SENSA

2025.05.20

過去と未来の間で踊る乱反射の一夜「Reflections」開催記念──Nolzy×Kazuki Ishida(First Love is Never Returned)対談

過去と未来の間で踊る乱反射の一夜「Reflections」開催記念──Nolzy×Kazuki Ishida(First Love is Never Returned)対談

GOOD BYE APRIL、Nolzy、First Love is Never Returnedの3バンドによる共同企画スリーマンライブ「Reflections」が5月25日(日)に東京・GRIT at Shibuyaで開催される。GOOD BYE APRILとFirst Love is Never Returnedの両バンドと交流があったNolzyが「この2組と過去・未来の間で踊れる夜を作りたい」と提案をして、共同で開催されることになったこのイベントは、寺尾聰が1981年に発表した名盤から引用した「Reflections」というタイトル通り、ノスタルジーに浸りながらも、光り輝く未来を感じられるような一夜になるだろう。そこでSENSAではNolzyとFirst Love is Never ReturnedのKazuki Ishidaによる対談を実施。両者が共有する1990年代感と2020年代感の同居、スタイリッシュさと泥臭さのバランスは、そのまま現代のJ-POPの一側面を映し出してもいる。

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ラブネバには自分じゃない人が出すひとつの正解をもらった

─NolzyくんとFirst Love is Never Returned(以下、ラブネバ)の出会いは昨年2月に渋谷で開催された「FEAT. by FRIENDSHIP.」だったそうですね。


Nolzy:僕はもともとラブネバをすごく聴いてたんです。「Twenty-Twenty」が出た頃ぐらいに、同じヒップランドのFRIENDSHIP.で配信されてたのもあって、共通のスタッフさんがインスタで紹介してるのを見て、自分も聴いたら凄くいいなと思って。

─特にどんな部分に惹かれましたか?


Nolzy:コロナ禍以降はボカロ文化がどんどんメインストリームになっていって、90年代と今のJ-POP感って、メインストリームの軸がだいぶ違ってきてると思うんですよね。僕は子どもの頃から聴いてた90年代のフィールに馴染みがあって、それこそラブネバの曲("夜的平成浪漫")の歌詞じゃないですけど、カーステレオから曲が流れてくるみたいな世界観が自分のバックグラウンドとしてもともとあるので、メインストリームが変わっていく面白さもあるけど、同時に寂しさみたいなものもどこかにあったんです。

─なるほど。


Nolzy:新しいものもちゃんと吸収しつつ、もともとのバックグラウンドにある「これキュンとするよね」みたいなものとどうやって融合したら、今っぽさと懐かしさが両方あるものを作れるかを考えながら音楽を作ってきたなかで、ラブネバには自分じゃない人が出すひとつの正解をもらったような気がして、同時代にそういう人たちがいてくれる心強さを感じたんです。シーン自体はどんどんネット文化の方に寄ってる感じがあるから、そのなかで懐かしいことをやるのはただの懐古主義になるんじゃないかとか、自分のなかでの葛藤もあるなかで、同じ志を持って、古き良きと今を組み合わせようとしてる。そこがラブネバを好きになったポイントで、だから仲良くなりたくて、声をかけました。

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─Ishidaくんから見たNolzyくんの印象はいかがですか?


Ishida:僕たちはずっと札幌にいて、FRIENDSHIP.さんでリリースしていただくところから本格的なキャリアがスタートしていくんですけど、最初の時点ではゼロの状態で、ただ札幌でこじんまりとやってるバンドだったんです。一方でNolzyくんは改名前の名前でやられてるときからヒップランドの推しのアーティスト的な感じに見えたし、それまで札幌で育った僕たちからすると、「ソロでやってて、サウンドの完成度がすごく高くて」みたいな人はいちばん出会ったことがないカテゴリーの人だったんです。その後に僕らもFRIENDSHIP.のプレイリストにちょこちょこ入れていただいて、東京でのイベントが決まって、僕たちからするとプレイリストのなかでしか会ってなかった方たちと初めて会う機会だったんですよね。僕はどちらかというとNolzyくんに対して、インテリジェンスがあって、ちょっと冷たいイメージを勝手に持ってたんですけど(笑)、すごくフレンドリーに話してくれて、そこでイメージが大きく変わりました。でもやっぱりライブを観るとすごくて、実力者のバンドのみなさんを引き連れているあの形も、僕らにとっては今まで観たことないものだったので、驚きました。

