SENSA

2023.02.14

1曲15分のサイケデリックな音楽の旅──Helsinki Lambda Club『NEW HEAVEN』インタビュー

1曲15分のサイケデリックな音楽の旅──Helsinki Lambda Club『NEW HEAVEN』インタビュー

Helsinki Lambda Clubの新曲「NEW HEAVEN」は1曲15分のサイケデリックなミュージックジャーニー。昨年6月に東名阪で開催された「NEW HEAVEN」ツアーのユーフォリックなムードをすくい上げ、アンビエント、テクノ、ダブ、ハードロックなど、近年バンドが吸収してきた様々なジャンルの要素を散りばめた、非常に野心的な仕上がりとなっている。

あらゆる表現がファストに消費される現代に対し、本作はバンドがもともと持ち合わせているレフトフィールドな精神性の発露であり、直接的なインスピレーション源となった King Gizzard & The Lizard Wizardはもちろん、フィッシュマンズの『LONG SEASON』や、髭の『Electric』といった、CD時代の「一曲アルバム」を思い出させたりもする。この夏で結成10周年という記念すべき年をこの曲でスタートさせたHelsinki Lambda Clubは、やはり信用できるバンドだ。

このインタビューはこれまでも彼らの作品に数多く関わり、「NEW HEAVEN」でも大きな役割を果たしたエンジニアの池田洋が運営するhmc studioで行われた公開インタビューを基にしたもの。15分間の旅のお供にぜひお読みいただきたい。


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地獄の中でも楽しいことを生み出すことはできる

―「NEW HEAVEN」の話の前に、まずは2022年の活動を振り返っていただけますか?


稲葉航大(B):去年はマジで一瞬でした。ライブもいっぱいやりましたし、ツアーもいっぱい回ったし、フジロックも出たし、僕ら的には一段階ステップアップできたというか、次に進める何かが生まれたような気がしています。

熊谷太起(G):一昨年くらいから仲間がめっちゃ増え始めた感じがあって、僕ら的には遊んでるだけなのを、みんなが受け入れてくれ始めたというか(笑)。フジロックに出れたのも、僕らは楽しくやってただけで、それが偶然を引き寄せた感じがする。一昨年は(新木場スタジオ)コーストでのワンマンとかがあって、結構気張ってた感じがするけど、去年はもっとシンプルに楽しく活動してたら、輪が広がった感じがします。

橋本薫(Vo/G):僕も結構同じような感じで、コロナ禍に入ってからは、外で派手に遊ぶことはできなかったけど、メンバー含めて親しい友達の家に行って、音楽を聴きながらお酒を飲んだりする機会は増えて。なので、去年はすごく遊んだ一年で、その遊びの感覚を音楽にも落とし込んだりして。こんなご時世だから、落ち込みたくなくて遊んでたっていうのもあるけど、そういう中で生まれたコミュニケーションが音楽にも出せたんじゃないかなって。

―去年リリースした『Hello, my darkness』にはラッパーのWez Atlasが参加して、ツアーも一緒に回りましたもんね。


橋本:Wezくんには助けられましたね。もともと僕が一方的にファンで、参加をお願いしたんですけど、この前も稲葉の家で一緒に遊んだり、すごくいい仲間ができたなと思います。

―そして、去年の6月に東名阪で行われた「NEW HEAVEN」ツアーが、今回の曲が生まれるきっかけになったそうですね。


橋本:友達やメンバーと楽しく過ごしてる日々の空気感のまま6月のツアーがあって、そのときの僕らのマインドに近いセットリストでやったんですけど、大阪と名古屋の2本をやって、すごく受け入れられてる感じがしたというか、マインドをちゃんと共有できてる気がしたんですよね。なので、このみんなと過ごしてる楽しい時間を音にパッケージして、ファイナルの東京で新曲として披露できたらいいなと思って、曲を作り始めたんですけど......作ってるうちにどんどん広がっちゃって(笑)。

―もともと6月のツアーに「NEW HEAVEN」というタイトルをつけていたのは、友達やメンバーと遊んで過ごした2022年の空気感をそのまま表していたわけですね。


橋本:そうですね。去年一年は「売れたい」みたいなことは一旦置いておいて、メンバーともお客さんともしっかり楽しみ切りたい気持ちがあったんです。僕は今生きてるこの世界はある意味地獄だと思ってるんですけど、そんな中でも楽しいことを生み出すことはできると思って、それでつけたタイトルでした。

―熊谷くんは「NEW HEAVEN」ツアーでどんなことを感じましたか?


