森山公稀(odol)× Ryu(Ryu Matsuyama)対談――「中心がない集団」オドリュウが繰り広げる新たな実験とは?"宇宙"での意気投合から顔を突き合わせたレコーディング秘話まで語る
INTERVIEW
2026.08.03
【MAP OF FRIENDSHIP.】Vol.08 FRIENDSHIP.的Jリーグ座談会─宇宙まお×染谷西郷(FUNKIST)×アサノケンジ(TENDOUJI)

─まずはそれぞれクラブと関わるようになったきっかけから教えてください。
宇宙:東京のフードフェスでライブをしたときに、出展されてたお店の中に茨城から来られてる方がいらっしゃって。その方から「茨城のサッカーチームで試合前にステージで歌う時間があるから、そこに出させてもらえるかも」という話を聞いて、繋いでいただいたのが最初のきっかけです。で、実際にそこで歌わせてもらえることになったので、せっかくだから応援ソングを勝手に書いて(笑)。それが「無限の力」という曲なんですけど、そこからのお付き合いですね。
─現在は「公式応援ソングアーティスト」に任命されているわけですが、最初は勝手に作ったところから始まってるんですね。以前はサッカーにどの程度関心がありましたか?
宇宙:全然見てなかったです。
アサノ:ワールドカップとかもですか?
宇宙:ワールドカップも「やってたら友達とみんなで見よう」みたいなノリで、以前はスポーツ自体と全然関わりがない感じだったんですけど、水戸ホーリーホックをきっかけにサッカーを見るようになりました。でも正直今年のワールドカップまで代表戦はそんなに見てなかったんですよ。ホーリーホックはずっとJ2だったので、代表ともあまり縁がなかったので(笑)。でも、J1に上がったことによって、代表がより近い存在になったので、今は楽しんで見てますね。
─ラジオ番組(「宇宙まおのいばらきは宇宙だ!vamosホーリーホック」)もやられてますね。
宇宙:2018年に茨城放送で始まったんですけど、もともとサッカー番組ではなかったんです。最初はサッカーの話題も取り上げつつ、地元のお店を紹介したり、地元の情報をお届けする番組でした。でもやっぱりホーリーホックのサポーターさんがいっぱい聴いてるから、そっちの情報を多くしようということで、今はもう完全にホーリーホック応援番組としてやらせてもらってます。
─FUNKISTはいかがですか?
染谷:2013年にV・ファーレンがJ2に昇格した年に、長崎のラジオパーソナリティの友達が「行かない?」って言ってくれて、もともと自分でもサッカーをやってたり、ずっとサッカー好きだったので、見に行かせてもらって、そのときにフロントの人を紹介してもらいました。で、「今度スタジアムで歌ってみれば?」と言ってもらったので、そのときに勝手に応援歌を作って(笑)。
─FUNKISTもまおさんも、最初は勝手に作ってるんだ(笑)。
染谷:ただまおさんと違って僕らの曲は2013年に初めてスタジアムで演奏してから、かなり時間が経ってチャントになっていったんです。2017年にV・ファーレンがすごく調子が良くて、「これはJ1昇格できるかも」っていう初めてのタイミングで、経営に問題が発覚して、優勝してもJ1上がれないかもっていう状況になって。それで「応援しても意味ねえじゃん」って、サポーターが来なくなっちゃって、選手もモチベーションを失って、連敗していたときに、残ったサポーターの人がもう一回チームを盛り上げる方法は何かないか?と探していた中で、4年前にスタジアムで勝手に作った応援歌を歌うバンドのYouTubeを見つけ、「この曲を応援で使おうぜ」って、それで「V-ROAD」を使ってくれるようになって。そうしたら、ジャパネットが赤字を補填してくれて、勝ったらちゃんとJ1に行けることになって、そこから13試合連続負け無しで、初めてJ1に昇格したんです。だから「V-ROAD」を作ったのは2013年なんですけど、リリースは2017年なんですよ。何年も前に1回だけライブでやった曲をサポーターの人が歌ってくれるようになって、「じゃあちゃんとレコーディングしよう」ってなったんです。
─ドラマチックなJ1昇格の記憶と「V-ROAD」が結びついて、長く愛される曲になったと。でもまおさんとは違って「公式応援ソング」ではないそうですね。
染谷:「ONE FLAG」っていうさだまさしさんが作詞作曲した曲が公式応援ソングとしてあって、「V-ROAD」はサポーターズソングなんです。チームから依頼をもらって作った曲じゃなくて、サポーターの人たちがチャントとして使ってくれている曲なので。でもそれがすごくいいなと思って、サポーターズソングであることに誇りを持ってます。

─TENDOUJIはいかがですか?
