grating hunnyの第1章にささげるアンセム「キスしてほしい」爆誕! 激動のバンド人生をスズキタイヨウ(Vo/G)が語る
INTERVIEW
2026.01.16
10代から音楽と楽器を抱いて活躍してきた関根史織とマスダミズキが共振する理由とは?対バン企画『stico×miida Vol.3』スペシャル対談

ねごとの曲は10代の作る不完全さが輝いてた(関根)
─まず、おふたりが出会った経緯を教えてください。
関根:最初はねごととBase Ball Bearとして出会って、ですね。
マスダ:そうですね。
関根:ねごとが「閃光ライオット」(第1回・2008年)に出てたときに偉そうに(笑)審査員席に座っていたのが私たちです。
─審査員に関根さんがいると?
マスダ:はい。
関根:私ははっきりと覚えてて、ねごとに最高の点数を付けたはず。
マスダ:ハハハ。
関根:いや本当にめちゃくちゃ良かったですよね、曲が。
─さらに分析するとどういうところが良かったですか?
関根:得体の知れないエネルギーがあったと思うんですよね。で、パジャマ着てたよね?
マスダ:パジャマ着てましたね。
関根:パジャマ着てくる勇気もだし、曲も10代の作る不完全さが輝いてた。でも言っても自分もまだ若くて、うまくは表現出来なかったんですけど、今思えばそういうところに惹かれたんじゃないかなと思ったり。


─審査員の方の講評もありますよね。
マスダ:グランプリ、準グランプリが発表される予定で、最後のステージの発表のときに準グランプリまで発表されて「落ちたなー」と思ったあとに審査員特別賞があって。
関根:それが、ねごとだった。あれは純粋に審査員たちが高い評価を付けた人たちがなるもので、グランプリは割とお客さんの総意もあるんですよね。
マスダ:獲得してる人気なんかも反映してて。
関根:グランプリをとったGalileo Galileiはもちろん満場一致でグランプリのムードがあったんですけど、一応プロとして活動してるミュージシャンはねごとを「好き」と思ったっていう。
マスダ:急にポッと枠ができて、「あ、これはすごい大事な賞だな」って。
─すごい回ですね。ねごとが審査員賞でグランプリがGalileo Galileiって。
関根:そうですね、伝説の「閃光ライオット」初回。
─その出会いのあとにすぐに対バンをするわけではないですよね?
関根:学祭で一緒だったり何回かあるよね?
マスダ:ありましたね。ただ別に対バンしたからといってさすがに「じゃあちょっと遊びに行こうよ」という感じではなかったんで。具体的にきっかけになったのは自分たちがキューンアーティスツという事務所からSMA(ソニーミュージック・アーティスツ)にいわゆる吸収合併という感じで入って、同じ事務所になったんですね。そこでマネージャーが近しかったりして、話すきっかけができて。
関根:ねごとのマネージャーやってた人がのちのBese Ball Bearの担当であったり、そういうのもあってうっすら繋がりができあがってきて。

ああ、この人はもうずっと音楽やる人だ、という共通点をすごく感じた(マスダ)
─おふたりにはプロデュース的なことまでトータルでやるイメージと、あとは楽器オタクなところに共通点があるのかなと思ったのですが。
マスダ:そうですね。でもそんなに楽器の話はしないですよね?(笑)。
関根:しないね。でも、喋ってて心地がいいというか、あんまり頑張らなくていい感じはある。あとsticoに関してはベースを持たずにチャップマンスティックという楽器でやりきるっていうプロジェクトで、すごいニッチなものだと思ってるんですね。そういうものに反応してくれるのはもっともっとアンダーグラウンドにいる方々が多くて、sticoはその界隈でやっていくのだろうと踏んでいたんだけど、意外にもミズキちゃんのようにニッチな感覚とポピュラリティの感覚を持ち併せた人が「stico面白いですね、一緒にやりませんか」って言ってくれたことによって、「あ!こっちも......」と思えたというか、ミズキちゃんのような人がそんなふうに言ってくれるのかい?となって、それはすごく嬉しかったんですよ。
マスダ:ふふふ。
関根:それによって一度対バンしたら意外とお客さんが喜んでくれてるなっていう印象はありましたよね?
マスダ:ありましたね。
関根:「ああ、そうだったのか」と思って。もっともっとアンダーグラウンドに潜っていこうと思ってたんだけど、miidaとやることによって少しそんな感じがあったんでありがたかったですね。

