2025.04.30
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。Vol.233は、音大・藝大の出身者4人が集結したKhamai Leonを取り上げる。
ライブハウスやフェスでの活動のみならず、ジャズやクラシックの要素を取り入れた企画や即興演奏など、バックグラウンドを活かした柔軟な表現を続けている。このたびリリースされたEP『風の谷』はディスカッションしながら制作された、個性溶け合う意欲作。ライブの進化にも繋がっていきそうだ。

それぞれ大学が一緒だったり、地元が一緒だったりして、不思議な縁で繋がってる仲間たちです。全員が同世代で、音大・藝大出身なんですけど、バンドを始めたのは大学を卒業してからです。
赤瀬楓雅(Dr):僕はもともとジャズをやっていたっていうのもあって、ジャズのアーティストだったり、バンドで言ったらHiatus Kaiyoteからはすごい影響を受けてて、バンドでの制作にも反映してるなと思いますね。
米光椋(B):日本で言ったら最近サカナクションはよく話題に出ますね。去年出させていただいたフェス「ONE PARK FESTIVAL」のトリがサカナクションで、みんなでステージ裏から見たりしたのもやっぱり大きかったし、すごく刺激を受けました。
beja(Key/G):クラシック音楽の作品じゃないですかね。今回リリースしたEP『風の谷』の中にもその影響がいくつかあって、たとえば「放春花」っていう曲の冒頭には、ロシアの作曲家であるストラヴィンスキーの「春の祭典」の冒頭のメロディーを引用してます。それ以外にも多くの作曲家からの影響がありますね。
この《in Chamber》では、過去にリリースした楽曲を、メンバーそれぞれのルーツとなる楽器や表現にフォーカスした編成で再構築しています。bejaはピアノ、赤瀬はドラム、米光はコントラバス、尾崎はフルートとボーカルといった具合に、それぞれの個性と音楽的バックグラウンドが活かされる編成で演奏する企画です。
これは私たちの強みのひとつだと感じていて、ライブハウスでのエネルギッシュなパフォーマンスに負けないくらいの強度を持ったステージになっていると思います。
また、最近の活動としては、2025年3月に刺繍作家のポム・ジキータさんの個展にて、インスタレーションのような形で展示音楽を制作し、さらにライブでは即興演奏による空間演出にも挑戦しました。こうした活動からもわかるように、バンドという枠にとらわれず、柔軟にさまざまな音楽表現ができる4人組という点が、私たちKhamai Leonの注目していただきたいポイントです。
最新作『風の谷』は、前作までの制作スタイルと大きく変化した部分として、全ての楽曲の作曲者名義が Khamai Leonに統一されている部分です。
これまでは、メンバーそれぞれが作ってきた楽曲に対して、飾り付け程度のアレンジを各メンバーで行う形で曲作りを行なっておりましたが、今作ではそれぞれ、楽曲の根幹の部分からメンバー全員で作曲に携わりました。
コード進行やメロディーの微妙な調整・精査も4人で意見を突き合わせて、「自分たちの個性はどこなのか」「この曲のこういう部分を参考にして、アレンジをしよう」などの話も多くありましたし、それぞれが自分の出す音に対してより積極性が生まれたのではないかな、と感じております。
尾崎:全部フェスやん!(笑)。
米光:あとはフィーチャリングなんかにも積極的に挑戦していきたいなと思っています。
尾崎:大きな目標としては、いつかホール公演で、普段のKhamai Leonのバンドセットと、先ほどの《in Chamber》の編成を、2日連続でやることが夢です。
僕たちはクラシック音楽にルーツがある分、ホールで演奏するということにすごく馴染みがあって、以前に大橋トリオさんのホールツアーを観に行ったとき、ホールの響きと自分たちの音がどう混ざるのか、すごく想像が膨らみました。それは必ずしも生音だけではなくて、マイクを通しても響きが活きる空間なので、自分たちの音楽をホールという場で鳴らしてみたいという気持ちがすごくあります。
とにかく、今は曲をたくさん作って、いろんなステージに立ちたいですね。僕たちは楽曲制作はもちろん、レコーディングやミックスも自分たちでやっているので、その分フットワークが軽くて。そういった制作面での自由度を活かしながら、これからも柔軟に様々な活動をしていけたらと思っています。
料理って、作曲とすごく似ているところがあるんですよね。素材を組み合わせて、自分の感性で仕上げていくプロセスが近いというか。そういう「作る」という行為そのものが、音楽以前に自分の中にある感覚かもしれません。