アサノ:俺の場合は地元が柏市の隣の松戸市で、昔からサッカーもやってたので、自然にレイソルのファンになったんですけど、自分の中でレイソルの好きな時期が一期と二期に分かれてて。中学生ぐらいまではしょっちゅうスタジアムに行って、応援してたんですけど、高校からちょっと離れて、サッカー自体をあんまり見なくなってたんです。でも2018年のロシアワールドカップをきっかけにまたサッカー熱が復活してきて、「そういえば、レイソル今どうなってる?」ってなって、そこからまた見始めるようになって。で、2021年に当時の事務所の方が「レイソルとコラボグッズ作ったらいいんじゃない?」と言ってくれて、「前段がないと無理じゃない?」と思いながらも、企画を出したら通っちゃって。それでビブスやタオルマフラーを作ったんですけど、「キャプテン翼」とレイソルとTENDOUJIのトリプルネームのTシャツも作らせてもらったんですよ。
染谷:えー、めっちゃずるい!
アサノ:あとレイソルのサポーターの中にインディバンドを好きな方がたくさんいて、自分の友達のバンドの曲もチャントで使われてたりするんです。その流れもあって、今日ユニフォームを着てるんですけど、当時在籍してた武藤選手のチャントにうちの曲(「Killing Heads」)を使ってもらってました。あとは、やっぱりレイソルサポーターって熱いので、コラボグッズが出たときに柏でライブをやったら、10人ぐらい引き連れて来てくれたんですよ。そのときに今日着た法被とかもいただいて、それからゴール裏に行くようになって、一緒に応援したり。で、去年くらいから毎試合ごとにイベントをやるようになって、その一環でライブもやらせてもらいました。
─そのときはスタジアム横のイベント広場で、まだスタジアムの中ではライブをやってないんですよね。
アサノ:そうなんです。なので、スタジアムでライブをすることは一個の夢ですね。
─Jリーグは地域密着が基本ですが、東京出身のまおさんや染谷さんが水戸や長崎を応援しているのも面白いですね。
宇宙:私は水戸が地元ではない分、ハードルが結構高いというか、「こっちからちゃんと応援してる気持ちを示さないといけない」みたいなことは思います。
染谷:サポーターの人は匂いがわかりますよね。「仕事としてやってます」なのか「本当に愛してる」なのか。そこがぬるいと結局バレる気がします。
宇宙:私はもともと東京で応援してるチームがあったわけでもないし、東京の人は比較的他のエリアのチームを応援しやすい気がして。例えば、栃木の人が茨城のチームを応援するのはなかなか特殊な気がするけど、東京出身でホーム意識が薄いし、しかもそんなにサッカーを見てなかった分、他の地域でも入りやすかった面はあるかなって。

─染谷さんも「長崎出身じゃない俺たちで大丈夫かな?」と思ったりもしました?
染谷:いまだにV・ファーレンのサポーターは僕らが長崎出身だと思ってる人が多いと思うので、それに関してはもう否定したくないというか、そういう事実でいたい(笑)。ただ僕らは東京出身ではあるんですけど、20年以上ずっと8月9日に、平和の日に長崎に通って、おじいちゃんおばあちゃんにお話を聞いて、ライブをしてっていうのをやってきていたので、もともと長崎は自分らにとってすごく大事な場所だったんです。サッカー関係なく、ずっと長崎に通っていて、長崎が大好きなバンドだっていうのをみんな知ってくれてたから、受け入れてもらえたのもあるかもしれない。
─TENDOUJIにとって柏はほぼ地元だから、関わるようになるのは自然だったわけですよね。
アサノ:うちのメンバーはみんなサッカー部出身で、地元も一緒で、みんなレイソルが好きで、でも僕らみたいなインディバンドで、サッカーサッカー言ってるバンドって、それまであんまりいないイメージがあって。なので、最初から「サッカー取りたいよね」っていうのはあったんです。
─「サッカー好きなバンドといえばTENDOUJI」みたいな。
アサノ:そうそう(笑)。さっきも言ってたように、急にどこかのチームを応援し始めても、やっぱりバレるじゃないですか。でも俺らはもう最初から「好き」が備わってたので、めっちゃやりやすいし、動きやすかったです。
染谷:単純にサッカーをやってた人間にとって、スタジアムでサポーターの人が自分らの曲をチャントで歌ってるって...。
アサノ:やばいっすよね。震えますよ。
染谷:俺それだけで毎回泣きそうになるんですよ。サッカー選手になったのと同等ぐらい、夢が叶った感ありますよね。
アサノ:だから武藤選手が移籍したときは「マジかよ!」と思いましたもん(笑)。
─レイソル関係なく、サッカーをモチーフにした曲もありますよね。
アサノ:「HATTRICK」っていう、最初から最後までずっとサッカーのことしか言ってない曲があります(笑)。
染谷:俺らもサッカーの曲めちゃくちゃある(笑)。それでいうと、まおさんは最初に曲を書いた時点ではサッカーのことをよく知らなかったわけじゃないですか。そのときはサッカーの勉強をして曲を作ったんですか?
