SENSA

2024.09.13

思い通りにならない、それでも愛しい人生を肯定してくれる嘘のない轟音──フリージアン『歌葬』インタビュー

思い通りにならない、それでも愛しい人生を肯定してくれる嘘のない轟音──フリージアン『歌葬』インタビュー

すべての作詞を手がけるマエダカズシ(Vo)は、以前は逢マイミーマインズで、たなりょー(Dr)、隆之介(B)、MASASHI(G)はTHE BOSSS他での活動歴があり、さまざまな音楽キャリアを持つ4人が2021年にフリージアンを結成。彼らは、昨年1stアルバム『FREESIAN』をリリースしたとき、こう話していた「オーバーグラウンドに行くことを意識している」。
1年経って9月11日リリースの1st EP『歌葬』には、街のコンビニや結婚式場で流れていても遜色ないラブソングや、ドラマの主題歌や映画のエンドロールを今すぐ担うことのできるドラマチックな楽曲が詰め込まれている。逢マイミーマインズ時代から温め続けている曲も含め、情けなくて、悔しくて、思い通りにならない、それでも愛しい人生を轟音で肯定してくれるなにひとつ嘘のない珠玉の作品を作り上げた4人に話を訊いた。
11月16日にはキャリア最大規模となる渋谷クラブクアトロでのワンマンが控える。ライブハウスを飛び出し、最前線へと躍り出る準備を、彼らはもうとっくに終えている。


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「怪物」は今までに出したどの曲よりも、自分の本質に触れている曲やなって(マエダ)

─今回のEP『歌葬』は1曲1曲の密度の濃さや楽曲の幅広さ、楽曲からほとばしる感情、どれもが前作からさらに進化を遂げていて、まさにバンドが大きく羽ばたいていく時であることを感じさせます。4人が自分たちの殻を破りながら制作されたことを想像しますが、今作に向かう中でどんな変化がありましたか。


たなりょー:前作を作った時はまだあまり僕らの素性が知られていないというか、ミステリアスな存在でもありつつ、まったくの新人でもないという不思議なバランス感覚の中にいて。そのバレてなさみたいなことを楽しみつつ、前作は観念的なところでとにかくいい曲を作ろうって挑んでいたように思います。それからこの1年の活動を通して、お客さんにもバンドの輪郭がぼんやり見えてきて、その段階で遠慮せずシリアスなことも歌で言うようになったり強い曲も出していったら、自然とフリージアンの輪郭がはっきりしたというか。そこは1枚目のテンションとは違うところで、今回のEPは自分たちらしさがさらに濃くなったなとできあがってみて思います。

─EPですが全8曲。アルバムのような手応えがありますが、最初から8曲に決めていた?


マエダ:最初は6曲の予定で「青瞬」と「海から」はもともと入る予定じゃなくて。でも同時進行で曲の種というか、こういうリズムパターンの曲にしようとかみんなで作っていて、ある時、僕がめっちゃいい歌詞とメロディーを思いついて、それを持って行ったらみんな「めっちゃいいな!」ってなって。マネージャーにも送ったら「めっちゃいいじゃないですか!EPに入れましょう」って。

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─リード曲の「青瞬」と、アルバム中もっとも異彩を放っている新境地の曲「海から」が最初は入る予定じゃなかったことが、ただただ驚きです。


たなりょー:時系列的には、「蒼く染まって」がほとんどできた状態で、次に「怪物」ができた。「怪物」はコード進行もオケもなにもないカラッポのところから、カズシくんが久々に鼻歌から作った曲です。それを聴いた時に、EPのリード曲になるぐらいすごくいい曲だと思いました。それとは別に、僕が個人的にひとりでスタジオに入って、「今このテンポの8ビートが叩きたいんや!」っていうドラムをボイスメモで録って、みんなに送って、そこからできたのが「青瞬」です。現代のバンドとは思えないぐらい効率悪いやり方ですが(笑)。それにMASASHIがギターをつけてくれて。

