SENSA

2025.09.24

GLAYのJIROとLITEのJunIzawaによるツインベースバンド、CONTRASTZ誕生! 対極のバンドのふたりが作り出す「ポップ」に迫る

GLAYのJIROとLITEのJunIzawaによるツインベースバンド、CONTRASTZ誕生! 対極のバンドのふたりが作り出す「ポップ」に迫る

GLAY・JIROとLITE・JunIzawa。二人のベーシストによるツインベースバンドCONTRASTZから1stアルバム『CONTRASTZ』が届けられた。
緻密に構築されたトラックのなかで、2本のベースが絡み合い、独創的なコントラストを生み出していく本作は、ジャンルの枠を超え、既に明確なオリジナリティを確立している。互いの音楽のバックグラウンドが感じられること、変拍子を交えたアレンジをポップに響かせるセンスなど、様々な角度から楽しめるのもこのバンドの魅力だろう。
両者の出会いは10年以上前。キャンプや登山などプライベートで交流を深めてきたというJIROとIzawaはなぜ音楽を共に生み出すことになったのか? そのプロセスと本作『CONTARASTZ』の制作についてじっくりと語ってもらった。


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とても居心地がいいし、すごく話しやすい先輩(Izawa)

─お二人の出会いは2006年。フォトグラファーの橋本塁さんの写真展が出会いの場所だったそうですが、その後はどんな交流があったんですか?


Izawa:コロナの前までは、お互いのライブを観に行ったり、年に2〜3回くらい飲んだりしてましたね。あと、GLAYのファンクラブの取材で一緒にキャンプに行かせてもらったり。

JIRO:キャンプマスターとしてIzawaくんに来てもらいました(笑)。

Izawa:全然マスターじゃないですけどね(笑)。それも飲みの席の会話がきっかけだったんですよ。「最近キャンプにハマってるんですよね」って話したら、「じゃあ、今度一緒に行かない?」って。

JIRO:そうだった。けっこうキャンプがきっかけだよね。

Izawa:はい。釣りやコーヒーもそうなんですけど、僕が趣味として始めたことを既にJIROさんがやっていたり。そこから少しずつ、いろんな話をするようになった感じですね。とても居心地がいいし、すごく話しやすい先輩なんですよ。もちろん雲の上の人なので、最初の頃は「失礼があっちゃいけない」という感じもあったんですけど、プライベートなところで繋がって、だんだん友達になれたというか。

JIRO:僕は後輩との関わりがあまりないんですけど、Izawaくんはミュージシャンとしてすごくリスペクトしていて。とんでもないレベルと音楽を突き詰めてる印象があるし、憧れしかないというか。しかも僕やGLAYに対しても興味を持ってくれて。ライブに呼んだときも「ここがよかった」って的確に言ってくれるし、音楽的にもすごく信用できる人なんですよ。

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─音楽の話もしてるんですか?


JIRO:音楽の話は車のなかが多いかな。キャンプとか釣りに行くときって、目的地に着くまでに1時間とか2時間かかるんですよ。大体は僕がIzawaくんをピックアップするんですけど、自分のなかで流行ってる音楽をかけると、Izawaくんが「カッコいいですね」って反応したり。

Izawa:音楽の話もそうだし、JIROさんの考え方だったり、「どういうスタイルで生きているのか」みたいなこともちょっとずつわかってきて。そういう話ができたのもよかったですね。

─ここ数年は、JIROさんご自身もベースと改めて向き合う時期だったそうですね。


JIRO:そうなんですよ。それまで触れてなかったR&Bなども聴くようになって。Izawaくんと車に乗ってるときのBGMも明らかに変わってきたよね?

Izawa:そうですね。僕もR&Bやソウル、ファンクはちょっと触るくらいだったんですよ。ロックやハードコアから始まって、その後はジャズに傾倒していったので、JIROさんが車でかけてる曲がすごく新鮮で。

JIRO:僕が聴いてるR&Bはグラミー賞を取るようなメジャーなアーティストなんですけど、Izawaくんにとっては新鮮だったみたいで。音響やミックスもしっかりしてますからね。

Izawa:面白いですよね。僕自身も作曲とミックスを一緒にやることも増えているので、勉強になってます。

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曲が送られてくるたびに、ゲームをクリアしているような感覚だった(JIRO)

─なるほど。そうやって交流を深めてきたお二人が、CONTRASTZとして活動することになったのはどうしてなんですか?


