SENSA

2023.11.24

数多のトライアルを経て生まれた、様々な距離について歌う12曲──odolアルバム『DISTANCES』インタビュー

数多のトライアルを経て生まれた、様々な距離について歌う12曲──odolアルバム『DISTANCES』インタビュー

odolが、約2年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム『DISTANCES』を完成させた。

ミゾベリョウ(Vo)、森山公稀(Pf/Syn)、シェイク・ソフィアン(B)の3人体制となって初のアルバム。西田修大(G)、岡田拓郎(G)、大井一彌(Dr)、深谷雄一(Dr)など多彩なゲストミュージシャンを迎えて制作された。サウンド面でも、歌詞の面でも、様々なトライが結実した一枚だ。

11月15日のリリースに先立って、下北沢・風知空知にて11月5日に開催されたリスニング・パーティーで、ライター・柴那典がインタビューした模様をお届けする。


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僕たち3人の関係性も大きく変わったと思います

─僕はライナーノーツを書かせていただいたのでいち早く聴かせていただいたんですが、本当に力作だと思いました。


森山公稀:ありがとうございます。力作です。

─今回は1曲目から順に曲について聞いていければと思います。まず1曲目の「望み」はCMソングでもあり、すでに配信されている曲でもありますが、改めて自分たちにとってどういう曲になった感じがありますか?


森山:JR東海のテレビCMの楽曲として書き下ろしで作ったんですけど、そのときがちょうどコロナが落ち着くかな、みたいなときで。CMのコンセプトが『会うって、特別だったんだ。』というもので、そのキーワードと東海道新幹線のCMシリーズの文脈も意識しながら制作していました。「人と人が会う」というすごく広いテーマで、多くの人に伝わるようにという思いで、それまでと比べたらポップに開かれたものを意識的に作って。結果的に挑戦ではあったんですけど、すごく受け入れてもらった感じもあって。大切な曲になったと思ってます。

ミゾベリョウ:前回の『はためき』(2021年6月リリース)というアルバムはタイアップというか、オファーを受けて書いた曲が大半を占めていて。その集大成的な曲にはなっているのかなと思いました。

シェイク・ソフィアン:僕としては家族に対して「俺、この曲のベース弾いてるんだよね」って堂々と言えた曲というところがあって。親戚と接しやすくなりました。だからこの曲には感謝してます。

─2曲目の「幸せ?」はEP『pre』(2021年11月リリース)の収録曲です。『pre』は新体制になって初めてのEPでしたが、振り返ってこの体制になってバンドにどういう変化が生まれたと思いますか?


森山:変化だらけでしたね。僕たち3人の関係性も大きく変わったと思います。それまで5人とか6人とかいたんですけど、半分ぐらいに減って。なんとなく部活っぽい感じだったんですけど。今は兄弟みたいな感じというか。1週間ずっと一緒にいたり、一緒にご飯食べることも増えたんで。そういうふうに距離感が変化した部分もあるかなと思います。

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─EPからの約2年って 改めてどういう期間だったと言えますか?


森山:『pre』というタイトルが「何かの前」という意味で、これからまた新しいodolが始まっていく、その前夜として『pre』というEPを出したんです。メンバーの脱退はどうしてもネガティブに見えちゃうところもあって。これからodolがちゃんと続くのかなって心配になる気持ちも伝わってきていて。それで急いで3ヶ月くらいで作って、これから始まるよっていう意味を込めて『pre』っていうタイトルで出したんですけど。そこから2年間何も出さない期間が続いてしまって。焦りというか、早く出さないとみたいな気持ちもあったんですけど、新体制になってサポートミュージシャンの方と一緒に作るなかで、1曲ごとにいろいろ学びがあったので。それをちゃんと自分たちのなかで糧にできた2年間だと思います。

シェイク:『pre』の段階ではまだ3人体制になってのライブを全然やってなかったんですけど、リリース以降にライブをやる機会が何回かあって。そのなかで初めてギターの西田(修大)さんとか、ドラムの深谷(雄一)さんとか、そういう人たちと演奏する場面が増えて。僕としてはそこでバンドとして拡張したというか、メンバーのなかで完結するっていうそれまでのマインドから、いろんな人と関わることで楽曲が変わるんだという楽しさがライブを通してより強く感じられるようになったなと思って。なので制作はずっと並行して続けてたんですけど、後半に行くにつれて、「この人だったらこういうプレイしてくれるんだろうな」みたいな、外に向けた信頼関係みたいなのが得られるようになった。それは今までodolに無かった考え方とか価値観なので。この2年間、時間をかけたことはすごい有意義だったんじゃないかなって感じてます。

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─3曲目の「本当の顔」はアルバムの未発表新曲ですが、アルバムの制作は、いつ頃、どんな感じで始まっていったんですか?


