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2025.12.14

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!優河・Nolzy・saccharinほか全27作品 -2025.12.13-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!優河・Nolzy・saccharinほか全27作品 -2025.12.13-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:12月8日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全27作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはチーナ、1年ぶりですね 。



金子:「無人島に何を持っていくか」というタイトルで、セルフライナーノーツを読むと、"この歌詞は友達の家でダラダラ飲みながら喋っているようなテンションで(でもそういうときの方が本当に言いたいことを言えてる感じをもって)書きました"ということで。確かに、友達と何気なしに「無人島に何か1個持っていくなら何にする?」っていう話をするような、ラフな感じがあって、無人島の話をしていたかと思ったら、急にかりんとうの話になってみたり、急に真面目に「これから日本どうなっていくんだろうね?」みたいな話になったり、この感覚がまさにセルフライナーノーツの言葉通り。チーナらしいバイオリンを活かしたアンサンブルにこの歌詞が乗るという、他では聴いたことのない仕上がりになっていて、面白かったですね。

みさと:まさに「あるよね!」という空気感が、今の令和の空気感と一緒だなと思っていて。やっぱり今の時代は要約とか見出しが求められる時代じゃないですか。だからこそ、パワーワードである「無人島に何を持っていくか」だけで"聴いてみよう"からもっと深い話になっていく、その満足感が1曲の中に込められているという点が今の時代にもすごくフィットしていて、たくさん聴かれる可能性がまた広がったんじゃないかなとも思います。続いて、シヴァネコ



金子:復活したんですよね。

みさと:そういうことなのね。

金子:一度活動終了していて、その後、山内街子名義でソロ活動もしてましたけど、今年に入ってシヴァネコとして再始動。シヴァネコ好きだったので、嬉しいですね。なおかつ、再始動したら結構サウンドが変わった曲になっていて、これまではいわゆるシティポップ以降みたいな印象があったりもしたけど、今回はデジタルなビートを使った曲で。シャムキャッツから夏目くんがソロになって、Summer Eyeになって割とデジタルになった感じも思い出したし、2000年代のくるりとかSUPERCARがエレクトロニックミュージックに接近した感じを、ハイパーポップ以降の感覚でやった、みたいな感じもして。シヴァネコらしさと現代性とどっちも入っていて、再始動に相応しい一曲でした。

みさと:だから活動休止ってすごくいいですよね。解散してしまうと、戻って来られないけど、1回ちょっとお休みしようよというのは、長い活動の中でココロ的には積極的に取ってもいいんじゃないかなと思う、いい例かなと思います。こうやって戻って来られたことによって、一度区切りをつけたから新しいサウンドにもきっと挑戦できたでしょうし、だけど培ってきたものはなくならない安心感も曲の中で感じられたので、ここから無理ないスピードでやってほしいなと思ってます。そんなPart-1からどうしましょう。

金子優河さんの新曲を紹介しようと思います。



みさと:素晴らしいEPですね。

金子:FRIENDSHIP.からはちょっとひさしぶりのリリース。今回はお馴染みの魔法バンドとではなくて、単身渡米して録音された作品と。参加しているのがポストロックの代名詞的なTortoiseのメンバーであり、ソロではジャズやアンビエントの分野でも高く評価されているギタリストのJeff Parker。そして、ドラマー・パーカッショニストとして、Elton Johnだったり、Aimee Mann、Suzanne Vega、最近だとSharon Van Ettenの作品にも参加しているJay Bellerose。この2人が参加した作品になっていると。

みさと:とんでもないですね(笑)。

金子:LAを拠点に活動しているミュージシャンのYohei Shikanoさんとの出会いをきっかけに、今回のレコーディングが実現したそうなんですけど、Yohei Shikanoさんは神谷洵平さんと仲が良かったりして、神谷さんは魔法バンドのメンバーなので、多分そういうところからの繋がりかなと思うんですけど、素晴らしい作品に結実していましたね。Yohei Shikanoさんも含めたこの4人でほぼほぼ作り上げているので、すごく親密な作品なんですけど、だからこそ演奏の良さ、そして何より優河さんの歌の良さが引き出されている、素晴らしい作品になっていたかなと思います。

みさと:アンビエントサウンドって、インストでも完成するからこそ、歌い手を最も選ぶものだろうなと私個人的に感じていて。その点、優河さんがいないと完成しないと思わされるこのEPは名盤だなと思いますし、リードの曲に関しては、人間として生まれてきたからこその感情と、生きてるからできる優しさで生まれた曲だなとセルフライナーノーツなどを読ませてもらって感じています。曲作りのテーマから曲作りにあたってのエピソードまでが全て繋がっている、奇跡のようで必然でできた作品なので、ぜひそのエッセンスを感じていただければと思います。