赤瀬:僕は、最近だと「写真」や「美術」に強く惹かれています。音楽は耳で聴くものですが、視覚的な刺激と結びつけて体験をつくることに興味があって、音楽においてもライブや作品を「総合芸術」として捉えたいという感覚があります。将来的には「匂い」に関する表現、たとえば香水やお香などを取り入れて、五感で音楽を体験できる場を作れたらと思っています。

米光:僕はキャンプと出会ったことをきっかけに、自然との関わりにとても惹かれています。もともと海も森もすごく好きで、自然の中で過ごす時間が自分にとってとても大切です。頻繁に行けるわけではないですが、キャンプには毎回楽器を持っていって、自然の中で演奏しています。とても気持ちが豊かになりますし、音楽とも深く結びついている感覚があります。

beja:旅と温泉が好きです。温泉って私たちの意志に関係なくそこに湧いていて、でも人々はそれに癒されている。旅先で見る風景なんかもそうです。そういったコントロールできない自然の力や現象、その下で生きる動物としての人間の感情、生活や文化......みたいなものからすごくインスピレーションを受けています。電車に揺られながら詩集を読むのも好きですし、あえて自然の風景を無視してネットサーフィンしまくるのも好きです。めちゃくちゃ秘湯を攻めるときもありますよ。

たとえば、赤瀬が写真をやっているので、その展示に音楽を合わせるような形で、視覚と聴覚が交差するような企画をやってみたいなと思っています。それがKhamai Leonとしてやるのか、個人の活動としてやるのかはまだわかりませんが、展示+音楽という組み合わせはとても面白いと思っています。
他にも、銭湯でのライブなど、空間そのものと音楽が交わるような体験にも興味がありますし、そういった「カルチャーとカルチャーのミックス感」のある企画には、すごく惹かれます。
個人的には料理や釣りが好きなんですが、最近はあまり釣りに行けていないので、行きたいなと思っています(笑)。そういった日常の中にあるカルチャーと音楽をどう絡めていくか――みたいな視点は、これからも大切にしていきたいです。
僕ら4人はそれぞれ好みが違うけど、カルチャー全般に対してすごく興味があるタイプだと思っていて。なので、音楽以外のジャンルとも自由に交差していくような活動をこれからも積極的にやっていきたいと思っています。


Khamai Leon「風の谷」
Digital Release:2025年4月30日(水)
CD Release:2025年5月7日(水)
試聴はこちら

2025年5月19日(月)
東京・新宿MARZ
w/ トリプルファイヤー
2025年6月9日(月)
名古屋・ K.Dハポン
w/ Trooper Salute
2025年6月10日(火)
大阪・LIVE SPACE CONPASS
w/ Enfants
https://t.livepocket.jp/t/khamaileon2025tour

Khamai Leon
尾崎勇太(Vo/Fl)が率いる4人組バンド。
2022年4月、尾崎、beja(Key/G)、米光椋(B)、赤瀬楓雅(Dr)の4人体制とし活動をスタート。
クラシック、ロック、ジャズ、ヒップホップなど多様な音楽ジャンルを吸収した、実験的かつ有機的なサウンドを武器にメインストリームとアートの狭間で変幻自在に変化し続ける。
メンバーそれぞれが音大・藝大にて教育を受ける中で育んだ大胆な展開と繊細なアレンジ、予測不能なサウンド、そして唯一無二のボーカル表現が特徴。
2022年5月に1stアルバム『hymn』リリース。
2024年5月に2ndアルバムとなる『IHATOV』をリリース。
そして2025年5月に1st EP『風の谷』をリリースする。
趣味は温泉旅行。
@khamaileon_info
@khamaileon.info
@khamaileon8872
FRIENDSHIP.
ライブハウスやフェスでの活動のみならず、ジャズやクラシックの要素を取り入れた企画や即興演奏など、バックグラウンドを活かした柔軟な表現を続けている。このたびリリースされたEP『風の谷』はディスカッションしながら制作された、個性溶け合う意欲作。ライブの進化にも繋がっていきそうだ。

