SENSA

2023.02.15

"すごくうれしい"感情をかき立てられる唯一無二のピュアネス「ユウテラス」-Highlighter Vol.161-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。 Vol.161は、大澤雄介を中心に活動を続け、解散から復活を経た長い歴史を誇るユウテラスを取り上げる。
新作EP『すごくうれしい』は、J-POPやフォーク、はたまた昭和歌謡を思わせるメロウなバンドサウンドで奏でられた、極上のラブソング集。忘れかけていた想いを掘り起こしてくれる一枚になっている。

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活動を始めたきっかけ
大澤雄介:11年前に一度ユウテラスを解散して。めいまる(ピアノ/ハーモニー)と「紅男と虎椿」というデュオを細々とマイペースに続けてたんですけど、the band apartのまぁちゃん(原昌和)と15、6年振りに再会して、日常で遊ぶようになったことが発端となって、災害復興支援ライブ出演をきっかけに一緒にやろうということになりました。そこにかつてのユウテラスのドラム担当やったおねえちゃん(あべこ)が加わった感じです。

あと僕、大澤は20代から、障害を持つ方々、特に子どもたちやママさん、青年期にある男女のみんなの自立支援、生活介護のお仕事を現在まで続けていて、一事業所の管理者を務めさせていただいてます。そんなこんなで、これまで出会った利用者さんたち、ご家族、素敵なスタッフさんたち、同世代含め、あらゆる世代の男女から"もう一回頑張りなよ"と背中を押してもらったこともまた、大きなきっかけのひとつになりました。

結論、周りの人に恵まれたことが"きっかけ"なんやと想います。

影響を受けたアーティスト
大澤:僕、大澤はニルヴァーナのカート・コバーンが神様、ヒーローです。



15歳の頃、毎日毎日ニルヴァーナだけを聴いていたし、カートと同じ髪型、服装、ギター、態度を模倣してスクールバスなんか乗るかよ!的な態度でニュージーランドでの学生生活、青春を過ごしていました。僕は特に、歌詞にすごく共感してて、まるでその世界こそが天国のような錯覚を持って橋の下(実際は浜辺)で生活を送っていました。

そんなある日、カートが銃で自分の頭を撃ち抜いて死んだと聞きました。そこから1週間茫然自失で自分がどこで何をして誰に話しかけられたか...。当時大大大好きやったみどりちゃんのこと以外は全く記憶として残っていません。カートは凄く気が小さくて情けない人なんですけど、僕もそうなので...。未だになんかよくわからないけどハートが共鳴しっぱなしで、痺れのようにこの肌に感覚をもたらしてくれています。

あとひとりヒーローをあげるならガガガSPのコザック前田。
説明あんまりしたくないから割愛します(笑)。



注目してほしい、自分の関わった作品
大澤:ユウテラスの作品としては『大人抹殺』(2002)となります。

当時、アメリカで同時多発テロが発生してニューヨークのワールドトレードセンターのビルに飛行機が突っ込み、たくさんの人たちがなくなりました。とても凄惨で悲しみの深い出来事でした。阪神淡路大震災然り、漫画でしか見ることのなかった出来事の連発に23才、多感な時期の僕は気持ちの整理がつかず、かと言って何を出来る訳でもなく漫然と過ごしていたことを覚えています。

その少し後に、兄の提案でカナダのバンクーバーでアルバムのレコーディングをできる機会に恵まれました。その頃は未だテロ発生後すぐということもあり、最高レベルの警戒が続く中でしたが、アメリカの航空会社が格安でチケットを出していたんで、そんな飛行機に飛び乗って、テロ発生から数ヶ月のまだ火種くずぶる北アメリカへと降りたちました。

一軒家を借り切って機材を運び込み、そこで二週間、みんなで共同生活をしながら録音しました。バンクーバーとニューヨークはアメリカ大陸の真逆に位置しています。だからバンクーバーに来たからといって、あの凄惨な事件の何に触れられたわけでもないのですが。せめて平和と鎮魂、そして寛容の気持ちを人間同士お互いに持つことができるようなきっかけとなる作品をこのアメリカ大陸で作りたい、手渡したいと想ったのは紛れもない衝動でした。