Izawa:僕のソロ活動がきっかけだったかもしれないですね。LITEは海外と日本の両軸で活動していたんですけど、コロナ禍によって、まったく海外に行けなくなって。しかも円安が加わって、渡航費も上がってしまい、結果的に活動の土俵が日本だけになったんですよ。コロナが少し落ち着いてからも、新たにファンとの関係性を強くするためにLITEで各地を回り直すのが難しかったこともあり、「1人で修業を含めて活動してみよう」と。

─それが"JunIzawa"名義の活動につながった。


Izawa:そうです。ソロ活動のコンセプトの一つに"新しいつながりを作る"というのがあって。LITEでは関わることがなかったアーティストとコラボしたいと思っていたし、それは今も続けているんです。JIROさんはずっと応援してくれて、ライブにも来てくれて。「俺もコラボしてみたい」と言ってくれてもいたので、「とりあえず遊びで一曲作ってみますね」と伝えてデモを一曲作って送ったら、すぐに「いいね」って言ってくれて。まずは遊びの延長みたいな感じで誰にも知らせず2人で始めたのが最初ですね。

JIRO:LITEの活動が思うようにいかなくなって、ソロ活動を頑張っていて。ちょっとおこがましいかもしれないけど、協力したいなという気持ちもあったんですよね。「コラボしてみたい」と言ったら、すぐに曲が送られてきて、それがめちゃくちゃカッコよくて。そのトラックにベースを入れて送り返して、そこから制作が始まっていきました。

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─「JIROさんと一緒にやるなら、こういう感じの曲がいい」というイメージがあったんですか?


Izawa:いや、最初はなかったですね。ツインベースでやるのって、やっぱり制約が多いんですよ。ベース2本をしっかり柱にするためには、音数は少なくないといけないし、焦点を絞ることが必要で。最初に送った曲は「このデモで遊んでみません?」みたいな感じだったんです。そこにJIROさんがベースを入れてくれたんですけど、それが僕からは絶対に出てこないフレーズであり、音色だったんですよ。そこで「これは面白いぞ」と。試しに1曲作るというところから、次の次元に向かうポイントだったというか、「1曲だけの企画じゃなくて、もっと曲を作ってみたいです」と提案させてもらって。

─JIROさんとしても当然、ベーシストと一緒にやるバンドは初めてですよね。


JIRO:初めてですね。当初は「どういうふうに昇華していけばいいのかな」って試行錯誤してたんですよ。最初に送ってもらったデモはアルバムに入っている「PIGEON」という曲になったんですけど、それが完成する頃には次の曲が送られてきて。ベースを入れて送り返して、またやり取りして......という工程を繰り返しているうちにどんどん曲が増えていったんです。Izawaくんのデモには「JIROさんのパートはこんな感じのイメージです」というサンプルのフレーズが入っていたので、それを自分の解釈で変換していって。プレイヤーに徹することができたので、作業としてはラクをさせてもらいましたね(笑)。どの曲もすごくよかったし、LITEのIzawaくんもすごいけど、個人のミュージシャンとしてもこんなにすごいんだなってビックリしました。

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─もちろんGLAYの制作とも違うでしょうし、JIROさんとしても新鮮だったのでは?


JIRO:そうですね。GLAYは「まずはやってみましょうか」ということが多いんですよ。プロデューサーの亀田誠治さんが監督みたいな立場で、みんなで演奏して。「この方向性、いいね」「このまま本番でいいんじゃない?」みたいなノリで作ってるんですけど、Izawaくんのデモは設計図がしっかりしてるんですよ。細かいところまできちんと作られているので、最初は「(ベースのフレーズによって)どこまで外していいんだろう?」いうのがわからなくて。デモのやり取りをしているなかでIzawaくんがリアクションしてくれるので、「なるほど、この外し方はよしとしてくれてるんだな」というのがだんだん見えてきたというか。

Izawa:「PIGEON」の次に作ったのが「UNITE」なんですけど、しばらく経ってからJIROさんが「『UNITE』」のベースを弾き直ししたい」と言ってくれて。音色だけじゃなくてフレーズも全部変えてくれたんですけど、それってバンドっぽくないですか?

─確かに。


Izawa:もともと自分としては「JIROさんにこういうベースを弾いてほしい」という要望みたいなものはなくて。絵でたとえると、絵具や材料を用意して、何を描くかはJIROさんに全部任せていたんですよ。

JIRO:とは言いつつ、Izawaくんが入れてくれたフレーズがすごくいいからね。これはIzawaくんにも言ってなかったけど「このまま活かしたほうがいいな」と思ったことがあって。それがあまりにも難しくて弾けなかったんですよ(笑)。しょうがなく途中で休符を入れたんだけど、仕上がってみるとそれがいいフックになってて。曲のグルーヴにもつながっているし、結果的によかったです(笑)。

Izawa:え、どの曲だろう?

