SENSA

2024.09.10

「結成から5年。もう後に引くつもりはない」POOLSが語る現在地、ネット世代の希望と葛藤──3rdアルバム『MEMET』インタビュー

「結成から5年。もう後に引くつもりはない」POOLSが語る現在地、ネット世代の希望と葛藤──3rdアルバム『MEMET』インタビュー

みきりょうへい(Vo/G)、いでの(G)が中心となり、2019年夏に京都で結成されたドリーム&インディーポップバンド・POOLSが、9月4日に約2年ぶりの3rdアルバム『MEMET』(メメト)をリリースした。いでのが生み出すワクワクとキラキラが混ざり合う轟音良質なポップネスと、みきのハイトーンボイス、内省的でありながら思わず共感してしまう歌詞。既発シングル6曲と新曲2曲を含むバラエティ豊かな全11曲が揃った今作は、ネット世代を生きるPOOLSであるゆえに誕生した1枚だ。今年1月にノダ(B)が脱退し、現在はサポートに佐野マリナ(Dr)とベーシストを加えた編成で活動を行なっているPOOLS。今回はみきといでのに、結成から音楽性の変遷、アルバム収録の最新曲や、9月に行われる自主企画イベント『night pools night vol.7』ついて、たっぷりと話を聞いた。

240826-18.jpg
コピーバンドでの出会いをキッカケに意気投合

─まずは結成の経緯からお聞きしたく思います。みきさんといでのさんは同い年ですか?


みき:同い年で、今年25歳になる年です。大学は別々だったんですけど、軽音サークルでグッドモーニングアメリカのコピーバンドのライブをする時にギタリストを探していて、いでのの高校の同級生が僕の大学の友達で、いでのを紹介してもらったのが最初の出会いです。そのライブの後に初めて2人でちゃんと喋って、音楽の好みとか、曲を作ってバンドをしたいという気持ちが一緒だなとわかって。「じゃあバンドやろうよ」と言って曲作りを始めて、友達やバンド仲間に誘われてライブハウスに出るようになって、少しずつPOOLSが形になっていきました。

─作曲は基本いでのさんがされているんですよね。学生の頃にも曲作りはされていたんですか?


いでの:「ちょっと作ってみようかな」ぐらいですね。ルーパーを使って家でひとりで遊んでました。

みき:いでのの家に押しかけて曲を作ったりしたんですけど、曲の種みたいなものをいっぱい持ってて、「こういうフレーズがあって、こういう曲を作りたいと思ってて」と色々聴かせてくれました。

240826-4.jpg

─そうしていちばん最初にできた曲が「Swimming」(2020年9月リリース 1stミニアルバム『SEA THROUGH』収録)で、そこからバンド名も生まれたと。


みき:「Swimming」が先だったかPOOLSが先だったかはあまり覚えてないんですけど......。

いでの:僕はバンドを組んだらPOOLSにしようと思ってました。マーベルの「DEADPOOL」というヒーローが好きで「POOLって可愛いな。バンド名に入れたいな」って。だから「Swimming」とPOOLはほぼ同時というか、POOLありきの「Swimming」だし、「Swimming」ありきのPOOLでした。

みき:初めて聞いた(笑)。その時は大文字の単語ひとつが可愛いねという話をしてて。当時DENIMSを聴いてたりしたので「その感じいいじゃん」と思ってすんなり決まりました。

240826-3.jpg
音楽性の変化と、変わらない「POOLSらしさ」

─お2人が共通して敬愛するのはSUPERCARとGalileo Galileiということですが、どういうバンドを組みたいといった構想はあったんですか。


みき:当時聴いていたHelsinki Lambda Clubみたいな音楽をやろうと始めたけど、最初にできた曲が「Swimming」だったので、ちょっとずつ曲に引っ張られて、多幸感のあるドリーミーな感じになっていって、どんどんいでのの趣味や流行も取り入れるようになっていきました。