New Release Digest Part 2


みさと:Part-2をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。しろつめ備忘録、EPです。



金子:新進気鋭のレーベル「Oaiko」からリリースのしろつめ備忘録なんですけど、「くるり、羊文学に影響を受け、枠に捉われないオルタナティブサウンドを軸としながらポップな曲調で独自の世界観を創りだす」とプロフィールにあるように、まさにそんな世界観の楽曲を作り出しているなと。前は4人だったんですけど、今年ギターが抜けて3人になったこともあって、アレンジ自体は比較的シンプルで、歌を前に出したような方向性がありつつ、シンセを取り入れた曲もあって、今後はシンセとか、フィールドレコーディングも使って、よりサウンドプロダクションを突き詰めていきたいみたいなので、変化の時期を閉じ込めた作品という印象を受けました。

みさと:ルーツもしっかり見えてくるけど、今のきらめきみたいなものがリード曲にすごく表れていて。きらめきだけじゃない、その裏側にある切なさだったり、儚さみたいなものって対比するものがあるとより際立つなと。言葉の面白さ、サウンドで表現がどこまでできるか追求した作品だと感じ取れるような仕上がりだったかなと思います。EP通して、聴いてみてください。続いて、DURDN



金子:Part-1のチーナは無人島をテーマにしていたわけですけど、DURDNは人生の最後に訪れる記憶のレストランをテーマにした曲で、それぞれ視点が面白いですよね。

みさと:いいなぁ〜。ドラマ主題歌みたいだよね。

金子:本当にこういうドラマがありそうですよね。人生の最後に訪れるレストランでこれまでの記憶を振り返りつつ、未完成でもそれは決して悪いことではなくて、むしろ未完成のまま終わるからこそ美しいのではないかという気持ちを表現しているというところも面白い。サウンド感も結構リヴァーブが効いていて、記憶の残像が浮かぶような音作りになっていたり、トータルで完成度の高い一曲だなと思いました。

みさと:歌詞と世界観にフィーチャーしたからこそ、ストーリーテラー感というか、R&Bに本当にフィットするようなパッケージ力はいつも「お見事だな」と思って聴かせてもらっていて。最後の終わりが未完成の人生という形で終わっていくんですけど、人生が続いているからこそ、この曲に出会えていると思うし、未完成だからこそ、未来に対して希望が感じられると思うので、すごくいい終わり方だなと思いました。"未完成"と言うと、諦めや絶望というワードもよぎるかもしれないけど、そうじゃない未完成の形に出会える一曲かなと思っています。

金子:次への始まりも感じさせる終わり方になってましたね。

みさと:素晴らしいですね。そんなPart-2からどうしましょう。

金子Nolzyの新曲を紹介しようと思います。

みさと:アルバムおめでとう!



金子:ベストアルバムをリリースということですね。FRIENDSHIP.からまたリリースしてくれるようになったり、環境が変わったこともあって、これまでを凝縮したベストアルバム。曲順は「この5年で一度もアルバムを出していなかった自分が2025年に初めてオリジナルアルバムをリリースするなら」という仮定で組んだと。実際にはアルバムを出してきてるんだけど、出してなかったらと仮定して、曲順を改めて考えているので、ベストアルバムだけどオリジナルアルバムみたいな意味合いもある。新曲の「Romantic Dancer」は最後に収録されていて、セルフライナーノーツを読むと、"数秒でスワイプして判断し、判断される時代の中で、インプレッションを稼ぐための即時的なコンテンツが溢れ、言葉も態度も速さを求められる。そんな状況に対して、少し時間の流れを緩めたり、解像度を意図的に下げて、見えない部分へ想像力を働かせるような心の余白を取り戻したい。そんな願いを込めて制作しました"とのこと。「Romantic Dancer」という曲タイトルだけを聞くと、ダンサブルなBPMの速い曲と思うかもしれないけど、むしろゆったりとしたミドルバラードで、こういった意図が込められているからこそのこのテンポ感。こういうアイデアがあっての曲作りというのもNolzyくんらしいなと思いました。

みさと:本当ですね。時代に迎合した作品も作れる器用なタイプだとは思うんですけど、それをあえてせず、自分がどんなアーティストで、どんな姿勢でいたいのかを考えて、貫いているのが本当にかっこいいと思うし、だからこそ、「この5年間で一度もアルバムを出してなかった自分が初めてオリジナルアルバムをリリースするなら」という仮定を組んでみたり、自分の中での心の余白を取り戻すというのは、アイデア次第でどうとでも次のターン、ステージに行けるということを模索しながら、実験の中で手繰り寄せているのがNolzyくんらしいなと思っています。それこそがロマンティックなことだなとも思っていて、自分の芸術性を失わないこと、それって突き詰めていくとロマンティックですね。