─「FEAT. by FRIENDSHIP.」は9月にも東阪で開催されていて、昨年は合計3回対バンしているわけですが、お互いのライブの印象はいかがでしたか?


Nolzy:最近のいわゆるシティポップ系のバンドって、すごく洗練されてて、スタイリッシュだなと思うんですよね。僕はすでにキャリアがそこそこあって、弾き語りでフォークシンガーみたいに活動している時期があったり、ロックバンドとして活動している時期があったり、割といろんなシーンの中にいたことがあるんですけど、そういう自分からしてもシティポップはおしゃれすぎてちょっと入りづらいというか、「僕なんか」ってなっちゃう自分がどこかにいたりして。でもよくよく考えると、例えば、山下達郎さんも吉田美奈子さんが作詞してる曲とかは都会のきらびやかさとか洗練されたイメージがあるけど、『僕の中の少年』ぐらいから、達郎さんが自分で作詞をするようになると、かなり内省的な歌詞だったりもするんですよね。サウンドはグルーヴィーでキラキラしてるんだけど、そこに都会で暮らす若者の孤独、一人の人間の孤独とか、劣等感みたいなものが入ってたりする。

─そこには自分の表現とのリンクも感じられたと。


Nolzy:そう考えると、反骨精神やロック的な精神性も本来シティポップにはあるから、そこをちゃんと継承するというか、ただおしゃれなだけじゃなくて、そこに泥臭さとか、ある種のダサさもありつつ、それも踏まえてのかっこよさとか、きらめきみたいなものを打ち出していくことが、本質的なシティポップといえるかなと思って、そこもラブネバのライブがすごくヒントになったんです。今っぽさもあるし、おしゃれでもあるんだけど、ちゃんとロックのフィールとか、熱血的な部分もある。ロックバンドのかっこいい部分と、洗練されたスタイリッシュなサウンドの融合点として、すごくいいバランスのライブをやっていて、自分のライブを形作る上でも一個の指針になりました。

─そこはラブネバの出自と関係していて、もともとIshidaくん自身はブラックミュージックが好きだけど、当時の北海道のライブハウスシーンにはよりロック的なバンドが多くて、ラブネバ自体もロック寄りの時期があり、でもそこからそれこそシティポップのブームの影響もあったりしながら、今のスタイルを作り上げていったわけですよね。シティポップのスタイリッシュさと、ロックの熱さのバランスについて、今はどう考えていますか?


Ishida:おっしゃっていただいた通りのテーマを抱えながら今までやってきたんですけど、これはおそらくバンドのメンバーのなかでも一人ひとりちょっと考え方が違っていて。ざっくり言うと、綺麗に演奏するのか、そういうところをちょっと削ってでも、エモーショナルな方に傾けるのかって、ある意味矛盾してるじゃないですか。だからこれまではメンバーのなかでもその部分の食い違いがあったりもして。ただ、いろんなバンドと対バンするようになって思うのは、「負けたな」みたいに思うのって、やっぱり両方の要素が完成度高く入ってるときなんですよね。だから「熱く行こう」とか「冷静に行こう」じゃなくて、全部ひっくるめてやるのがいちばんいいのかなって。