─その話を受けていかがですか?
マスダ:ベースを弾いてる関根さんとチャップマンスティックを弾いてる関根さんは、私から見ると楽器はもちろんそれぞれプレイも違うけど、表現としては同じというか。とにかくカッコいいんですよ。たぶんそれがリコーダーでも何であっても変わらないというか、楽器の扱い方や楽器に対しての気持ちや、音楽に対しての気持ちのようなものの一貫性に魅力を感じて。ああ、この人はもうずっと音楽やる人だ、というところで、自分も曲を作るし、楽器も演奏するし、楽器を持たなくても歌うし、音楽の捉え方として自由度を保ちたいなと思ってるんですけど、そこに共通点をすごく感じたんです。
関根:確かに楽器はツールのひとつというか。ミズキちゃんもギターもカッコいいけど手段のひとつという感じはある。
マスダ:そうですね。自己表現というか。
関根:あとは元々、ねごとやBase Ball Bearっていう自分のバンドでメインボーカルを張ってなかった人間が、自分で表現をする場を作って「もう自分で歌うしかねえ!」(笑)となったところも同じで、頑張って歌ってる姿も共感できる。それとmiidaって名前にも表れてるんですよ。バンド名をつけるのもちょっと照れくさいタイプでしょ?
マスダ:そうなんですよ。(笑)。
関根:「miidaってなんで?」って訊いた時に「ミ・ズキマス・ダです」って答えに「この人は近い!」と思った(笑)。sticoも「チャップマンスティコちゃん」なので(笑)。
マスダ:そうですね。そこに特に意味はない。
関根:そこの美的感覚もちょっと近い(笑)。
─(笑)。もしかしたら歌詞を書いて歌う、歌詞を人に見せることも躊躇がありますか?
関根:恥ずかしくてしょうがない。書いてそれを見せる時とか聴かせる時は「えーい!」って感じですね。
マスダ:未だに「ごめんなさーい!」って思いながら(笑)。

─歌詞の共通点とまでは言わないですが、おふたりとも自分のことを語るときの言葉遣いにこだわりを感じます。
関根:自分と全く一緒ではないですけど、言葉選びにおいてこういう言葉は使わないようにしようとしてるんだなとか、そういうのを感じながら聴いてます。なんとも言葉にし難いですが、自分の中の物差しで恥ずかしくならないようにスタイリングをしてるんだなというのが分かる。
─マスダさんは関根さんの歌のある曲をどう捉えてますか。
マスダ:とにかく魅力があるんですけど、言葉にしても歌声のニュアンスにしても、ベーシックに着飾らない部分が自分は一番好きですね。辞書で調べた言葉ではなく、大事にしているキーワードのようなものがポロポロと書かれていて、ちゃんと自分のシチュエーションの中で紡がれてるので、そういう部分に惹かれるし、シンパシーを感じてますね。
─関根さんの歌詞ってシリアスなものでも頓知が効いてますよね。
マスダ:そういう人なんだと知ったからこそ楽しめるというか。
関根:ありがとうございます。
─毒のあるところに行きそうになっても頓知で昇華されているんですよ。
関根:歌詞を書くテクニックなんか全然ないわけですよ。Base Ball Bearでも書いたことないし。だからもう自分で歌ってて恥ずかしくならないような言葉を一生懸命選ぶ。
マスダ:そうですね。具体的に書かないとしても今までの活動の中で歌詞にたくさん触れてきてるじゃないですか。それだけ研ぎ澄まされている中でどこまで何を書くか、音楽としてのいい/悪いのジャッジをする感じですかね。
─シンガーソングライターの作品として聴いてる部分もあるんですが、歌についてはどんな印象が?
関根:ミズキちゃんもそうだけど、メインボーカルを張ってこなかった人たちの歌って、それはそれでいいよね(笑)。自分で言うのはあれですけど。
マスダ:余計な取り繕いがないのは好きですね。「今の自分です」っていう声だったり。
関根:一個ちょっと違う味わいはあるんじゃないかな。でもそんなこと言ってもミズキちゃんはうまいんですよ。音域も広いしね。
マスダ:音域のジャッジはたしかに曖昧で、自分の歌が一番よく聴こえるメロディラインももちろんあると思うけど、音としてそこに欲しいから低い/高いはあんまり気にしないんです。
関根:だから面白いのかも。

─2025年、miidaはバンドスタイルのアルバム『GUM』が出ました。それまでの打ち込みメインからバンドになっていかがですか。
マスダ:もともとバンド上がりなので、そもそもバンドのアンサンブルで楽曲を作ってて。それがナマに変わっていったというのが実際のところで。
関根:絶対バンドがいいと思ってた。
マスダ:ほんとですか? ベースとドラムのふたりがアンサンブルを盛り上げるので、いっぱいギターが弾けるし、声も出せるしっていう意味では自分のもともと持ってるテンションに近い状態でライブができるようになって。思った以上に自分はエネルギッシュなタイプなんですごくやりやすくなりましたね。
関根:本当に思った以上にエネルギッシュな人ですよ。
─関根さんは『GUM』は聴かれましたか?
関根:聴きました。めちゃくちゃよかった。さっきも言ったけど、ちょっとニッチな感覚はありつつポピュラリティもある音楽だと思うので、すごくいい力具合なんですよ。
マスダ:嬉しい。
関根:この力具合ってsticoとも共通している気がしていて。そういうところが好きな人たちが喜んでくれるライブがmiidaとsticoのセットで作れたら、それはすごくいいことだなと思って聴いていました。
「stico×miida」は自分がどれだけこの1年豊かに過ごせたかを確認できる大事な企画(マスダ)

