SENSA

2025.09.19

ジャンルレスに音楽や感情を昇華した闇鍋的3ピースロック「ジッカ」-Highlighter Vol.249-

ジャンルレスに音楽や感情を昇華した闇鍋的3ピースロック「ジッカ」-Highlighter Vol.249-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。Vol.249は、兵庫県出身の3ピースバンド・ジッカを取り上げる。
大学時代の友人という繋がりながら、ルーツや趣味は様々。しかもツインボーカル。それらが一体となり、あらゆる音楽や感情がないまぜになった人間らしいロックを生み出している。1stアルバムの『そうです、ちがいます』というひねくれたタイトルも象徴的だ。


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活動を始めたきっかけ
元々は大学時代の友人でした。
飲んだ帰りに、若干酔っ払ったままスタジオに3人で入った日がありました。
その日は曲っぽいものができて、次の休みにそれを完成させるために集まって今まで続いているような状態です。

影響を受けたアーティスト
栗原(B)東京事変。高校生のとき、『紅白歌合戦』で椎名林檎の「NIPPON」を聴いたとき、すべて変わりました。そのあと東京事変にのめりこみ、大学生になったらバンドをしたいと思うようになりました。影響を受けた音楽というか、僕が音楽を好きになったきっかけです。当時は思春期真っ只中でいつも何かに悩んでいましたが、音楽の持つ偉大な力を知りました。





長澤(Dr)the band apart。きっかけは覚えていませんが、中学生のころ『K.AND HIS BIKE』の「FUEL」を聴き、これだ!と。その日のうちに近所の「ビデオ合衆国」に走り、アルバムをレンタルした記憶があります。そのあと、きちんと買いました。中学生なりに筋は通したつもりです。



新免(G)サカナクションgroup_inouです。サカナクションは『SCHOOL OF LOCK!』ですし、group_inouは一時期『モヤモヤさまぁ〜ず2』のエンディングだったのでそこから知りました。
少しズレますが、さまぁ〜ずにすごくハマっている時期があり、コント内でマイナスターズというバンドが登場するのですが、それもかなり聴き込んでいました。「心配性」と「待ちわびて」が面白いしすごくいい曲です。







注目してほしい、自分の関わった作品
アルバムタイトル『そうです、ちがいます』は、皆さんの色々な反応に対して、「合ってる部分もあるけど、全部合ってない!ちがいます!」と言いたいひねくれた感情が名前になっています。
それぞれの曲や表現の意図をわかって欲しいけど、全てわかってるつもりになって欲しくない矛盾した感情や人間らしさを上手く表現できたところが気に入っています。
今回はアルバムを通してジャンルを気にせず、スリーピースでできることの表現を目指しており、ある意味"闇鍋"だと思っています。どの曲も先入観なく聴いて頂けたら嬉しいです。



長澤:「色恋の低温」は、この3人でバンドを組んでジッカとして最初に作った曲なので思い入れがあります。デモはなく、スタジオではじめからセッションで作りました。
今回のアルバムでは「羊」や「太陽のターン」も同じスタイルですね。
徹頭徹尾よくわからない曲ですが、何度か聴くと癖になるよさがあると思います。
再録で変わっている部分もあるので、そこにも注目してください。

栗原:「遠い町」。個人的な話ですが、昨年から地元を離れて生活することになって、はじめのころは環境の変化もあってバタバタと暮らしていたのですが、しばらく経って部屋でギターを弾いていたとき、17時ちょうどに部屋の外からチャイムが聞こえてきました。地元ではそういう習慣はなく、なんかいいなと思ったのと同時に、遠くの町に出てきたんだということを強く実感しました。そのときに生まれたこの曲は、なんとなくあの瞬間のノスタルジックな気持ちをそのまま切り取れた気がしていて、ポケットに入れておきたいような愛着があります。

新免:「12月」。ギターがピロピロしていてカッコいい。ドラムの長澤が考えてくれました。
曲全体を通して、いろいろとやりたいことを詰め込みました。歌詞も短いけど年末のちょっと寂しい情景をイメージできるように作れたかなと。
「太陽のターン」は予定がどうしても合わずボーカル録音に行けなかったのですが、完成された音源を聴いてかなりウケました。「トゥルルルル!」とか「アァン!」みたいな俺らそんなんじゃないじゃん(笑)みたいなところが好きですね。クラスのヤンキーぶってる子を見ているような。





栗原:まあこのアルバムは本当にどの曲も個性が立ってて粒ぞろいだと思っているので、みなさんのお気に入りも聞いてみたいですね!