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─バンドの場合はそういうメンバー間のある種のズレみたいなものが逆にパワーになったりすることもありますよね。今のNolzyくんみたいに、フロントマンがしっかりいて、そこに対してサポートの人たちががっちり合わせていく強さももちろんあるし、「FEAT. by FRIENDSHIP.」ではバンドとソロのそれぞれの強さを見せてもらった印象があります。


Nolzy:この一年サポートメンバーはほぼ固定でずっとやってきて、しかもMEMEMIONっていうバンドをまるっとサポートにしてる形なんです。ライブだけじゃなくて、制作もほぼそのメンバーとずっとやってるので、ソロアーティストではあるんだけど、ある種バンドっぽい部分も出てきて。最初は「自分とサポートの人たち」っていう感じだったのが、だんだん融合されてきて、「この鍵盤の人はこういう気持ちでステージに立ってるから、そこもちゃんと尊重して出したい」みたいなことを考えると作戦も広がるし、熱量も上がっていくんですよね。自分が思っていなかったNolzyらしさみたいなもの、一緒のメンバーとライブをやってきたからこそ見えてきた部分が、今はすごくあるなと思います。

「自分が繋ぐしかなくね?キューピットになるしかなくね?」みたいな(笑)

─「Reflections」は3組の共同企画ですが、発案者はNolzyくんなんですよね。


Nolzy:ずっとシンパシーを感じていたラブネバと対バンできて、あの日は楽屋も一緒だったし、お互い照れながらも弄りあったり、あと大阪の「FEAT. by FRIENDSHIP.」の帰りにYujiさんとふたりで夜の大阪を散歩したりもして、すごく距離が近づいた感じがしたので、またいつか対バンしたいなと思っていて。で、GOOD BYE APRILはもうすごい長い付き合いなんですけど、最初に出会ったのが弾き語りの対バンで、倉品(翔)さんの声がちゃんと80年代の声がしたっていうか、当時のレコードにしか刻まれてない帯域みたいなものが瑞々しく感じられて、そのときも自分から声をかけたんですよね。それはもう10年ぐらい前の話なんですけど、声をかけずにはいられなかった感じとか、でも最初から「ウェーイ!」みたいな感じじゃなくて(笑)、恥じらいもありつつ、徐々に距離を詰めていく感じとかが、倉品さんと出会ったときと、ラブネバと出会ったときと、自分のなかで重なったんです。

─Nolzyくんにとっては、10年ぶりの感触だったと。


Nolzy:時代が変わっていくなかで、ちゃんと当時のときめきをそのままに、今の香りに進化させてるって、僕のなかで唯一くらいに感じてたのがGOOD BYE APRILとラブネバで、だからこの2組は絶対いつかどこかで対バンすると思ってたんですよ。でも倉品さんとこの前飲んだときに、倉品さんもラブネバをめっちゃ聴いてて、「いつか対バンしたいと思ってるんだけど、なかなかつながりとかチャンスがなくて」みたいな話を聞いて、「これは自分が繋ぐしかなくね?キューピットになるしかなくね?」みたいな気持ちになり(笑)、やっぱり僕もそこにいたいと思ったんです。僕の勝手なイメージとしては、GOOD BYE APRILの方が80年代っぽくて、ラブネバの方が90年代っぽいところがあり、僕は80年代と90年代の両方の要素を含めて音楽をやってるから、接着剤的なポジションにもなれる気がして、それで声をかけさせてもらいました。

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─Ishidaくんは声がかかって、どう感じましたか?