MASASHI:ワンコーラス分、1分半ぐらいのドラムをくれたんですよ。それにこんな感じかなってAメロ、Bメロ、サビをざっと作って、「これどう?」って。

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─ものすごくさらっと言われていますが(笑)。


たなりょー:MASASHIはほんますごくて。それとは別にMASASHIも「このコード進行の曲が作りたい」っていうアイディアがあって、それが「海から」です。初めての試みだったんですけど、MASASHIがほぼ全部オケを作ってくれて。その時点でBGMになり得るものとしてすでに完成されてたから、6月9日の大阪ワンマンから、実はカズシくんの歌が入ってない「海から」のインストバージョンを僕らの登場SEにしてるんですよ。会場でShazamしてる人もいて、「あの曲何?出てこない」みたいな声もあったんですけど、その時はまだ存在していない曲で、『歌葬』がリリースされるまでお客さんは知らないという。

─「海から」は、マエダさんの歌い方も声を一切張っていなくて、曲調もロードムービーのような情景が浮かぶ抒情的な仕上がりです。今までのフリージアンの曲と違いすぎるのではという心配はなかったですか。


MASASHI:まったくなくて、なんとかなるって思ってました。なんかエエのを乗せるやろうと思ってたらちゃんと乗ったんで、ほらねと(笑)。

隆之介:その次のスタジオの時には、もうカズシが歌を作ってきていて。早かったな。

MASASHI:メンバーに聴かせるまでに、自分の中のオーディションを何度も勝ち抜いてきてる曲なんで。なんとかなるなって気がするんですよ。

隆之介:こっちはこっちで、持ってきたんやったらなんか意味があるやろ。なんかできるやろみたいな感じで、これがどうやったらフリージアンの曲になるかをめっちゃ考えるんですよ。

たなりょー:前作を作ったことで、メンバーそれぞれの作曲に対してのアプローチの仕方をみんなが信頼するようになったんですよね。曲の材料がどんな形であろうと、たとえばMASASHIがそのアティチュードで作曲に向かってくれるんだったら、隆ちゃんはそこにいいコーラスやベースでどう支えるかを、俺らも思いつかないような方法でやってきてくれるだろうなっていう信頼がある。それがたとえ突飛なものであっても。

隆之介:うん、結構チャレンジしたい。

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マエダ:僕も「海から」はいかに声を張らないかを考えました。もうちょっと高くいくメロディーがあったんですけど、それをすると声を張っちゃうから、それは却下で叫ばないほうにしました。そうじゃないとこの曲の邪魔になる。それもなんか面白くて、俺こういう歌い方もできんのやって。

MASASHI:このバンドをやってなかったら、「海から」みたいな曲は作ってないと思います。そういう、自分でも気がつかんことが起こるんですよ。俺、こんなことやれるんやって。こんないいフレーズを俺はまだ考えれるんやって。

─「怪物」と「青瞬」についても聞かせてください。「怪物」はライブで聴いたら確実に盛り上がって、お客さんが一緒に歌える曲ですね。そういうキャッチーな曲ですが、歌詞の〈なんて幸せな人たち〉という一節にはチクッとした皮肉も感じられます。


マエダ:なんか今って、SNS上でいかに過激なことを言うかとか、いかに人のことを馬鹿にするかみたいな風潮がある気がして。でも、「俺はそういうのはダメやと思う」ってSNSで発言することも、同じことをしていると捉えられますよね。ただ、僕としてはフラストレーションが溜まってないわけではなかったから、ミュージシャンなんやし歌の中で言うしかないっしょと思って。〈君の前ではカッコつけたいんだ〉と歌っているんですけど、ミュージシャンなんやからお客さんの前では、みんなの前ではカッコつけようぜって言いたくて。たとえステージを降りたらどんだけクズでも。それをSNSで発言するんじゃなく曲にしようと思ったからああいう歌詞になったし、でもやっぱり最後は〈ヒーロー見参!!〉って歌いたかったんですね。

─なるほど。


マエダ:僕としては「怪物」は今までに出したどの曲よりも、自分というものの本質にかなり触れている曲やなって。あんまりこういう、人を攻撃するようなことを言わんほうがいいよなと思って生きてきてたんですが、でもやっぱり歌の中では言いたいことを言おうっていう気持ちで作りました。その曲を「ニッポン放送 9月度オールナイトニッポン・プッシュ曲」に選んでもらえたことは自分としてはすごく嬉しくて。自分のちょっと汚いというか、あんまり外に出さんでもいい卑屈な部分とかを歌ってる曲が評価されたことはすごく嬉しいですね。

