SENSA

2025.10.15

オルタナもクラシックもJ-POPも昇華して描き上げる壮大な物語「hardnuts」-Highlighter Vol.252-

オルタナもクラシックもJ-POPも昇華して描き上げる壮大な物語「hardnuts」-Highlighter Vol.252-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。Vol.252は、2022年に東京で始動した3ピースバンド・hardnutsを取り上げる。
"僕"と"イヴ"というふたりの人物が織りなす、切なくも美しい物語を描いたコンセプト作品となる1stフルアルバム『Ark』をリリースしたばかり。サウンドは90年代~00年代邦楽オルタナティブの影響を踏襲しつつも、さらに広く多彩なルーツを発揮。レコーディングには一発録りを取り入れ、音を重ねながらも生々しい息遣いにこだわっている。


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活動を始めたきっかけ
坪田:同じ大学の軽音サークルの後輩だった上條に声をかけ結成しました。Dr.野中はSNSでのメンバー募集から加入することになりました。

上條:趣味で曲を作っていたら声をかけられました。ずっとバンドを組みたいと思っていたので渡りに船でした。

野中:SNSのメンバー募集から加入しました。
当時上條のXに上がっていたデモ段階の「溶ける」を聴いて、このバンドに応募しようと決めました。

影響を受けたアーティスト
上條:親が音楽好きだったので小さい頃からスーパーカーCorneliusCymbalsスピッツくるりAdvantage Lucyなどをよく聴いたり、ライブに行ったりしていました。

小学3年生の頃にテレビで「NANO-MUGEN FES.2009」が放送されていて、そこでASIAN KUNG-FU GENERATIONの「リライト」を初めて聴いて衝撃を受け、今に至るまでの16年間ずっとライブにも行き続けています。いちばん好きなバンドです。
NUMBER GIRLとかRadioheadサカナクションもアジカン繋がりで聴き始めています。



高校に入って以降はPeople In The Boxthe cabsなどの残響系のバンドやBloodthirsty ButchersClimb The Mindeastern youthハヌマーンSusquatch、HASAMI groupなどに出会いました。
特に影響を受けているのは上記のバンドです。今の自分のギターのプレイスタイルに関してはクライムとハヌマーン、ピープルに影響を受けている部分が大きいと思います。

中学の頃は吹奏楽部に入っていたのでジェイムズ・バーンズモーリス・ラヴェルクロード・ドビュッシーなどを聴いていました。
あとはアンビエントとかテクノとかヒップホップとかジャズとか、かっこいい音楽はジャンルの分け隔てなく聴いています。

坪田:小学生の時に車で流れていたいきものがかりMr.ChildrenスピッツといったJ-POPがルーツです。
吉澤嘉代子きのこ帝国リーガルリリーは高校生でどハマりしてからずっと聴き続けています。特に吉澤嘉代子さんはファンクラブにも入るくらい好きです。
自分のプレイに影響を与えている絶対的なベーシストは思いつかないのですが、大学の軽音サークルで上條と出会い、NUMBER GIRLやハヌマーンのコピーをしていく中で、好きなプレイスタイルが指弾きからピック弾きになったので、影響を受けていると思います。

野中:中学生のときにYouTubeで見つけたアジカンがバンドをはじめるきっかけです。高校時代にはFOO FIGHTERSThe OffspringThe killersなど洋楽ばかり聴いていた時期があり、その後東京事変バンアパなどにハマってました。
大学時代にはくるり、フジファブリックを好きになり、ライブ映像で感動し、その衝撃で今もバンドを続けているようなところはあると思います。
ドラマーでいうと、東京事変の刄田綴色さんが憧れで、たくさんコピーしました。

大学時代に所属していたサークルでは、ドラマーが不足していたこともあり、コピーバンドを多く組んでいました。幅広い趣味嗜好の友人がいたこともあり、邦洋含め様々なジャンルのバンドのコピーをし、それらによって今のプレイが出来上がった気がしています。

注目してほしい、自分の関わった作品
坪田:やはり今回リリースする1st Full Album『Ark』です。
曲順にこだわり、決まるまでに長い時間を要しました。
これまで出したEPやシングルとは違い、作品を通してしっかりとしたコンセプトがあり、歌詞にもサウンドにも世界観が色濃く表れていて、ひとつの物語を体感したような後味がある壮大で聴き応えのある一枚になっています。
良いものに仕上がっているのか不安で出来上がってから毎日聴いていますが、ずっと飽きないので多分大丈夫だと思います。

野中:今回リリースする『Ark』です。今回の楽曲はある物語から作られているのですが、ドラムのフレーズにおいても、作曲者の上條にシーンのイメージを共有してもらいフレーズを考えるなど、今までと違ったアプローチができたと思います。

上條:今までリリースした曲でいちばん思い入れのある曲は「たゆたう」です。この曲は僕の地元である鎌倉の海を題材にして作った曲なのですが、特に歌詞が上手く書けたのでお気に入りです。音楽面は直感でなんとかなるものがわりとあるけど、作詞に関してはしっかり悩んで考えないといけないので、すんなり行かないことが多いので常に苦しんでいます。歌詞のなかの登場人物の感情をうまく引き出せるように書きたいと常々思っています。
今回リリースする『Ark』では、アルバム全曲を通してふたりの登場人物の感情を上手く描けていると思います。自分で歌ってて泣きそうになるような曲があるのが嬉しい。