金子:ベストアルバムって記憶を辿るレストランみたいですよね(笑)。

みさと:まさにね!ここでも繋がってしまった。みなさんぜひ通して聴いてほしい。

New Release Digest Part 3


みさと:Part-3をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはミクロ菩薩、EPです。

金子:彼らは仙台を拠点に活動するバンドで、プロフィールを読むと"the cabsや宇宙コンビニ、UNISON SQUARE GARDENなどを音楽性の原点としつつ、エモやポストハードコアの要素を取り入れた歌ものを作る"ということで、まさにこのプロフィールを感じさせる曲作り。今年はthe cabsが再結成をして盛り上がったということもあるので、こういう作品は今求められていると思うし、実際に複雑なリズム、拍子、展開の面白さと、そこにポップな歌が乗るという個性もちゃんとあるので、今聴かれるべきEPだなと思います。



みさと:「閏月」に関しては、"自分と周囲の人間の関わりの中で、どのように進んでいけば良いのだろうという悩みの歌"という風にセルフライナーノーツをいただいていて、まさに変拍子とか、突飛な展開が時の流れに抗っているようで、言葉にならない思いも音で表現できているなと。そこにどんな言葉が乗っているのか、じっくり聴いてほしいなと思います。続いて、さらば帝国



金子:さらば帝国は今年フジロックの「ROOKIE A GO-GO」に出て、ボーカルの前田さんが新島村出身というのも話題のバンドだったりしますけど、今回の曲もかっこよかったですね。エネルギーの放出が最大の特徴ということで、まさにそれを表すような曲。3ピースということもあって、andymori的な疾走感とサンボマスター的ないい意味での暑苦しさがあり、そこに前田さんのハスキーな歌声も加わって、全てが合わさることでエネルギーが放出される、そんな強さを感じさせる曲でしたね。

みさと:これだけのエネルギー放出を受けると、自分も引っ張り出されるというか。自分の中にこんな感情とか熱さとか暑苦しさってあったんだと。自分の力では取り出せないものも磁石のように引き寄せられていく感じがして、やっぱりこういうバンドがいてくれなきゃ困るんだよねと思いました。本当に気持ちがいいというか、でもその気持ちよさというのが優しさだけではなくて、エネルギーを出すためにはいろんな感情と色々な経験の中で生まれるよなと、悲喜交々、感情の大爆発を味わえる作品かと思います。そんなPart-3からどうしましょう?

金子saccharinの新曲を紹介しようと思います。



みさと:アルバムリリースおめでとうございます!

金子:ついにアルバムですね。タイトルがずばり『大往生』と。

みさと:っぽいよね(笑)!

金子:っぽいですよね。saccharinはいろんな形で死生観を描いてきたので、すごく相応しいタイトルだと思います。死生観というとちょっと重苦しい感じもするけど、"母親がスナックを営み、歓楽街の匂いを纏いながら育ち、人間のあり様を無差別に歌ってきた"という作品紹介もあるように、スナックとか歓楽街的な明るさ、賑やかさと、その一方での死生観、人生の重さみたいなものが同居してるというのが、やっぱりsaccharinらしいなと。タイトル曲の「大往生」に関しても、死生観を歌ってはいるけど、サウンド感はむしろ軽めなロックサウンドになっていて、このバランスがsaccharinだなと改めて思わされました。

みさと:そこにも彼の人柄がすごく表れているなと思っていて。大変なことも笑い飛ばすわけじゃないけど、しっかり受け止めながら前に進む強さというか、懐の広さを彼自身が持ち合わせていると思っていて、それがすごくサウンドと言葉、全体的な作品に滲み出ているなと思いました。でもそれこそが人生というか。世界観として死生観をテーマに歌い続けてきた理由がここにも隠されているなと思っていて、ブルースとか歌謡曲は死生観にとてもフィットするし、彼の歌声や表現方法にも本当によくマッチしていて、複雑に絡み合って、悲しさだけではない、哀愁と憎めない男だったりとか。人生って一言では言い表せないということをよくここまでパッケージングしてきたなと。素晴らしい楽曲が揃ったんじゃないかなと思います。来年ワンマンライブがあるみたいなので、ぜひそちらにも足を運んでいただきたい。しかも場所が浅草なんですよ。最高ですよね〜。ちょっと観に行きたいなと思ってます。

番組の後半はYuto Uchino(The fin.)がゲストで登場!





RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3

1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

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FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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