たなりょー:「怪物」ってすごくリアルタイムな曲だと思っていて。今の時代やから生まれた曲だと思うし、一枚目を作っている時の感触とは違うんですよね。前作は、自分らで言うもんでもないですけど、エバーグリーンな感じの曲が多いかなと思うんです。けど『歌葬』の曲、特に「怪物」は今の時代性みたいなものが漂う曲になっているなと思うし、それがこんなにすごくいい曲になっているのはメンバー的にも嬉しいですね。具体的なエネルギーがともなっているなぁって。

マエダ:1サビ終わりの"あーあ"が歌いたくて(笑)。あれをやるために作ったぐらいです。

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いまだにめちゃくちゃ青瞬のど真ん中にいる気がしてます(マエダ)

─歌詞に関して言えば、前作に収録の「悲しみの全てが涙ならば」をはじめフリージアンの曲はどれもリアルでまっすぐですが、『歌葬』の曲はより生身というか歌詞を通してマエダさんの内面や、マエダカズシという人間そのものがこれまで以上に曲に刻みつけられているように聴こえます。バンドアンサンブルの熱量やメロディーがそういう歌詞を引き出したともとれますし、逆もしかりなんだろうなと想像するのですが。


隆之介:前のアルバムが出てから、誰も現状維持ではいなかったんですね。ずっとなにかしら「超えてやるんだ」っていうのを、たぶん4人ともが思っていて。そういう中で今までとは方向性の違う曲がカズシから生まれたりして、じゃあどうやったらそれに寄り添えるかみたいなことを僕らは考えることができる。そうやってみんながサボらず作り上げたのが『歌葬』です。

マエダ:そのきっかけを隆さんとMASASHIがくれたんですよね。(前身バンドの)COSMOSからフリージアンになって最初に発表する曲を選ぶ時、僕が最初に推した曲と、隆さんとMASASHIが「これでいこう」って選んだ曲が違っていて。ふたりはCOSMOSがフリージアンになるなら、今までにないタイプの「仰げば尊し」をやったほうがいいってめっちゃ言ってくれたんですね。自分はその時、〈変わらないものがあるなら 何度だって変わってみせて〉(「フリージアン」)と歌ってるくせに、やっぱり変わるのが怖い自分もいて。だからふたりの意見にちょっと否定的で、「いやいや、今までの感じがいいんじゃない?」って。それをふたりがすごいゴリ押ししてくれたことがきっかけで、自分の中でもすごく背中を押されて。お前はいける。これまでと変わっても全然できる。みたいなのをその時に教えてもらったんですね。だから新曲を作るたびに、やっぱり自分の中のどこかに、「こんなこと書いたらこっ恥ずかしいな......」みたいな思いもあったりするけど、「いや、1回書いてみよう」って思うようになれた。そうなれたのは、フリージアンになったからやと思うんですよ。それは結構でかいターニングポイントでしたね。だから新曲を作るたびに新しい自分を発見するというか、「俺はこんなメロディーも作れるんや」という発見があったり、ちょっと恥ずかしいかなあと思うようなことでも、「もう書いちゃえ。作品やし、自分の気持ちやし」って捉えられるようになったんですよね。

隆之介:相乗効果ですね。カズシはそう受け取ってくれて今までと全っ然違う曲をバンと持ってきてくれるから、俺らもそれに乗っかってる。どうやったらいい曲になるかを必死に考えれるのがやっぱ楽しいんですよね。

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─リードトラックの「青瞬」はフリージアンの新たなアンセムといえる曲だと思います。〈俯いてばっかいらんないね〉〈牙向いてばっかいらんないね〉という歌詞には、今より青かった日々と、そこを経た現在との対比を感じます。その青かった日々も全部引き受けて、自分が今立っている場所からその先へ、自分の道を切り拓いていくという強い意志が曲全体にみなぎっています。


マエダ:バンドをやっているからかもしれないですけど、なんかいまだにめちゃくちゃ青春のど真ん中にいる気がしていて(笑)。これは大人の男としてどうなんだとは思ってるんですけどね。だから「青瞬」の瞬を「春」にしたくなくて。何歳になってもこういう瞬間ってあるよなって思うから瞬間の「瞬」がいいなって。この歌詞に出てくることって全部ほんまのことやし、実際にあったことやし、でも僕じゃなくてもあることやと思うんですね。