宇宙:いや、今からサッカーの勉強をしても絶対に付け焼き刃になると思ったので、水戸のことを書こうと思いました。まあ、東京出身なので最初は水戸のこともあんまり知らなかったんですけど(笑)、でも先にクラブスタッフの方とお会いする機会があったので、そこで色々と聞いて、どういうことを入れたらいいかを相談して。で、水戸のことをいろいろ調べて、水戸らしいものを入れたり、あとはもう自分に実感があることを書くしかないので、音楽活動と絡めたストーリーというか、自分も音楽を頑張る立場で...。
染谷:応援してもらうこともあるし。
宇宙:上を目指す部分もあるし、精神性しか自分には歌えないなと思ったので、そういうところで書いた感じですね。そもそも私は水戸ホーリーホックのために宇宙まおを続けようと思ったぐらいなんですよ。コロナのときに30歳になって、一回音楽をやめようと思った時期があって。実際就活も始めてたんですけど、やっぱりなかなか上手くはいかないし、「なんか違うな」と思ってたときに、クラブから「来年もまた引き続きよろしくお願いします」と言っていただいて。「まだ求められてるなら頑張ろう」と思って、それなら宇宙まおを続けようと思えたので、本当に引っ張ってもらってる感じです。何かあると水戸ホーリーホックが声をかけてくれたり、J1に上がったり(笑)、そういうことに励まされて、私はそれについていってる感覚なんです。
─水戸ホーリーホックがなければ、今の宇宙まおもない。
宇宙:そうですね。プレーのこととかは今もわからないことが多いんですけど、精神性の部分はすごく近いというか、ずっとJ2 にいて、予算がすごく少ないチームだっていうのも見てきて、それを自分の姿とも重ねて、「こういうふうに頑張ればいいんだ」とか「こういうふうにやっていくと上手くいくんだ」とか、いろいろ教えてもらいました。
─まおさんは2020年に事務所から独立していて、自主で活動をする自分と、J2で頑張って、J1を目指してきた水戸の姿に重なる部分があったと。一時期は事務所に所属していたことがあって、今はそこから独立しているのはTENDOUJIとFUNKISTも同じですよね。
アサノ:これは悪口に捉えないでほしいですけど、レイソルはめっちゃインディっぽいんですよ(笑)。

─確かに、柏のスタジアムのコートと客席の近さはライブハウス感あるかも(笑)。
アサノ:レイソルをスタジアムで応援しながら独立したので、チームに勇気づけられた部分もありますね。
宇宙:ホーリーホックもちょっとベンチャーっぽいというか、スタートアップ企業みたいな柔軟性を感じることがありますね。経営陣が一回ガラッと変わったときがあって、「新しいクラブ作りをはじめよう」という雰囲気が出てきて、これまでやってきたことも大事にしながらも「ここからどう変わっていくんだろう?」っていうのを見るのもすごく面白かったですね。
─長崎も経営危機がありながら、それを乗り越えてきた。その中で「V-ROAD」はずっと愛されてきたわけで、FUNKISTの活動にも大きな影響がありますよね。
染谷:そうですね。2022年にギターが怪我をして、指を折っちゃったんです。ヨシロウっていう、中学校からずっと一緒の幼馴染で、ギターをずっと弾いてきたやつが、初めてギターを長期間弾けなくなって、残りのメンバーで活動を続けてたときは精神的に結構しんどかったんです。指を折ってるから、また元のようにギターを弾けるかもわからないですからね。でもそんな中で、V・ファーレンのスタジアムに残りのメンバーでライブをしに行ったときに、サポーターが横断幕をバーって広げてくれて、そこに「俺たち長崎はヨシロウの帰りを待っている」って書いてあって。
アサノ:やばいっすね!
