SENSA

2023.02.11

「変わることと変わらずにいること」を見つめながら、新たなるフェイズへ──カネコアヤノ『タオルケットは穏やかな』インタビュー

「変わることと変わらずにいること」を見つめながら、新たなるフェイズへ──カネコアヤノ『タオルケットは穏やかな』インタビュー

カネコアヤノの新作『タオルケットは穏やかな』は、彼女が音楽家として、表現者として新たなフェイズに入ったことを強く感じさせる作品だ。

お馴染みの伊豆スタジオで、エンジニア/サウンドプロデューサーの濱野泰政とともに合宿レコーディングが行われ、アナログな質感を残したサイケデリックなインディフォークという音楽的な方向性の根幹の部分には変わりがない。しかし、2021年に初の日本武道館公演を経験し、さらに2022年には長くサポートを続けていたドラムがバンドから離れ、この一年で環境的には大きな変化を経験した。だからこそ、「変わることと変わらずにいること」を見つめ、孤独や不安に寄り添いながら、周りにいる人たちの愛情や子供の頃の気持ちをもう一度かみしめた『タオルケットは穏やかな』は、悲しくもどこか晴れやかだ。

2度目の日本武道館公演を終えた一週間後に、サポートの林宏敏(G)と本村拓磨(B/ゆうらん船)も交え、3人に話を聞いた。

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弾き語りは、だいぶ行くところまで行ったなって感じがしました

―ちょうど一週間前に日本武道館の2デイズが終了しました。1日目は弾き語り、2日目はバンド編成だったわけですが、まずは2日間を振り返っていただけますか?


カネコアヤノ:バンドはシンプルに楽しくやれたかなっていう感想なんですけど、弾き語りは個人的にはやり切ったというか、満たされたというか......だいぶ行くところまで行ったなって感じがしました。スタッフのみなさんとか、ほぼ全部のライブを観てくれてる人たちが「今までで一番よかった」って言ってくれたりもして、自分の想いと周りの感想が重なったのもうれしかったです。

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―林くんと本村くんから見て、初日の弾き語りはどうでしたか?


林宏敏:圧倒的だったなって。ホントに素晴らしいの一言というか、もちろん音楽のライブではあるんですけど、ひとりの人の人生を全部見てるような時間だった印象がすごくあって、映画とか演劇を観てるような感じもしました。それで「次の日ちゃんとやらなきゃ」みたいな気持ちにもなりつつ、でもバンドはバンドで楽しむのが一番だし、武道館にドラムの照沼(光星)くんと一緒に立てるのが、個人的にはすごくうれしかったんです。昔からよく一緒にスタジオに入って、ビートルズとかレッド・ツェッペリンのコピーを遊びでやってたので、武道館という特別な場所で一緒に演奏できるのは、それだけで「最高!」みたいな感じでした。

本村拓磨:自分も初日圧倒されたっていうのは全く一緒で、本人の歌と演奏もそうなんですけど、照明とか音響も含めて、一人ひとりの念が集結してる感じがして。目をつぶって聴いてると、すごく大きな人が歌ってるみたいに聴こえて、でも目を開けるとちっちゃい子がひとりいて、視覚の情報と聴覚の情報が全然一致しなくて......すごいことになってるなって。なので、自分はめちゃくちゃ食らい過ぎて、その日は「明日どうしよう?」みたいになっちゃったんですけど、でも当日音を出したら、全然大丈夫だったというか。それくらいバンドの状態がよくて、この4人でいつも通りやれば大丈夫っていう安心感がありました。

―照沼くんはみんな昔から知り合いなんですか?


カネコ:私は4~5年前くらいに知り合って、2人はもっと......。

本村:僕も5~6年くらい。林くんが一番長い。

:知り合ったのは十何年前ですね。

―それはどういうきっかけだったんですか?


:僕は踊ってばかりの国をやってて、向こうはQUATTROってバンドをやってたときに出会いました。僕がiTunesで音楽をかけてたら、「これ誰のプレイリスト?好きなもの全く一緒じゃん!」みたいになって、そこから一気に仲良くなって。

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―それで一緒にスタジオに入る仲になったと。とはいえ、このバンドで一緒に音を鳴らすようになってからは、まだ一年足らずですよね。10月から12月にかけて毎月ライブハウスでライブをしたのは、武道館に向けて照沼くんと本数をやっておきたかったから?