今後挑戦してみたいこと
上條:音楽的な間口をもっと広げていけたらいいなと思います。ピアノとか電子楽器を入れたり、オーケストラ的なストリングス入れた曲とかもいつかは作ってみたいです。
hardnutsはわりと何をしてもhardnutsの音楽になるので、やりたいことはどんどんやっていきたいなと思います。
アコースティックライブとかもやってみたい。
人生で野外フェスに行ったことがないのでなんかしらのフェスも出てみたいです。

坪田:野外フェスに出てみたいです。特に「RISING SUN ROCK FESTIVAL」。初めて足を踏み入れた2019年以降、魅力に取り憑かれほぼ毎年行っています。いつか出たいですね。

野中:野外フェスに出てみたいです。


カルチャーについて

触れてきたカルチャー
坪田:小さい頃はずっと本を読んでいました。当時はさくらももこのエッセイ、星新一のショートショートがお気に入りでした。



特別詳しいわけではないですが、映画をよく観に行きます。今年観た映画だと『けものがいる』『夏の砂の上』が面白かったです。劇的な展開は起きない淡々とした物語を好む傾向があると思います。





バラエティだと『水曜どうでしょう』がNo.1です。家族内で一大ブームを巻き起こし、数年間夕飯のBGMになっていました。

上條:お笑いが好きです 真空ジェシカとかラーメンズとか。
特にラーメンズはコントの作り込みが凄いので、是非いろんな人に見て欲しいと思います。オススメは『本人不在』です。



日本の近代文学(主に太宰治)をよく読みます 高校時代に夏目漱石の『草枕』を読んで感銘を受け、現在大学でその辺りの作品研究を主にしています
映画は『亀は意外と速く泳ぐ』『スワロウテイル』『けものがれ、俺らの猿と』がお気に入りです。
漫画は『魔王城でおやすみ』『ハヤテのごとく』『写らナイんです』、『偽物協会』などが好きです。めちゃくちゃ少年サンデー派です。



野中:建築が好きです。仕事でも建築設計をしています。
『アナザースカイ』で見た安藤忠雄さんの生き様に憧れて、建築を始めました。
学生時代はいろいろな方の本を読んでましたが、特に青木淳さんやレム・コールハースの文章をよく読んでいました。住宅では、阿部勤さんの「中心のある家」が好きです。
ジャンルは違いますが、物事の考え方、良し悪しの判断などで、音楽と通じる部分はあると思います。



映画は大学1年生の頃に週2、3本観ていた時期があり、そのときに観た『イントゥ・ザ・ワイルド』『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』がお気に入りです。会話やそのなかで出てくる言葉が好きです。






今注目しているカルチャー
坪田:最近はお笑い芸人のラジオが通勤時間のお供です。笑うことでストレス解消になっている気がします。
『カラタチの最果てのセンセイ!』と『マユリカのうなげろりん!!』は毎週欠かさず聞いています。外で聞いていてもニヤけが抑えられないためかなり不審な人になっているだろうなと思います。





上條:アート系のカルチャーにずっと興味があります 僕はそういう絵画とかを作る才能は持ち合わせていないので、すごいなあと思いながら観ています。
最近知った佐藤義尚という映像作家さんの映像がすごくかっこよくて好みでした。
曲を作るときもこんな映像のイメージで~みたいにして作るので、かっこいい映像をインプットするのを大事にしています。



イラストを見るのも好きで、2023年に出した『meltaway』で(ジャケットを)描いて頂いた初期の名前さん、今回のアルバムで(ジャケットを)描いて頂いた南つるよしさん、ライブツアーのフライヤーを制作して頂いたミワチヒロさんの3人には、僕がイラストやフライヤーを見て一目惚れしてお願いしています。

野中:格闘技に興味があります。映像ですが、ボクシングやMMAを見ています。格闘技は常に1対1の関係性で勝敗が決まり、それで大きく人生が変わります。スポーツなので選手としてのピークも長くない中で、その刹那にすべてをかけた生き様に憧れがあります。

RELEASE INFORMATION

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hardnuts「Ark」
2025年10月15日(水)

試聴はこちら

LIVE INFORMATION

hardnuts 1st full album「Ark」Release Tour「Blight space」

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2025年10月26日(日)
江ノ島OPPA-LA
出演:hardnuts / downt / Fallsheeps

2025年11月1日(土)
仙台FLYING SON
出演:hardnuts / TIDAL CLUB / Nikoん

2025年11月23日(日)
寺田町Fireloop
出演:hardnuts / colormal / MoritaSaki in the pool / しろつめ備忘録

2025年12月6日(土)
熊本NAVARO
出演:hardnuts / yard rat / wiquet / futurina / tika!sui

2025年12月28日(日)
新代田FEVER
出演:hardnuts / sidenerds

一般 ¥3,800(税込・ドリンク代別途必要)
※熊本公演のみ ¥3,000(税込・ドリンク代別途必要)


PROFILE

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hardnuts
メンバーは坪田要(B)、野中(Dr)、上條(G/Vo)。
2022年秋に東京で始動したオルタナティブロックバンド。幼少期から音楽にのめり込み、様々なアーティストやジャンルに影響を受けた上條の多彩な楽曲や、叙情的なメロディ、硬質なサウンド、疾走感のある演奏が魅力。
2025年10月に1stフルアルバム『Ark』をリリースし、全国5ヶ所でリリースツアー「Blight Space」を実施。

LINK
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@hardnuts2580
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