─はい。


マエダ:そういう思いがあるから、この曲がリード曲になっていろんな人に聴かれることで、どういう反応が返ってくるのかがすごく楽しいというか。僕からしたら「みんなもそうっしょ?」「君もそうだろ?」っていう感じなんですね。そういう人が聴いてちょっと楽になってくれたりとか、ちょっと頑張ってみようかなと思ったりできたら。もし「頑張らなあかんな」って思わせちゃったとしても、その人が「この曲を聴いたから頑張ろう」と思えたらめっちゃいいなと思う。この歌詞ができた時も俺ボロ泣きして、「めっちゃやばいのできた。めっちゃ自信あるんですよ」って最初にりょーさんに聴かして。そしたらりょーさんが「これは自信あるわ」って言ってくれて、良かったぁって(笑)。

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─(笑)


マエダ:やっぱり聴いてもらうまでは不安なんですよね。僕の中だけでめっちゃ最高で、3人の中で最高じゃなかったらどうしようみたいなのがいつもあるから。ラブレターを渡すときみたいな、「これ大丈夫かな?届くかな?」みたいなのはいつもあるんですよ。

隆之介:最初に聴いて、非常に強い曲ができたなと思いましたね。僕らはいろんな曲調ができるバンドですけど、この「青瞬」で出会ってほしいし、この曲をきっかけに聴いてくれる人が増えるのがいちばん嬉しいかもしれないです。それぐらいの、自信を持って世に出せる曲ができたなと思いました。

たなりょー:「青瞬」の歌詞に〈出会いと別れの散歩道〉っていう言葉が出てくるんですけど、あれはカズシくんがやってたバンド、逢マイミーマインズの「ミッドナイトウォーキング」の歌詞にある言葉で、僕がどうしても入れてほしいってお願いしました。7曲目の「月に咲く」の〈僕を歌ったら全部君のことだった〉という歌詞も逢マイミーマインズの「逢らぶゆー」の歌詞の一節です。僕は十代の終わりから二十歳の頃にこの曲をめちゃめちゃ聴いてて、どうにかその一節でもう1曲別の曲を作ってほしいってお願いしました。

マエダ:僕もそれ聞いた瞬間に、「めっちゃええやん、それしかないな」って(笑)。

たなりょー:僕が要らんことしいなんですけど、その同じ一節からこんなすごい曲を作れるんだって、やっぱり感動しましたね。

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─いい話です。最後に、EPの資料にタイトル『歌葬』に込めた思いが書かれていて、「8曲に込めた想い・決意・愛を"自らの歌で一度ここで葬り、また次に進んでいく"」とありました。バンドの覚悟のようなものを感じる一文ですが、これについて教えていただけますか。


マエダ:そうっすね。曲に敬意を込めてるわけなので、葬るといっても捨てるわけでもないし、連れていくけど、1回成仏をしてもらうというか。自分らでもっと大きいところに行くぞっていう覚悟というか......なんていうのかな?

たなりょー:僕もこの1年ぐらいでなんとなくわかったんですけど、僕の好きなバンドとかエバーグリーンな楽曲をずっとやっている先達の方々も、結果的に楽曲がエバーグリーンになっているだけで、その都度作品を作っている時は死に物狂いでその時と向き合ってきたと思うんですね。その時に怒ってたり悲しんでたり、幸せだったりとかの感情を、そつのない言葉じゃなくてむちゃくちゃリアルに書いてぶつけて。そういう気持ちとか全部歌に乗せて葬るぐらいの気持ちで出さないと、結果的にエバーグリーンなものってできないんだろうなって。それぐらいの覚悟というか熱量で歌を世に出さないと、自分が憧れてたものとか満足できる存在にはなれないんじゃないか。そういう意味で、 "歌って葬る"っていうのは捉え方によってはショッキングな言葉かもしれないですけど、それぐらいの気持ちがないとなって自然と思うようになりましたね。

マエダ:そっか。僕ら、演る側にとってはそういう意味合いもあっていいと思うし、聴く側の人にとっては、この作品を聴くことによって感情を成仏させていくというか。そうすることで次に行けるっていう意味合いに捉えてもらったらいいんかな。「聴いていたら、なんかあの時の感情が少し安らぐ気がするな」という気持ちで聴いてくれたらいいなと思いますね。

たなりょー:〈僕の隣で死んでくれないか〉って歌う最後の曲「お願いダーリン」に通じるとも思っていて。カズシくんはそういう幸せな時でも、最上級の熱意であったり情熱であったりを表現する際に「死」という言葉をフツーに使う人なので。

隆之介:使うよね、君は(笑)。

マエダ:葬るって言葉にインパクトがあるから、怖い意味だけにとらえられたらどうしようかなと思いつつも、『歌葬』というタイトルを思いついた時に自分ではすごくピンときたんですよ。

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僕はずっと「自分じゃない、自分みたいな人達のために歌を歌いたい」と言い続けている(マエダ)

─11月16日に行われる初の渋谷クラブクアトロワンマンが近づいてきています。ライブを控えてどんな心境ですか?