カネコ:それもありました。グルーヴみたいなものをより深められたらいいなって。あとは、もともとずっとやってた小さなライブハウスでもツアー回ったりしたいよねっていう話を前からしてたので、いいタイミングだなって。あの3本はすごく楽しくて......燃えましたね。全部全然違うライブだった印象で、心の帰っていく場所はこっちだなと思って、その分「大きいステージでも変わらず楽しくやりたい」っていう想いが強くなりました。

―さっき昔レッド・ツェッペリンを一緒にコピーしてたっていう話で納得しましたけど、照沼くんのパワフルなドラムは大きな会場にも似合いますよね。ちゃんと歌にも寄り添ってるんだけど、最後にジャムっぽくなったときとか、めちゃめちゃパワフルで。


本村:最高でしたね。

カネコ:すごい楽しかった。

―セットリストで言うと、前回の武道館は最後が「アーケード」だったのに対して、今回は2曲目が「アーケード」でした。前回とは違う雰囲気のライブにしたいという想いがあった?


カネコ:ありましたね。照明は渡辺(敬之 (tremolo))さんっていう方とずっと長くやってるんですけど、ライブの印象の話をする中で、「どんどん小っちゃくなっていく」というか「どんどん内に内に入っていく」みたいにしたいっていう話をしていて、実際そうなった気がします。「アーケード」の位置とかセトリは結構本村くんが考えてくれて、そういう私の意図もちゃんと組み込んでくれたのかなって。一曲目に「追憶」をやろうって言ったのも本村くんで、一日目の弾き語りから続いてる感じがして、あの始まり方はすごく気に入ってました。

本村:ライブハウスで3本やったときに、3本目の渋谷WWWが個人的にめちゃくちゃ落ち着いて演奏できたんです。このバンドでひさびさにあの会場でワンマンをして、すごくお客さんを近く感じたし、「この空間を鳴らしてる」みたいな感覚で、これを武道館でもできたらいいなと思ったんですよね。ただ板の上でやってることをドーンと出すというよりは、全体を包むようなイメージで演奏がしたいなって。じゃあ、そのためにはどうしたらいいかと思ったときに、最初は静かに始めて、まず自分たちを整えて、お客さんも整える時間があったらいいなと思って、それで一曲目に「追憶」を選んで。で、一回整ったら、今度はバーン!ってなりたいから、それに一番適してるのが「アーケード」だったんです。

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「わたしたちへ」を作ったときは、すごく葛藤があった

―アルバムの一曲目の「わたしたちへ」は昨年の4月に配信リリースされていて、CM(カネボウ化粧品『ALLIE』WEB CM)に使われたこともあり、アルバムよりもレコーディングは早かったと思うんですけど、いつごろ作られた曲なのでしょうか?


カネコ:一昨年の12月くらいにCM用に半分くらいレコーディングをしたから、デモを作ったのは11月とか。なので、実は最初に作ってから結構時間が経ってるんです。まあ、CM用の録音とシングルの録音も違うし、やたらいっぱい録ってる。

本村:アルバム用も含めると、3回スタジオで録ってる。

―バンドとしての動きが活発になり出したころに「とがる」を発表していて、あの曲では〈かわってく景色を受け入れろ〉〈かわってく覚悟はあるはずだ〉と歌われていたじゃないですか?今回またバンドとしての変化のタイミングで、〈変わりたい変われない 変わりたい代わりがいない〉と歌っているのが印象的だなと感じたんですよね。


カネコ:特別メンバーのことを意識していたわけではないんですけど、デモを作ったのが前回の武道館の前だったから、当時すごくプレッシャーを感じてたのは覚えていて。「あんな場所でやっちゃったら、自分どうなっちゃうんだろう?」みたいなことをすごく考えてたんです。「とがる」のときは「変わらないために変わっていきたい」みたいなことを強く思ってたけど、「わたしたちへ」を作ったときは、「私はどうなっちゃうんだろう?」と思いつつ、「でも結局変われないんだよなあ」と思ったり、すごく葛藤があって、それが出てるのかも。

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―〈代わりがいない〉っていうのは恐ろしいことでもあるけど、「自分は他の誰でもない自分なんだ」ということを受け止める強さを感じました。