熊谷:僕らの空気感が一番出てたツアーだと思います。なので、全く気負わずに、ただただ楽しかったです。セットリストも「めちゃめちゃ盛り上がる」みたいな感じではなかったけど、でもこれはこれでいいねって。

橋本:一曲目が「眠ったふりして」だったっけ?(実際は「しゃれこうべ しゃれこうべ」)ただアゲていくだけじゃない、チルい感じもありつつ、でも沸々と盛り上がる、みたいなセットリストで。

熊谷:今までのツアーにはない空気感で......それでこういう曲ができたんだと思うんですけど(笑)。

稲葉:さっきもちょっと話に出ましたけど、やっぱり一昨年はコーストとかもあって、「やらなきゃ」とか「楽しませなきゃ」みたいな感じがあったんです。でも「NEW HEAVEN」ツアーは「まず自分たちが楽しもう」みたいな気持ちでやれて、その結果お客さんも喜んでくれたから、「これでいいんだな」って感じがありました。

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「作品」と「商品」を分けるとすれば、「NEW HEAVEN」は「作品」

―「NEW HEAVEN」ツアー中に作り始めた「NEW HEAVEN」ですが、最初から長い曲にしようと思っていたわけではないんですよね。


橋本:そうですね。最初は爽やかな、夏っぽい曲を作ろうと思ってたんですけど、結局ツアーでは披露できなくて。その後に時間の制約がない中で曲を詰め始めて、稲葉がベースラインを変えたあたりから、雲行きが怪しくなっていって(笑)。

熊谷:最初稲葉の家で「何でもいいから順番に音を入れて行こう」みたいなことをやって。

橋本:そうだ、それをやってるうちにいろいろ見えてきて、「3~4分じゃ収まらないんじゃない?」ってなってきたんです。「長い曲をやりたい」と思ったのは、去年King Gizzard & The Lizard Wizardの新譜がめちゃくちゃよくて。友達と稲葉と3人でドライブをしてたときに、その新譜を初めて流して、18分くらいの曲で「めちゃいい!」ってなって、そこから「長い曲いいな」っていう感じになっていって。あとは、友達の家で遊んでるときに、テクノを聴くことも多くて、その影響も今回は大きいですね。

―個人的にはフリーフォークの流れ、デヴェンドラ・バンハートやアニマル・コレクティヴを連想したり、日本のバンドで言うと、フィッシュマンズの「LONG SEASON」も思い出しました。あれは1曲40分の超大作ですけど、バンドとクラブミュージックやダブの融合という意味でも、ちょっと通じるものがあるなと。


橋本:アニコレは常に頭の片隅にあるし、フィッシュマンズも最近のヘルシンキにとってはわりと親しみがあるというか。今まで僕の作る歌詞は内省的で、迷いみたいなものにフォーカスすることが多かったんですけど、そこからちょっと快楽主義......とまでは行かないけど、もうちょっと気持ちよさとか楽しさにフォーカスするようになったっていうのもあると思います。

―近年のヘルシンキは音楽的にいろんなアプローチがあって、だから今回の曲もある意味「らしいな」と思ったけど、とはいえ今の時代に1曲15分の曲をリリースするのは勇気が要ることだったとも思いますが、そのあたりはいかがですか?


稲葉:最近は短い曲が流行ってるけど、ちゃんと音と向き合ってほしいなっていう、個人的な気持ちはありました。でも15分ずっと集中して聴かなくてもよくて、BGMとして流してくれてもいいし、そういう中でふと気づくことってあると思うんです。「ここでギターが入ってきてたのか」とか、歌メロだけじゃなくて、他の楽器や音にも耳を向けて、「音楽ってこういう楽しみ方もあるんだな」っていうことに気づいてもらえたら嬉しいです。

熊谷:僕は「15分だから」っていうのはあんまり意識してなかったんですけど、でも3分の曲とかだと、歌も詰まってるし、構成もどうしてもわかりやすくなって、ウワッて終わっちゃう感じがあると思うんですよね。でも15分あると、ドラムとベースだけ鳴ってる時間が一分間あったりして、「ドラムだけ聴いてみる」とかがやりやすいと思うんです。そういう聴き方って、いろいろ音楽を聴く中でいつしかできるようになるものだとは思うんですけど、楽器を演奏したことがない人にとってはわりと難しいことだったりもするのかなと思って、この曲を入口にしてもらえたら......とは思ってないんですけど(笑)。