森山:『pre』を作って、足掛かりみたいなものはあったんですけど、それから1曲ずつ作っていって、それでも「まだ足りないかも」みたいな感じになっていて。最後に「幽霊」とか「遠い街」とかがようやくできたことで、1枚のアルバムとしてリリースできるなっていうふうになったんで。アルバムを作り始めよう、みたいなタイミングはなかったですね。

─先ほども西田さんの名前が出てましたけど、アルバムはゲストミュージシャンが非常に豪華かつ幅広い面々で。それまでよりミュージシャンとの交流が増えたんじゃないかと思うんですが、そういう実感はありますか?


森山:まさにですね。いかに自分たちが内側に向いてたか、殻にこもってたかっていうのを、ひとり出会う人が増える度に実感して。バンドのなかで熟成していくのもそれはそれでかっこいいなと思うんですけど、結果的にそうせざるを得なくなったことで、いろんな風が入ってくるのもめちゃくちゃ楽しいなって感じられました。

─「今日も僕らは忙しい」はドラムが印象的な曲ですが、この曲のモチーフはどういうところから書いていった感じなんですか?


森山:これは大井一彌っていう、yahyelやDATSのメンバーでもある、僕が大好きなドラマーがいて。彼に曲を書きたいと思って、当て書きでドラムのパートを作ったんですね。大井一彌氏と西田さんは色んな現場で一緒にやってることも多くて、すごく相性も良くて。そのおふたりにお願いして作りました。

─歌詞に関してはいかがでしょうか。


ミゾベ:この曲は歌詞を何回も書き直した曲で。僕自身も、もっと肩の力を抜いて歌詞を書けばっていうのを、メンバーだったりスタッフだったりに言ってもらって。日々の小さな悩みだったり、「1日が25時間だったらなぁ」みたいなこととかを書いた曲になってます。

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「バンドって何?」みたいなところに悩み続けていた

─「reverie」はどうでしょうか? この曲は『pre』に収録されていた曲ですが、聴いた印象として、ベースの存在感が強いなと思ってまして。


シェイク:よくお気づきですね。まさにその話をしたかったんですよ。3人体制に入って、どういう感じでやるか、手探りの段階で作った曲なんですけど。普段、odolの曲って、デモ段階で最初に森氏(森山)から共有されるときに、大体ベースラインは大まかなものができあがって、それを僕と擦り合わせていくんです。でもこの曲は「ほぼ決まってないから、いい感じに当てはめて」っていう、初めて雑な投げ方をされて(笑)。

森山: 信頼よ、信頼(笑)。

シェイク:それを受けた瞬間、僕、森氏から「お前の実力どんなもんなんだよ」ってテストされてるのかなと思って。これは気合い入れて書かなきゃなと思って、ベースラインを7、8パターンぐらい自分のなかで試して、最終的にふたつに絞って。そういうやりとりをしていくなかで、ダンサブルにノリのいい感じのベースラインを出したら森氏どんな反応するんだろうなって、ちょっとワクワクしながら投げたら「これいいじゃん」って言ってもらえて。僕としては今までになかった感覚で。そこからさらにベースラインを突き詰める過程でも、自分の好きなもの、いいと思ったものをガンガン入れてやろうっていうマインドでできあがったんで。僕は自分の人生のなかの代表作は何ですか?って言われたときに「reverie」って言ってるくらい、ベースがいい曲なんですよ。

─6曲目の「君を思い出してしまうよ」ですが、これはアルバムのなかでもかなりミニマルな、すごく研ぎ澄まされた曲という印象です。これはどういうところから作っていったんでしょうか。


森山:このアルバムの話してると同じ話になるんですけど、やっぱり「バンドって何?」みたいなところに悩み続けていたんですね。3人になってもodolって言っていいのか?とか、次この3人の誰かがやめたいって言い出したらどうなるんだろうとか、そういう不安定さもあって。そのなかでできた1曲なんですけど、スタジオに3人で入って、とりあえず何か1曲作ろうって僕がループを弾き始めて、ベースを弾いてみよう、仮歌を入れてみようって。歌詞もその場でインスピレーションのまま書いたものを最終的に残した部分もあったりして。フィンガースナップの音も僕は鳴らせないんで、ミゾベとソフィアンにやってもらったのをサンプリングして、そのまま曲に使ってたり。とりあえずみんなで1個作ろうみたいな、力の抜けた感じで作った曲ですね。

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─7曲目の「遠い街」についてはどうでしょうか? これはアルバムのなかでも大事な役割を果たしている、非常に開けた曲という印象がありましたが、これはどういう位置づけの楽曲なんでしょうか?