カネコ:うれしいです。アルバムのマスタリングをして、最後の最後に大きなスピーカーで聴いて、「これでできあがっちゃうんだ」っていうときに、一曲目の「わたしたちへ」が流れてきて......泣きましたね。そのときの景色は今でも覚えていて、個人的にもかなり思い入れが強いというか、キーになる曲かなと思ってます。

―頭と最後に轟音が鳴らされているのは、当時の混乱した心象が鳴らされてるのかなとも思ったり。


カネコ:あそこは最初ネタみたいな感じで、面白半分でやってたんだよね。

本村:「このコード進行でガシャガシャやったらやばくない?熱すぎでしょ」って。

カネコ:でも実際やってみたら、「めっちゃ楽しいじゃん!」ってなっちゃって。「結局自分たちが音楽のどういうところで爆笑するのか」みたいな部分も詰まってて、すごく気に入ってます。自分たちの性格がよく出てる曲だなって。

―録音を繰り返して、より正解が見えて行ったでしょうしね。


カネコ:ライブでもいっぱいやってたから、どんどん景色が見えてくる感覚がありました。

―ちなみに、アルバムの中でこの曲だけドラムが照沼くんではないんですよね?


カネコ:Hikari Sakashita(San hb)さんっていう方に叩いてもらいました。照沼くんが別のバンドでヨーロッパに行ってたときに、ピンチヒッターとしてHikariさんとも一緒にスタジオに入ったりライブしたりしてたので、「この曲はHikariさんと録りたいね」って、自然な流れで。

本村:大阪でKID FRESINOくんと2マンをして、あれがHikariさんと初めて一緒にやったライブで......めちゃくちゃ無音だったのって、あの日だよね?

カネコ:覚えてる!

本村:最後の曲が「わたしたちへ」で、ドラムイントロから始まるんですけど、前の曲が終わって、リハのときはあんまり間を空けずにバーンって入ってたんですよ。でもライブだとすぐに叩かないで、体感的に無音の時間がめちゃくちゃ長くあって、完全な静寂からいきなりバーン!って始まって、それにすごく感動して。

カネコ:そのとき話したよね。最初の無音やカウントも含めて、そこから音楽が始まってるって。

本村:「わたしたちへ」という曲に対して彼なりの明確な解釈があって、すごく深い理解力のある方だと思ったので、それでレコーディングもお願いしたんです。照沼くんとも録ってみたかったんですけど、2人にアルバムに参加してもらいたいっていうのもあったしね。

カネコ:私もそれはすごくありました。

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すごくいい寂しさが閉じ込められてるんじゃないかな

―アルバムとしての青写真や方向性はどの程度ありましたか?


カネコ:最初に話した武道館と同じで、間口はすごく広いんだけど、どんどん小さくなっていく、ミニマムになっていく、みたいなイメージは話してました。「どんどん内に内に行きたいよね」みたいな。

―その考え方が出てきたのは、何か要因があったのでしょうか?


カネコ:自然に出てきたことではあるんですけど......バンドが新しくなるっていうのは、個人的にすごく大きなことで、それをポジティブにも感じたいし、もう一度ゼロから始めるために、「自分はもともとどういう風に曲を作ってたっけ?」っていうことをよく考えてたんです。そういう中で、昔は家でひとりベッドの上で、小さく小さく作ってたこととかを思い出して、「そのころの心を忘れたくねえ」みたいな気持ちが、今回のアルバムに繋がってるのかも。昔は親に聴かれるのが恥ずかしいから、ひとりでベッドの上ですっごい小声で、すっごい小さな音でギターを弾いてて、そのころのことを定期的に思い出すようにしてるんですけど、今回特に強く思い出しました。

―ドラマーが変わるというバンドとしての大きな変化のタイミングだったからこそ、自分の原点をもう一度見つめ直したと。実際に今の4人になって、どんな風に感じていますか?


カネコ:照ちゃんの人間性はめちゃめちゃ明るくて、みんなを幸せにしてくれる感じ。だから、私が内に内に行き過ぎる部分に、照ちゃんのエッセンスが加わることで、ちゃんと太陽も見えるというか、そういう感じにしたいっていうのもありました。

―実際『よすが』に比べると今回のアルバムはもう少し外に開けてる印象を受けました。歌詞からは迷いや不安もすごく感じるし、「内に」っていう雰囲気もすごくわかりつつ、でも新しいメンバーと音を合わせながら、ある意味ラフに、楽しみながら作った印象を受けます。


カネコ:たしかに......いやあ、マジでそう。自分にとってのバンドの理想像を改めて考える機会もあったんですけど、大きい真っ白な画用紙がバーンとあるとして、その中で私たちはこのくらいの大きさ(ちっちゃく丸を囲む)でウワーッてやってて、でも出るときには端っこまで出る!みたいな、それがすごく楽しいし、愛してると思う部分で、そういうことも今回すごくできた気がします。頭の中にかかってた靄がようやく晴れて行って、やりたいことができた感じがすごくありました。

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―林くんは今回の制作をどのように感じていますか?