─マスダさんはご自分のスタジオ「Studio KiKi」からスタジオライブの配信(YouTube番組「from Studio KiKi」)もされていて、そこにsticoも出演されて。すごくいい広がりだと思います。
関根:良かったです。YouTubeを通していっぱい人が見てくれるので。
マスダ:チャップマンスティックを持って弾いて歌ってるスタイルは貴重なものなので。
関根:(弾きながら)歌う人はあんまりいないのと、結構あれってソロ向きの楽器だと思うんです。ドラムやベースと演奏するというよりひとりで完結できる楽器だと思うんですけど、私はオータコージという、すごく自由なドラマーとふたりででっかい音でやるんですよ。それ自体少し珍しいし。
マスダ:あり得ないことをやってるなっていうのはありますね。
関根:それを撮って配信してくれて。ホームスタジオなのに結構デカい音出したから大丈夫なのかなと思いつつ。
マスダ:(笑)。バッチリでした。海外の方々のコメントがすごく多くて。
関根:ね。嬉しいね。
マスダ:もう思いっきり世に知らしめたいですよ、私は。
関根:いや本当に嬉しいよ。ありがとう!

─「from Studio KiKi」もマスダさんのバイタリティを感じるところで。
関根:それは本当にバイタリティがいることですよね。どうにかこの良さを伝えたいという気持ちは私も時々ありますけど、撮って編集して配信するなんてすごいエネルギー使うことだなと思います。ちゃんと本当に音楽好きなんだなって。好きな人じゃないとできることじゃないです。
─改めてお訊きするんですが、YouTubeチャンネルでスタジオライブを公開していく発端はどういうところだったんですか?
マスダ:コロナ禍でライブやレコーディングができなくなって居場所を無くしたミュージシャンに、ここで発表してもらえたらいいなというのがきっかけでした。活動しているうちに、sticoはもちろん知ってほしいミュージシャンがいっぱい出てきて。世に隠れているいい音楽をみんなに知ってほしいという使命感に自分の気持ちが変わっていったんですね。それはFRIENDSHIP.のキュレーターとして音源の審査員をやっていることも相まっているかもしれません。
─それが「from Studio KiKi」につながったと。演奏する人もやりやすいのでは?
関根:本当にそうです。ミュージシャンが運営しているから演奏する人のことをよく分かってるし、メンバーのことを知ってくれてるからこその撮り方だったりで、そこはすごく嬉しい。
─そういう諸々も含めて2025年を振り返りつつ、2026年の展望をお聞きできれば。今年はどうでしたか?
関根:stico的には全然活動できなかった。ベースの仕事とかしちゃってたんで。ただその中でも「from Studio KiKi」に出て、ちゃんとsticoが継続して音楽をやってることを伝えられたのはそれが大きかった。
マスダ:ありがとうございます。
関根:2025年内にライブしようねという話は流れちゃったけど、2026年一発目にはライブができるので、それを機にもうちょっと頑張ってmiidaとのイベントを継続したい。
マスダ:miidaは、「stico×miida」のVol.2のときに「バンドになります」って関根さんの前で発表したからには、いい1年にしようっていう(笑)。
関根:さっきも言ったけどバンドにしたほうが絶対いいなと思ったし、バンドになったらたぶんもっともっとライブが面白くなるだろうし。
マスダ:そうですね。余計な気負いみたいなものがバンドだとなくなったので、過ごしやすかった1年かもしれないです。それにこうやって定期的に「stico×miida」をやることによって、自分がどれだけこの1年豊かに過ごせたかということを確認できたりするので。大事な企画になりつつあります。

─新しいことに飛び込むふたりを見て、お客さんもやる気が出るんじゃないかと想像してます。
マスダ:それはあるかも!
関根:それは嬉しいですね。自分たちも人のライブを見に行ってそういう風に思うことがあるじゃないですか。「やる気になるわあ」みたいな。そうだったらいいよね。
マスダ:ですねえ。
─あとはおふたりとも、シンプルに楽器を弾いてらっしゃる佇まいがカッコいい。
マスダ:勇気出ますよね。関根さん見てると勇気がりんりん湧いてくる。
関根:ありがとう! あの楽器は周りにやってる人はいないから。教則本のようなものもあるんですけど、アメリカの楽器なので全部英語なんです。だから超自己流なんですけど、自分が正解のような状態だから(笑)そういう意味ではすごい勇気だなって自分で思うんですよ。「すげえ勇気だな、あいつ」って。

取材・文:石角友香
撮影:高田梓
LIVE INFORMATION
stico × miida Vol.3

2026年1月18日(日)
OPEN 17:30/ START 18:00
下北沢BASEMENTBAR
ACT:stico / miida
TICKET:¥4,000
購入はこちら
RELEASE INFORMATION

miida「Gum」
2025年10月1日(水)
Format:CD / Digital
Label:KiKi Records
Track:
1.Where Are You?
2.Adventure
3.Changes
4.Anchor
5.YOU/ME/ME
6.Communication Breakdown
7.滑って落ちる
8.ゼロサムゲーム
9.天才的月面着陸
試聴はこちら
CD購入:http://miida-tokyo.stores.jp
LINK
miida オフィシャルサイト@miida_official
@miida_official
Official YouTube Channel
stico オフィシャルサイト
@SticoOfficial
@sekine_bbb




