Laura day romanceが前後編の大作を通して描き切った物語とは?『合歓る - bridges』3人全員インタビュー
INTERVIEW
2026.01.15
grating hunnyの第1章にささげるアンセム「キスしてほしい」爆誕! 激動のバンド人生をスズキタイヨウ(Vo/G)が語る
結成から約3年にわたる奇跡のような日々と、ぐっちゃぐちゃの青春の輝きが生んだアンセムが、バンドのルーツであり憧れの銀杏BOYZのサポートギタリストを務める山本幹宗プロデュースの下、日本のロックにおける「キスしてほしい」(THE BLUE HEARTS)という称号を今まさに更新しようとしている。激動のバンド人生の第1章を前に、スズキタイヨウがその心中を語る。

自分やったらこのタイトルでどういう曲を書くかな?
─まず激動の2025年を振り返ると、大学受験のための活動休止(2024年11月~2025年3月)を経て、4月に東阪で行った活動再開企画『ESCAPISM』からバンドが再始動して。
春から独り暮らしが始まって私生活の変化で心がいっぱいだったんですけど、休止期間は休止期間で根拠のない自信と不安がたまっていくだけやったんで、最初にやった東京は「みんなありがとう、バンド再開しました!」みたいな復活のうれしさはやっぱりありましたね。大阪は地元というのもあって、すぐに高校生の頃と同じような気持ちに戻ってました。
─その後は7月に「インソムニアの底で」、8月に「student」、9月に「未成年だった」と、SEEZ RECORDSから3カ月連続で配信して、目に見えたステップアップだったんじゃないですか?
確かにそうだったんですけど、僕らは高校2年から活動してるのもあって、バンドとしては同期でも周りには年上が多くて。そういう方たちの「ワンマンライブに何人呼んだ」とかいう成果ばっかりが耳に入って、気にしちゃってたのはあったかもしれないです。「僕らももっと頑張らないと......!」みたいな。

─レーベルが付いたとは言え、同時代に結成した年上のバンドはインディーズの活動でさらに先を行っている。しかもこっちは休止期間もあったから、その差に余計に焦るという。
だから復活してからひたすらライブしまくってたら、夏が終わっちゃった、みたいな。ちょうど「キスしてほしい」の制作もしてたんですけど、去年の2月に「未成年だった」を作ってからは一曲も書けてなかったんで、当時はすごく焦ってましたね。「これなら誰でもできるよな」みたいに考えちゃう時期で、でも、夏にはレコーディングがあるから曲を書かなあかん。そんな中で唯一メンバーにメロディを褒められたのが「キスしてほしい」で。
─昨夏の東京遠征時に、「みんなにどうしても言いたいことができた」「grating hunnyは最強になりつつある。まだ誰も知らない最強の新曲を隠している」とnoteに書いてましたけど、もしかしてそれが「キスしてほしい」?
そうですそうです! メロディは去年の6月頃からあったんですけど、歌詞はレコーディング前日までかかりました。本当に「絞り出した」というニュアンスでしたね。
─これはマジでアンセムの誕生じゃないですか? 後進の若いバンドがデカい音でコピーしたくなるような、文化祭でやりたくなるような、音楽体験の原点になる明快さとポップさと爆発力がある代表曲になったかなと。
日本で「キスしてほしい」と言えば、THE BLUE HEARTSの曲じゃないですか。小さい頃から聴いてた曲だったし、「自分やったらこのタイトルでどういう曲を書くかな?」というのはずっとテーマやったんですよ。最初はただただ楽器が弾きたくて高校1年の1月にgrating hunnyを組んで、高2の末~高3の頭ぐらいにはgrating hunnyがどういうバンドなのか、客観的に見たgrating hunnyのブランド像とかイメージが固まってきた。その頃から何回も歌詞を書いてみて、しっくりきたのがこれですね。