たなりょー:やったことのないところに常に行きたいなっていう思いはあって。今年大阪では6月9日に心斎橋JANUSでワンマンをやり、前回の東京ワンマンは下北沢BASEMENT BARでした。常に新しいことに挑みたい気持ちもあるし、東京で、日本のど真ん中でやるからには大きな会場を避けて通れないですよね。バンドとしては2枚目を出したところですけど、次はクアトロだって結構自然にそうなった気がします。

マエダ:まだ解禁していないこともたくさんあって、ちょっとずつ発表していけることがあったり、単に待っているだけじゃなく自分たちのやることをしながらその日に向かって行ってますね。その日々の中で、『歌葬』でフリージアンに出会ってくれる人もいるだろうし。僕はずっと「自分じゃない、自分みたいな人達のために歌を歌いたい」と言い続けているんですけど、この僕の歌を聴いて、僕じゃないのに「これは僕や」「この歌は私の歌や」って思ってくれる人がきっといるんやろうなと思う。そういう人でクアトロがパンパンになったら、会場を見ただけで泣くんちゃうかなと思って(笑)。それがすごい楽しみです。

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隆之介:うん、絶対素晴らしい空間になる気がする。僕の場合は、極論ですけどめっちゃ感謝の気持ちがデカくて。ワンマンが近づくにつれて、その環境を作ってくれたメンバーとかスタッフとか、お客さんみんなのおかげだなって。その気持ちでワンマンに向かえることが誇らしいですし、フリージアンを組んだ時に、そのクアトロの先の未来も見ることができたんです。いける可能性全然あるなって。だからそれも感謝ですね。

MASASHI:イベントでも2マンでも、ステージからお客さんを見てると、「みんなフリージアンのことをすごい好きなんやろうな」ってわかるんですよ。ワンマンって、その場にいる人みんながフリージアンを観に来てるわけやから、そういう人ばっかりなんですよね。好きなだけ曲もやれるじゃないですか?そんなん幸せすぎひんかと思いますね。

たなりょー:僕らって何かの界隈に属しているつもりもないし、仲の良いバンドはいるけど、「自分たちでシーンを作っていこうぜ」みたいな動きをしたこともない。いい意味でも悪い意味でもちょっと浮いたところにいるバンドだと思われてるやろうし、自分たちもそう思うんですよ。だからこそ、「この界隈にいるからフリージアンを聴く」とかじゃなく、ただただ「フリージアンが好き」と言ってくれているお客さんの気持ちの純度の高さをすごく感じるんですね。みんなが、「もっとたくさんの人にフリージアンが知られてほしい」と思ってくれてるのもすごく伝わる。11月16日は、そういう人たちの気持ちであったり、その気持ちが作った空間っていうのを肯定できる日にしたいなと思っています。

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取材・文:梶原有紀子
撮影:原田昴

RELEASE INFORMATION

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フリージアン「歌葬」
2024年9月11日(水)
Format: Digital
Label: フリージアン CD価格:¥1,818(税抜き)

Track:
1.夕暮れとオレンジ
2.青瞬
3.怪物
4.蒼く染まって
5.一撃の歌
6.海から
7.月に咲く
8.お願いダーリン

試聴はこちら

LIVE INFORMATION

フリージアン 「歌葬」発売記念 ミニライブ&サイン会
タワーレコード新宿店9Fイベントスペース
2024年9月14日(土)
13:00 START
出演:フリージアン
内容:ミニライブ&サイン会
※詳しい参加方法等は下記よりご確認ください
https://tower.jp/store/event/2024/9/055005f

FREESIAN ONEMAN LIVE 2024 -TOKYO-
2024年11月16日(土)
会場:SHIBUYA CLUB QUATTRO
OPEN 17:15/START 18:00
前売り:¥3,800 当日:¥4,500
イープラス
ローソンチケット
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