SENSA

2023.05.15

バンドのオリジナリティや美学を再定義する新体制の初作──polly『Heavenly Heavenly』インタビュー

バンドのオリジナリティや美学を再定義する新体制の初作──polly『Heavenly Heavenly』インタビュー

2022年7月に志水美日(Key/Cho)が加入して3人組となったpollyが新体制の初作となるEP『Heavenly Heavenly』を完成させた。越雲龍馬の「デビュー盤を作るような気持ちで取り掛かった」という言葉通り、本作はこれまでの10年以上に及ぶ歩みの中で培ったバンドのオリジナリティや美学を再定義する作品となっている。

もちろん、志水の加入によって鍵盤もコーラスもより繊細な表情が加わっているのだが、それでも「以前から存在していた」かのような馴染み方をしているのがスペシャルであり、そこに志水がバンドに加入したことの必然性が表れているように思う。メンバー3人のケミストリーに関する質問を軸としたインタビューから、現在のpollyの前向きなムードがきっと伝わるはずだ。

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pollyに入るのは「いいことが起こりそう」ってなんとなくの勘が働いた

―まずは改めて志水さん加入の経緯を話してもらえますか?


越雲龍馬(Vo/G/Programming):最初に知り合ったのは2015年とかで、(志水が在籍していた)LILI LIMITとは何度か共演してるんですけど、しゃべったことはほとんどなかったんです。でもコロナ禍に入って、僕がpollyとは別で音楽を作る場所が欲しいと思って、SNSに「バンドを組みたい」みたいなことを投稿したら、彼女が反応してくれて、そこからやりとりをするようになって。それもあって『Pray Pray Pray』のときにゲストボーカルをやってもらって、その後のツアーで(志水が在籍していた)MO MOMAと共演したときに、一緒に歌ってもらったりもして、すごくポジティブに音楽ができてる実感があったんですよね。で、昨年4月にメンバーが抜けて、5月にFRIENDSHIP.のイベントに呼んでいただいたときに、志水さんを鍵盤とコーラスでお誘いして、何回かスタジオに入ったら、そのときの雰囲気もすごくよくて。それでライブ当日の打ち上げで「入ってくれませんか?」って相談したら、ふたつ返事で「入ります」と言ってくれました。

―初対面の志水さんの印象は「正直とても怖かった」そうですね(笑)。


越雲:志水さんだけじゃなくて、LILI LIMITっていうバンド自体に「他とは関わらない」みたいな空気を僕は感じて、それで「この人たちとは仲良くならないんだろうな」って。

志水美日(Key/Cho):実際そのころの自分は閉鎖的な人間で、「周りは全員敵だ」みたいに思ってた時期で(笑)。「上を目指したい」っていう気持ちが強かったから、「共演者と仲良くしたい」みたいな気持ちは持ってなくて、だから当時はpollyに限らず、周りのバンドの記憶が正直あんまりなくて、それだけ自分たちのことでいっぱいいっぱいだったんだと思います。でも2016年に栃木の『haruberrylive』で一緒になったときに......。

越雲:(サポートベースを務めるカミヤマリョウタツが在籍していた)PELICAN FANCLUBも出てた気がする。

志水:直接話したかは覚えてないんですけど、「Galileo Galileiが好きらしい」みたいなことを知って、好きな音楽が近いんだなとは思ったし、当時シンセを使ってるバンドってそんなにいなかったんですけど、pollyがマイクロコルグを使ってて、ちょっと親和性も感じたりはしてて。でもそれ以降LILI LIMITはメジャーに行って、地方に行くことが増えたし、対バンのメンツも変わっていったので、それから数年は離れてた感じです。

―高岩くんは最初のころの志水さんの印象ってどうでしたか?


高岩栄紀(Dr):越雲さんと同じで、最初は怖いイメージでした(笑)。でも実際一緒にスタジオに入ったりすると意外と......「意外と」っていうのも失礼ですけど(笑)、ユーモアのある面白い方だなと思いました。

越雲:志水さんはちゃんとpollyに関わるようになってから彼のことを認識したらしいですけどね(笑)。

志水:去年pollyとMO MOMAで対バンしたときの打ち上げで初めてちゃんと話をして、「こんな面白い人いたんだ」と思いました(笑)。

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―じゃあ、加入に至る最初の直接的なきっかけは越雲くんのSNSの投稿に志水さんが反応したときだと思うんですけど、当時の志水さんはどんなことを思っていたのでしょうか?