:個人的には、今回ギターのダビングを必要最小限くらいに減らしてて。

―『よすが』に比べると、楽器の数もそんなに多くないですよね。


:「気分」でバンジョーを入れてるくらいです。でもそれもバンジョーを入れることで曲が開けるというよりは、逆に孤独感が増すというか、どんどんスペースが狭くなっていく感じ、ひとりぼっちになる感じが出せたかなと思っていて。やっぱり「内へ内へ」とか「狭い部屋」みたいなイメージを今まで以上に意識してたと思います。

―本村くんはどうですか?


本村:照沼くんは明るくて、陽の気が出るドラムを叩いてるのもあって、自分は逆に温度感低めに演奏したいと思って、あんまりハイテンションにならないことを心掛けたりしました。そうやって一人ひとりの演奏にいろんな側面がありつつ、4人でひとつの生き物になってるというか、自分の中でのバンドの理想はそういうものなので、今回すごくハマった感覚があって。

カネコ:わかる。「無理せず、全員ここにいます」みたいな。

本村:無理せずやった結果、ひとりぼっち感とかさみしい感じが出たのもよかったと思ってて、すごくいい寂しさが閉じ込められてるんじゃないかなって。

今ここで水を飲むのか、コーヒーを飲むのか、それだけでも出る音が変わる

―個人的にアルバム後半の曲がすごく好きで、「いい寂しさが閉じ込められてる」という表現もすごく納得です。「気分」はバンジョーとかも効果的だけど、やっぱりこの曲は歌がすごく印象的で。こういう裏声とかウィスパーっぽい発声の曲はこれまであまりなかったと思うんですけど。


カネコ:今回は一生懸命歌い過ぎない曲も入れたいと思って、肩の力を抜いて、力まずにやれる曲を作りたいと思って作りました。でも、結局ライブでは最後にめっちゃウワー!ってなっちゃってて。

本村:最後まで取っておいてはいるよね。

カネコ:そうなんです!前はとにかく「大きな声を出すのが楽しい」っていう時期があったんですけど、今自分が好きなのは、最後の最後にガッと行くタイプの曲で。なので、「それまで取っておくぞ」みたいな、冷静な気持ちを目覚めさせてくれた曲でもあります。あと今回のアルバム全体で思ったのが、歌も楽器のひとつみたいなイメージがあって、前よりもみんなの演奏の中に入れてる感じがするので、それはすごくうれしいです。

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―林くんと本村くんは今作のカネコさんの歌についてどう感じていますか?


:溶け込んでる感じはすごくあると思います。それこそ全部でひとつというか、最初から自然にそこにある感じ。

本村:歌録りのときはヤスさん(濱野泰政)と2人で「歌うまっ!」ってなってました。単純に、テイク数も少なくなってるんですけど、例えば、3~4テイク録っても、失敗テイクっていうのはそもそもなくて、ピッチやリズムがどうとかじゃなく、温度感とか、それこそ溶け込み具合で一番いいのを選んでいく感じでしたね。

―その次の「月明かり」の頭に入ってるのは晩ちゃん(猫)の声?


カネコ:そうなんです!

本村:武道館でも流したもんね。

―あれは一瞬何事かと思いました(笑)。「月明かり」は晩ちゃんが曲のモチーフになってるんですか?