活動を始めたきっかけ
尾崎勇太(Vo/Fl):もともとKhamai Leonはインストバンドとして活動し始めたんですけど、1stアルバム『hymn』を出して以降は、今の形の音楽をやってます。それぞれ大学が一緒だったり、地元が一緒だったりして、不思議な縁で繋がってる仲間たちです。全員が同世代で、音大・藝大出身なんですけど、バンドを始めたのは大学を卒業してからです。
影響を受けたアーティスト
尾崎:バンドとしてよく言ってるのは、いくつかあるけど......RADIOHEADですかね。彼らの実験精神からはすごい影響を受けてるなと思います。赤瀬楓雅(Dr):僕はもともとジャズをやっていたっていうのもあって、ジャズのアーティストだったり、バンドで言ったらHiatus Kaiyoteからはすごい影響を受けてて、バンドでの制作にも反映してるなと思いますね。
米光椋(B):日本で言ったら最近サカナクションはよく話題に出ますね。去年出させていただいたフェス「ONE PARK FESTIVAL」のトリがサカナクションで、みんなでステージ裏から見たりしたのもやっぱり大きかったし、すごく刺激を受けました。
beja(Key/G):クラシック音楽の作品じゃないですかね。今回リリースしたEP『風の谷』の中にもその影響がいくつかあって、たとえば「放春花」っていう曲の冒頭には、ロシアの作曲家であるストラヴィンスキーの「春の祭典」の冒頭のメロディーを引用してます。それ以外にも多くの作曲家からの影響がありますね。
注目してほしい、自分の関わった作品
尾崎:Khamai Leonはさまざまな切り口で活動を展開していて、たとえばライブハウスでのバンドセットとはまた違ったアプローチとして、ジャズやクラシックの要素を取り入れた《in Chamber》という企画も行っています。この《in Chamber》では、過去にリリースした楽曲を、メンバーそれぞれのルーツとなる楽器や表現にフォーカスした編成で再構築しています。bejaはピアノ、赤瀬はドラム、米光はコントラバス、尾崎はフルートとボーカルといった具合に、それぞれの個性と音楽的バックグラウンドが活かされる編成で演奏する企画です。
これは私たちの強みのひとつだと感じていて、ライブハウスでのエネルギッシュなパフォーマンスに負けないくらいの強度を持ったステージになっていると思います。
また、最近の活動としては、2025年3月に刺繍作家のポム・ジキータさんの個展にて、インスタレーションのような形で展示音楽を制作し、さらにライブでは即興演奏による空間演出にも挑戦しました。こうした活動からもわかるように、バンドという枠にとらわれず、柔軟にさまざまな音楽表現ができる4人組という点が、私たちKhamai Leonの注目していただきたいポイントです。
最新作『風の谷』は、前作までの制作スタイルと大きく変化した部分として、全ての楽曲の作曲者名義が Khamai Leonに統一されている部分です。
これまでは、メンバーそれぞれが作ってきた楽曲に対して、飾り付け程度のアレンジを各メンバーで行う形で曲作りを行なっておりましたが、今作ではそれぞれ、楽曲の根幹の部分からメンバー全員で作曲に携わりました。
コード進行やメロディーの微妙な調整・精査も4人で意見を突き合わせて、「自分たちの個性はどこなのか」「この曲のこういう部分を参考にして、アレンジをしよう」などの話も多くありましたし、それぞれが自分の出す音に対してより積極性が生まれたのではないかな、と感じております。
今後挑戦してみたいこと
beja:フェスにたくさん出たいですね。あとは、サーキットフェスとかも呼んでもらえたら嬉しいです。尾崎:全部フェスやん!(笑)。
米光:あとはフィーチャリングなんかにも積極的に挑戦していきたいなと思っています。
尾崎:大きな目標としては、いつかホール公演で、普段のKhamai Leonのバンドセットと、先ほどの《in Chamber》の編成を、2日連続でやることが夢です。
僕たちはクラシック音楽にルーツがある分、ホールで演奏するということにすごく馴染みがあって、以前に大橋トリオさんのホールツアーを観に行ったとき、ホールの響きと自分たちの音がどう混ざるのか、すごく想像が膨らみました。それは必ずしも生音だけではなくて、マイクを通しても響きが活きる空間なので、自分たちの音楽をホールという場で鳴らしてみたいという気持ちがすごくあります。
とにかく、今は曲をたくさん作って、いろんなステージに立ちたいですね。僕たちは楽曲制作はもちろん、レコーディングやミックスも自分たちでやっているので、その分フットワークが軽くて。そういった制作面での自由度を活かしながら、これからも柔軟に様々な活動をしていけたらと思っています。
カルチャーについて
触れてきたカルチャー
尾崎:音楽以外で影響を受けてきたカルチャーについては、本や映画、YouTubeなど、いろんなものに日常的に触れているんですが、なかでも自分にとって大きいのは「料理」ですね。特にスパイスカレーを作ったり、ちょっと凝ったレシピでパスタを作ったりするのが好きです。ミュージシャンの中にもカレー好きは多いですが、僕もそのひとりで、時々ライブハウスでフードとして出すこともあります。料理って、作曲とすごく似ているところがあるんですよね。素材を組み合わせて、自分の感性で仕上げていくプロセスが近いというか。そういう「作る」という行為そのものが、音楽以前に自分の中にある感覚かもしれません。
赤瀬:僕は、最近だと「写真」や「美術」に強く惹かれています。音楽は耳で聴くものですが、視覚的な刺激と結びつけて体験をつくることに興味があって、音楽においてもライブや作品を「総合芸術」として捉えたいという感覚があります。将来的には「匂い」に関する表現、たとえば香水やお香などを取り入れて、五感で音楽を体験できる場を作れたらと思っています。

