SENSA

2021.02.07

違和感に共鳴する歌「anewhite」

違和感に共鳴する歌「anewhite」

今回のレコメンドは、「anewhite」(アンホワイト)です。

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東京を中心に活動する20歳のVo.佐藤佑樹、Gt.河田一真、Ba.日原大吾、Dr.鈴木優真からなる4ピースギターロックバンド。佐藤佑樹(Vo/Gt)の繊細で儚い声と情景が浮かぶ文学的な歌詞、切なく美しく力強いメロディで唯一無二の世界をつくり出す。
2020年7月22日に1st EP『NACHTMUSIK』をリリースし、本作でタワレコメンに選出。さらに、2020年12月23日に1st Digital Single『群像劇にはいらない』をリリースした。

「氷菓」





"嫌い"という感情は、ときに"好き"よりも、強烈に人間のアイデンティティを映し出すことがあるように思います。どういう人間が嫌いか、何に嫌悪感を抱くか、どんなときに自分嫌いの感情に陥るのか。anewhiteの音楽を聴いたとき、なぜか素通りできない力に惹きつけられました。その理由はなぜか。それは、どんな人にもある"嫌い"という負の感情を、とても愛おしい人間の姿として描くところに強烈な親しみを感じたからかもしれません。たとえば、「氷菓」。タバコというモチーフを軸にしながら、その"悪い行為"に惹かれる自分、汚れた大人になることへの葛藤。そういった感情が絶妙な言葉選びによって紡がれ、ざわりと心をなでてくるようです。「嫌いな花」もそう。自分のなかで"綺麗な花"だったものが、周囲の雑音や見方によって、"嫌いな花"になっていく。心に宿る苦い違和感を、愚痴や恨みごとではなく、歌として昇華させるところに、ソングライティングを手がける佐藤佑樹のセンスを感じます。

「群像劇にはいらない」





そういう意味で、最新曲「群像劇にはいらない」は、anewhiteらしい、"何に違和感を抱くのか"という思考を根底に置いたナンバー。群像劇とは、複数の登場人物によって進行していく小説や演劇のスタイルのこと。ポップミュージックの世界では、「誰もが人生という映画の主人公」だとか、「人生は"あなた"が主役のドラマ」だとか、いろいろな表現で、人生を物語に例える表現があります。でも、anewhiteが歌うのは、群像劇には要らない、入らないものについて。

この曲について、佐藤はTwitterで以下のようなコメントを載せています。

仮に、自分がこの地球が描く群像劇の主人公の一人だとして、"その役割は何なのか。好きなように生きているようで自由に縛られる。それで果たして幸せなのか。"そういったことを、いまこそ問わなければならない、とでも言うような性急なバンドサウンドにのせながら、最後は、<自分勝手にただいて欲しい>というフレーズへとつないでいきます。曲中には、<あなたを大切にする為の我儘でいて欲しい>という歌詞も出てきます。その群像劇のなかでは、逃げてもいいし、みっともなくてもいい。妥協をするときもあるでしょう。でも、誰かの予定調和に支配されてはいけない。「群像劇にはいらない」という曲は、自分自身の価値を大切にすることを、anewhiteにしかできない表現で伝える曲なのだと思います。



というわけで、今回はanewhiteの楽曲から感じる危うさ、ヒリヒリとした焦燥を、"違和感"というキーワードを軸に紹介しました。ちなみに、彼らが昨年7月にリリースした1st EP『NACHTMUSIK』は、夜に抱く悶々とした感情を全6曲で表現した1枚。「氷菓」とリンクするようなラブソング「カヤ」や、目の前にあるハードルを乗り越えるための別ルートに気づかせてくれる「ナハトムジーク」など、聴くたびに新たな発見がある作品です。anewhiteに関するライブやリリース情報の詳細は、オフィシャルサイトやSNSをチェックしてみてください。


LINK
Eggs anewhiteページ
@anewhite_044

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