SENSA

2023.11.01

素朴ながら熱を帯びた言葉と音が、自分自身の幸せを願う勇気をくれる「アロワナレコード」-Highlighter Vol.184-

素朴ながら熱を帯びた言葉と音が、自分自身の幸せを願う勇気をくれる「アロワナレコード」-Highlighter Vol.184-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。 Vol.184は関東のライブを中心に活動するアロワナレコードを取り上げる。
11月リリースのバンド初のミニアルバム『幸せを願えるように』は、「周りの目を気にすることなく自分自身の幸せを願えるように」というメッセージが込められた一枚。ドラマチックで情緒的な楽曲は、ささやかな日常を後押ししてくれるはずだ。


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活動を始めたきっかけ
亀井壱弥(B):中学生のとき、父親の勧めで地元山梨で開催されるチャリティー音楽イベントに出演することとなり、はじめてオリジナルのバンド楽曲を制作しました。
それをきっかけに作曲に興味を持ち、上京したのち大学のサークルを通じて知り合った友人たちに声をかけ、バンドを結成しました。

影響を受けたアーティスト
亀井:バンドを結成する前はクラシック音楽をよく聴いていました。旋律と対旋律による楽曲構造や重厚なハーモニーは、バンドの楽曲を制作する上で強く影響を受けています。
J-POPも大好きで、バンド結成以降はKIRINJIハナレグミをよく聴いています。

藤井陸(Vo):自分が一番影響を受けているアーティストは、井上陽水さんです。もちろん幼少期からずっと聴いてきているのですが、特にここ3年ほどで意識して楽曲、ライブ映像をチェックするようになりました。女性的な目線で的確な歌詞だったり、ねっとりとした耳に残る歌い回し。フォークを再構築したような楽曲が自分が表現したい音楽像にとても近いように感じます。『井上陽水物語』でとんねるずさんと絡んでいる様子も楽曲や風貌とギャップがあってとても好きです。



注目してほしい、自分の関わった作品
亀井:11月リリースのバンド初のミニアルバム『幸せを願えるように』をぜひ聴いてほしいです。メンバーの実経験をもとに制作されたこのアルバムには「周りの目を気にすることなく自分自身の幸せを願えるように」というメッセージが込められています。ノスタルジックな気持ちと、未来への期待が混ざり合って生まれた作品です。



また、2020年末にリリースされた1st EP『大都会』にもバンドのルーツが色濃く現れています。こちらもぜひチェックしていただきたいです。



今後挑戦してみたいこと
藤井:様々な環境下でライブしたいなと思います。今年の5月ごろ、我々として初めての野外ライブを行いました。その際、自分たちの奏でる音楽が見事に風景や街ゆく人々に溶け込んでいるように感じ、とても感慨深い気持ちになりました。最近だと、銭湯だったり喫茶店やカフェなどでライブをするバンドも少なくないと思います。ライブハウスという枠に囚われず様々な環境、場所で表現できたらと思います。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
藤井:映画を見ることがとても多いです。特に好きな作品が、西川美和監督の『ゆれる』と、最近だと『すばらしき世界』です。

『ゆれる』は、何度見たかわからないほど見返していますが、どれだけちょい役でも、登場する人物全てにドラマがあって、とてもリアルに人間模様を描いているように思います。実際に殺人事件なのか、不慮の事故なのかわからないまま物語が進み、それぞれの人間のエゴが主観で描かれます。ドス黒い心の動きが映像で見れて、とてもドラマを感じます。

『すばらしき世界』は、役所広司さん主演でヤクザが社会復帰をし、シャバで生きていく苦労や、人の温かさを感じるヒューマンドラマかと思いきや、とても社会を風刺した作品になっています。



自分が作詞をするときは、一貫してドラマチックであること、そしてリスナーの皆さんが少し自分の在り方、生き方を見つめ直す機会を与えること。これらのことを意識しています。この2作品は2、3時間という時間で、ドラマチックな展開、そして自分自身の正義や悪と向かい合い、自分の在り方、生き方を考えているように思います。とても影響を受けている2作品です。

今注目しているカルチャー
藤井:最近、自分の中で再熱しているものが、漫画です。特にその中で1作品挙げるとすれば、『藤子・F・不二雄SF短編全集』です。全10巻に及び、今までの短編を収録しているのですが、一貫したダークな世界観にハマっています。短編であるにも関わらずしっかりとした起承転結、そしてオチの予想が全くつきません。

たとえばこの中から『流血鬼』というお話。

主人公は吸血鬼で溢れてしまった世界の中で数少ない人間として登場します。彼は人類存続のために次々と吸血鬼を倒していきますが、大切な彼女が吸血鬼となってしまいます。彼女は、「安らかに眠っている吸血鬼を殺すなんてあなたこそ悪魔だ」と主人公に向かって言います。最終的には彼も吸血鬼になってしまい、夜の明るさと美しさに気づけた、という話です。

自分の中で正しいと思っていたものが、本当に正しいのか見つめ直すきっかけにもなりました。



RELEASE INFORMATION

「幸せを願えるように」_アロワナレコード_JK.jpg
アロワナレコード『幸せを願えるように』
2023年11月1日(水)

試聴はこちら

LIVE INFORMATION

『幸せを願えるように』Release Tour 2023-2024
幸せを願えるようにTOUR_flyer.jpg
2023年11月23日(木・祝)
名古屋・鶴舞KDハポン
OPEN 17:30 START 18:00
W/wowdow、水平線
TICKET ¥3,000+1D

2023年12月17日(日)
OPEN 18:30 START 19:00
大阪・雲州堂
W/ムノーノ・モーゼス
TICKET ¥3,000+1D

2024年1月27日(土)
東京・下北沢BASEMENT BAR
OPEN TBA START TBA
W/Os Ossos、すなお

PROFILE

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アロワナレコード
2019年秋頃、大学のバンドサークルを通じて出会ったメンバーで結成。

メロウかつ時に熱っぽいヴォーカルは、過ぎゆく日々の儚さや切なさ、それゆえの愛おしさを、素朴な言葉と巧みな情景描写を用いて伸びやかに歌い上げる。

2020年12月には1st EP『大都会』をリリース。
完全自主制作、ノンプロモーションながらも、Apple Musicのプレイリスト「Tokyo Highway」に選出され注目を浴びる。

2023年11月1日にはバンド初となるミニアルバム『幸せを願えるように』をリリース。
関東のライブを中心に活動中。

LINK
@arowanarecord
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