そこにこそ、僕らの世代の何がしらがあるはず。それこそ、生きてくことへの漫然とした不安、年老いて枯れていくこと、つまり死に損なってくことへの若さゆえの反抗、カウンターパンチ的な作品やんか?的な衝動がめちゃくちゃありました。

完成した作品が『大人抹殺』な訳なんですが...。結果どうやったんでしょうね?(笑)。ただ、未だにユウテラスのエポックメイキングな作品として、長年たくさんの君らにご愛聴いただけているようです。良きと想いますし、うれしいですし、何だか照れもあります。君にありがとうって気持ちだけです。



そうそう。当時のメンバーのなかに、今のドラムのおねえちゃん(あべこ)もいましたよ?そう考えれば付き合い長いね。もう話すこと何もないんやけれど。不思議な縁やなぁ想います。

令和5年2月14日のバレンタインデーの12:00に僕たちユウテラスの一年一ヶ月振りの新作「すごくうれしい」がリリースされました。色々想い出して振り返るには、まだまだ昨日の今日なので気持ちの整理が付いてないけれど...リリースされてからというもの、溢れかえらんばかりに沢山の君が"すごくうれしい"とメッセージをくれるんです。初めに、僕らから"君もうれしい?"って聞いたくせに、何だかとっても照れくさいのは何でやろうね。

この作品は例えばYouTubeに公開された"れのん"や"あなたのことやけど"にはGoogle広告とか使って再生数を稼ぐつもりもないし、レコーディングでも間違いとか、音程やリズムを外した部分も直してない。全く演奏して歌ったまんま。それは聴き苦しくって下手っぴ、、つまりは不細工かもやけど、誠実で嘘のない真っ正直な自分たちとして、君に告ってるってことなんやと想う。

まぁちゃん(原昌和)から、さっきグループLINEでこんなメッセージが来た。"みんな無理せず悠々とやっていきましょ"ってさ。そうやね、どうせこの戦場から逃れらんないなら誰かを不幸にする嘘は決してつくことなく、君としっかり肩並べ、手を繋いで、悠々と、キラキラと一緒にこのイバラの道を歩いていきたい。そのトゲを踏み締めるこの両足が血塗れになって、痛みでもう一歩も歩けなくなっても、そこに君がいてくれた想い出さえあれば、ぼくらは絶対に幸せなんやろなって想う。

まだまだ、一緒にいたいなぁ。
いれるかなぁ。さみしいのはごめんやなぁ。

生きてたいなぁ、君と。
うれしんでたいなぁ、もっともっと、君と。

最後にぼくの女の子友達が
すごくうれしいを聴きながら
メッセージをくれた。
"甘酸っぱいんですよね 人の愛し方忘れてるってなりますよね"
やってさ?
すごくうれしい。君もうれしい?



あと、誰か他の人の作品ならガガガSPの「国道二号線」です。

コザックな前田くんとギターの山本(聡)に拉致られ、ウェンディーズのハンバーガーをギャラに、新宿のBAZOOKA STUDIOで一日のみで一緒に編曲したことは、未だに記憶に新しいかもです。なんだったんやろ?一番から三番なみのサビにしよう!的な盛り上がりを覚えてます。けど何で僕なん?とは未だに謎...。



正直ライブに遊び行って、あの曲のイントロが流れる度に申し訳なさなんやろか?...ノスタルジー的感情に襲われてます。

多分、生涯で一番、青春的な思い入れのある、僕以外の人の曲かもですね。


今後挑戦してみたいこと
大澤:その時その瞬間の自分自身、自分たち、そして君との出来事をポートレートとして記録、遺していくことを、これまでと変わらず続けていければなと思ってます。

挑戦したいことを強いてあげるならば、韓国や台湾、シンガポール、フィリピン、ベトナム、タイとか同胞であるアジアの国々をライブがてら訪れたいと思っています。国境や言語、文化風習の違いから学び、気づき、それを越えて交流が生まれて、新しいスタンダード的潮流が生まれていく。その時代の目撃者のひとり、生き証人的なおっちゃんになれればいいなと想います。