JIRO:(笑)僕としては曲が送られてくるたびに、ゲームをクリアしているような感覚だったんですよ。1面をクリアするのにすげえ時間がかかって、2面はさらに難しくなって。4面は意外と簡単だったり(笑)、「次はどんなステージかな?」って攻略していく感じというか。特に変拍子の曲は難しかったかな。普段やり慣れてないし、「どこが頭で、どこに着地するの?」っていう。完成した曲を客観的に聴くとしっかり辻褄が合ってて、Izawaくんの頭のなか、どうなってるんだろう?って思ってました。

Izawa:ハハハ(笑)。

JIRO:しかも聴感上はマニアックな印象がなくて、聴きやすいんですよ。これがIzawaくんのポップスなんだなと。

Izawa:確かに今回のアルバムは、変拍子を多めに使ってるんです。今JIROさんが言ってくれた自分にとってのポップスにつながるんですけど、JIROさんが変拍子のベースを弾いてるって、キャッチーじゃないですか。僕のなかのポップスって、聴いてる人の気を引くことだと思っていて。普通に曲が流れていて、「ん?」って引っかかりたり、もう1回聴き直したくなるっていう。そういうキャッチーさ、エンタメ感が欲しいんですよね。それもあって変拍子が多くなったのかなと。

JIRO:それにしても難しいけどね。Izawaくんと話してて「こんなに難しいフレーズはLITEでもやらないですね」って言われて、「え、カンベンして」って(笑)。

Izawa:(笑)特に1stシングルの「KONTRAST」は複雑かもしれないですね。アルバムの7曲のなかで最後に出来た曲なんですけど、GLAYの東京ドーム公演(『GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE』/5月31日、6月1日)で、JIROさんのオープニング映像で使ってもらって。

JIRO:HISASHIから「オープニング映像の音楽はそれぞれ用意しましょう」と提案があって。ちょうど『CONTRASTZ』の全曲が出来上がったてたから、映像監督に音源を渡して、「合う曲を使ってください」と。それで選んでくれたのが「KONTORAST」だったんですよ。Izawaくんのスラップベースが東京ドームに鳴り響きました。

Izawa:まだ誰も聴いたことがない曲だったので、1人で震えてました(笑)。

ライブは曲がもっと増えてから考えます(Izawa)

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─アルバム1曲目の「BLESSING」はどんなイメージで制作された楽曲なんですか?


Izawa:JIROさんに「1曲だけじゃなくて、プロジェクトにしたい」という話をしたときに「7曲でアルバムにしたい」ということも言ってたんです。少しずつ曲が揃ってきたなかで、アルバムの1曲目として作ったのが「BLESSING」だったんですよ。祝祭、祝福感を表現したいと思っていたんですけど、JIROさんが曲名も決めてくれて。

JIRO:アルバム制作の最後のほうに作った曲なので、自分のタイム感みたいなものが出てるかもしれないですね。Izawaくんの演奏に比べると、僕のフレーズはわりと音符が長めで。二人の温度差が出ているのもいいのかなと。

Izawa:「BLESSING」はJIROさんのベースがめっちゃ歌ってるんですよ。もちろんどの曲も歌ってほしいんですけど、曲を作っていくなかで、どんどんJIROさんの味付けがしっかりしてきて。「BLESSING」は音の伸び方がすごく気持ちいいです。

─「YARD」も二人のベースの絡みが気持ちいいですね。


Izawa:「YARD」ではラテンをやってみたくて。そのままやっても面白くないから、自分なりのラテンなんですけどね。

JIRO:ラテンというキーワードは聞いてなかった気がします(笑)。もし聞いてたとしても、その意見はあえて拾わず、まずは自分ありにアプローチしたと思いますけど。

Izawa:そうですよね。今思い出したんですけど、最初に「PIGEON」と「UNITE」を作って、その後に作ったのが「YARD」と「CLOCKWISE」だったんですよ。そのあたりでJIRO
さんのベースのスタイルが変わってきて。CONTRASTZでのプレイを見つけたんじゃないかと思ったし、そういう意味で「YARD」は一つのポイントだったかもしれないですね。あくまで僕の感覚ですけど。

JIRO:さっきも言いましたけど、やり取しているなかで少しずつわかってきたんだと思います。Izawaくんが提示してくれるベースラインは僕にはないリズム感、フレーズ感だったし、それを自分なりに解釈することでだんだん見えてきたというか。

Izawa:そうやってコミュニケーションを取れたのもよかったと思います。JIROさんは「Izawaくんがしっかり作り上げてくれて」みたいに言ってくれるんですけど、僕としてはJIROさんのプレイによって、「次はこういう曲にしたい」という発想が出てくるんですよ。なので2人で作ってる感覚が強いですね、僕のなかでは。

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─まさにバンドですね。アルバムの7曲目は「ALTZ feat.ホリエアツシ」。ホリエさんをボーカルにフィーチャーしたのはどうしてなんですか?