Ishida:「FEAT. by FRIENDSHIP.」に出させてもらって、Nolzyくんと仲良くなれたのはすごくありがたかったんですけど、作っていただいたイベントを飛び出して、個人で企画したイベントで一緒になることは僕ら東京ではあまりなくて。唯一去年Emeraldと一緒にライブをやらせてもらって、今も関係性が続いてるんですけど、そういうなかで今回Nolzyくんから誘ってもらえたのはすごく嬉しかったです。なおかつ、そこにGOOD BYE APRILさんがいて、去年リリースされたアルバムは普通にリスナーとして聴いてて、すごくいいなと思っていて。まだ直接お会いしたことはないんですけど、1ファンとしていつかライブを実際に観てみたいと思っていたので、今回ご一緒できるのがすごく楽しみです。

─「Reflections」は寺尾聰さんのアルバムタイトルから取ったそうですね。


Nolzy:アルバムから引用する以前に、僕のなかで「Refelction」っていう言葉が先に来てたんです。ラブネバはロックもシティポップもいろんな要素を持ってるし、GOOD BYE APRILのみんなもロックバンドをやってた時期があったり、洋邦問わずいろんな音楽を聴いてる人たちで、僕も含めてこの3組は混ぜてる感じっていうか、ミクスチャー感みたいなものがすごくあって。でも「ミクスチャー」って言っちゃうと、ちょっとヒップホップ味が強いというか。

─ロック×ヒップホップみたいな。


Nolzy:その文脈もあるから、ロック的なミクスチャーじゃなくて、ポップな方向のミクスチャーをひと言で表せる言葉がないかと思ったときに、ときめきとかきらめきみたいなものが反射して、いろんな光が混ざり合って、新しい輝きを生むっていうことでいうと、「Reflections」の方が、いろんなものを融合してポップを作ってる今回の3組に適したワードなんじゃないかと思って。で、そういえばこれは80年代の名盤のタイトルでもあるなっていうところで、ノスタルジーみたいなものとも自分のなかで繋がったんです。

─Ishidaくんはシンガーとしてのルーツの話になったときに、日本人じゃなくて、海外の人の名前が挙がることが多いと思うんですけど、80年代とか90年代の日本の音楽はどの程度ルーツにあるんですか?


Ishida:おっしゃっていただいた通り、僕のルーツは海外にあるので、日本の、その時代の音楽はすごく詳しいわけではなくて、僕以外のメンバーの方が詳しいと思います。ただあるときに自分のなかのトレンドで、それこそプレイリストつながりじゃないですけど、80年代や90年代の音楽を聴きまくってた時期がありました。当時のアイドルさんを聴いて、「こういう人たちが作ってたんだ」みたいなことを知ったり。

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─それこそGOOD BYE APRILのプロデュースをしてる林哲司さんだったり、「ルビーの指輪」で作編曲をしてる井上鑑さんを知ったり。


Ishida:そうですね。作詞家さんとかもそうですけど。

Nolzy:ちなみにいちばんルーツの人は誰なんですか?

Ishida:本来はこの世にもし邦楽しかなかったら、音楽やってないかもっていうタイプで、青春時代は完全に100%洋楽でした。邦楽はその後に意識して掘っていくようになった感じではあるんですけど、誰だろうな......でもやっぱり、松田聖子さんとか、あの当時の楽曲を作ってた作詞家さんや作曲家さんは全部すごいなと思います。

─ラブネバは歌詞も90年代感あるじゃないですか。「それが恋だと言ってくれ!」はトレンディドラマが題材だし、「夜的平成浪漫」には途中でNolzyくんが言ってくれた〈カーステレオ〉が出てきて、クルマのCMを幸せの尺度として使ってる感じも今逆にすごく新鮮に感じます。あの90年代感、平成感はどこまで意識しているものなのでしょうか?


Ishida:それはサウンドが大きいですね。たとえば、サウンドが夜のドライブで聴くような、シティポップ調の曲だったら、クルマをテーマに歌詞を書いてみよう、みたいな。ただ、サウンドとか頭のなかのイメージが80年代とか90年代だったとしても、メッセージというか、ストーリーは2025年バージョンにしていて。だから、当時の音楽をリアルタイムで聴いていて、30〜40年経った方たちにも届くように歌いたいし、当時を知らない今の人たちには、レトロ文化みたいな形で受け取ってもらえたらいいなって。

