SENSA

2019.06.02

些細なズレが美しい。「毛玉」

些細なズレが美しい。「毛玉」

今回のレコメンドは、「毛玉」です。
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毛玉
2012年結成。メンバーは、黒澤勇人(Vo & Gt)、深田篤史 (Gt)、岸真由子(key & cho)、石黒健一(Ba)、露木達也(Dr)、上野翔(Gt、休止中)。不定期に開催している自主企画「毛玉の毛玉」では、これまでに、空気公団、スカート、入江陽、OK?NO!!、may.e、吉田ヨウヘイgroup、ex.たま/パスカルズの石川浩司氏らが出演。


毛玉「まちのあかり feat. その他の短編ズ」






夕暮れ時の、住宅街の哀愁帯びた匂いが感じられる一曲。この曲は、今年の1月にリリースした3rdアルバム「まちのあかり」に収録されており、ガールズデュオ "その他の短編ズ" が参加しています。
少しルーズなリズムを刻んだドラムから、しっとりとしたグルーヴが生み出され、そこにストンッと心に入ってくるような落ち着いた歌声。透き通っているけれどスモーキーな "その他の短編ズ" のユニゾンがとても心地よく、この曲が公開されてからよく聴いていました。終盤に繰り出される詩の朗読のような黒澤さんのラップから、引っ越した新しい街の情景が浮かんできます。

毛玉「帰り道」






2014年に発売された1stアルバム「新しい生活」に収録されており、学生時代の放課後や下校途中のどこか切ない空気を包んだ世界観が素敵な一曲。
ゆったりとしたサウンドと変化の少ない曲展開やコード進行で、より一層歌詞が心に残ります。終盤、"春はたった一度のこと" という言葉が繰り返し歌われ、学生時代の限られた時間が儚く尊いものだったということを感じさせられます。最後にギターの音が、歌と同じメロディーで重なり合いアウトロへと向かっていく展開が、また素晴らしい。

毛玉「暗夜行路」






毛玉「雨降りの午後に珈琲を」






こちらも3rdアルバム「まちのあかり」に収録されている『暗夜行路』と『雨降りの午後に珈琲を』。
『暗夜行路』は、軽快なリズムやホーンから、突如間奏でかき鳴らされる不協和音のギターが印象的。言葉と音楽で雨の情景を表現した『雨降りの午後に珈琲を』は、ギターリフやサビ前の特徴的なベースが、良い違和感を残しています。
毛玉のサウンドは、どの曲も心に寄り添ってくれるような"日常"の世界観を持ちつつ、突拍子もない難解なリズムやギターリフで不穏さを感じさせ、実験的なメロディーにヒリッと非現実感が入り込む。また歌詞においても、何気ない日常を独自の観点で描いており、その些細なズレが、文学的で美しい。ささやかな歌声も相まって、一聴すると脱力感のある心地よいポップスだと感じますが、節々に先鋭的な箇所が垣間見え、そこにとても惹かれてしまいます。


6月30日(日)に、渋谷セブンスフロアにてレコ発第二弾ライブ『毛玉の毛玉 11 「まちのあかり」リリースパーティー2』を開催!気になった方は、是非チェックしてみてください。




@kedama_band
毛玉 / Kedama

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