正直、ユウテラスで可能か?はいろいろな観点、条件からわからないけど、何であれ実現していきたいなと想います。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
大澤:僕、大澤雄介は、きっと"人間というカルチャー"に、ずっと興味津々で生きてきたと思います。あとは猫。

僕は暗く陰鬱、臆病で言語表現が苦手な人間です。人付き合いがとても苦手です。自信がないから?なのか、想い余って自分や相手を傷つけてきた人間。つまりメンヘラさんなんです。超絶的メンヘラ。まぁちゃん(原昌和)にも「おめぇと話してると身勝手すぎてイラつくばっかで殺したくなんだよ」って100回は言われてます(笑)。

と、言われても変われないんで、映画『アメリ』みたいな、メンヘラさんの魅力に今もメロメロです。ニルヴァーナのカート然り、人間は大前提で結局は「僕もそうだ」っていう"共感というカルチャー"にこそ、夢中やってことなんやと想います。




今注目しているカルチャー
大澤:僕大澤、個人的には、YouTube、SNSなどのメディアの発展もあり、活躍するのに世代、年齢が全然関係のない時代がやってきたようなカルチャーをすごく楽しんでます。"若くないとダメ"が死語になったって、実はこれまでの社会的価値構造に対する井上尚弥くんばりのカウンターパンチ(カルチャー)やなぁって(笑)。

僕はボクサー辰吉丈一郎さんとイチローさんが大好きです。辰吉さんは未だ現役でチャンピオンを目指しておられ、イチローさんは引退してから現役時代よりも活発に野球愛を突き詰める活動を続けておられます。大好きなボクサーの畑山隆則さんもボクシング分野のYouTuberで活躍しておられます。





"若さがウケる"が死語とか。年齢の概念が覆るって面白い!歳を取るとこうしなければなんない!が死語ならなおさら、若い時に一生懸命頑張って実績を積めば、歳を重ねてからもっと面白いってことですよね。

若い人達の自殺を止めてあげられる。かっこたる理由が増えた気がしません?

未来は、ずっと面白いんだぞ?って伝えてあげられるこの"年齢関係ないぞカルチャー"つまりは結果『大人抹殺』が成し得た時代ってことやないですか?

やべぇなって。
ちょびっと手汗、震えてるかも。

RELEASE INFORMATION

すごくうれしいJK_1200.jpg
ユウテラス『すごくうれしい』
2023年2月14日(火)
試聴はこちら
CD通販:https://store.bitfan.id/uterus/items/8377

PROFILE

ユウテラス_A_1500.jpg
ユウテラス
1995年にニュージーランドのオークランドで当時大好きやった歳上彼女ゆきこに背中を押されつつ、大澤雄介はんのお部屋録音ヲタ化を前身に、1996年 カナダバンクーバーで大澤雄介(爽遊)と弟らゆうで結成。故郷・愛媛今治をホームグラウンドに野間志保、池田真、星野優樹、秋川信彦、小池先輩、門田めぐみ、武花正太、kenkenをはじめ、歴代メンバーのみんなと、最愛のスタッフチームの長谷川崇、ゆきえ、ますちゃん、諒介らと創作/活動を続けて、数々のアルバム、シングルを残した。最後燃え尽きて2013年5月20日終結。解散。

2018年 愛媛豪雨災害復興共闘ライブ「僕たちはどう生きるか」(故郷・愛媛大津開催)をきっかけにして、大澤雄介(爽遊)、めいまる、原昌和(the band apart)、阿部佳小利(コカリクー4D)の四人と一匹で、新ユウテラスが生誕。

2020年4月18日処女曲「日の丸」を、asian gothic label よりYouTubeに公開。2021年8月4日新アルバム『風立ちぬ』、2021年9月10日配信シングル「心中」、2022年1月19日 配信シングル「2/純愛」、それぞれasian gothic label よりリリース。

2023年2月14日(バレンタインデー)、再始動の新EP 『すごくうれしい』を、『みかん畑でつかまえて』以来復活の老舗自主レーベルTeam rhythmo 18よりリリース。新章、始まります。賛美歌みたいな四人と一匹。一生涯君至上主義、ユウテラスは戦わない。

LINK
オフィシャルサイト
@4people_and1
@sawa_u_lennon
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