Izawa:お互いにつながりがあったんですよ。僕はFULLARMORというバンドを一緒にやってたし、JIROさんはTHE PREDATORS(の初代ドラマー・ナカヤマシンペイ)を通してストレイテナーと接点があって。僕とJIROさん、ホリエさんと飲んだこともあるし。

JIRO:そうだね。

Izawa:「ALTZ」に関しては、最初から歌を入れたいと思ってて。「ホリエさんはどうですか?」とJIROさんに連絡したら、すぐに「いいね」ってことになり、LINEでホリエさんにオファーしました。

JIRO:ホリエくんが歌ってくれることが決まってから、いい曲になるイメージしかなかったですね。

Izawa:絶対によくなることはわかっていたし、想像以上の曲になりました。

JIRO:ボーカルのレコーディングはホリエくんがいつも使ってるスタジオだったんですけど、それもよかったんですよ。普段はデータでやり取りしてたから、みんなで集まって録音したことで余計に感動しちゃって。

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─Izawaさんのミックスにも個性があって、本当に聴き応えがある作品だと思います。CONTRASTZというバンド名はどうやって決めたんですか?


Izawa:JIROさんに任せました。

JIRO:制作面では頼りっぱなしだったから、それ以外のことで貢献したいなと(笑)。いろいろ考えたんですけど、LITEとGLAYはかなり対極のところにいるなと思って。その二人が一緒に音楽をやるって、コントラストの差が激しいじゃないですか。僕は写真も趣味なんですけど、その分野でもよく出てくる言葉だし、二人だから「CONTRASTZ」はどうだろうと。Izawaくんに「どうかな?」って言ったら、すぐに「いいですね!」ということになりました。

Izawa:即決でしたね。

JIRO:アルバムのタイトルが『CONTRASTZ』『CONSTARTZ2』ってつながるのも昔のバンドみたいでいいなって。そこからロゴを決めて、アーティスト写真を撮って......という流れですね。

Izawa:JIROさんが決めてくれるって、豪華ですよね。

JIRO:いやいや。

Izawa:バンドの名前やロゴのデザインによって、楽曲のテイストだったりバンドの見え方が明確になって。お互いのイメージが近かったのもよかったですね。

JIRO:そうだね。お互いのバンドのイメージもあるし、たとえばLITEの井澤惇がビートルズの『サージェント・ペパーズ(・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド)』みたいな恰好してるのは違うじゃないですか。Izawaくんがさっき言ってた「GLAYのJIROが変拍子の曲を弾いたらキャッチー」というのもそうだし、お互いのバンドのことを理解しているも大きいと思います。

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─CONTRASTZの今後の活動についても聞かせてください。アルバム『CONTRASTZ』を聴くと、「ライブを観たい!」と思ってしまいますが......。


JIRO:その前に次の曲がもう送られてきてます(笑)。

Izawa:2曲くらい作りました。ライブに関しては、まだ曲数が少ないかなと。まずは7曲作って、アルバムを完成させられたことにはホッとしてるんですけど、自分としてはCONTARASTZのコンセプトはまだまだ突き詰められないと思ってるんですよ。

JIRO:新しい曲もめちゃくちゃカッコいいしね。アルバムの曲とはまたちょっと違うテイストで。

Izawa:やりたいこともまだまだあるので、もう少し曲を作っていきたいなと。ライブは曲がもっと増えてから考えます。

取材・文:森朋之
撮影:YOSHIHITO KOBA

RELEASE INFORMATION

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CONTRASTZ「ALTZ feat. ホリエアツシ」
2025年9月24日(水)
Format:Digital

Track:
1. ALTZ feat. ホリエアツシ

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CONTRASTZ「CONTRASTZ」
2025年10月29日(水)
Format:Digital / CD (品番: CNTZ-0001)

Track:
1. BLESSING
2. PIGEON
3. UNITE
4. YARD
5. KONTRAST
6. CLOCKWISE
7. ALTZ feat. ホリエアツシ

LINK
オフィシャルサイト
@ContrastzO
@contrastz_official
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