【読むラジオ】MC:黒川侑司(ユアネス) 「平和」をテーマに選曲!「Room H」-2025.12.10-
RADIO
2025.12.07
FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Blume popo・志摩陽立・Foiほか全16作品 -2025.12.6-
New Release Digest Part 1
みさと:12月1日週にFRIENDSHIP.からリリースされた新譜、全16作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。今週はいつもに比べてちょっと少ないので、じっくりお話していこうかなと思います。Shimon Hoshinoさん関連3曲まとまってましたね。
金子:Part-1はShimonさん関連含めて、lo-fi系のトラックメーカー、リリースのぺースが速い人たちがまとまっていたなと。Shimonさんに関しては、11月にアルバムが出ていて、それが結構聴かれていたりもするんですけど、毎週のようにリリースがあるとはいえ、少しずつ変化があったりして。atticで言うと、もともとピアノとチェロのプロジェクトとして始まっていたと思うんですけど、最近はピアノが軸になった楽曲を作っていたり、hario islandは最近だと漢字タイトルシリーズになっていたり。毎週のように楽曲が出ていても、少しずつ変化が感じられて面白いなと思います。
みさと:同じ人が作っているけど、名義によって違ったアウトプットになっていて、しっかり差別化できているのが素晴らしいなと思います。hario islandに関してはオリエンタルな音階で、まさに"夢現"という幽玄感がすごく出ていたし、atticは空気の冷たさや部屋の中の温もりというすごく微妙な変化も味わえるような作品になっていて、lo-fiビートのチルという一言では表現できないような、小さな変化を表現していました。Shimonさん、素晴らしいですね。
金子:逆にというか、Naomi Enoと一服trackに関しては、lo-fi系ではあるけれども、ボーカルが乗っているスタイル。
みさと:これまた良かったですね。
金子:特に一服trackに関してはボーカルものが珍しいので、こういうアウトプットもあるんだなと。一服trackはネオソウルで、Naomi Enoはボサノバっぽかったり、それぞれの色もちゃんと出ていて、改めて注目して聴くとやっぱり面白いなと思います。
みさと:lo-fiビートが持つ心地よさが5作でもそれぞれ違うのが面白いですよね。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:Blume popoの新曲を紹介しようと思います。
みさと:アルバムです。待ってました!最高です。
金子:2025年は最後までずっと言っていこうと思いますけど、今年はやっぱり「オルタナ」と「女性ボーカル」がキーワードになっていて。で、前にも少し話したと思うんですけど、特にきのこ帝国の影響を受けたバンドが多いイメージがあって、Blume popoからもそれを感じるは感じるんだけど、Blume popoはシューゲイザーというよりは、ポストロックの影響が大きいかなと。アルペジオが印象的な曲があったり、エレクトロニックで、ポストプロダクションが面白い曲があったり、ピアノを使った曲があったり、サウンド的に幅が広いし、「ポストポップス」という言葉を使っているぐらいなので、いわゆるロック的なエモーショナルな曲だけじゃなくて、アイドルとかボカロとか、今のポップス的な要素も入ってる。一言で「オルタナ」とは言っても、他のバンドとは一線を画す、特異な存在感を持ったバンドだなと、アルバムを通して聴くことで改めて感じました。
みさと:"obscure"というのが"曖昧"という意味で、今回のアルバムの核となるテーマになっていますけど、だからこそギターが好き、サウンドの雰囲気が好き、声が好き、単語の選び方が好きとか、どの切り口からでもBlume popoにたどり着けるような、そんな作品になっていたと思うし、それぞれの点となっているものが、じわっと交じり合いながら円になって、曖昧な中でも一つのパッケージにする能力、Blume popoの才能をひしひしと感じました。形や言葉では表現できないような、そんな作品にはなっているけど、1つ言うなら「これがBlume popoだね」と、そんな作品になったと思うので、まだ出会ってない方はこのアルバムを聴き込んでいただけると良いと思います。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。こちらにもlo-fiです。Wataru Fujiwara。