カネコ:いや、単純に面白いから入れました。

本村:林くんが晩ちゃんの声をギターのピックアップで拾って、入れたりしてて。

カネコ:それを逆再生したら、「なんか怖いかも」ってなって、イントロだけ普通の声のままで、バンドインしてからは逆再生が入ってます。声がちょっと悲しげというか、儚いんですよ。全部に「?」がついてる感じがして、それが面白くて入れました。

―それもアルバムの一人ぼっち感に貢献してる気がする。


本村:女優だ。

―「月明かり」の主演女優。


カネコ:頭あがらないっす。

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―そして、9曲目のタイトル曲がアルバム本編のエンディングという雰囲気で。武道館でも「わたしたちへ」からこの曲の繋ぎがすごく印象的でした。


カネコ:デモのときからすごく気に入ってて、「何も起きずに、ずっとただ真っすぐ進んでいく」みたいな感じが好きです。サビもそのまま、前の歌詞のお尻から突入するし。アレンジも自然とこうなった感じだよね?

本村:うん、「せーの」でドンって。ずんずん進んでるのにコード進行は全然着地しない感じがいいよね。同じコードに行くんだけど、AメロとBメロで行き方が違ったり、ずっと進んではいるんだけど、ずっと回り道をして、錯乱してる感じ。

カネコ:わかる。

―そのコードがどこに着地するかわからない感じと、〈いいんだよ 分からないまま 曖昧な愛〉という歌詞がリンクしてるようにも聴こえます。今回のアルバムは歌詞の中に「愛」という言葉もよく出てきていて、やっぱり自分を取り巻く環境やメンバーが変化していく中で、もう一度根本にある感情を見つめ直そうとしたのかなと。でもやっぱり答えみたいなものはなくて、〈いいんだよ 分からないまま〉とそのまま歌うことに意味があるというか。


カネコ:ホントにわからないですよね、「愛」というものは。確実にあるはあるんですけど......姿見えなさすぎ。

本村:形がどんどん変わるというか、そもそも自分も変わっていくし、自分が変わると愛の形も変わるのかなって。

―今回のアルバム自体が「変化」に向き合ったアルバムっていう印象もあって、「わたしたちへ」もそうだし、アルバムのエンドロール的なラストナンバーの「もしも」でも<変わることと変わらずにいること>について歌われていますよね。


カネコ:去年は人生についてすごく考えた一年だったんです。「変わっていくし、生きていくのか、これからも」みたいな、そういうことをずっと考えてる一年だったかも。どこかで自分が図太くならないといけない瞬間みたいなのが出てきたりもするけど、それってつらいよなと思ったり、でもそういうときに図太く鈍感にならないと、心が死んでいく瞬間もあるし、みたいな。何が何だかわからないし、でもみんな大好きだし......支離滅裂にずっとそういうことを考えてましたね。

―迷いや不安や孤独と、その一方での愛情や子供の頃の大切な気持ちとか、そういうものがそのまま詰まったアルバムになっているなって。


カネコ:去年ヤスさんに言われて印象的だったのが、今ここで水を飲むのか、コーヒーを飲むのか、それだけでも出る音が変わるっていうことで。つまり、どんな些細なことでも自分が何を選択するかが音に出るんだって。自分が誰と一緒にいて、どこに行くのか、その全部が音になるって、ホントにそうだと思うし、そのことは今もずっと考えてる。その積み重ねでいろんなことが大きくなったり、自分というものが構成されていくんだなって。

―武道館での弾き語りに人生を感じたっていうのは、そういうことのような気がします。


カネコ:だからって、すべてに対して真面目に生きなきゃとか、そういうことではなくて。クソふざけるときはそういうことも全部忘れるし、そうやって忘れるか意識するかも選択するのは自分次第だなと思ったりもして。何かを意識せずに作った音楽も本当に素晴らしいと思うけど、今は「音を鳴らすとは?」みたいなことをすごく考えるようになりました。

最近すごく強く思います。「未来」よりもやっぱり「今」だなって

―アルバムのリリース後、2023年の上半期はZeppツアーにホールツアーとライブがかなり詰まっていますが、今はライブをたくさんやりたいモードなのでしょうか?


本村:ライブが楽しくて。

カネコ:ずっと話してることだけど、「結局ライブないときついよね」みたいな話も去年はよくしてて。

本村:根本的に日常でストレスを感じやすいので、ライブがないとしんどい......こう言うとライブを見に行く時の話みたいですが。

―でもきっと一緒なんでしょうね。


本村:そうですね。同じような気持ちなんだと思います。自分も解放されに行ってるし、来てくれる人にもそれを感じてほしいし。

―林くんも同じ気持ちですか?