Nolzy:そこはめっちゃシンパシーを感じるところですね。「夜的平成浪漫」とは逆で、新作の「僕らの行進曲」で使ってるワードは2020年代でしかありえないけど、でもそこから描かれる情景みたいなもの、歌詞の切り取り方とか広げ方に90年代のJ-POPっぽさがあるなと思っていて。僕も〈アマゾン〉を歌詞に入れたり、「#それな」みたいなことを書いたりするんですけど、「80年代だったらスマホじゃなくてポケベルだったのかも」みたいな、時代を象徴する単語を入れることで、そこから普遍的な人の気持ちとか、時代が変わっても変わらないものを逆説的に言う、みたいな手法をよく使っていて、それはIshidaさんの歌詞からも感じていたんです。当時を知ってる人は懐かしく思えるし、今の若者のリアルとしても響く。両方あるのがいちばんキュンとくるので、すごくシンパシーを感じる部分ですね。

みんなの「好き」が増える夢が叶う夜

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─今の歌詞の話は、Nolzyくんの新曲の「fit感」もまさにそうですよね。


Nolzy:インスタのリールとかTikTokでコーデが上がってきて、自分も真似したいと思っていろいろやるけど、最終的には毎日意識高くコーデを考えるのは面倒で、やっぱりちょっとズボラになっちゃう。でもそういうことを繰り返して、楽して外に出てもなんかいい感じだねってなるところを、ちょっとずつ見つけていくものじゃないですか。そういうふうに生き方も、気軽な感じで、悩みすぎず、さらっと自分なりのfit感を見つけられるといいなって。これって要は普遍的な「自分探し」みたいなことを今っぽいワードで表現したもので、TikTokとかをリアルに見てる世代にも伝わると思うし、自分の親世代にとっては、使ってる言葉には馴染みがなかったとしても、言ってることはずっと変わらないものだよな、みたいな受け取り方になったらいいなって。

─〈悩める僕らなりに着こなした「今」がある〉という着地は、きっとどの世代にも響くものですよね。


Nolzy:あと前に出した「Outsider」っていう曲があって、生きづらさとか疎外感を前面に押し出して歌いつつ、それをおしゃれなサウンドに乗っけることで生まれる歪さ、ちぐはぐなカッコよさみたいなものを目指したんですけど、やっぱり「Outsider」っていう言葉が強すぎるから、歌詞の面でもおしゃれさと泥臭さをもうちょっといいバランスで探したいなと思ったんですよね。なので、「fit感」はある種「Outsider」の進化系というか、自分の軸にある部分がより多くの人に伝わるように、このタイミングで改めて勝負曲として届けたいと思って作った曲なんです。

─「Reflections」の3日後には、ラブネバの新作『POP OUT! Ⅲ』もリリースされます。


Ishida:僕たちはコンセプトを決めて作品を作るわけじゃなくて、次に出る一曲をただひたすら追いかけて、走り続けてきて、『POP OUT! Ⅲ』もその流れのなかでできた作品です。ただ去年はより多くのプレイリストのなかで必要とされる曲であってもらいたいっていう、それをひとつのテーマにずっと走り抜けてきたんですけど、そのなかでいろいろフィードバックもあって、ここからより多くの人に聴いてもらうために、今までとはひとつ隣のチャンネルに切り替えて作ってみようと思って、それでできたのが「挿入歌」で。

Nolzy:シティポップ的な文脈も「夜的平成浪漫」とかでまだあるけど、「挿入歌」を聴いて、ライブハウスからホールやアリーナに行こうとしてる感じがしたんです。今までは早耳リスナーに届くもの、刺さる部分を感じる曲が多かったけど、「挿入歌」はback numberとかと並べてもJ-POPとして聴けるような、メロディーの強さとアレンジのスケールを感じて、一リスナーとしてすごく興奮しました。この先のラブネバのストーリーが見えてくるような曲で、振り返ったときに、「挿入歌」がこの方向性の起点だったよねってなるような曲だなって。