金子:Wataru FujiwaraもPart-1に仲間入りさせてあげても良かったですよね(笑)。
みさと:あはは(笑)。今週はlo-fiが多かったんだなと感じますよね。いつもありがとうございます。
金子:Wataru FujiwaraさんもWAZGOGG名義含め、本当に速いペースで作品を届けてくれてますけど、今回はタイトルが「Viola」、花のスミレとかを意味しますよね。一輪の花、そして、この雨の音。冬の雨の冷たいシーンとした雰囲気で、Wataru Fujiwaraらしい自然の美しさも感じさせるような、今の時期に聴くlo-fiビートとして非常にぴったりな一曲になっていました。
みさと:花たちが冷たい雨に打たれていても、鮮やかさは失わずに倒れることなく、ちょっと揺れながら...みたいなところまで目に浮かんでくるサウンド感というのは「流石だなぁ」と。花と雨、そしてそのときの空気感まで伝わってくるような、香り立つような一曲だったかなと思います。素晴らしいです。続いて、打って変わってMassage Attack、アルバムリリースです。
金子:Massage Attackはミュージックビデオが話題を呼んだ中でアルバムが完成したわけですけど、ロックンロールバンドとしてのMassage Attackをこれでもかと打ち出していて。今回の曲もピアノの跳ねた感じが気持ちよくて、前にTHE HIGH-LOWSの名前を出したりしましたけど、今回資料には忌野清志郎さんの名前が上がっていたり、やはりロックンロールバンドであることを強く打ち出していました。トレンドな音ではないかもしれないけど、最近は暴動クラブとかYAPOOLとか、ロックンロールな新しいバンドもどんどん出てきたりしているので、こういう音がもしかしたら盛り上がるかもと、そんな可能性も感じさせてくれるようなアルバムかなと思います。
みさと:歳を重ねてきた大人たちの、あのときの少年心や気持ちを代弁してくれてるような、勝手に「頼むよ、君たち売れてくれ!」と自分の夢を重ねちゃうようなバンドがこうやってアルバムをリリースして、あれだけのYouTubeの再生回数があるって、夢があるなと。「音楽業界、捨てたもんじゃないな」みたいな気持ちになっちゃう。オリジナリティはありつつも、ルーツがしっかり見えて、突き抜けた気持ちよさがすごくある。「ツイスト踏んだことないけど、踏めたな」みたいな(笑)。時代を超えて愛されていく曲、アルバムじゃないかなと思います。ぜひ聴いてほしいです。そんなPart-2からどうしましょう。
金子:志摩陽立さんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:志摩さん、本当に才能豊か。
金子:今回の曲は11月にリリースされた、猪爪東風さん(ayU tokiO)のレーベル「COMPLEX」のコンピレーションに収録されていた曲のコンプリートバージョン、決定稿バージョンと。コンピレーションの方はカセットMTRで作るというコンセプトで、ゆうらん船の内村イタルくんやThiiird Placeも参加していたりして。で、今回の曲に関してはライブでのバンドメンバーが録音に参加しているのが特徴になっていて、だからこそ、いつもに比べると、文字通りバンド感が強めで、ビートが効いていて、グルーヴがあって。もちろんメロの良さとかは今回も素晴らしいんだけど、録音物としてバンド感がすごくあるというのは、今までの志摩さんの曲とはまた違う色が出てるなと思います。
みさと:生バンド感が際立っていたのもあって、私はその生バンドを率いたミュージカルの挿入歌みたいな感じで捉えて聴きました。世界観の彩り方とか、ファンタジーなんだけど日常の延長線上にあるストーリー。今回は「かつての恋人との再会から始まるノスタルジーと未練の物語」という風に一文いただいていて、すごくバンドも音も華やかなんだけど、華やかさだけではない心の機微まで表現していて、舞台で心象を吐露しながら歌う役者さんの顔まで浮かんできた、そんな一曲でした。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。こちらもアルバムです。Jr.alcohol。
金子:彼らは盛岡を拠点に活動しているバンドですけど、今回が1stフルアルバムのリリース。結成が2013年なので、長い時間をかけて、ついにアルバムができたと。ドリームポップ、パワーポップ、エモのかっこいいサウンドを鳴らしていて、こういうバンドが盛岡を拠点に活動することで、ローカルを盛り上げているんだろうなと。ちなみに9月にフィジカルが先行で出ていて、今回配信されるという流れなんですけど、フィジカルを先に出すというのは、現場を大事にしていて、そこに来てくれる人にまず届けたかったんだろうなと想像できますよね。ローカルだったり、ライブハウスだったり、そういうところを大事にしていることが伝わってくる作品なので、多くの人に聴いてほしいです。