森山:楽曲が出揃ってきてアルバムとして完成させようとしているタイミングになって「何か足りないかも」みたいなことになって。このアルバムを代表するサウンドみたいなものがあった方がいいなというふうに感じて。それでこのアルバムをまとめるために、アルバムにするために1曲作ろうと思って作り始めた曲です。

─ミゾベさん、ソフィアンさんはデモを聴いてどんな印象がありましたか?


ミゾベ:いわゆるアルバムのリードソングというか、前作の『はためき』だったら「小さなことをひとつ」みたいな役割の曲なのかなと思って。歌詞もそのつもりで書いていった感じです。

シェイク:この曲ができあがる前は「本当の顔」がリードになるのかなみたいなイメージで(アルバムが)作られていたんですよね。そこに、この曲が来て。森氏すげえ、って。すでにリードっぽい名曲ができているのに、また違う形でリードたり得るさらなる名曲を持ってくる底知れなさを感じて、恐れおののいたのを覚えてます。

森山:いいメンバーです(笑)。本当にありがたい。

シェイク:制作段階で、この曲は森氏の良いと思っている感性を何よりも大事にした方がいいと思って。ここは一般的にこうした方が良くなるよねみたいな話よりかは、何が美しいかみたいなのを追求してほしいというのを、ひたすらアシストしてました。

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─「泳ぎだしたら」は『pre』に入っている曲ですが、これはバンドサウンド、特にドラムとギターが非常に印象的な曲です。これはどんなふうなポイントの曲なんでしょうか。


森山:まさにこの曲はドラムとギターという印象だと思うんですけど。ドラムとギターのメンバーがodolを卒業して、ドラムとギターレスのバンドになっちゃったんですね。それで「幸せ?」と「reverie」を先にこの編成でしっくりくるサウンドを探しながら作ったんですけど。これは逆にあのふたりがいなくなったからこそ、そのパートをフィーチャーした曲を作ろうと思って、デモを作りました。

─この曲のギターは岡田拓郎さんですよね。どんなきっかけでお願いしたんですか?


森山:繋いでくれたのはエンジニアの岡 直人さんだったんですけれど、ソフィアンが岡田さんを激推しで。

シェイク:岡田さん大好きで。ソロの作品とかも本当に凄まじくて。画策したんですよ。岡田さん×森氏ってヤバくない?って思って。これを実現させたいなって。この曲にギタリストとして参加してもらう以上に、ここから先の展開に繋がっていくきっかけになるんじゃないかなと。最初の足掛かりとしてギタリストとして参加してもらいたいというところから、僕がみんなにプッシュしたんです。実際その後にライブでもサポートで演奏してもらえて。本当に想像を超えるプレイをしてくれて、嬉しかったです。

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─「幽霊」は、アルバム制作の後半にできあがってきたということですが、この曲が決め手になったという実感はあったんでしょうか。


森山:そうですね。同じ話ばっかりなんですけれど、「本当の顔」というリードと思って作った曲があって。それから「遠い街」を作って。「作れた」と思ったんですけど、それでもまだ何か足りないと思って。レコーディングの日程を追加でとらせてもらって、もう1曲入れたいって着手して。他の曲とはまたひとつ違うような曲を作りたいと思って作り始めました。

─歌詞についてはどうでしょうか。曲調は明るくポップなダンサブルな感じですが、いなくなってしまった君をモチーフにした切ないイメージの歌詞という感じがします。


ミゾベ:デモができた段階ですごく気に入って。めちゃくちゃいい曲だなと思って。この曲がリードソングになると思って書いたんですけど。さっき言ったように「望み」という曲を作ったくらいまで、自分の作り方っていうのが、自分の深いところに潜っていくような、ドキュメンタリー性を追求していて。なるべく自分に対して嘘をつかないような言葉を選んできたんですけど。それも勿論いいんですけど、フィクションで書く人も多くいて。それに対する自分の憧れみたいなのがあって。この曲に関しては全くのフィクションとして書いていったっていう感じですね。

─「三月」は2022年3月16日に配信リリースされた曲ですが、これはどういうきっかけから生まれた曲でしょうか。


森山:FM802という大阪のラジオ局の『Midnight Garage』という番組がありまして。僕たちもすごくお世話になっているんですけど、そこの20周年の企画でジングルを春夏秋冬と4つodolで作らせていただいて。冬に作ったものがこの「三月」の元となっているんです。だからサウンド感は冬を意識してるものになっていて。冬の深夜のラジオ番組のジングルと思って作り始めたものを拡張していった、みたいな感じですね。

─歌詞を書くときにも、冬のイメージはありましたか。


ミゾベ:サビの部分だけ先にあったんですよ。〈白い息指の間をすっと空の中へと溶けていく この言葉と〉っていうのが1番のサビのところがあって。なのでまさしく冬を意識して書いてましたね。

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かけがえのない2年間になってよかったな

─「Distances」についても聞ければと思います。これはアルバムの表題曲になったわけですが、まず表題曲になった理由っていうのは?