いでの:今回のアルバムを聴いてもらったらわかると思うんですけど、その時に作りたい曲を作ってる感じなんです。1stミニアルバム『SEA THROUGH』だけは、全曲共通してシューゲイザーとドリームポップをやりたいという意思はあったけど、2枚目の『FROND』(2022年12月リリース)以降は、シューゲイザーとドリームポップは軸に置きつつも、ハイパーポップやHIPHOPの要素を入れて、作りたい曲を作っていて。なぜなら編曲すればPOOLSっぽくなるので。それこそ初期はSUPERCARとGalileo Galileiにめちゃくちゃ影響を受けていましたけど、僕のギターの音だけずっと変わっていなくて、割とウェットなギターの音で曲を作っていたら、POOLSらしさが確立されました。

みき:結局どんな曲をやっても、いでののギターも僕の声も特徴的だし、作ってしまえばPOOLSっぽさは出てくる。何でもありなバンドなんやろうなとは思います。

240826-11.jpg

─SUPERCARも、初期のシューゲイザーからエレクトロへと変化していきましたね。


みき:重ねてるわけじゃないけど、僕らも自然にそうなってる感じかな。

いでの:多分SUPERCARもやりたいことが変わってると思う。Galileo Galileiも初期はギターロックをやってたのに、2枚目のアルバム『PORTAL』から急にエレクトロサウンドをやり出して。

240826-13.jpg

─実験じゃないけど、自分たちがやりたいことを探していく過程のような感覚もあったりしますか?


みき:今回のアルバムは、それはめっちゃあると思います。アルバム内でもかなり変化があるし。僕らが2年間でやってきたことが、曲の見本市みたいな感じでとにかくバーっと並んでいて。曲順は繋がりをこじつけて気持ち良く並べてみたけど、1曲ずつ聴いてみると結構バラバラだから、今作は今までの2枚と比べても、幅の広いアルバムなのかなと思いますね。

─POOLSの音楽では女性コーラスも割と肝なのかなと思いますが、その辺りの意識はありますか?


いでの:それはSUPERCARの影響ですね。

みき:これまでベースとドラムに男性が入ったことはないですね。今はドラムのマリナさんがコーラスをしてくれてます。マリナさんは2020年頃に対バンをしてからPOOLSを気に入ってくれて、前のドラムが脱退したタイミングで声をかけて、3年ほど一緒にやっています。絶対に女性コーラスを入れるというのは、こだわりなのかもしれないです。

─コロナ禍でも精力的に活動をされていましたが、バンドを止めたくないという一心だったんですか?


みき:止めたくないというよりは、普通にバンド活動をやろうと思ったらコロナだったんです。その中でも「やれることをやるしかない」というのがあって。コロナが長引くぞとなってからは、止めるのが怖いなと思いましたね。忘れられたくなかったから、とにかく自分たちのペースながらも、1年に4枚音源を出し続けて。やっと結成から5年経ったんですけど、もう後に引くつもりはないです。

240826-6.jpg
POOLSの作詞・作曲事情

─音楽性の変化とともに、いでのさんの曲作りの方法は、初期の頃から変わったりしましたか?


いでの:最初はDAWをやってなかったので、弾き語りというかボイスメモでデモを作っていました。EP『NG』(2021年3月リリース)を出したタイミングでThe 1975にハマって「シンセ入れたいな」と思って、同期を使おうとなってPCで曲を作り始めました。最近変わったのは、今ベースもドラムも「この人にお願いしたい」と思う人にやってもらってるから、ベースラインやドラムアレンジをお任せして考えてもらうことが多くなりました。特に「wave」(2024年7月リリース)、新曲の「KICK-ASS」「あいまい」はメンバー脱退後に作ったので、サポートメンバーのアレンジが詰め込まれてます。

みき:今まではいでのが全部フレーズを打ち込んできて、それをみんなでちょくちょく変えていく形が多かったんですけど、今回はベースとドラムは最初に打ち込んで「あとは任せた!」ということが多かったです。「ここ頼むわ」というところを何とかしてくれるので、すごいなと思って。信頼心が芽生えてる感じがします。スタジオやバンドの雰囲気も良かったですね。