みさと:人柄が見えると、"この歌詞の一文ってこういうことかな?"と読み解きやすくなってくるし、そういう姿勢を持って、地元でずっとやっているんだろうなというのがサウンドからも伝わってきました。優しさと温もりと、煌びやかな中に彼らが愛してきた地元、現場みたいなところも感じられるので、とっても心が熱くなる、そんな一枚になっていたかなと思います。とにかくアルペジオがめちゃくちゃ美しい、だけど熱さもある、そんなアルバム、ぜひ聴いてみてください。続いて、Nabi。
金子:Nabiはこれが2曲目のリリース。10月に「ロストダンス」という曲が出てるんですけど、そのときはNabiとしての初リリースだったから、あんまり詳細が見えてない段階だったんですよね。なので改めて紹介すると、Young KeeとTomoya Hagiwaraの2人によるバンドプロジェクトみたいで、アー写では2人が並んでて、Young Keeはおさげで、可愛くもあり、かっこよくもあり、結構印象的だったので、ぜひ見てほしいです。曲自体は今回も非常にポップで、これは見つかるべきところでちゃんと見つかれば、一気に広がるような曲だと思います。やはりベーシストのTomoya Hagiwaraさんがいるので、グルーヴ感がNabiの色になっていて、2曲目にして作風が確立されつつあるんじゃないかと感じました。
みさと:この曲は本当にいいですね。
金子:耳に残りますよね。
みさと:耳に残るし、令和の関係値、人間関係をすごく表現してる曲だなと思っていて、相手との共依存的なヒリヒリ感というか、この先2人でいても闇落ちしていくのがわかってはいるけど、そこからあえて抜け出さないような、そんな関係値をすごく表現していて、わかってはいるけど、この恋をやめられないっていう経験をしている人、してきた人には本当に刺さると思います。大人の世界だからこそのセクシーさがベースラインからも感じられて、これは沼りそうな曲、バンドではないでしょうか。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:Foiさんの新曲を紹介しようと思います。ちなみにNabiのTomoya Hagiwaraさんは、Foiさんの楽曲にも参加してるっぽくて。
みさと:え!そうなの。
金子:新曲に参加してるかはわからないんだけど、関係値は結構あるみたいなので、一緒に聴いてほしいなとも思いつつ、今回の曲は「Calling」というタイトルで、深夜の電話越しに交わされる甘くも切ない恋の瞬間を描いた都会的なラブソングと。やっぱりベースが印象的で、グルーヴィーで、それに乗るFoiさんの透明感のある声がすごくいい。で、電話が題材なので、着信音で始まって、終了音で終わるという構成になっているんですけど、ちょっと前にRADWIMPSのトリビュートアルバムが出て、「携帯電話」をDISH//がカバーしていて。元のバージョンは発信音で始まるんですけど、今回のDISH//のカバーバージョンが、"ブルル"とバイブが鳴って、受けるところから始まるという。
みさと:めっちゃいい〜。
金子:なおかつ、(DISH//の)北村匠海くんは中学生のときに「携帯電話」のMVに出てたんですよ。
みさと:うわ〜、伏線大回収ですね。
金子:電話を題材にした曲って、着信音を入れたりすることでストーリーを想像させる、みたいなことがやりやすいから、「Calling」もこの着信音と終了音があることで、聴き手それぞれがストーリーを立ち上げられるんじゃないかなと思います。
みさと:今回の終了音って、携帯の音じゃなくて"ガチャ"というじゃないですか。それはあえて使っているんだろうなと思っていて、電話といえば...なスタンダードなSEを使うことによって、どの世代にもハマる。「過去にこんな恋したなぁ」と遠い目になるような人たちも、あのときの淡い自分の恋物語を想像できるし、今の若い世代が聴いても、もちろん電話だってことはちゃんと伝わる。その表現力がディープな世界ではありながらも、実は間口の広さも兼ね備えているというところで、素晴らしいアイデアだったと思います。
番組の後半はYuto Uchino(The fin.)がゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10