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─同感です。さっきIshidaくん自身が言ってくれたけど、ちょっと前まではプレイリストを意識していて、もちろん今もそれはあるかもしれないけど、去年はライブで実際にその曲たちを演奏する機会が増えて、「こういう場所でどういう曲が響くだろう?」みたいな視点がより強くなってきたなかで、新しい曲が生まれてるのかなって。


Ishida:本当にそうですね。あと最近すごく思ったのが、自分の身近な人、それこそチャートインする曲しか聴いてないとか、好きなアイドルさんの曲しか聴いてないとか、そういう人たちがどんな曲だったら聴いてくれるのかなって。そういう人たちは今のニューカマーのカッコいいアーティストさんたちの曲は全然聴いてなくて、多分聴いてもいいとは言わないんだろうなと思ったりもして。そこへのアプローチの仕方って、きっと今までとは全然違う。でも今までの流れもちゃんと残したいから、楽曲ごとにチャンネルを変えつつ、でも作ってる人間は変わらないから、きっと共通する部分はあるはずなので、そういう思いでやっていきたいなと思ってます。

Nolzy:薄々思ってたことではあるんですけど、「チャートインしないと聴かれない」っていうのがまずあるなと思ってて、逆に言えば、「一回チャートインしたら他の曲もたくさん聴かれる」みたいな、その格差がすごい時代にどんどんなってるというか、トップテンに入ってるっていう安心感とか信頼感みたいなものがより大きくなってる気がして。それって「食」でいうと、常連さんしか入れなさそうな路地裏の店って、確かに美味しそうではあるけど、でもわざわざそこに行くより吉野家の方が安心感はあって、絶対美味しいものが食べられる信頼感があるから、結局吉野家をループしちゃうみたいなことにもちょっと通じるのかなって。どんなにいいものを作ってたとしても、まずはチャートインしないと聴かれない。逆にいえば、一回チャートインしちゃえばそのなかでは結構遊ぶことができる。そう考えると、僕も別のチャンネルみたいなものを見つけるトライアルをしたいなって、今の話を聞いてすごく思いました。

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─では最後に、イベント当日に向けてひと言ずつもらえますか?


Ishida:まず誘っていただいたNolzyくん、本当にありがとうございます。きっといい夜になると思うんですけど、そのためにもまずはその日を担うバンドのひとつとして、自分たちがちゃんと期待に応えて、それでより楽しいイベントにできたらなと思います。

Nolzy:ラブネバとGOOD BYE APRILが対バンして、願わくばそこに自分もいたいっていうのは、結構前から思ってたことなんです。リスナーとしての観点で見ても、この日に来たら3組全部のファンになれる要素があると思うので、それをちゃんとみんなに持ち帰ってもらえたら、本当の意味で夢が叶う瞬間だと思っていて。ラブネバ目当てできたけど、GOOD BYE APRILも好きだなとか、Nolzyもいいなとか、そういうことがそれぞれのファンの間で起きて、新しく好きなものと出会える人たちがたくさんその場にいてくれたら、そのきっかけを作れたことが僕の人生にとっての超大きな糧にもなる。そういうみんなの「好き」が、それぞれのバンドにとっても、それぞれのバンドのファンの人たちにとっても増える一日になってほしいし、その夢が叶う夜になるような気がしています。

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取材・文:金子厚武
撮影:小畑ちひろ

LIVE INFORMATION

Reflections
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2025年5月25日 (日)
東京 GRIT at Shibuya
チケット:¥4,500 (税込 / ドリンク代別)
出演:GOOD BYE APRIL / Nolzy / First Love is Never Returned

チケット一般発売中!
https://eplus.jp/reflections/

企画制作:株式会社ディスクユニオン / HIP LAND MUSIC / HEiLO RECORDS
お問い合わせ先:各アーティスト問い合わせページより

LINK
Nolzy
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First Love is Never Returned
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