橋本:思ってないんかい(笑)。

熊谷:それを意識して作ったわけじゃないけど、結果そうなってくれたらうれしいなって。

橋本:この前「オードリーのオールナイトニッポン」を聴いてたら、若林さんが星野源さんの曲に参加をした話をしてて、「今のいいんですけど、もうちょっと後ろの感じで歌ってみてください」っていうディレクションがあったときに、「後ろ」が全く分からなかったっていう話をしてて。若林さんはもともとヒップホップとか大好きで、そういう人でも意外と「後ろ」みたいなことを感覚としてわかってなかったりするから、そういうことを知るためのアシストができればいいなとは思うけど......でも今回に関しては、とにかく自分たちが気持ちいいと思うものを作ったので、いろんな楽しみ方をしてもらえればいいかなって。

―あくまで楽しいから、気持ちいいから聴いていたものを通して、いつの間にか深い理解に変わることってありますよね。僕は「LONG SEASON」が最初よくわからなかったけど、テクノやダブとかを一通り聴いて、もう一度「LONG SEASON」を聴いたときに、「こんな曲だったのか!」と思ったりもして。だから、「NEW HEAVEN」はもちろん今聴いてもかっこいいんだけど、10年後にどんな評価をされてるのかが気になる曲でもあるなって(笑)。


橋本:「作品」と「商品」を分けるとすれば、「NEW HEAVEN」は「作品」であって、客観的な視点が足りてない曲ではあると思うんです。自分たちは気持ちいいけど、受け取り手がどう感じるかまではあまり考えられてないし、僕自身もこの曲をちゃんと理解できてるかどうかはわからなくて。でもどこか引っかかってくれる部分があったら、それこそまた数年後聴いたときに違って聴こえたりすると思うので、長い目で楽しんでほしいです。

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プロセスがいろいろあり過ぎて、正直僕らも経過を全部は覚えてない(笑)

―「NEW HEAVEN」は大きく分けて3部構成と言っていいと思うのですが、まず最初のパートはどのように作っていったのでしょうか?


橋本:最初は途中でも言ったように、爽やかな、夏の気配がある感じで作っていって......プロセスがいろいろあり過ぎて、正直僕らも経過を全部は覚えてないんですけど(笑)。

―音数もめちゃめちゃ多くて、250トラックくらい使ってるんですよね?


橋本:確実に200は越えてると思いますね。

―順番に聞いてみると、ド頭の逆回転と環境音はどんなイメージだったんですか?


橋本:僕の中での「HEAVEN」は、海とか南国の感じ、ネイチャーを感じるようなイメージで(笑)、それで鳥の声とかで始めたくて。ちなみに、今回のレコーディングは生でやってる音と、サンプリングとか効果音を拝借して使ってる音と、自分の中で線引きをしていて。

―アナログとデジタルの使い分けを意識した?


橋本:そうですね。冒頭の鳥の声は稲葉の家の近くの駅のホームで録ったんですけど、作ってるプロセスの温度感みたいなものも曲の中に入れたくて、身近で録った音を拾って入れたりしてます。

稲葉:最初は僕が友達とキャンプに行ったときに、鳥がめちゃくちゃ鳴いてて、それをボイスメモで録ったものを入れてたんですけど、気づいたらホームの方が採用されてて(笑)。

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―途中で入ってくるパーカッションは生ですか?サンプリングですか?


橋本:あれはサンプリングで、Spliceから持ってきました。サイケとかをやるとなると、「生の方がリアル」みたいなイメージがあると思うんですけど、「かくあるべし」をやるのは僕らにとってのリアルではないなと思って、「ここはサンプリングでいいよね」っていう部分はサンプリングを使っていて。逆に、途中からキーンっていう音が入ってて、あれはシンギングボールっていう楽器なんですけど、ああいう音ってマインド的な部分を担うじゃないですか?なので、あの音もSpliceにはあったんですけど、でもこれは生で入れたくて。倍音を出すのが結構難しいんですけど、太起が一番上手くて、10分くらい一発録りをして。