今後挑戦してみたいこと
栗原:次のアルバムが作りたいです!あとは、北海道とか、九州とか遠いところでライブして、ついでに観光したいです(ライブ付きの旅行がしたいです笑)。あとは、地方のスタジオに泊まり込みで曲作りたいですね。

長澤:旅行とか曲作り合宿には憧れますね。
うちの両親の「売れてる」の基準はアニメの主題歌一点なので、いつかできたらいいなとは思うんですけど。実家に帰るたびに「まだか」とか言われるので正直ちょっと食傷気味です。

新免:キーボードもいつか音源に入れたい。
興味があるのはお笑い芸人と対バン?対慢?しているイベント、楽しそうだと素直に思います。

長澤:まあ、みんな新しい曲を早く作りたいってことです。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
長澤:小学生の頃から家にPCがあって、趣味はネットサーフィンでした。いわゆる「ニコニコ動画世代」で、そこで触れた独特のカルチャーには結構影響を受けているかもしれません。
昔のWebサイトの雰囲気が好きで、謎の掲示板や個人サイトを渡り歩く感覚にワクワクしていました。SNSや動画配信が整備される前の自由なインターネットに触れていた体験は、自分の感覚を形づくる大きなカルチャーだったと思います。

新免:お笑いが好きでラジオを聴いていました。
自分の部屋にテレビが置かれたタイミングから深夜番組をよく見始めるようになり、そこに出ていた芸人さんたちのラジオを聴いていました。特にそのとき聴いていたのが『おぎやはぎのメガネびいき』で、その時期本当に性格が悪くなりました(笑)。



今は性格も直ってますし、ラジオは常に流しながら生活していて、音楽と同じ存在です。
あとは学生時代はPUNKにハマっている時期があり、鋲ジャンで生活している期間がありました。スタッズがついたブレスレッドをして、10ホールくらいあるマーチンを履いたりしていたんですが、イヤホンで聴いているのはラジオのアフタートークのPodcastみたいな少し変な事になっていました。ほぼコスプレでしたね。

栗原:映画はずっと好きです。怖いやつとかグロいやつは苦手です、、、どっちかというとヨーロッパ映画っぽい淡々としたやつが好きで、登場人物の生き方や生活の中に仕掛けられた面白さとかに気づくときや、ユーモアのある台詞とかにキュンとしますよね。いい映画を観た後は、自分の生活のちょっとしたこととかにも面白さを感じたりしてウキウキします。
こちらは最近観たおすすめです!



今注目しているカルチャー
長澤:モキュメンタリーが好きです。ドキュメンタリー風の形式をとりつつ、実はフィクションという作品群のことですね。
興味を持ったきっかけは、『ドーン・オブ・ザ・デッド』のDVD特典「番組の途中ですが緊急特別番組をお送りします」を観たことです。映画本編とは別にニュース番組形式でゾンビの蔓延を伝える内容で、「フィクションにこんなリアリティの足し方があるのか」と目から鱗でした。
それ以来、モキュメンタリーのホラー作品にハマっています。YouTubeの「フェイクドキュメンタリーQ」なんかも、フィクションなんだろうけど......えっ、これ本当に起きてるんじゃ...?と思ってしまう瞬間が多くて。虚構と現実の境界を揺らす表現って、ホラーに限らずカルチャーとしてすごく面白いなと思います。



新免:ずっとラジオで申し訳ないんですが、数年前からラジオ好きの友人に教えてもらった、『マユリカのうなげろりん!!』は欠かさずチェックしています。
全てお笑いに消化はされているんですが、トークだけではなくバンドやミュージカルなど、かなりクリエィティブな精神を持っていて素直に尊敬してしまう瞬間があるのがマユリカのいいところだと思っています。
Podcastでいうと、トリプルファイヤーの吉田さんが『AI vs 吉田』という番組をされていて聴いています。これに関してはラジオの内容というか吉田さんの人間味を感じにいっている感覚が近いです。
YouTubeでも『ブチ抜く吉田』というチャンネルをされていて、言葉にするのは難しいですが要チェックです。





栗原:僕は写真ですかね。2年ぐらい前にフィルム写真が出てくる映画を見て、すぐに感化されてフィルムカメラを探し、近くのカメラ屋さんに並んでいた中古のフィルムカメラを買いました。カメラを買ってから気づいたんですが、フィルム代が要る、そして現像代も要るということで、時代遅れのフィルム写真は36枚撮るたびに結構なお金がかかります。だから一枚シャッターを押すのにすごく勇気がいるんです。でもそのぶん記憶にも残りますし、いい写真が撮れたときの嬉しさはひとしおです。あと何よりフィルム写真って、なんか独特の味があります。これはスマホの加工では出ない味です。そんなフィルム写真の魅力にとりつかれている僕が撮った写真は、ちらほらバンドのアートワークにも使用していますのでよかったら見てみてください。

RELEASE INFORMATION

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ジッカ「そうです、ちがいます」
2025年9月17日(水)

試聴はこちら

PROFILE

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ジッカ
2023年、神戸市で結成した。
新免(G)、栗原(B)、長澤(Dr)。
メンバー全員で作詞作曲を担当している。

実家を出て活動中。

LINK
オフィシャルサイト
@zicca_band
@zicca_band
@Zicca2023
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