染谷:で、「V-ROAD」をみんなで歌ってくれて、俺もすごく励まされたし、その動画を撮ってすぐにヨシロウに送ったんです。今は復帰して活動してるけど、「あれがなかったら心が折れてたかもしれない」と言ってました。で、ヨシロウが復帰して、「V-ROAD」のMVを撮るのが最初の活動になったんです。それをスタジアムで撮ったときに、サポーターの人がヨシロウにコールをして、それから「V-ROAD」を歌ってくれて、メンバー3人で泣いて。バンドどうこうよりも、もっと深い何かをもらった気がして、それは一生かけてみなさんに返そうと思いました。

─めちゃめちゃいい話。
染谷:あとはさっき独立の話がありましたけど、 V・ファーレンをスタジアムで見てた子が、その後に創成館高校の野球部に入って、その高校が甲子園に出たときに、応援に「V-ROAD」を使ってくれたんです。そこから広がって、今は仙台育英とか山梨学院とか、みんな甲子園で「V-ROAD」をやるようになって。僕らも今は自分たちでレーベルをやってるんですけど、プロモーションについていろいろ考えても、行き詰まるときがあるじゃないですか。でも人を介して音楽が伝わって、夏の甲子園でも「V-ROAD」が流れるようになって、もしかしたら俺らが死んだ後も、誰が作った曲かは知らないけど残るかもしれないとすると、音楽ってすげえなと思ったし、そういう曲が一曲書けたなら、俺の音楽人生は全部報われたんじゃないかっていう気持ちにもなったりして。
─甲子園にも、高校サッカーにも広がってるし、FUNKISTのことを知らなくても、自然に歌ったり演奏してる人がたくさんいるわけですよね。
染谷:まあ、もちろんFUNKISTの名前も知っては欲しいですけど(笑)、みんなが口ずさめる曲を作ることができて、しかもそこに狙いやプロモーションが一切なく、人の心だけを介在してそうなったことで、改めて音楽を信じられたというか、音楽ってやっぱすげえなと感じました。
アサノ:今の世の中でめっちゃ稀有な状態ですよね。今はみんなが「いかにこの曲をバズらせるか」でやってるじゃないですか。そうじゃなくて、純粋に「好き」が重なっていったのは、すごいことですよね。
─「You'll Never Walk Alone」みたいになってるってことですもんね。まおさんは昨シーズン「葵い革命」という曲を作られてて、ちょうど昇格するかしないかのタイミングだったと思うんですけど、あれが5曲目の応援ソングだったんですよね。
宇宙:はい、そうなんです。
アサノ:えー、すげえ!
─定期的にクラブから「作ってくれませんか?」みたいな連絡が来るんですか?
宇宙:いや、クラブではなくて、サポーターさんが言ってくれるんですよ。「今すごく大事なタイミングだから、まおちゃん作りなよ」とか言ってくれて、「じゃあ、頑張ります!」みたいな感じで作ることも結構あります。
─「葵い革命」もそういう感じ?