森山:この曲は、実は初めて歌詞をodol3人で書いてまして。この曲を作るくらいのタイミングで、ミゾベがスランプに入って。それでもデモはあってレコーディングは迫っていたなかで、なにか新しいことをしてみようってことで、3人で作ることになって。毎晩何時間もZoomでつなぎながら、1行ずつアイデアを出し合っていって。僕たちの核の部分みたいなものにいちばん近いのはこの曲になったのかなっていうのがあったので、アルバムタイトルと同じ曲名をつけました。

─『DISTANCES』というタイトルはどういう由来でつけたんでしょうか?


森山:アルバムのタイトル決めるときに、12曲出揃っていて、歌詞もレコーディングも終わっていて。ミゾベが書いた歌詞を読み直していたんですね。曲を聴きながら「このアルバムはどんなことを歌ってるんだろう」っていうのを客観的に僕の視点で聴いてみたときに、様々な距離について歌っている12曲だなっていうのを感じて。それは「遠い街」とか「時間と距離と僕らの旅」みたいにタイトルから直接的にわかるものもあれば。たとえば理想と現実の距離とか、あとは「幽霊」みたいな、現世と幽界の距離というか、わかれてしまった人との心の距離だったりもあって。それと同時に考えてたことが、さらにふたつあって。odolが新体制になって、僕ら自身の距離感も変わってるし、サポートミュージシャンの方たちとの距離、スタッフの皆さんとの距離っていうのもかなり変わった2年間だったので。もうひとつは社会的にも「ディスタンス」っていう言葉を嫌ほど聞いた時期だったし、こうやってみんなで集まるみたいなことがなかった時期に作ってた曲だったんで。世界中の人が人との距離を意識していた2年間でしたよね。そういういくつかの思いを込めてですね。

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─おふたりとしては森山さんから提案があって、しっくりくる感じでした?


ミゾベ:そうですね。距離について歌ってきたっていうのが、自分のなかでそこでちゃんと言語化されて。本当にそうだなって思います。今回のアルバムだけではなくて、odolを始めてからの曲全てに通底してるものがあるなって思ってて。この言葉をアルバムのタイトルに決めようって言って、すぐに決まりました。

シェイク:このタイトルを決める前、本当に同じくらいのタイミングで「Distances」の歌詞をみんなで考えた時期だったんですね。そのときにしっかり抽象的な話というか、概念的な部分の共有をしたんです。そもそも生きるってどういうことなんだろう、死ぬってどういうことなんだろうみたいな、普段の生活のなかだとあまり語らないようなことを、スタジオで膝つき合わせて4、5時間くらいひたすら喋った時間があって。かけがえのない時間だと今でも思ってるんですけど。この関係性をどう具体的な言葉にするんだろうっていうのが、その後の「Distances」の歌詞を考えるフェーズだったんです。で、歌詞を作るにあたって言葉を当てはめると、どうしてもこぼれ落ちちゃうんですよ。でも、それが人と人との関わりの本質的な部分でもあるよねっていうような話をして。僕はすごく感銘を受けたんです。それを端的に表す言葉がなかなか思いつかなかったところに森氏が『DISTANCES』って言って。何かと何かの距離っていうことじゃなくて、距離っていう概念自体が人と人の間にはあるよねっていうようなところが僕的にはスッと入ってきて。それで、今まさに語り合って歌詞ができあがったこの曲も「Distances」だと思ったんで。これは僕から言ったんです。「この曲も『Distances』じゃないですか?」って。この曲で語られてることはこのアルバムを通して語られてることを集約してるなっていう印象があったんで。この曲こそ表題曲として選ばれていいんじゃないかなって思ったんです。

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─お話を聞いてると、ラスト12曲目に「時間と距離と僕らの旅(Rearrange)」が入ってのるは、締めくくりとしてしっくりくる流れだなって思いました。ラストでこの曲を置こうと思ったのは?