240826-8.jpg

─作詞はPOOLSの始まりの「Swimming」からずっと、みきさんが担当されていますね。


みき:高校生の時に友達がバンドしてるのを見て、言葉や音楽で表現してるのがカッコ良いなと思って。「自分もいつかバンドを組むんだ」と2~3年漠然と思ってる間に、「こういう言葉が気持ち良いな、綺麗だな。今こういうことを思ってるな」みたいなことをメモに書き留めるようになって。それが爆発したのが「Swimming」。今見たらやりすぎというぐらい詰め込んだけど、それが個人的には気持ち良かった。そこから自然に作詞したいと思って、今の今まできてますね。歌うのも自分やから、自分の言葉で歌いたくて。

─なるほど。


みき:今作のアルバムでは、作詞の意識もガラッと変わりまして。Aメロ・Bメロ・サビを意識して、とにかく噛み砕きやすい言葉やシチュエーションを想像するようになりました。

─最初は意識せずに書いていたんですか?


みき:最初は作詞と言ってもポエムの詩みたいなテンションで書いていたので、そこを歌っぽくしていこうと。試行錯誤しつつ、「KICK-ASS」や「short」(2024年3月リリース)を書いた時にやっと「こういうことがしたかったんだよな」と思えました。

─具体的にどういうことですか?


みき:「この曲ではこういうことが伝えたかったんだな」ということが、曲を通してしっかり伝わる。伝えたいことがスッと頭に入ってくるような歌詞を書きたいとずっと思っていたので、それが形にできて達成感がありました。

─普段、どういうものからインスピレーションを受けますか?


みき:小中学生の時、僕は漫画も読まずアニメも見ず、活字ばかり読んでたんですよ。今は活字も全然読めてないけど、たまに読むと「この表現素敵だな」と思う。そういうところから曲の核となる言葉を溜めていって、あとは自分の思うことを書いてる感じですかね。

240826-12.jpg

─曲ごとに核やキーワードを設定するんですか?


みき:「この言葉を使いたいから、このテーマでいこう」と思ってやってます。どんどん脱線していくこともありますけど(笑)。

─脱線したら修正しますか?


みき:直さない時もあります。「KICK-ASS」は直さなかったです。「もうそのままいってまえ!」と思って(笑)。

バズりたいし、記憶に残るバンドになりたい

─今回のアルバムタイトルは、インターネット上でコンテンツが広がっていく「meme」(ミーム)と、記憶を表す「memento」(メメント)を掛け合わせた『MEMET』(メメト)です。


みき:タイトルをつけたのは、いでのです。POOLSはずっとインターネットを意識した曲を作ってきて、「自分らはネット世代だ」と言って活動をしてきました。今はネットの中で喧嘩ばかりしてる時代で、そういうのを見ると僕は結構落ち込んだり腹が立ったりするんです。余計な言葉に惑わされたり、ニュースで強い言葉が流れてくると、心を痛めてしんどくなる。だから僕は、ネットに囚われずにリアルを意識していきたいなとずっと思っていて。でもネット世代やからネットは上手に使いたい。そういう葛藤もずっとありました。

─良い面と悪い面が、表裏一体ですもんね。


みき:POOLSというバンドはミームになってもいいと思うし、ミームは一過性のものやけど、そうじゃなくて、たとえばあの日の夏フェスで聴いたフジファブリックの「若者のすべて」が脳裏に浮かぶみたいな、自分や音楽の歴史の中で記憶になってる音楽にすごく憧れるから、POOLSもそういう存在になったらいいなという意味もあります。『MEMET』は「バズりたい」という気持ちもありながら、ずっと記憶に残るバンドにもなりたいという気持ちが混ざった意味合いなんじゃないかな。セルフ解釈なんですけど(笑)。

いでの:その通りです(笑)。あとは1枚目の『SEA THROUGH』も2枚目の『FROND』も造語だったので、今回も造語でキメたくて。今みきが言ってくれたんですけど、EP『NG』も「ネットジェネレーション」という意味なので、そこからの地続き感はありますね。最初はネットスラングでもいいなと思ったけど、造語じゃないから『MEMET』にしました。

240826-21.jpg
「面白いやんこのバンド」と思ってもらえる自信曲が完成

─既発シングルも収録される今作で、新曲の「KICK-ASS」と「あいまい」は、どのようにできましたか?