熊谷:意識して聴いてもらえばわかると思います。

―ギターは序盤のアルペジオから、途中で逆回転を使ったノイズ、さらにはハードロックなリフと、前半から多彩なプレイが散りばめられていますね。


熊谷:ギターもどっちが弾いたかわからないくらいいっぱい入ってて。

橋本:激しくなるところの最初は俺が弾いて、そこから上げていくところで太起が重ねてます。今回ドラムは打ち込みなので、基本宅録的な作業なんですけど、宅録だけどちょっとセッションをしてるというか、お互いのフレーズに呼応してフレーズを入れていく作業が結構ありました。

熊谷:途中の逆再生の部分は「午時葵」のフレーズを逆再生してます。これは聴いても絶対分からないと思うんですけど(笑)。

悪く言えば節操がないんですけど、混ぜるのが僕ららしい

―途中でベースのフレーズが変わり、4つ打ちのテクノパートに入っていきますね。


稲葉:あそこで太起さんが「一旦4つ打ちを長めに入れてみよう」ってなって、「なるほどね」って、そこから今の感じになっていった印象です。

橋本:基本誰かが入れた音に対して、「なるほどね」ってなって、そこからまたどんどん広がっていくんです。だから、ホントは20分を越えても全然おかしくなかったんですけど、僕らのギリギリの客観性で15分に削った感じなんです。

―途中からはサンプリングで台詞が入ってくるのも印象的です。


橋本:odolのベースのシェイク・ソフィアンは友達なんですけど、彼が去年トーキングカードっていう、機械にカードを通すと英語と日本語を話してくれて、勉強ができるっていう知育玩具みたいなのを、スクラッチしたり、エフェクトをかけたり、楽器として扱い出してるのをSNSで見て、これ使いたいなって。あとミニマルになってから、「新しい天国」って日本語とかで言ってるんですけど、あれはGoogle翻訳で「NEW HEAVEN」って打って、いろんな言語に翻訳して読ませた音声をマイクで拾って入れてるんです。

―なるほど!言われてみれば、Google先生感あるかも。あとは中盤の歌に深いリヴァーブがかかっていて、ダブとかアンビエント感が強まっていきますね。


熊谷:そういうエフェクトに関しては、エンジニアの池田さんによる部分も大きくて......呼んでみます?

(エンジニア・池田洋が加わる)

―エンジニアさんの目線で、「NEW HEAVEN」に対する感想を話していただけますか?


池田:逆に感想を聞きたいですね。デモが送られてきた段階から、ミックスを経て、これまでアホほど聴いてるので、悪い言い方をすると、もう飽きちゃってるんですよ(笑)。だから、もう素直な感想が言えないっていうのが正直なところで。

稲葉:最初にデモを聴いたときはどうだったんですか?

池田:ヘルシンキ終わったなって(笑)。

―言い方(笑)。


池田:だってWezくんとの曲の後にこれですからね(笑)。

橋本:そりゃそうですよね(笑)。

―でも池田さんは絶対楽しんで曲を仕上げていった気がするんですけど、ミックスに関してはどんなことを意識しましたか?


池田:リヴァーブの処理ひとつにしても、60年代リヴァーブ、70年代リヴァーブって、プリセットが無数にあるんですよ。選択肢が無数にある中で、ヘルシンキが2023年に出す曲にはどれが一番フィットするのか、みたいなことをずっと考えてるわけです。それって普通の人からすると、「いろはす」と「おいしい水」を飲み比べてるようなものなんですけど、それくらいこだわって作ったものが世に出てるってことなんです。

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―結果的には、いろんな年代のリヴァーブを使い分けてるわけですか?


橋本:そうですね。悪く言えば節操がないんですけど、混ぜるのが僕ららしいというか。池田さんとはサイケの話も結構して、サイケのマナー的な部分もちゃんと押さえつつ、そこにフォーカスしすぎるとただの焼き増しになっちゃうから、ある意味チャラいんだけど、いろいろ手を出して、吸収して、それを曲に落とし込むのがうちららしさかなって。

逆にこれを作ったからこそ、今めちゃくちゃキャッチ―な曲も作っている

―公開インタビューの後は鑑賞会で、お客さんにいいスピーカーで「NEW HEAVEN」を聴いてもらうので、「ここをよく聴いてほしい」という箇所をそれぞれ話してもらえますか?


稲葉:僕はアンビエントゾーンが終わって、戻ってくるタイミングの足音ですね。

―水の音がして、足音がしますが、何かストーリーがあるんですか?