:俺は......ギターがデカい音で鳴らせれば。

―あはは。でもやっぱりライブで音を鳴らして、お客さんの反応含め、そこで自分が何を感じるかによって、次にどこに向かうかが見えてくると思うから、潜在的にそういうものを求めている時期なのかもしれないですね。


カネコ:最近思うのは、「未来が不安」みたいなのって、私はすごく抱えやすいですけど、結局それを構築するのも「今」だから、今やりたいことをとにかくやるべきだなって、当たり前ですけど、最近すごく強く思います。「未来」よりもやっぱり「今」だなって。

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―ライブっていうのはまさにそういう場所ですよね。


カネコ:明日のために今頑張ろう!基本的に宿題とかはできないタイプですけど。

本村:わかるー。

カネコ:「今が大事だから遊びに行こう」っていう、そういう選択肢もあるってことですね。

取材・文:金子厚武
撮影:馬込将充


RELEASE INFORMATION

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カネコアヤノ「タオルケットは穏やかな」
2023年1月25日(水)
Format: CD/LP/ Digital
CD ( 全国流通 ) 品番:NNFC-11
価格:3,300 円 ( 税込 ) / 3,000 円 ( 税抜 )

- LP ( 初回生産限定 )品番:NNFS-1008
価格:4,000 円 ( 税込 ) / 3,636 円 ( 税抜 )
※一部店舗・通販サイト、オフィシャル通販「カネコ商店」での販売

Track:
1. わたしたちへ(album ver.)
2. やさしいギター
3. 季節の果物
4. 眠れない
5. 予感
6. 気分
7. 月明かり
8. こんな日に限って
9. タオルケットは穏やかな
10. もしも

試聴はこちら


LIVE INFORMATION
カネコアヤノ Zepp Tour 2023 "タオルケットは穏やかな"
2月10日(金)Zepp Sapporo
2月16日(木)KT Zepp Yokohama
2月20日(月)Zepp Nagoya
2月22日(水)Zepp Fukuoka
2月28日(火)Zepp Haneda

カネコアヤノ 大阪城ホール ワンマンショー 2023
3月5日(日) 大阪城ホール

カネコアヤノ Hall Tour 2023 " タオルケットは穏やかな "
4月20日(木) 神奈川県⺠ホール ⼤ホール
open 18:00 / start 19:00
お問い合わせ:HOT STAFF PROMOTION (03-5720-9999)

4月22日(土) 広島 JMSアステールプラザ ⼤ホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:YUMEBANCHI(広島) (082-249-3571)

4月23日(日) ⾹川県県⺠ホール レクザムホール ⼩ホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:DUKE(⾼松)(087-822-2520)

5月13日(土) 岩⼿県公会堂
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:GIP(0570-01-9999)

5月14日(日) 仙台サンプラザホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:GIP(0570-01-9999)

5月20日(土) 新潟テルサ
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:FOB(新潟)(025-229-5000)

5月21日(日) 北陸電⼒会館 本多の森ホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:FOB(金沢)(076-232-2424)

5月24日(水) ロームシアター京都 サウスホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:GREENS (06-6882-1224)

5月26日(金) 福岡市⺠会館 ⼤ホール
open 18:00 / start 19:00
お問い合わせ:キョードー⻄⽇本(0570-09-2424)

5月27日(土) 熊本県⽴劇場 演劇ホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:キョードー⻄⽇本(0570-09-2424)

6月3日(土) 静岡市⺠⽂化会館 中ホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:JAIL HOUSE(052-936-6041)

6月4日(日) 倉敷市芸⽂館
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:YUMEBANCHI(岡⼭) (086-231-3531)

6月10日(日) 札幌 カナモトホール
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:WESS (info@wess.co.jp)

6月21日(水) NHKホール
open 18:00 / start 19:00
お問い合わせ:HOT STAFF PROMOTION (03-5720-9999)

6月22日(木) NHKホール
open 18:00 / start 19:00
お問い合わせ:HOT STAFF PROMOTION (03-5720-9999)

6月27日(火) 名古屋 ⽇本特殊陶業市⺠会館 フォレストホール
open 18:00 / start 19:00
お問い合わせ:JAIL HOUSE(052-936-6041)

6月28日(水) ⼤阪 フェスティバルホール
open 18:00 / start 19:00
お問い合わせ:GREENS (06-6882-1224)

7月8日(土) 沖縄 ミュージックタウン音市場
open 17:00 / start 18:00
お問い合わせ:PM AGENCY(098-898-1331)


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