森山:もう置くしかないっていう感じでした。むしろいろんなことを回収しすぎるくらいピッタリ来てたんですけど。この曲はアルバムを作ろうっていう前に「Rework Series」として僕たちが昔の曲を再解釈してリリースするという取り組みのなかのひとつだったんです。「時間と距離と僕らの旅」っていう曲は、20代前半ぐらいの時期にリリースした曲で。そのときに歌詞を聴いて感じていたこととは全く違う聴こえ方をして。時間を超える強度がある楽曲なんだっていうことは信じられたので。最新の現在形としてのアルバムにも入れようということになりました。

ミゾベ:「時間と距離と僕らの旅」のオリジナルの方を作ったときに、森山と僕が喧嘩したんですよ。森山が「俺、やめるわ」みたいになって。で、その後に反省して「もう一回やろう」と伝えて、そのときにできた曲がそれで。その後に歌詞も書いたんですけど、自分が今までバンドをやってきた数年間のことを歌ったドキュメンタリー的な歌詞で。で、「時間と距離と僕らの旅」は評判が良かったんです。でも喧嘩があったから、バンドのムードとしてあんまりライブでやらなかったんですよ。スタッフからもなんでやらないんだろうって言われていたり、自分としてもそれからの人生を決めるような曲になったのになんでやれないんだろうって思って。それで「Rework Series」でやるってなったときに、もう過去のものじゃなくて前を向けるんだなみたいに思ったっていう曲ですね。

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─いろんな歴史があるんですね。では改めて、アルバムが完成しての実感や手応えというのはどんなものがありますか?


シェイク:3人体制になってからずっと曲を作ってきて、今まで一回も区切りがついたことがないんで、新鮮な気持ちというか。今までずっとガムシャラに曲を作り続けてきたなかで、一旦ピリオドを打てるタイミングが来たんだなっていうのが率直な感覚です。ただ、ピリオド打ったけど続きもあるというか。今後の曲も作っていくし。一歩目が終わって今、次の二歩目に進むような段階にある感じがしてるんで。今現時点でのodolはこんな感じですよって伝えられる一枚ですね。で、そういうのを一回取っ払って単純にこのアルバムどうだろうって聴いたら、「これ名盤じゃねえか」と思って。いいアルバムができたぞっていう喜びに満ち溢れたんで。そこは自信満々です。たくさん聴いてもらえたら嬉しいなって思ってます。

ミゾベ:完成させられてよかったなという気持ちです。これまででいちばんくらいのスランプで。「遠い街」のときくらいからスランプだったんで、方法を変えてフィクションで作ってみようとか、何曲もそういうトライがあって。で、最後のトライが3人で作るってやつだったんで。本当に作り終えて安心しました。

森山:こうやって完成したものを僕たち以外の皆さんに聴いていただけて、初めて思ったのは、「ちゃんとバンドになってたんだな」ということですね。バンドでやる意味とか、ロックバンドって何みたいなことを結成当初からずっと考えていて。僕はバンドが好きだから続けてるんですけど、なんで好きなんだろうって振り返って考えてみたら、今日みたいな瞬間、僕たちが色々と悩んだり喧嘩したりひたすら話し合ったりしながら、死に物狂いで作り上げた曲たちをこうやって多くの人が聴いてくれて、その日々を肯定させてくれる瞬間があるからで。やっぱりひとりだけでは良くも悪くもそういうコミュニケーションって生まれないから。このアルバムを聴いてもらえたことで、この2年間がかけがえのない2年間になってよかったなって思ってます。

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取材・文:柴那典
撮影:山川哲矢

RELEASE INFORMATION

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odol「DISTANCES」
2023年11月15日(水)
Format:Digital
Label:UK.PROJECT

Track:
1.望み
2. 幸せ?
3. 本当の顔
4. 今日も僕らは忙しい
5. reverie
6. 君を思い出してしまうよ
7. 遠い街
8. 泳ぎだしたら
9. 幽霊
10. 三月
11. Distances
12. 時間と距離と僕らの旅 (Rearrange)

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LIVE INFORMATION

odol ONE-MAN LIVE 2023 at MARUNOUCHI COTTON CLUB
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2023年11月28日(火)
丸の内コットンクラブ http://www.cottonclubjapan.co.jp/
[1st.show] open 5:00pm/start 6:00pm
[2nd.show] open 7:30pm/start 8:30pm

MEMBER
ミゾベリョウ(Vocal/Guitar)
Shaikh Sofian(Bass)
森山公稀(Piano/Synthesizer)
西田修大(Guitar)
大井一彌(Drums)
須原杏(Violin)

料金[全席指定]¥6,000
[予約受付開始日]
▼Web先行受付
9月12日(火) 12:00pm~
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/odol/
▼電話受付
9月14日(木) 12:00pm~


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