─THE BLUE HEARTSの数ある名曲群の中から、「キスしてほしい」が自分のアンテナに引っかかったのは何か理由があったのかな?
THE BLUE HEARTSにとっての「キスしてほしい」は愛情とかがテーマじゃないですか。でも、高2のいわゆる童貞の僕にとっては(笑)「キスしてほしい」=欲求で、自分の感情を歌にするのに分かりやすくて面白いテーマかなと思って。僕らやったらもっとしょうもない歌詞が書けるな、みたいな(笑)。
─THE BLUE HEARTSの「キスしてほしい」はファンじゃなくても歌えるぐらいキャッチーで、サビのリフレインが強烈に頭にこびりついてる。「キスしてほしい」という7文字を乗せるのにこれ以上適したメロディは他にないんじゃないかと思ってしまうところで、grating hunnyが新しいアプローチをしてきたことにちょっとしたうれしさもありましたよ。このサビを聴いた人はきっとライブで歌いたくなると思う。
grating hunnyはパンクバンドを自称してる割にみんなで歌える曲が少なかったんで、そこは意識したかもしれないです。ただ、元々の歌詞は言いたいことを言っているだけだったんで内容を恋愛に変えてみたり、プロデュースしてくださった山本幹宗さんからも、「もうちょっと韻を踏んだりした方がポップソングとしての精度が上がるよ」みたいなアドバイスをいただいたので実践してみました。

頑張ることが一番大事なのに、やり切ってないのに、やめたらもったいない
─タイヨウくんのみならずバンドのルーツと言ってもいい、銀杏BOYZのサポートギタリストが新曲をプロデュースしてくれるなんて、テンション上がったんじゃないですか?
いやもう最初は信じられなくて、バンド仲間に言いふらしました(笑)。
─幹宗さんと作業する上で、他に刺激や挑戦はありました?
これまでもアコースティックギターのパートに後からバンドが入ってくることはありましたけど、今回みたいにバンドと一緒にアコギが鳴ってるのは初めてで、それってまさに銀杏BOYZのやり方じゃないですか。ギターのオダ(キッペイ)は幹宗さんに影響受けまくりで乙女みたいでしたし、ひと夏、幹宗さんのファッションを丸パクリしてました(笑)。あと、僕もオダも幹宗さんのビンテージギターを弾かせていただいたんですけど、もう全然音が違う! 中古で買った6万円のギターとかでしかレコーディングしたことがなかったから、「いい楽器を使ったらこんなにいい響きになるんや」と思ってドキドキしました。ベースのオオグロ(マサミ)も銀杏BOYZ大好き少年なんで、東京にいる間は幹宗さんにもらった銀杏BOYZと大森靖子さんのライブTシャツをずっと着てましたし、ドラムの(ヤマオカ)テッタももちろん楽しかったと思うし、みんなが浮足だったレコーディングでしたね(笑)。




─タイヨウくんはこの曲のリファレンスとして、tetoの「Pain Pain Pain」やRADWIMPSの「そっけない」を挙げてくれましたけど、前者のスピード感とか焦燥感は分かる。ただ、後者は「キスしてほしい」にどう作用してるのかなと。
この歌詞のモデルの中学生の頃に片思いしてた女の子と、1回だけカラオケに行ったことがあるんですけど、要はめっちゃモテてる男友達がその子とその女友達とカラオケに行くことになったとき、男女2:2の1枠を吹奏楽部の僕にくれたんですよ。でも、いざ行ったらその男友達と僕が片思いしてた子がいい感じで、僕は置き物みたいなもんで。そこでその女の子が歌ってたのが、RADWIMPSの「そっけない」なんですよ。いつもは大学に行くために借りた、寝てメシを食うだけの天王寺の1Kで歌詞になるような感情は湧かないんですけど、「そっけない」を聴くと当時の悔しかったこととかが思い浮かぶんです。だから歌詞が書かれへんときは、「そっけない」をめちゃ聴いてたんですよね。
─自分の感情の起爆装置みたいなもの。そういう意味ではtetoがサウンド面、RADWIMPSは精神面のリファレンスという感じですね。
ホンマにそうですね。つい最近まで、曲は書けないし、バンドを始めた頃と比べてやる気はどうなのかと迷走してたんですけど、12月にBlue Mashのワンマンライブを大阪・梅田クラブクアトロに見に行って、「先輩がこんなに頑張ってるんやから、自分たちも頑張らなあかんよな」と思ったんですよ。10月からオオグロが体調不良で一時活動休止したり、バンドへの諦めムードみたいなものも正直あったんですけど、頑張ることが一番大事なのに、やり切ってないのに、やめたらもったいない。「何で売れへんねん!」と言えるぐらい2026年は頑張ろうと思って。そうしたら急に、天王寺のあの部屋で2週間ぐらいで3曲作れたんで。今はやる気がみなぎってますね。
─Blue Mash、the paddles、それこそgrating hunnyもそうで、今は関西のシーンでも大阪の寝屋川が過去イチ盛り上がっていて。その先輩が背中を見せてくれたんですね。