いでの:「KICK-ASS」は「流行る邦楽ロックみたいな曲を作りたい」という気持ちから、4つ打ちでちょっとラップ調の曲が欲しいなと思って作りました。それをリードトラックにしたかったので「リードトラック作るぞ」という気合いが入ってます。もう怒涛で終わります。

─「KICK-ASS」はメロもリズムも本当に気持ち良いですよね。ボーカルはいつ息継ぎしているのかなと思います。


みき:してないです(笑)。ほとんどブレスないですもん。ライブで結構困ってます(笑)。大体ライブでは「meme(ⅲ)」を入れて曲が始まるんですけど、めっちゃ心の準備をしてます。「始まる、始まる」って(笑)。もともとラップがそんなに得意じゃなかったので、相当練習しました。

いでの:僕は今まであまり歌詞に介入しなかったんですけど、ラップ調になるとリズムの入れ方がめっちゃ大事で、それは曲作りの管轄なので、過去イチ歌詞に介入してます。ちゃんとやらないと気持ち良く聴こえないし、言葉の意味が伝わらないので、耳ざわりが良いように歌詞を添削して、みきが歌詞を直す作業をしましたね。

みき:学校の先生みたいに「チェック! ここ気持ち良くない。何言ったかわからへん! 細かく直してきて」みたいな感じ(笑)。

いでの:「リードトラックにしたい、こいつに賭けるぞ」という強い気持ちで作ってるからね。

240826-32.jpg

─歌詞の内容はどう書いていかれたんですか?


みき:僕の中で、最初にBメロが降りて来たんですよ。〈君を惑わす不届き者は懲らしめたい〉と言いたくて。Aメロに〈脇役だったな〉という歌詞があって、大好きな女の子がいるけど、その子は別の人と一緒にいて「また今日もどっかで2人で遊んでるんだろうな」みたいな。でも彼女は「そんなんじゃないよ」と言うんですよ(笑)。なんならこっちは相手の愚痴を聞かされている立場で、「ひどい目に遭わされたら俺が助けに行くから」みたいなテーマにしようと思って。どんどんヒーローっぽくなって、最終的にダークヒーローみたいになりました。

いでの:結局、傍迷惑みたいな曲です。自信過剰な高嶺の花子さん。

みき:そう。多分相手からしたらそんなこと求めてなくて、ただの友達としか思われてなかったんだよねという、ちょっと切ない感じに仕立て上げました。

─実体験ですか?


みき:実体験じゃないです(笑)。

240826-27.jpg

─同名の映画がありますね。


いでの:タイトルはそこから取りました。「KICK-ASS」はスラングで「やっつけろ」という意味なんです。何の能力も持たない主人公がひょんなことからヒーローになるという映画で、内容が近いなと思ってつけました。

─本当に曲全体を通して、ずっとメロディーが良いですよね。


いでの:それはそうですね(にやり)。

みき:にんまりしてる(笑)。でもこの曲は2番のBメロ論争があって。2Bで急に音が変わるんです。イントロで邦楽ロックの王道みたいな入り方しといて、こんな落とし方する?みたいな。「ここまでやる必要あんのか」という論争を(バンドの)4人でして(笑)。結局「これが気持ち良いんだよ」となって、そのままいきましたけど。こだわりポイントというか、色んな音楽を聴いてる人がここを聴いたら「面白いやんこのバンド」となる要素のひとつかなと思います

240826-30.jpg
みき自身の想いが素直に表れた「あいまい」

─「あいまい」は、作詞作曲がみきさんですね。『FROND』収録の「ナイトクルージング」以来、2曲目ですか?