宇宙:そうですね。でも去年のシーズンが始まったばっかりのときは、誰も昇格するつもりがなかったんですよ(笑)。「とにかく降格を免れなきゃいけない、我慢の一年だ」っていう感じで始まったんですけど、ずっと勝ってるときがあって、「このままだとJ1行っちゃう」ってなったときに、「J1行きを後押しする曲を書いた方がいいよ」みたいな感じで、サポーターさんが言ってくれて、「確かに、今この瞬間をサポーターさんと共有できる曲を作った方がいいな」と思って、それで作ったんです。なので、完成は本当にギリギリになっちゃって、それこそ最後の長崎との戦い、最後から二試合目ぐらいのタイミングでできたので、「後押し」という感じではなかったんですけど、みなさんの一年の記憶と曲がリンクするようなものになればいいなって。
─クラウドファンディングをして曲を作ったんですよね。
宇宙:そう、クラファンでサポーターのみなさんに支援をしてもらって作った曲なんです。確か5月ぐらいに「作りなよ」って言われて、急いで準備をして、夏ぐらいにクラファンを始めて、秋ぐらいに終わって、11月に曲が出たのかな。かなり急ピッチで作ったんですけど、それもサポーターさんが後押ししてくれたからやった感じですね。
─最終節で長崎を抜いて優勝したんですよね。
宇宙:最終節の一個前に長崎のホームゲームがあって、そこで優勝を決められるかもしれなかったから、長崎まで行ったんですけど、その日は負けちゃったんですよ。
染谷:俺らその日の試合前にスタジアムで歌いました。


─去年のJ2は水戸と長崎のデッドヒートでしたよね。
染谷:長崎のサポーターってめちゃくちゃできた人たちなんですよ。俺はよこしまな人間だから、直接対決じゃないときに、コールリーダーの人に「今日水戸が負けて長崎が勝ったら逆転しますね」みたいな話をするんだけど、乗ってきてくれたことがないんです。「僕らは長崎を応援したくてここにいるから、他のチームが負けることを願いたくないです」って。長崎はブーイングがあんまりないチームで、足を引っ張るんじゃなくて、応援するためにスタジアムに来る。別にブーイングするチームが悪いとかじゃなくて、それぞれのカルチャーだと思うんですけど、そこも長崎の好きなところです。
─長崎は平和を大事にしていて、今は本拠地の名前もピーススタジアムだし、そこが色になってるんですね。
宇宙:試合が終わった後に、スタジアム外のフードコートで水戸サポのみなさんと飲んでたら、長崎サポの方が来て、「あっちで一緒に飲みましょう!」とか言ってくれて、「そんなのっていいんだ!」と思って。サポーター同士はバチバチだから、殴られたりするのかなと思ったら(笑)、「ビールどうぞ!」とか言ってくださって。
染谷:長崎は昔からずっとそのカルチャーですね。
宇宙:百年構想リーグでは西と東で違うリーグだったから、長崎を応援してました(笑)。
─で、プレーオフが長崎対水戸になって、今度は長崎が勝ったっていうのもすごいストーリーでしたよね。柏レイソルサポに対してはどんな印象ですか?
アサノ:激しいですよ(笑)。でもだいぶ収まったっすけどね。俺らが小中学校のときとか、ほんと怖かったですもん。試合開始と同時にポップコーンを空に撒いて、近くのやつが「鳥の餌撒いてんじゃねえ!」って、試合開始と同時に喧嘩になる、みたいな。

─僕は浦和サポなので、他チームのことを悪くは言えません(笑)。
染谷:でもそれも熱量とか愛情の表れですもんね。
アサノ:巻き込まれるのも楽しいですよ(笑)。
染谷:そのカルチャーの違いが面白いですよね。
─FUNKISTは今年の5月に長崎の稲佐山公園野外ステージで「V-ROAD PARADE」という1万人規模の無料ライブを成功させました。それもV・ファーレンとの繋がりがあったからこそ踏み切れたのかなって。
染谷:そうですね。平和についてとか、大事なことをいっぱい教えてくれた長崎のおじいちゃんおばあちゃんたちが年齢を重ねてきて、もらったものをちゃんと次に渡さないとなと思ったときに、無料で、1万人キャパでやれれば、たくさんの子供たちも来れるし、預かったものを手渡せるなって。長崎でその規模でやれるのかは不安でしたけど、でもスタジアムに来てたサポーターのみなさんが応援してくれたらきっと大丈夫だと思って、それで踏み切れたところはありますね。あとは「野外フェスに出たい」っていう、バンドを始めた頃からの夢を最初に叶えてくれたのが2009年の長崎の「Sky Jamboree」というフェスだったんです。なので、それと同じ会場で、今度は自分たちの単独でっていう、それがFUNKISTの物語として大事だったんです。
─そこではクラブと一緒に何かをしたわけではない?
