好きな人に対しては、興味のあるバンドのルーツを遡ることで、受け継がれる音楽の面白さを知ってほしいということ、など。様々な狙いがある。ただ、YONA YONA WEEKENDERSほど、この質問が直接的に意味を成しづらいバンドは珍しいかもしれない。いまでこそ「ツマミになるグッドミュージック」を掲げ、70~80年代のシティポップを正当に受け継ぐ彼らだが、メンバー各々の前身はパンクバンド。一度はバンドを辞めたボーカルの磯野くん(Vo/Gt)が社会人経験を経て、再び組んだYONA YONA WEEKENDERSで、より「歌」が伝わる音楽のかたちとして選んだのがシティポップだったという。

YONA YONA WEEKENDERS「明るい未来」


そんな磯野くんの経歴がダイレクトに投影されているのが、2017年に発表された初期曲「明るい未来」だ。タイトルからは前途洋々とした曲を想像するが、そのお洒落でグルーヴィーなサウンドで歌われるのは、月曜の訪れに溜め息をつき、時代遅れの上司に悪態をつく、サラリーマンの哀愁のようなもの。「明るい未来」なんて到底信じられない日々のなかで、それでも捨て切れない明日へのわずかな、ほんのわずかな希望がこの歌には漂っている。そして、それがその後のYONA YONA WEEKENDERSの音楽の基本姿勢になっていくようにも思う。爽やかなAOR風サウンドで〈明日はきっと明るいね〉と歌う「SUNRISE」(2nd EP『街を泳いで』収録)も、夜が香るスローテンポなダンスナンバーに〈新しい朝に 光放つ様に歌おう〉とバンドの意志を託す「唄が歩く時」(3rd EP『唄が歩く時』)も、通底するのは、たとえドン底みたいな今日でも、明日には何かが変わっているかもしれないという、あきらめきれない希望。YONA YONA WEEKENDERSの誇張のない未来の描き方に人間らしい温度がある。

YONA YONA WEEKENDERS「いい夢」


スタイリッシュな都会のムード。アーバンなドライブミュージックの装い。活動初期こそ、そういったシティポップのかたちをオーソドックスに踏襲していたように見えたYONA YONA WEEKENDERSだが、作品を重ねるごとに各メンバーの個性が発揮されるようになり、幅広いサウンドアプローチを獲得していった。曲が醸し出すムードも、夜から昼へ、都会から街へ、幻想から日常へと、次々に変容していく。4月7日にリリースされた彼らのメジャー1stシングル「いい夢」は、そんなふうにCDデビューから3年経て、格段に自由度が高まり、バンド感が強まったいまのYONA YONA WEEKENDERSを感じられる1曲だろう。徹底して、ギター、ベース、ドラムという4人の楽器だけで作り上げるグルーヴ。随所に織り込んだ各パートのソロプレイ。それらが美しく機能する陽性のサウンドにのせた歌詞に綴るのは、止まっていた時間が動き出し、間もなく旅立とうという胎動の気配とでも言おうか。それは決意と呼ぶほど確固たるものはない、わずかな予兆。YONA YONA WEEKENDERSはそういう、誰もがなんとなく身に覚えのある気分を的確に音楽で切り取ってくれるバンドだと思う。

YONA YONA WEEKENDERS「誰もいないsea」


というわけで、今回はYONA YONA WEEKENDERSについて書いてみたが、最後に彼らの音楽の特徴のひとつである中毒性の高さについて触れておきたい。バンド始動直後に大きな話題になった「誰もいないsea」に顕著だが、磯野くんが手がける歌詞はとにかく語感が気持ちいい。ゆるいビートにのせて、サビで"BUREIKO"=無礼講を繰り返す「BUREIKO」(『夜とアルバム』収録)には妙な酩酊感があるし、英語と日本語を交えて韻を踏む「Lonely Times」(『唄が歩く時』収録)の淀みなく流れる言葉選びもハイセンスだ。グルーヴィーな曲ほど日本語をのせるのは難しいと言うが、むしろそれを味方にして、メロディと言葉を運命の恋人同士のように引き合わせるのがYONA YONA WEEKENDERSの歌。その高い中毒性からは逃れがたい。


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オフィシャルサイト
@yyw_from_tyo
@yonayonaweekenders
Official YouTube Channel

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