稲葉:僕的には、あそこで湖にたどり着いて、何か光が見えて、そっちに歩き出した音なんです。その先にあのギターの音が聴こえてくるっていう。

橋本:制作中はずっとこういう話をしてます(笑)。徐々にギターの音がフェードインしてくるんですけど、僕らは「アラビアの刺客」って呼んでいて。アラビアの軍が丘の向こうから徐々に迫ってくるみたいな、そういう断片的なイメージはいろいろあります。

池田:パソコンで音を仕上げていくときに、普通はイントロ、A、B、サビ、間奏とかって目印をつけるけど、今回はそういう概念がなさ過ぎて、「アラビア」とかが入ってました(笑)。

―池田さんからも「ここを聴いてほしい」というポイントを挙げていただけますか?


池田:15分っていうのは長いですけど、最後にどんどんビルドアップしていって、一番ピークを迎えて終わる部分は、大きい音で聴いてもらうと感動すると思います。途中でトラック数の話をしてたと思うんですけど、最後が一番トラック数多いです。

―橋本くん的な聴きどころはどうですか?


橋本:歌詞で言うと、前半は文字通り天国っぽいイメージで、博愛主義的な部分もあるけど、後半では〈俺は常に迷いの中〉って歌っていて、そこがヘルシンキらしさというか。自分の思うリアルさっていうのは、一面的な部分を切り取るんじゃなくて、もっと多面性があるものなんですよね。すごく低いキーで歌ってるから、聴いただけだとなんて言ってるかわからないかもしれないけど、歌詞を見ながら聴いたらまた違う面白さがあると思います。

―熊谷くんの「ここを聴いてほしい」という箇所はどうですか?


熊谷:......シンギングボウル(笑)。やっぱり、これが一番頑張ったんです。言わなかったけど、手めっちゃ痛くなって、ボウリングを5ゲームやった後くらいの感じだったので。

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―それはぜひ聴いてもらいましょう(笑)。そして、15分間のラストはピアノの音で締め括られていて、あの部分はどのように決まったのでしょうか?


橋本:僕はビートルズが大好きで、「A Day In The Life」の最後がピアノでバーンって終わる、あのイメージが「NEW HEAVEN」にもあったんですよね。でも自分では何も入れてなくて、示し合わせたわけでもないんですけど、途中で稲葉がピアノを入れて、「やっぱりそうだよね」ってなったんです。おこがましいですけど、ここ数年みんなで曲を作りながらビートルズを追体験しているような感覚もあって、それも踏まえて最後にあの音があると、ストーリーとしても繋がるなと思ったんです。

―では最後に、2023年のヘルシンキの展望について話してもらえますか?


橋本:「NEW HEAVEN」でスタートをしたわけですけど、このモードでずっとやるわけではなくて、逆にこれを作ったからこそ、今めちゃくちゃキャッチ―な曲も作っていて、そっちも楽しみにしていてほしいです。2022年は僕の人生の中でもすごく印象的な一年だったと思っていて、自分の感性に従って動いて、ホントによく遊んで、すごく楽しかったんですけど、やっぱりもっと売れたいというか、お金があるともっといろんなことができるようになるし、もっと広くに届けて、みんなで規模をデカくしていきたいと思っていて。今年は結成10周年でもあるから、今年こそもっと飛躍したいし、そのためにも気を引き締めて、でも楽しむことも忘れず、自分たちの音楽を届けられる一年にしたいと思います。

―直近では3月末から東名阪のツアーがあって、やはり「NEW HEAVEN」を生で体験してみたいですが......。


橋本:やるのかやらないのか、どちらでしょうか(笑)。

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取材・文:金子厚武
撮影:マスダレンゾ

Helsinki Lambda Club【生配信アーカイブ】「NEW HEAVEN」公開インタビュー



RELEASE INFORMATION

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Helsinki Lambda Club「NEW HEAVEN」
2023年1月18日(水)
Format:Digital
Label:Hamsterdam Records / UK.PROJECT

Track:
1.NEW HEAVEN

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LIVE INFORMATION
Helsinki Lambda Club 東名阪ツアー2023 "収穫の季節"
3月28日(火)
名古屋CLUB QUATTRO
ゲスト:BREIMEN

3月29日(水)
梅田CLUB QUATTRO
ゲスト:ODD Foot Works

4月5日(水)
渋谷CLUB QUATTRO
ゲスト:ドミコ

開場 18:00 / 開演 19:00
4,000円(税込、ドリンク代別)

各公演チケット一般発売中
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オフィシャルサイト
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