染谷:クラブとではないんですけど、サポーターのみなさんに来ていただいて、ライブが始まる前にコールをしてもらいました。僕らは2011年にフルート担当のメンバーだった春日井陽子が他界してるんですけど、彼女と最後に立ったフェスも「Sky Jamboree」だったんです。それを汲んでくれて、最初にサポーターが「V-ROAD」を演奏した後に、一人ずつメンバーのコールをしてくれて、最後にリーダーの人が「ここは長崎で一番空に近い場所です」って言って、「空の春日井陽子に」って、コールをしてくれて。それは僕らも聞いてなかったし、来てくれたファンの人も、ライブ始まる前に号泣して。あとは吹奏楽の野球の応援の子たちにも来てもらって、サポーターと吹奏楽で一緒に「V-ROAD」をやってもらって始まったので、それもめちゃくちゃ良かったです。


─TENDOUJIは来年2月に日本武道館での単独公演が決まっていて、武道館を埋めるとなると、レイソルとの繋がりも含めて、これまでやってきたことの総動員になりそうですね。
アサノ:そうですね。だからこれまでTENDOUJIの歴史の中で関わってきた人たちともう一回手を組むっていうのを今やっていて。まだレイソルにまでは届いてないんですけど、松戸市の市長のところには行って、今月(7月)松戸の町のお祭りに出ることは決まっていて。
染谷:スタジアムでライブやりたいですね。
アサノ:やりたいですね。本当はファン感(謝祭)とかに出たいんですけど。
染谷:僕ら「V-ROAD」のMVを撮るときに、どうせだったらチームとサポーターと撮りたいと思ったんです。そんなこといきなり俺らが言っても聞いてくれないよなと思いつつ、チームに長文のメールを送ったら、ちょうどトラスタ(トランスコスモススタジアム)からピースタ(ピーススタジアム)に変わるタイミングだったから、「最後にトラスタで、ファン感の日に撮りましょう」ということになって。ファンの人もいるし、選手もいるし、そこでMVを撮影させてもらったのはすごくスペシャルでした。
─「葵い革命」もMVをスタジアムで撮られてますよね。
宇宙:撮りました。ケーズデンキスタジアム水戸で撮ったんですけど、そこはクラブのものではなく、水戸市のものなので、水戸市の方に「どうぞ」と言っていただいて、撮ることができたんです。そのスタジアムとは一旦お別れというか、次のリーグからは別のスタジアム(水戸信用金庫スタジアム)に移っちゃうんですけど。
─クラブだけでなく、自治体とのつながりも強くなってる?
宇宙:そうですね。もちろん水戸ホーリーホックとのつながりが中心ではあるんですけど、そこから派生して、映画祭をやってる方々と繋がって、映画の上映会に参加させてもらうことで、ホーリーホックのサポーターさんもそこに遊びに来たり。そうやって別ジャンルのイベントにサポーターさんを呼ぶっていう流れのときに、自分がゲストで出させてもらう、みたいなことも増えました。私はもともとサッカーファンから始まっていないので、同じように今はまだサッカーに興味がない人たちに、サッカーを広める役かなって。全然関係ないところに出て行って、「ホーリーホックっていうクラブがあって、私も全然知らないところから入ったけど、こんなにハマりました」みたいな感じで、いろんな人を呼び込むことがしていけたらいいなって。

─TENDOUJIも松戸市とは結構やりとりをしてるわけですよね。
アサノ:今は多いですね。お祭りに出るのもそうだし、松戸の協力してくれた店舗でしか買えない武道館のチケットを置いたり。あとは松戸市役所にポスターを送りつけて(笑)、「どこにでも貼ってください!」みたいな。でも今日お二人の話を聞いてて、俺はちょっとサポ寄りすぎるなって思いました。「今年優勝できそうだから曲書いてよ」とかサポーターに言われたら、「いや、そんなことしてる場合じゃねえだろ!」ってなっちゃいそう(笑)。
─でもそこを思い切って、お二人のように勝手に応援ソングを書いちゃうのもアリなのかも。
染谷:めっちゃいいと思います。それだけ愛があったら、「柏レイソルの曲書きました!」でYouTubeにバンって上げちゃっても、サポーターの人はきっと喜ぶと思いますけどね。
アサノ:シーズンの成績次第で変わっちゃう部分もありますよね。降格争いしてるときに、「レイソルの曲書きました!」って言われても微妙だろうし、曲を書いて、大事な試合に負けたりしたら、叩かれそうだなとか考えちゃう(笑)。
染谷:でも聴いてみたいですけどね。子供のときからずっと好きなクラブの曲を。
アサノ:まあ、サポーターって結局優しいですもんね。やればみんな応援してくれるとは思うんですけど。
宇宙:応援してるファンはみんなファミリーみたいな感じありますもんね。

─8月7日に新シーズンが開幕しますが、各クラブへの期待はいかがですか?