米光:僕はキャンプと出会ったことをきっかけに、自然との関わりにとても惹かれています。もともと海も森もすごく好きで、自然の中で過ごす時間が自分にとってとても大切です。頻繁に行けるわけではないですが、キャンプには毎回楽器を持っていって、自然の中で演奏しています。とても気持ちが豊かになりますし、音楽とも深く結びついている感覚があります。
beja:旅と温泉が好きです。温泉って私たちの意志に関係なくそこに湧いていて、でも人々はそれに癒されている。旅先で見る風景なんかもそうです。そういったコントロールできない自然の力や現象、その下で生きる動物としての人間の感情、生活や文化......みたいなものからすごくインスピレーションを受けています。電車に揺られながら詩集を読むのも好きですし、あえて自然の風景を無視してネットサーフィンしまくるのも好きです。めちゃくちゃ秘湯を攻めるときもありますよ。
今注目しているカルチャー
尾崎:最近はバンドの在り方そのものがどんどん多様になってきていて、音楽をただライブハウスで鳴らすだけではなく、空間のデザインだったり、服を作ったりと、いろんな形で表現をしているアーティストが増えてきているなと感じています。僕たち自身も、そういった「音楽の枠を越えた表現」にはすごく興味がありますし、いろいろと挑戦してみたいことも多いです。たとえば、赤瀬が写真をやっているので、その展示に音楽を合わせるような形で、視覚と聴覚が交差するような企画をやってみたいなと思っています。それがKhamai Leonとしてやるのか、個人の活動としてやるのかはまだわかりませんが、展示+音楽という組み合わせはとても面白いと思っています。
他にも、銭湯でのライブなど、空間そのものと音楽が交わるような体験にも興味がありますし、そういった「カルチャーとカルチャーのミックス感」のある企画には、すごく惹かれます。
個人的には料理や釣りが好きなんですが、最近はあまり釣りに行けていないので、行きたいなと思っています(笑)。そういった日常の中にあるカルチャーと音楽をどう絡めていくか――みたいな視点は、これからも大切にしていきたいです。
僕ら4人はそれぞれ好みが違うけど、カルチャー全般に対してすごく興味があるタイプだと思っていて。なので、音楽以外のジャンルとも自由に交差していくような活動をこれからも積極的にやっていきたいと思っています。

RELEASE INFORMATION

Khamai Leon「風の谷」
Digital Release:2025年4月30日(水)
CD Release:2025年5月7日(水)
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
1st EP「風の谷」release 2man tour『風の谷 - valley of wind -』

2025年5月19日(月)
東京・新宿MARZ
w/ トリプルファイヤー
2025年6月9日(月)
名古屋・ K.Dハポン
w/ Trooper Salute
2025年6月10日(火)
大阪・LIVE SPACE CONPASS
w/ Enfants
https://t.livepocket.jp/t/khamaileon2025tour
PROFILE

Khamai Leon
尾崎勇太(Vo/Fl)が率いる4人組バンド。
2022年4月、尾崎、beja(Key/G)、米光椋(B)、赤瀬楓雅(Dr)の4人体制とし活動をスタート。
クラシック、ロック、ジャズ、ヒップホップなど多様な音楽ジャンルを吸収した、実験的かつ有機的なサウンドを武器にメインストリームとアートの狭間で変幻自在に変化し続ける。
メンバーそれぞれが音大・藝大にて教育を受ける中で育んだ大胆な展開と繊細なアレンジ、予測不能なサウンド、そして唯一無二のボーカル表現が特徴。
2022年5月に1stアルバム『hymn』リリース。
2024年5月に2ndアルバムとなる『IHATOV』をリリース。
そして2025年5月に1st EP『風の谷』をリリースする。
趣味は温泉旅行。
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