志水:私もMO MOMA以外の何かをやりたいと思ってたんだと思います。具体的に何か考えてたわけではないんですけど、その投稿を見て思い出したというか、「そういえば、他になにかやりたいかも」と思ったんです。で、さっきも言った通りもともと音楽的な近さがあるのは認識してたので、興味が湧いて、それで連絡しました。

―そこからさっき越雲くんが話してくれた通り、前作への参加やライブのサポートを経て、加入を頼まれたときはすぐに「やろう」と思ったわけですか?


志水:その場で言われて、ふたつ返事で「入る」ってなったことに関しては、びっくりされることも多いんですけど、そこは自分の人間性というか、環境を変えることで何かを変えたいタイプなので、そういうときの判断はいつも早いんです。pollyに入るのは単純に面白そうだったし、「いいことが起こりそう」っていうなんとなくの勘が働いたので、「とりあえず入ってから考えよう」くらいの感じで、すぐに返事をしたら......その答えを信じてくれなくて(笑)。

越雲:すぐに返事をもらえるとは思ってなかったからちょっとびっくりして、次の日に電話して「あれってホントですか?」って(笑)。

ネガティブなことに対して見てるものが近い印象があった

―加入発表時には「見てる景色、見たい景色が近いんじゃないか」というコメントがありましたが、そのポイントについて話してもらえますか?


越雲:例えば、対人関係において、ホントはこう思ってるけど隠さなきゃいけない部分があるとか、先回りしてその人にとっていいと思ったことをやらなきゃいけなくなってしまうメンタリティとか、ポジティブではなく、ネガティブなことに対して見てるものが結構近い印象があったんです。ポジティブな要素が近しい人って、実はそんなにいいものが生まれないというか、ネガティブな要素で近い方が、人間的な関係性も強くなるし、そこでわかり合えたら、音楽的にもさらにいい表現ができるんじゃないかなって。

―志水さんも「音楽的にも人間的にも近いところがある」とコメントしていましたね。


志水:SNSでのやり取りから何度かふたりで話をして、バンド活動において感じることで同じ意見が多かったんです。それまでどういう人か知らなかったから、最初は警戒していて、もっと怖い人っていうか、やばい人なんじゃないかと思ってたんですけど(笑)、いい意味で思ってたような人ではなくて。これまで他の人と話してもなかなか通じなかった話がちゃんと通じて、同じ感覚を持ってる人だってわかって、それで心を開けたからこそ、メンバーになることのハードルも低かったんですよね。pollyに誘われるのは自分の中で他のバンドに誘われることと全然意味が違って、すごく特別だったんです。

―だからこそ、すぐに加入を決めたと。


志水:それから3人でリハをする中で、高岩くんもただぽわんとしてるだけじゃないのがすごくわかったし(笑)、ふたりとも安心して一緒にいられる人だと思ったんです。

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―高岩くんは越雲くんと志水さんの人間性の近さだったり、加入自体をどう感じていますか?


高岩:色というか、オーラというか、そこはすごく似てる気がします。pollyにキーボードとコーラスをやってくれる女性メンバーが入るのはもちろん初めてですし、そこはすごく新鮮で、これは絶対面白くなるだろうと思いましたね。

―今年の1月には志水さんがMO MOMAから脱退することが発表されました。さっきの「環境を変えるタイプ」という話を聞いてなるほどとも思いつつ、この決断に関しても話していただけますか?


志水:自分にとってMO MOMAとpollyは大事にする部分が真逆なんですよね。MO MOMAは音で遊んだり、実験的なことを大事にしていて、自分の気持ちとか精神性を出す場ではなくて。言葉も耳触りで選んでたりするから、自分がメインボーカルだけど「自分の歌」ではない瞬間もかなりあったんです。逆にpollyはソングライターである彼の曲の作り方からして人間がそのまま出ている音楽性で、どっちの音楽も聴くし、好きではあるんですけど、自分の音楽の向き合い方的には精神性を出したいタイプではあって。もちろん、実験的なことをやるのも好きだから、最初は2バンドを両立するつもりだったんですけど、いざpollyに入って活動をしてみると、自分の中でその差がどんどん明確になってきて、これは同時にはできないと思うようになって......もしかしたら、どっちもやる世界線もあったかもしれないですけど、でも振り切ってみたくなったんですよね。LILI LIMITにしろMO MOMAにしろ、20代前半までは自分が持ってないものに触れることで成長できたと思うけど、これからは自分自身をめっちゃ出してみたくて、pollyならそれがちゃんとプラスになると思ったので、それで決断しました。

―よくわかりました。ちなみに、ベースだったり、他のメンバーを入れることは考えなかったですか?