染谷:せっかくJ1に上がったのに、僕は今関東に住んでるので、百年構想リーグのときはずっと来てくれなかったんですよ。でもやっと来てくれるので、「アウェイ戦は俺に任せろ!」みたいな気持ちはありますね(笑)。
─水戸はどうですか?
宇宙:とにかく、まずは落ちないように。
染谷:昇格組はそこですよね。百年構想リーグもね、なかなか結果を出せなかったし。
─レッズも含めて、4チームとも真ん中より下でしたよね(笑)。
宇宙:クラブとしてはJ1に残留することで、「鹿島だけじゃないぞ」っていうのを知ってほしくて。茨城県には鹿島という圧倒的な王者がいるわけですけど、鹿島だけじゃなくて、水戸も応援してもらえるようになれば、いろんなところがお金を出してくれて、スタジアムも新しく建てられるかもしれないし。
染谷:水戸のお母さんみたい(笑)。
宇宙:でもとにかく次は残留。降格しないように頑張ってもらいたいです。
─柏はどうですか?
染谷:去年は優勝争いしてましたよね。
アサノ:だからもうほんと...楽しいチームですよ(笑)。その前のシーズンは降格争いして、急に2位になって、百年構想に入ったらまた下がって。で、次のシーズンは去年の2位が効いて、ACL ELITEに出るんですよ。
染谷:羨ましい!めっちゃいいなあ。
アサノ:そことどっちも獲りたいですね。レイソルのサポーターと飲んだときに、「こいつらやっぱかっけえな」と思うのが、他のエンブレムがついたユニフォームを絶対に着ないんですよ。例えば、バルセロナのユニフォームを着てフットサルやったりとかするじゃないですか。でも彼らは絶対着ない。それはなんでかっていうと、 ACLで優勝すればクラブワールドカップがあるから、「バルセロナもライバルじゃん」って考え方なんです。だからレイソルのエンブレムしかつけない。それを聞いたときにマジでかっこいいなと思ったし、もちろんJリーグも楽しみなんですけど、ACLでどこまでいけるかはめっちゃ楽しみ。
─それでいうと、浦和レッズはACLを3回獲ってるので、マウントを取らせていただきます(笑)。
アサノ:この間(決勝は2023年)獲ったときのスタジアムの雰囲気は他サポでもマジで痺れたっすね。やっぱレッズサポすげえなって。

─では最後に改めて、今後のチームとの関わりについて、一言ずついただけますか?
宇宙:去年は昇格という歴史的なことが起きたんですけど、でも水戸ホーリーホックというクラブは上がろうが下がろうが、ずっと回り続けるわけで。やっぱりJリーグのクラブって、その地域のみなさんだったり、そのクラブを応援するみなさんの人生を豊かにすることが目的だと思うんですよね。なので、一試合一試合の思い出とか、1シーズン1シーズンの思い出を、私も一緒に作っていきたいなっていうのが目標で、そのために曲も量産して、その年のみんなの記憶とか感情を私も一緒に記録して、一緒に感じながら生きていけたらいいなっていうのが、ミュージシャンとしてやりたいことです。あとはクラファンをやったりすると、やっぱり圧倒的に茨城の方からの支援が多くて、本当に私は茨城の、水戸サポのみなさんのために音楽をやっていこうと思ってるぐらいなので、そういったところもちゃんと伝えながら活動していけたらいいなと思います。
染谷:音楽的な関わりはもう大満足で、とっても幸せです。本当に夢を叶えてもらってるので、これからも応援していきたい。で、これは僕のサポーターとしての夢だけど、 長崎がACLに出れるチームになって欲しいし、その先の世界一を決める大会に行けたらもっと嬉しいですね。途中でも言ったように、V・ファーレンのサポーターはブーイングをあんまりしないので、 PKで相手が蹴るときもブーイングをせずに、長崎の応援だけをするんです。これっていつも賛否がどうしても出るんですね。「厳しさも必要だろ」って。それも確かにサッカーの一側面だと思うけど、俺は一チームぐらいこんなチームがあっていいじゃんと思う。負けて帰ってきても拍手をするサポーターなんですけど、そんなチームが強くなれたら、それも一個のモデルケースになると思うんですよ。平和の町のサッカークラブが、拍手で迎えるチームが、もっと強くなっていくのを見たい。それが世界に通用するようになったら、「長崎みたいなチームもいいね」って、真似する人が出てくるかもしれない。自分が生きている間にそんな景色が見たいなと思って応援しています。
アサノ:僕らの場合はまずスタジアムでライブをすることが大きな目標としてあるので、それはぜひ実現させたいです。でもそもそもサポーターなので、やっぱりゴール裏で、ちゃんと毎試合分かち合いたいなと思うし、その中で「TENDOUJIの曲が必要だ」っていう声が出てきたら一番嬉しいなと思う。あとはもうここから年を取って、ゴール裏でガシャガシャはしゃげなくなったら、もうちょっとサポとミュージシャンのバランスが取れてくると思うので、50〜60歳くらいになったときに、オフィシャルの応援歌にしてもらえたら嬉しいですね(笑)。