みき:はい。俺の出番です(笑)。

─この曲は歌モノですね。


みき:そうですね。いでのに「ちょっと早めのアンセムみたいな曲を作ってよ」と言われて、弾き語りでポンと持っていったのをみんなにアレンジしてもらいました。

いでの:デモとは全然違う曲になりましたね。

みき:いでのが「ちょっと重めにしたい」と言ってたから、音も重めでガンッと下げてます。

いでの:チューニングが唯一ドロップD(音をへヴィにする目的で用いられるチューニング)で、6弦だけ1音下げてる。

みき:そういうギミックをあまりしたことがなかったから、面白くて。完全に詞先で、珍しく自分のこと、自分が思ってることをたくさん文字にしました。いつも歌詞のもとになる出来事が自分の中にあって、そこ発信でフィクションを混ぜながら頭の中でストーリーを作っていくんですけど、この曲はそれが全くない。言ってしまえば「Swimming」を書いためっちゃ昔の自分が書いた歌詞みたい。内省的で、葛藤がすごく強い曲ですね。「ナイトクルージング」の時もそうですけど、何年も歌詞を書いていると「こういうことを書きたいけど、この曲では違うな」「1回書き上げてみたけど違うな」みたいなものが溜まっていくんですよ。それを出すなら「今ここだな」となったのがこの曲ですね。

240826-25.jpg

─「あいまい」でいちばん伝えたかったことは?


みき:冒頭の〈正直な方がいいに決まっている〉です。インターネットの話にも繋がるんですけど、僕は人の言葉に気持ちが流されることが多くて。芯がある人の言葉にすっげえ耳を傾けて「自分もそうじゃなきゃいけない」と思ったり、友達の言葉に惑わされたりした時期を思い出して書きました。だけどどこかのタイミングで、自分の軸は自分で作ってる。「人に干渉されるもんじゃないわ」と思って。友達だからって、言ってることが正しいわけじゃない。そう思えた時にやっと落ち込むことが減ったんですよね。Aメロの頭の部分はずっとあった歌詞で、どうしても入れたかったんです。

─イントロなしの歌始まりというのもメッセージ性が強いですね。


みき:そう、それもやりたくて。僕の中では「そこがサビだよ」ぐらいのイメージで作りました。

─実際のサビの歌詞は〈曖昧にしよう〉です。


みき:何もかもハッキリしてる必要がないなと最近思ってて。僕は物事に対して無理に興味を持とうとすることを、自分の中で負い目に感じてる部分も結構あって。「自分はこういうことを知らずに生きてきたな」とか「話についていけないことはよくないことなんだ」と思うのも、もういいやと(笑)。「自分は自分なんだから曖昧でもいいじゃん」という気持ちで書きました。だから自分に対しての歌詞ですね。その後も〈上手くいかないこととか/時間をかけて忘れて〉と言ってるけど、ダメだったことや良くなかったことは反省したらいいけど、別に引きずる必要もない。「スッと寝たら忘れるでいいじゃん」と思うようになってきた。僕の今の気持ちが詰まってるのかな。

─最後のシンガロングも印象的でした。


みき:ここは僕の中でクラムボンをやりたくて。クラムボンの「Folklore」で、真昼間のでっかい野外のステージでみんなで手を振ってる景色を思い浮かべて、「ああいう曲を作りたいな」とずっと思ってたんです。アルバムの最後に収録されるのもわかっていたので、今作のエンドロールにしたいなというのもありました。

240826-24.jpg

─「あいまい」もそうですが、今作収録の曲は尺が2〜3分と短いですね。


みき:どんどん短くなってる(笑)。

いでの:長い曲を作れなくなりました。

みき:「そのパートいる?」という掛け合いが多くなりましたね。

いでの:前作『FROND』の制作の途中で、Aメロ・Bメロ・サビみたいなフォーマットである必要がないんやなと思ったんですよね。それ以降、全てのパートや構成に意図を持って曲を作っています。逆に「あいまい」はみきが作ってるから、わかりやすい構成。

みき:僕はジャパニーズインディーが大好きだから、Aメロ来てBメロ来てサビ来て、「ああ、きてほしい流れ!」というのをやりたくて(笑)。今は、耳を持っていきたいところさえ意識すれば、Aメロ・Bメロはいらないなと。イントロもアウトロも長々とやらなくなりましたね。

いでの:逆にライブだと短い曲をわざと長くして、踊らせるパートを増やしたり。「リスナーの人がどうなってほしいか」という視点で曲を作るようになりました。

─なるほど。今作は自信作になったのではないでしょうか。


みき:1曲1曲シングルで出してたものがぎゅっと詰まってるから、聴きごたえのあるアルバムじゃないかなと思います。

─ミーム的な広がりが見えるような1枚にもなりました?