越雲:入れたい気持ちもなくはないんですけど、僕らもう10年以上バンドをやってきて、結局人間性がベーシックになるんだなっていうことは痛いほどわかっているので、安易にメンバーを補充したりはしたくなくて。「この人とだったらいい景色が見れるんじゃないか」と思えることが大事で、「ベースとギターが抜けたから、ベースとギターを入れよう」みたいな意識は全くなかったです。

―音楽性と人間性込みで、「志水さんだったから」加入を依頼したわけですよね。


越雲:そうですね。高岩はわりと人を選ぶところがあるというか、ずっと一緒にいると無意識にそういう部分が見えて、メンバーじゃなくても、「この人とはやりづらそうだな」みたいなことがわかるときもあるんですけど、志水さんはそういう感じも全然ないし、一緒にスタジオに入り始めてもう一年くらい経つけど、「違ったな」みたいなことはこれまで一度もなくて、「もっとよくなるな」っていう印象しかないです。ちょっとバンドを始めたころの感覚にも近くて、そういう意味でも新作はデビュー盤みたいにしたかったんですよね。音楽性ではなく、精神的な意味で、デビュー盤を作るような気持ちで取り掛かりました。

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この体制になっての名刺代わりになるものが作れた

―実際『Heavenly Heavenly』は新体制で新しい側面や変化を打ち出すというよりも、『Pray Pray Pray』までで積み上げてきたものがあって、それをこの3人で鳴らすことの意味を確認したような印象があって、そういう意味でもデビュー作に近いかもしれない。


越雲:デビュー盤で新しいことをやるってよくわからないですもんね(笑)。実際「新しいことをやろう」みたいな意思はそんなになくて、pollyのスタンダードというか、pollyのベーシックな音楽性を提示する作品を作りたいなっていうのがありました。今までいろんなことをやってきて、これからもやっていくと思うけど、まずはこの体制になっての名刺代わりになるものというか、「pollyの音楽ってこういうものだよね」っていうものが作れたんじゃないかと思います。

―志水さんはpollyのメンバーとして最初の作品を作り終えて、まずはどんな感想ですか?


志水:自分が今までのレコーディングでやれてこなかったことが結構できたので、制作はめちゃくちゃ楽しかったです。できたものに対しても、制作時の記憶がいっぱい詰まってて、曲の大元は自分が作ったわけじゃないけど、でも一曲一曲に対しての愛情とか想いがこれまで以上にこもった作品になってて......自分でも予想外でした(笑)。

越雲:予想外だったんだ(笑)。

志水:長くやってるバンドだったらまだしも、最初の作品からこんな気持ちになるとは思わなかったです。

―まず越雲くんが全パートのアレンジを仕上げて、それをバンドで清書するような作り方はこれまで通りですか?


越雲:そうなんですけど、今回はこれまで以上にふたりのクリエイティブに任せる部分も多かったです。ピアノだったらジャーンっていう白玉だけ入れたものを送って、アレンジしてくれたものを聴いたうえでディスカッションをして、「こっちの音階の方がいいかも」みたいなやり取りをしたり、ドラムだと今回「フィル・コリンズにしたい」っていう曲があって、僕はもともと好きだから細かいとこまで寄せちゃうんですけど、初めてフィル・コリンズを聴いた高岩の解釈が面白かったり、そういうやりとりをいろいろしました。しかも、そのやり取りの中に感情があったというか、バンドを長くやってるとどうしても「こなす」みたいな部分が出てくると思うんですけど、僕はバンドという集団において感情がすごく大事だと思っていて、今回それをすごく感じたし、それによって曲もどんどん良くなったと思います。

―志水さんの「これまで出せてなかった部分が出せた」と思うのは、具体的にはどの曲やどのパートのことですか?