取材・文:金子厚武
撮影:林直幸
LIVE INFORMATION
宇宙まお
HEADPHONE LIVE Performance by 宇宙まお2026年8月2日(日)
東京 表参道 NOSE ART GARAGE
OPEN 15:00 / START 15:30
Lucky Fes 2026
2026年8月9日(日)
茨城 ひたちなか 国営ひたち海浜公園
※宇宙まおの出演は、8/9(日)10:00〜Lucky Space
東京 星空と光の夏祭り 2026
2026年8月13日(木)
東京 国営昭和記念公園 みんなの原っぱ
※宇宙まおの出演は、8/13(木)18:30〜流れ星ステージ
バンドワンマンライブ「Ritmo de Epoca #2」
2027年7月3日(土)
茨城 club SONIC mito
FUNKIST
STARRY NIGHT FES 20262026年8月2日(日)
長野 富士見台高原ロープウェイ ヘブンスそのはら
詳細はこちら
THE BOOGIE JACK 25th アンコールツアー 「LUMINARISM」 <振替公演>
2026年8月16日(日)
愛知 池下CLUB UPSET
OPEN17:30 / START18:00
TENDOUJI
TENDOUJI "日本武道館"単独公演 『EASYPUNK』2027年2月19日(金)
東京 日本武道館
OPEN18:00/START19:00
TENDOUJI LIVEHOUSE TOUR 2026 EASY PUNK PARK
2026年 8⽉1⽇ (⼟) 東京・⼋王⼦MATCH VOX
OPEN 16:30 / START 17:00
2026年 8⽉2⽇ (⽇) 千葉・柏PALOOZA
OPEN 16:00 / START 17:00
2026年 8⽉11⽇ (⽕) ⻘森・⼋⼾ROXX
OPEN 17:30 / START 18:00
2026年 8⽉12⽇ (⽔) 岩⼿・盛岡 Club Change
OPEN 18:00 / START 18:30
2026年 8⽉13⽇ (⽊) 宮城・仙台 MACANA
OPEN 18:00 / START 18:30
2026年8月19日 (水) 北海道・函館ARARA
OPEN 17:30 / START 18:00
2026年8月21日 (金) 北海道・札幌SPIRITUAL LOUNGE
OPEN 18:30 / START 19:00
2026年8月22日 (土) 北海道・苫小牧ELLCUBE
OPEN 14:30 / START 15:00
2026年8月25日 (火) 長崎・ホンダ楽器 アストロスペース
OPEN 17:30 / START 18:00
2026年8月26日 (水) 福岡・福岡LIVE HOUSE CB
OPEN 18:30 / START 19:00
2026年8月28日 (金) 愛媛・愛媛Bar Caezar
OPEN 18:00 / START 18:30
2026年8月29日 (土) 徳島・徳島銀座CROWBAR
OPEN 16:30 / START 17:00
2026年8月30日 (日)広島・福山Cable
OPEN 16:30 / START 17:00
2026年9月13日(日) 山形・酒田 hope
OPEN 16:30 / START 17:00
2026年 9⽉19⽇ (⼟)愛知・名古屋 Live & Lounge Vio
OPEN 17:30 / START 18:00
2026年 9⽉21⽇ (⽉) 和歌⼭・和歌⼭ OLDTIME
OPEN 16:30 / START 17:00
2026年 9⽉22⽇ (⽕) 京都 磔磔
OPEN 16:30 / START 17:00
PROFILE
金子厚武1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
LINK
宇宙まおオフィシャルサイト
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FUNKIST
オフィシャルサイト
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TENDOUJI
オフィシャルサイト
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