いでの:そうですね。

いつかナイトプールで『night pools night』をやりたい

240826-16.jpg

─9月13日(金)には心斎橋・Pangeaで、9月26日(木)には下北沢・近松でリリースパーティを兼ねた自主企画イベント『night pools night vol.7』が行われます。


みき:大阪編はSubway Daydreamと不眠旅行。Subway Daydreamはずっと仲良しなんですけど、意外と対バンできてない時期が長くて。この前ライブを見に行ったらとんでもなくカッコ良いライブをしてたので、やっぱりここぞという時に一緒にやりたいバンドだなって。

いでの:不眠旅行は僕の今年の「いでのバズ」。気に入った曲があるとずっとリピートして聴いちゃうんですけど、「可惜夜」という曲がめちゃめちゃ刺さって、移動中の車内でひたすら流してました(笑)。不眠旅行はポップスの中に滋賀魂というか、シューゲイザーやオルタナの心がある。僕らもポップな曲をやりながらたまにシューゲイザーを出したりするので、通じるところもあって、前から一緒にやりたかったんです。

─下北沢は、毎晩揺れてスカート、ライティライト、Norennが出演です。


みき:Norennは去年の11月にAIRCRAFTとコンピツアーをした時に出てくれた繋がりです。

いでの:毎晩揺れてスカートも「いでのバズ」で、「恋は不純」にドハマリして。ライティライトはよく名前を聞くなと。

みき:ライティライトはライブハウスで見た時に、すごくキラキラしたバンドやなと思って。「東京で良いバンドいますか」と知り合いに聞いたらライティライトの名前が出て、呼んだらあっさりOKくれて(笑)。毎晩揺れてスカートもライティライトも面識がなくてドキドキしてたけど、嬉しいです。すごく楽しみですね。

240826-14.jpg

─最後に、今後のPOOLSの展望を聞かせてください。


いでの:今作は結成5年目に出すアルバムで、決意の1枚です。僕は曲作りが好きなのでどんどん曲を作って、それがインターネットとかライブ関係なく広がればいいなと思いつつ。バズに賭けるのも良くないと思うんですけど、ネット世代の特権はインターネットがあることなので、1発バズがあればいいなと思いながら。5年もバンドをやって自力がついてると思うので、このまま関西の、いや日本のかっけえ先輩バンドになりたいですね。

みき:アルバムが出て、10段20段ぴょんっと飛べたらいいんですけど、そう簡単にはいかないから、1段ずつ上がっていくしかないのかなと。作りたい曲を作ってコンスタントにリリースしながら、未来投資というか、自分たちができることはやっていきたいです。いでのによく「インターネットを毛嫌いするな」と言われるんですけど、使えるところは上手に使って、もっと広める意識を持って音楽をやっていこうと。どんなお客さんにも「いいね」と言ってもらえるライブパフォーマンスに曲、それから自分を作っていけたらなと思ってます。あとは野外でワンマンライブしたいな。ナイトプールで『night pools night』をやりたいんですよね(笑)。

240826-15.jpg
取材・文:久保田 瑛理
撮影:長井桃子

RELEASE INFORMATION

MEMET_POOLS_jk_20240904.jpg
POOLS「MEMET」
2024年9月4日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP.

Track:
1.meme(ⅰ)
2.wave
3.short
4.HURRY
5.meme(ⅱ)
6.luv(2u)
7.YE
8.meme(ⅲ)
9.KICK-ASS
10.mp4
11.あいまい

試聴はこちら


LIVE INFORMATION

2024年9月13日(金)
心斎橋Pangea

2024年9月26日(木)
下北沢 近松


LINK
オフィシャルサイト
@poolsofficial1863

気になるタグをCHECK!