志水:「ごめんね」と「Kikoeru」はただコードを弾いてるだけじゃなくて、耳に残るフレーズがあるので、ちゃんと抑揚をつけて弾きました。それは今まであまりやってこなかった生ピアノを使ったのも大きくて、シンセは思いを込めて弾いてもタッチは変わらないですからね(笑)。あと「Kikoeru」はレコーディング直前にフレーズを変えたので、ある意味切羽詰まった状態というか、アドレナリンが出た状態でやったのがいい経験でした。

越雲:あれよかったよね。シリアスな雰囲気が曲にも合ってるし。「ピアノのメインフレーズをこっちに変えたい」って、ホントに録音の直前に言ったから、すごい練習してくれて、慣れちゃうとあのちょっとひりついた空気感は出ないと思うんですよ。僕はスピリチュアルな話が好きなので、レコードにはそのときのバンドのモードがパッケージされると思ってるんですけど、それが一番出たのが「Kikoeru」だなって。あの冷たい感じが出たのはあのタイミングだったからこそなんじゃないかと思います。

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―「Kikoeru」はコーラスも非常に印象的ですが、志水さんはpollyの楽曲で歌うことを改めてどう感じましたか?


志水:「邪魔にならないか」っていう気持ちは正直今もゼロではないというか、低い男性のラインに対してハモるっていうのは結構あると思うんですけど、ファルセットで高い声も出すじゃないですか?そこにプラス女性の声を入れて、ちゃんとメインボーカルを引き立てられるのか、「悪目立ちしちゃわないかな」みたいなことはずっと不安に感じてたんです。でも実際にやってみると、そんな心配が要らないくらいメインボーカルの声の力が強くて、低い声も出せたりとか、幅もすごく広くて。「ごめんね」はもともとオクターブ上が入ってたんですけど、低いほうだけにしたりして、メインボーカルを引き立てるにしても、もっといろんなやり方ができそうだなと思いました。

自分にとって人とのコミュニケーションがすごく大事

―ちなみに、今回はあくまで越雲くんがメインボーカルなわけですけど、今後もっと志水さんの声を前に出す可能性もありますか?


越雲:「Laugher」はツインボーカル的なアプローチだったので、そこはもうひとつのpollyの武器として持てるといいなとは思うんですけど、ただ男女ツインボーカルのいい悪いは自分の中で明確なジャッジがあるので、そこは絶対崩したくないんですよね。ちゃんと自分の美学のようなものを提示できるツインボーカルにしたくて、ダサいツインボーカルだけはやりたくないんで。

志水:私もなりたくない例がいくつかあります(笑)。

―定番だけに審美眼が問われるところですもんね。今後楽しみにしてます。高岩くんは新体制で一枚作り終えてどんな感想ですか?


高岩:すごく楽しく作れました。自分でドラムのフレーズを考える場面も多くて、越雲さんをレコーディングの2日前に自宅に呼んで、さっき言ったフィル・コリンズをテーマにした曲っていうのが「K」なんですけど、フィル・コリンズを聴きながら「これどうですか?これどうですか?」ってずっとやってて。

越雲:でも全然僕が思うフィル・コリンズじゃなくて(笑)。もともとこの曲はもっとマッチョな曲というか、フィジカルな曲で、ギターも歪んでたんです。でもレコーディング中にビリー・アイリッシュの「TV」を聴いて、ドラムが質素というか、そんなにレンジが広くなくて、コンプががっつりかかってて、あの感じがこの曲にも合うし、シャレてるなと思って、レコーディング当日にその音色に変えて。

高岩:びっくりしました。スティックの振り幅がだいぶ小っちゃくなりましたね(笑)。

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―「K」のドラムにしろ、「Kikoeru」のピアノにしろ、レコーディング現場でのフレキシブルなやり取りが多かったんですね。


越雲:これまでも当日に「こうするわ」って舵を切ることはあったんですけど、これまでは「指定する」みたいな感じだったのが、今回は「どうかな?」って提案する感じで。だから、今までとやってること自体は変わらないんだけど、その過程や内容が違うから、高岩も楽しいと思ってくれたのかな......ってことは、今まではつまらなかったのかなあ......。

高岩:そういうわけじゃないですよ(笑)。

―あはは(笑)。ちなみに「K」のギターはレディオヘッドの「No Surprises」のオマージュ?