grating hunnyのパンクロックは陰キャのカウンターパンチ
─とは言え、オオグロくんの一時離脱はバンドとしては過去最大のピンチですよね。
周りから見たらお客さんも増えて反応も良くなったし、レーベル所属の発表もさせてもらって、自主企画では大好きなバンドも呼べて......でも、バンドの内部は体調不良のオオグロを抱えながら、結構バタバタしながら続けてた半年間でしたね。
─受験のための活休を終えてバンドが全速力で走り出したからこそ、その大きな波に飲まれたというか......進学で環境も変わるタイミングだったので余計に。
バンドを止めずに3人で続けたのも、「3人でやったるねん!」というよりは、何かもう「3人でやるしかない」に近かったかもしれない。サポートを入れずに僕がベースを弾いてライブをやったこともあって、当然演奏はぐちゃぐちゃやけど、お客さんに嫌われてもライブハウスに怒られてもいいみたいな自暴自棄で......バンドの雰囲気も悪かったですね。でも、11月には素敵なイベントにいっぱい呼んでもらって、いいライブができるようになってきた。高校の頃からバンドは趣味ではなかったけど、友達とは毎日学校で会うから、「高校のみんながどういう顔をするかな?」とかいう煩悩がどうしてもあったんですよ。今はgrating hunnyを知らない人に囲まれた大学生活で、そういうこともなくなった。バンドを頑張ればお客さんが喜ぶ。そこに集中できるようになりましたね。


─バンドマンとしての人生が、ようやく色眼鏡がない状態で始まったんですね。
去年は自分がロックバンドをやる意味とかモチベーションを探し続けた一年で、それが12月にやっと見つかって。ここから期待してくださいという感じですね。
─「キスしてほしい」は今までで最も飛距離がある曲だと思うし、そんな自信作を引っ提げて2026年も早々に東名阪を回れるとは気合が入りますね。ちなみに自主企画の『体育館壊す』というタイトルはどこから?
体育の授業の持久走で、全く運動ができひん僕が髪パサパサで走ってる。体育が何より「バンドで売れるしかない!」と思わされる自己嫌悪の時間やったから、その象徴を壊す反骨精神というか。grating hunnyのパンクロックは陰キャのカウンターパンチなので、そういうタイトルを掲げてライブをやったら面白いんじゃないかなと思って。高校の頃は単純に有名になりたかったけど、だんだん自分たちの好きなものを形にして、シーンを作っていきたい気持ちがデカくなってきた。だから、名古屋には自分たちが売れたときに一緒にいてほしい硬派なバンド、東京には自分たちも含めて邦楽ロックの未来を担っていけると思うバンドを呼びました。
─1月24日(土)にはホームの寝屋川 VINTAGEで初のワンマンライブが行われます。grating hunnyにとって転機になるのは間違いないですね。
高校生の軽音部で一番歌がへたくそな僕と、一番厄介者やったオダと、一番陰キャで寡黙やったオオグロと、ドラムに集中し過ぎて留年したテッタで組んだバンドが、こんなに早くワンマンをやるとは思ってなかったし、16~17歳でライブハウスという社会にひと足早く飛び込んで、同級生がまだ経験してへんような理不尽も感じたし、バンドって楽しそうに見えるけど高校生活と並行してやるのはバイトより難しい。それを乗り越えた4人がたどり着いたワンマンは一つの成功の形やと思っていて。大学受験のタイミングで活動休止することは決まってたのに売れるための努力を続けたのは、高校時代を第0章として、大学生になったら本格的に活動しようとみんなで誓ったからで。初めてで記念のワンマンライブ、見に来てほしいですね。この日からロックバンドとしての第1章が始まるんじゃないかな。


取材・文:奥"ボウイ"昌史
写真提供:SEEZ RECORDS
PLAYLIST
RELEASE INFORMATION

grating hunny「キスしてほしい」
2026年1月14日(水)
Format: Digital
Label: SEEZ RECORDS
Track List:
1. キスしてほしい
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
grating hunny 「体育館壊す」

2025年1月17日(土)
東京 / 下北沢 SHELTER
w/ muk / ポンツクピーヤ / 前髪ぱっつん少年
2025年1月24日(土)
大阪 / 寝屋川 VINTAGE
初ワンマン!!
チケット前売:¥3,000 (ドリンク代別)
チケット一般発売中
https://eplus.jp/gratinghunny/
LINK
オフィシャルサイト@gratinghunny
@gratinghunny_info
@gratinghunny
@gratinghunny




