SENSA

2021.01.05

洗練と泥臭さを抱えたロックバンド「CAT ATE HOTDOGS」

洗練と泥臭さを抱えたロックバンド「CAT ATE HOTDOGS」

今回のレコメンドは、「CAT ATE HOTDOGS」です。

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CAT ATE HOTDOGS
関西を中心に活動中の4ピースロックバンド。2018年春より結成、活動を開始し、関西最大の十代才能発掘プロジェクト"十代白書"2019年度グランプリを受賞。その後、2019年6月 1st E.P『タイムカプセル』12月 2nd E.P『マジック』を発売する。東名阪を含め幅広くライブ活動を展開しながら、見放題、ネコフェス等の大型フェスイベントにも出演するなど、精力的に活動している。2020年9月16日(水)、初の全国流通盤となる 1st mini album『omanju』を発売する。

「kikanju」





キャットエイトの大きな特徴は2つ。まず、楽器隊全員の個性がぶつかり合いながら作りあげる中毒性の高いバンドサウンド。「普通ならこういくよね」というラインを、あえてハズしてくる予想外の展開と捻くれたアレンジはインスト曲のような聴き応えもあります。特に、最新ミニアルバム『omanju』で辿り着いた、オシャレなコードをロックに聴かせるアプローチは、とあるインタビュー記事で「メンバー全員共通してアルカラが好き」という発言を読んで納得しました。そのタイトルの通り、機関銃のような怒涛の攻め感に淡い洗練が溶け合う「kikanju」には、このバンドの個性が光ります。

「ヤドカリ」





もう1つの特徴は、ひこ(Vo/Gt)の直球で泥臭いボーカル。小細工なしにリスナーの心へと飛び込んでいくような歌唱がとても痛快。それでいて、歌われる歌詞がとても繊細。クレジットでは、"宮本秀彦"名義で全曲の作詞を手がけるひこの歌詞は、ときに切ない「さよなら」を歌い、ときに心のなかに抱える爆発しそうな衝動を独特の言葉遣いで描き上げます。なかでも、最新アルバム『omanju』に収録されている「ヤドカリ」は、そんなひこの歌の魅力が引き立つナンバー。曲調自体はポップでスタイリッシュなのに、"何をやってもダメな僕には 衣食住も簡単じゃなくて"という情けない歌い出し。二日酔いの頭で、"奴隷の想いも知らないで"と愚痴りながら、それでも未来を諦められない心境が妙にリアルです。



Music Videoになっている2曲だけでなく、最新アルバム『omanju』の楽曲は曲者ぞろい。複雑に絡み合う演奏にのせて、簡単には前に進めない"もがき"をありのままにぶつけた「群青」。軽やかに跳ねるリズムのなかで偽りのない想いを歌おうと、ロマンチックに綴った「マイクロフォン」。バンドのレンジの広さを感じさせる楽曲が並ぶなか、個人的なおすすめは、鋭利でスリリングなギターを軸に、次第に混沌が加速するカオティックなナンバー「Heart beat」。"サビがないとか何? パンチが弱い? センスとは何?"と、Siriに答えを求める皮肉な歌詞には、あいまいな正論や正義に対するイラ立ちが滲みます。そして、この曲に「Heart beat」=心臓の鼓動というタイトルをつけたところが絶妙。答えのない問いにウダウダすること。結局、それが生きるってことだよね。そんな作り手の想いを受け取れる、いいタイトルだなと思います。というか、最新作の"おまんじゅう"もそうですが、このバンドのタイトルセンスは妙な遊び心があるのも好きです。「ヤドカリ」とか、「大富豪」とか。



というわけで、今回は一筋縄ではいかない大阪のバンド、CAT ATE HOTDOGSについて紹介しました。ぜひ聴いてほしいのは、最新の彼らを感じられる最新アルバム『omanju』ですが、個人的には、1st EP『タイムカプセル』に収録されている「Time Capsule In Space」という曲が好きです。重たいグルーヴと歪みを湛えながら疾走する楽曲は、現在のキャットエイトに通じる片鱗も感じさせつつ、バンドの初期衝動が滲むナンバー。広大な宇宙に想いを馳せながら、"あの日"の大切な想いを未来へと託していくという歌詞は、忘れかけていた大切なものを思い出させてくれる気がします。

CAT ATE HOTDOGSに関するライブやリリース情報の詳細は、オフィシャルサイトやSNSをチェックしてみてください。


LINK
オフィシャルサイト
@CatAteHotdogs
@catatehotdogs
Official YouTube Channel

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