SENSA

2023.11.03

自身だけの

自身だけの"ルーツ"と誰もの"今"を響かせる「Sen Morimoto」-Highlighter Vol.185-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。Vol.185はマルチインストメンタリスト、シンガーのSen Morimotoを取り上げる。
京都生まれでアメリカ・マサチューセッツ育ち、現在はシカゴを拠点に活動するSen Morimoto。新作『Diagnosis』のテーマは"アメリカの資本主義と、それが私たちの生活にどのように影響を与えるかということ"だという。ここでは、英語の回答を和訳したものを掲載する。


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活動を始めたきっかけ
様々なバンドで活動した後、ソロで音楽プロジェクトを始めました。
ジャズグループ、パンクバンド、インディーロック、ラッププロジェクトといろんなスタイルを経験したので、ソロではそれらを組み合わせて独自のサウンドを作っています。

影響を受けたアーティスト
音楽活動を始めた頃に影響を受けたのは、OutKastのような、ポップな感覚とジャズに触発されたプロダクションをヒップホップの文脈で組み合わせたグループです。幻想的でユニークなプロダクションをチョイスすることは、今も魅力的に感じます。特にOutKastの「Gasoline Dreams」には夢中になりました。



子どもの頃は、ニューオーリンズのバンド、The Neville Brothersのサックス奏者チャールズ・ネヴィルが近所に住んでいて、とてもラッキーなことに週末にサックスのレッスンをしてくれました。歌詞がなくても楽器を使って感情を表現し、歌詞をメロディとハーモニーに解釈する方法など、たくさんのことを学びました。The Neville Brothersの「Yellow Moon」は素晴らしい曲です。



注目してほしい、自分の関わった作品
11月3日に新しいアルバム『Diagnosis』をリリースしました!
このアルバムでは、アメリカの資本主義と、それが私たちの生活にどのように影響を与えるかということについて歌っています。みなさんとシェアするのが本当に楽しみです。
僕が日本語で歌う曲も収録していてワクワクしていますが、日本語があまり上手くないので少し怖くもあります(笑)。



このアルバムの前には、シカゴの自分のレコードレーベル・Sooper Recordsで2枚のアルバムをリリースしました。過去10年間、シカゴを拠点にしてこのレーベルを築き、シカゴの多くのアーティストの楽曲もプロデュースしてきました。
私の音楽活動の多くを占めているのがコラボレーションです。最近はコラボレーションの場を日本にも広げていて、foodman、AAAMYYY、Kan Sano、a子、Maika Loubte、Shin Sakiuraなど、たくさんの日本のアーティストの曲をリミックスしています。

今後挑戦してみたいこと
これまで自分のアルバムを制作することを楽しんできましたし、何か伝えるべきことがまだあるとは感じていますが、いずれは制作、作曲、映画音楽など、舞台裏でもっと活躍したいと思っています。特に映画音楽を制作するのは大好きです。
また、Sooper Recordsをクリエイティブな方法で継続的に発展させて、音楽業界の一般的な仕組みを変えて、そのリソースを使ってシカゴやその他のコミュニティをサポートすることも夢です。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
どのようなカルチャーや小さなコミュニティ、そして経験が私たちを形作っているのかを考えることに、とても興味があります。私はマサチューセッツの森の中にあるとてもちいさな町で育ちました。だからか、私の性格や作る音楽は、自然に通じるある種の静けさを持っていると感じています。
私は自分の楽曲で、英語で歌う時と日本語で歌うときがあります。マサチューセッツには、日本人の移民や一時的な滞在者のちいさなコミュニティがありました。その近くにあった大学が、コミュニティの子どもたちが日本のルーツと日本語にコネクトできるように、地元の教会で日本語学校を週1回開いていました。当時、僕は本当に悪い生徒だったので通いたくありませんでしたが、今となっては、本や漫画、そして同年代の人たちと日本語で話すことを通して、日本とコネクトする方法をもたらしてくれたコミュニティにとても感謝しています。

音楽以外のアートから受けた影響を挙げると、大きなインスピレーションを受けたと感じているのはミシェル・ゴンドリーの映画です。子どもの頃、兄にミシェル・ゴンドリーのミュージックビデオを見せてもらいました。それは完全に私のマインドを吹き飛ばし、音楽についての考え方を変えました。
その後、彼の映画『エターナル・サンシャイン』、『Be Kind Rewind』(邦題『僕らのミライへ逆回転』)、『The Science of Sleep』(邦題『『恋愛睡眠のすすめ』』)の大ファンになりました。彼の映画はデジタルエフェクトを使わず、プラクティカルエフェクトだけを使っているところが、とてもエキサイティングです。身の回りにあるものだけで最も強力なエフェクトを生み出すという感覚は、私の音楽やミュージックビデオに多くのインスピレーションを与えてくれていると思います。



これはミシェル・ゴンドリーから多大な影響を受けた私のミュージックビデオです。



今注目しているカルチャー
最近は、シカゴと日本の新しいアーティストの動向を追うことにワクワクしています。ツアーで初めて日本に戻った時、本当にユニークでクールな音楽を作っているたくさんの素晴らしいアーティストに出会いました。そして、アーティストとコラボレーターのシーン全体が繋がっていることを知り、とてもエキサイトしました。今、気になっている日本の曲とシカゴの曲を紹介します。





RELEASE INFORMATION

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Sen Morimoto「Diagnosis」
2023年11月3日(金)

試聴はこちら

PROFILE

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Sen Morimoto
京都生まれでアメリカ、マサチューセッツ育ち、現在はシカゴを拠点に活動するマルチインストメンタリスト、シンガーのSen Morimoto(森本仙)。
10歳でサックスを習い始め、即興ジャズをベースに音楽を習得した彼は2014年にシカゴに移住。ソロのラッパーとしての活動を開始しながら、徐々にジャンルにとらわれない独自のインストルメンタルの制作へと傾倒。数々のコラボレイターとしても活躍し、シーンの中で存在を高めていくなかでSooper Recordsの創設者であるアフリカ出身でシカゴで活動するo鬼才ミュージシャン、Nnamdï(ナムディ)と出会い意気投合、その彼のレーベルSooper Recordsより、2018年『Cannonball!』をリリース。このアルバムはアジア出身のアーティストと世界を結ぶ貴重なメディアプラットフォームでもある88Risingでも取り上げられ、88Rising・Sooper Records双方からリリースされることとなり日本でも注目を集めた。
幼少のころから自由な音楽教育を受けていたバックボーンが示すように、ジャズ、ヒップホップ、ポストロック、フォークが溶け合ったような、ジャンルから解放された自由奔放な表現力を誇る。2020年10月にはセルフタイトルアルバム『SEN MORIMOTO』をリリース。

LINK
@senmorimoto
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