SENSA

2023.05.18

文学と芸術と人間を織り込んだ、豊かな色彩のタペストリー「楓幸枝」-Highlighter Vol.171-

文学と芸術と人間を織り込んだ、豊かな色彩のタペストリー「楓幸枝」-Highlighter Vol.171-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。 Vol.171は、ソロアーティストのみならず、多岐にわたって活動する楓幸枝を取り上げる。
Awesome city clubのドラマーとしてデビューし、2020年9月に脱退してからは楓幸枝に改名。最新EP『万華鏡タペストリー』は、「ひとのうつくしさと面白さを音や言葉で表現したくて曲を作りはじめました」と語る彼女自身の真骨頂と言える、色とりどりの一枚になっている。

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活動を始めたきっかけ
元はAwesome City Clubというバンドのドラマーとして7年半ほど活動をしていました。
2020年9月に脱退してからはドラムに限らずやりたいことに挑戦しようと思い、音楽を最初に志すキッカケになった歌手と作詞という夢を叶えようとソロ活動を開始しました。

影響を受けたアーティスト
昭和平成J-POPが一番の礎です。私が幼少期の90年後半のJ-POPがまとっていた世紀末な薄気味悪さ、昭和歌謡の情緒や趣を自分の作品でも表現したいといつも願っています。

特に影響を受けたアーティストは椎名林檎さん、Rage Against The Machineのザックです。林檎さんは小6の夏にラジオから流れてきた「ここでキスして。」に雷を打たれ、『無罪モラトリアム』を四六時中聴いていました。作詞に目覚めたのもこの時です。

椎名林檎「ここでキスして」「無罪モラトリアム」と当時愛読していた公式ムック本IMG_6358.jpg

椎名林檎「ここでキスして」「無罪モラトリアム」と当時愛読していた公式ムック本



ザックは17歳の時に偶然見たライブ動画でハートを撃ち抜かれました。世の中には、こんな目をして歌う人がいるのかと。闘志みなぎる彼の眼差しに音楽に向かう姿勢を教えてもらったように思います。

注目してほしい、自分の関わった作品
全作品愛がてんこ盛りではありますが、特に歌詞に注目していただきたいのは、1st single「ナンバ・ムッタ」と新曲「ナンバ・ヒビト」です。歌と作詞をもう一度頑張ろうと決意できたのは漫画『宇宙兄弟』のおかげでした。主人公ふたりの人生の歩みや苦悩が自分と重なる部分がとても多く、彼らが前に進んでいく姿に何度も泣きながら励まされました。
これはその感謝の気持ちと共に、私自身の葛藤や覚悟が誰かの役に立ったら嬉しいなと思い楽曲に落とし込みました。



「ナンバ・ムッタ」では、10代で一度挫折した夢に30代の自分がもう一度挑戦するまでの思いをムッタに重ね合わせて描き、「ナンバ・ヒビト」ではパニック障害になり宇宙飛行士の職を諦めかけた彼の再起を通して、私自身が発症したジストニアという病気の体験を描きました。


宇宙兄弟のメールマガジン「週刊宙哉」にて楓幸枝によるコラムが数回に渡って掲載予定!



今後挑戦してみたいこと
最初はとにかく楽曲をリリースすることしか考えていなかった私ですが、今年春頃からライブをやりたい、楓幸枝というアーティストがどこまで羽ばたけるか見てみたいと考えるようになりました。
当面の目標は40歳でZeppワンマンツアー!もうバックバンドメンバーの構想もありますよ。
また作詞家として多くのアーティストさまに提供していきたいですね。
令和の松本隆!と呼んでいただけるよう日々精進していきます。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
絵とことばは幼少期から好きでした。小学校の時はしょっちゅう図書館に行き絵本や児童書を読み耽っていました。寺村輝夫さんの「こまったさん」「わかったさん」シリーズや、五味太郎さんの『言葉図鑑』が特にお気に入りでした。中学に上がる頃からは小説にハマり、宮沢賢治・川上弘美・江國香織・吉本ばなな・芥川龍之介などを愛読していました。

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学生時からの愛読書たち







またディズニー映画も大好きで、『ふしぎの国のアリス』は幼少期に100回くらい見たと思います。セリフもほぼ暗記してしまったせいで、デジタルリマスター盤の吹き替えが一部変更になったのを見た時の違和感がとてつもなかったです(笑)。

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『ふしぎの国のアリス』はリマスター盤から元盤を買い直しました





今注目しているカルチャー
日本の絵画が昔から好きなのですが、最近は西洋絵画に興味が湧いています。
西洋絵画で唯一好きだったゴッホの解説動画を見たのをきっかけに山田五郎さんの『オトナの教養講座』にハマり、西洋美術の面白さに出逢いました。才能や評価なんて、時代や切り取り方で簡単に変わってしまう無常から、なんだか勇気がもらえるんです。



また、Podcastで毎日「コテンラジオ」を聴くのも最近の楽しみです。
歴史マニアの深井(龍之介)さんの熱弁ぶりがたまりませんし、こちらでも価値観の多様をたくさん学んでいます。



今の世情や現状にとらわれて生きるのは勿体無いことだなと、このふたつのコンテンツで痛感する日々です。

RELEASE INFORMATION

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楓幸枝『万華鏡タペストリー』
2023年5月10日(水)
試聴はこちら

PROFILE

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楓幸枝
1987年沖縄秋田ブレンドの横浜育ち。
2013年結成したバンドAwesome city clubにてドラムを担当。2015年ビクターエンタテインメントよりメジャーデビュー、2019年秋からはエイベックス・エンタテイメントにて活動する。
2020年夏に脱退してからは楓幸枝に改名。ドラムサポート、ディレクション、レッスン、作詞提供、コラム連載などを行なっている。
2021年2月に創造ストア「MitsuHi」を開設。2022年5月11日「ナンバ・ムッタ」より自身の楽曲リリースを開始した。
コラム連載:「宇宙兄弟のことばとわたし」「惑星円盤探査録」。ドラムサポート:小西真奈美、Foi、MIYAVI。作詞提供:Nicori Light Tours「蜃気楼girl」「コマンド擬似恋愛」。

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@yukie_kaede
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