越雲:まんまですね(笑)。最初はスマパンの「Today」だったんですけど。僕そういうサンプリングというか、オマージュみたいなことが好きなんです。音楽は共有財産なので。

―「MORNINGRISE」にはモノローグのような声がサンプリングされていますね。


越雲:最近のインディはわりとヒップホップの要素も多いと思っていて、この曲は普通にやっちゃうとチャプターハウスとかラッシュみたいな感じだから、ちょっと違ったものにしたくて、人の声を入れた感じです。僕、人の声を入れるのが好きで、最近気づいたんですけど、音楽をやってることもそうだし、自分にとって人とのコミュニケーションがすごく大事なんですよね。人の声を使うと安心しますし、そこが無意識に出てるのかもしれないです。

―志水さんの声もそういう要素になっているのかもしれないですね。


越雲:そうですね。今までレコーディングでメンバーにコーラスをしてもらったことはなくて、それは自分自身が怖かったからでもあって。誰かにやってもらって、違ったときに訂正するコミュニケーション能力もなかったし、そうなると雰囲気が悪くなるから、だったら自分でやった方がいいなって。でも志水さんは声自体もいいし、クリエイティブに対する尊敬もあったので、信頼して任せることができました。

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―"コミュニケーション"がキーワードになるのは納得というか、話を聞いてても感じたけど、今のpollyはすごく"バンド感"がありますよね。それはきっとサポートでベースを弾いている元PELICAN FANCLUBのカミヤマくんや、ライブでサポートをしているcinema staffの辻(友貴)くんや、エンジニアを務めるIvy to Fraudulent Gameの福島(由也)くんも含めて。


越雲:バンドってやっぱりめんどくさいのがいいんですよね。バンドのめんどくささをいいと思わないやつはバンドをやらない方がいい。バンドはめんどくささのなかに大事なものがあるなって、改めて感じました。

志水:サポートメンバー含む5人でリハに入るようになって、最初越雲くんは意見を言うときに「すいません、めんどくさくて」って、すごい遠慮しながらだったんです。でも私含めてみんな音楽をよくするためのやりとりに全くマイナスな気持ちはなくて、むしろディスカッションが楽しかったので、「なんでもとりあえずやってみよう」っていうメンタルでやれて。レコーディングにしても、年上のキャリアのあるエンジニアさんだったら言いづらいことでも、福島くんは同世代だからいろいろ言えたし、短い時間の中でたくさんディスカッションをして、すごく濃密な時間になって、「音楽やってるな」っていう感じがしました。

越雲:予算が増えればもっと良くなるはずなので、だからもっと売れたいです。もちろん、いろんな期限があるのも十分理解してるし、別に愚痴を言いたいわけじゃなくて、もっと自分がやりたいことをやるためにも、ちゃんと評価をしてもらえるように動かないといけないと思いました。

―そう思えるのはきっと今の状態がすごくいいことの裏返しでしょうね。


越雲:そうなんです。別にうぬぼれててもいいと思ってて、それに気づけたのもこの体制になったからで、たぶんいま日本で一番調子いいんじゃないかっていうくらいなんですよ。「無理してよく見せなきゃ」みたいな感じも全然ないし、だからこそもっと頑張って、ちゃんと稼いで、もっといいものを作りたいですね。

―まさに2度目のデビューと言えるような今回のタイミングだからこそ、改めて今思っているバンドの目標を聞きたいです。


越雲:ずっと思い描いてるのは、僕たちの曲は日比谷の野音で鳴らすとすごく気持ちいいと思うんです。あの昼間から夜にかけて暗くなっていく感じが、我々の曲にすごく合うし、より曲が映えると思うので、野音でのワンマンはいつか絶対やりたいですね。

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取材・文:金子厚武
撮影:稲垣ルリコ

RELEASE INFORMATION

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polly「Heavenly Heavenly」
2023年5月10日(水)
Format:CD/Digital
Label:14HOUSE

Track:
1.MORNINGRISE
2.ごめんね
3.Snow/Sunset
4.K
5.Kikoeru

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LIVE INFORMATION

polly Release Tour「Heavenly Heavenly」
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2023年5月18日(木)
名古屋・ell.FITSALL
〈ゲスト:paionia/さよならポエジー〉

2023年5月19日(金)
大阪・Shangri-La
〈ゲスト:mol-74〉

2023年6月7日(水)
東京・WWW X
〈ゲスト:KOTORI〉

OPEN18:30/START19:00
前売¥3,800(drink別)
https://lit.link/pollyticket


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