2022.10.19
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。 Vol.149は、多摩田園都市(東京・神奈川)を拠点に活動する5人組バンド、路地を取り上げる。
シティポップ的なサウンドの中に、幅広いルーツを自由に取り込んだ、まさに路地--メインストリートからひとつ角を曲がった道で奏でられた3rdアルバム『KOURO』は必聴だ。
のすけさんは大学時代からギターが上手だったので、誘うならこの人かな、と考えていたら、たまたま夏フェスでバッタリ遭遇して、その帰り道にバンドに誘った記憶があります。とりあえず曲を書こうとなって、僕は「晴れの日」、のすけさんは「渚にて」などの曲を持ってきたんです。何となくお互いのインスピレーションが合ったような気がして、今に至ってますね。
飯島梢(Vo/Flute):もともと活動していた音楽ユニットが解散してしまい、歌う機会もなく、音楽から離れそうになっていた時に、友人から「ボーカルを探しているバンドがあるんだけど」と紹介してもらったのが路地でした。
中島雄士(Dr):YAOYOROSというバンドでドラムを叩いていた時に対バンしたのが、路地との出会いでした。曲やバンドの雰囲気がとても好きで、一ファンとしてずっと聴いていたのですが、タイミングが合ってバンドに誘ってもらえたので、これは断るわけにいくまいと引き受けました。それが去年の4月なので、そう考えると加入発表まで結構かかりましたね。満を持して登場しました。
大学時代、たまたま友人がBilly Joelの来日公演のチケットを余らせてしまって、タダで一緒に行かせてもらったんです。しかも東京ドームのアリーナ席。本物のBilly Joelに手が届きそうな場所で音や振動を肌で感じたことは忘れられないですね。Billy Joelの「Just the Way You Are」という曲のピアノが大好きで、そのイメージから影響を受けて、前作2ndアルバム『これからもここから』では、「月と舟」という曲を書いたりしました。
飯島:幼い頃、地元の鼓笛隊に入っていました。そこで演奏指導や作編曲をしてくれていた先生の一言一言が、今の私の音楽表現の土台になっていると思います。当時特に好きだったのは「サンライズ・マーチ」という曲です。楽器を演奏しながら心の中で歌うこと、そして合奏の一体感や喜びを幼い頃に学べたことは、とても有り難いことだと思います。
また、母の影響で小学校では合唱団にも所属していました。ここでは、熱血な先生から、三部合唱でハーモニーを奏でることの楽しさと歌の基礎を学びました。
中島:父の影響で、生まれた頃からずっとサザンオールスターズを聴いて育ったので、未だにサザンは大好きなバンドです。小学4年生のときにテレビで聴いたThe Beatlesの『I Want To Hold Your Hand』に衝撃を受け、そこからThe Beatlesの虜になりました。偶然にも同じクラスにThe Beatles好きが僕含めて4人いたので(小4にしては珍しい)、よくThe Beatlesの話をして盛り上がっていたのを今でも覚えています。Little RichardやChuck Berryも当時からよく聴いていました。
ちなみに幼少期、父の見よう見まねでカセットテープを再生して聴いていたんですが、生まれて初めて自分で再生した曲はキャロルの「ファンキー・モンキー・ベイビー」だったそうです。もちろん文字は読めず適当に選んだのですが、もしかしたら僕はその頃からロックンロールに導かれていたのかもしれません。
録音では、Kevin Shields(My Bloody Valentine)のギター録音方法とかを調べたりして、轟音で甘いギターサウンドをBisshiさん(今作のサウンドプロデューサー/ex.PAELLAS)、のすけさんと試行錯誤したのが楽しかったです。僕が掻き鳴らす轟音をひたすら聴いていたふたりの耳は本当に大変だっと思いますが...(笑)。コード進行は俗に言うCity Pop的なお洒落なテンションコード万歳なのですが、そこにあえてシューゲイズなギターを乗せたところに面白さがあるかな、と思っています。個人的にも思い入れの強い一曲です。
M7の「不要担心」は中国語のタイトルで、恐らく「何とかなるさ」みたいな意味なんだと思います。デモを作った段階では中国語はいっさいなかったのですが、梢さんが「中国語入れてみたら面白いんじゃない?」と言ってくれて、またまた「良いかも!」と思って、遊び心で中国語を歌詞に織り交ぜてみました。
知人にすごくマイナス思考の人がいて、その人は悩んでも仕方ないことをネガティブに考え続けちゃうような人で、そういう人に向けて、「何とかなるさ」「否定してたら始まらないよ」って言いたくて、それをテーマに作曲しました。リズムや曲調は完全にフォークなのを、あえてシンセやリヴァーブのサウンドでアレンジしたところが、この曲のもうひとつの遊び心かなと思っています。
M9の「旅に出る」はコロナ渦真っ只中の休日に部屋でギターをポロポロ弾いてたら、いつの間にかできた曲です。どこにも行けない、外出することは悪みたいな時期で、その寂しさから何となくギターを持って口ずさんだメロディが原形です。広い世界を覗きたい、旅に出たいと願う主人公を思い描いた歌詞は、もしかすると当時の僕自身だったのかもしれません。『KOURO』9曲の中では一番素朴な曲ですが、アルバムのエンドロールというか、ボーナストラック的な感覚で聴いて頂ければと思います。
飯島:今回のアルバムは、収録曲のデモを聴いた時には「歌うのムズっ!!」と思った曲ばかりです(笑)。メロディの音程の高低差があったり、歌詞の世界観の表現だったり...。でも、メンバーみんなが音楽に向き合う姿をみて、私も頑張ろうと思えたんです。良い意味で自分にとって新しい発見と挑戦ができたなと思っています。また、M9「旅に出る」では初心者ながらフルートを吹かせてもらいました。頭の中では演奏のイメージがあるのに、なかなかその通りには表現できず、録音ではだいぶ手こずりました。
中島:今回のアルバムでいうと、僕としては初めて「路地のドラマー」として参加する作品なので、変にプレッシャーというか緊張感を持っていました。今までの路地ファンが自分のドラムプレイをどう感じるか、不安でもあり楽しみでもありました。
僕は前任のソウ君のドラムプレイがとても好きで、あのリズムがあってこその路地とまで思っていたのですが、それを真似することはできないので、自分らしさをしっかりと出しつつ新しい路地のサウンドを模索していこうと思いました。そういう意味では、M3「蟻とリンゴスター」なんかは開き直ってバカスカ叩けたので、新鮮さだったり今までとのギャップを感じてもらえるんじゃないかと思います。
一方M9の「旅に出る」では、あまり経験したことのないブラシでのプレイに挑戦しました。ロックンロールに導かれし僕ですが、こういうこともできるんだぞと、ちょっと自慢したい一曲になりました。
次は新しいこと、例えばソウルやR&B、ネオアコの要素に着目した作品も作ってみたいなと思っています。あと、今はあまりライブ活動はできないのですが、路地を好きに思ってくれている人たちに向けて、いつかライブをしたいと思っています。それまでは、とにかく自分なりに良い曲を作っていきたいです。
飯島:最近、母から二胡を譲ってもらったので、バンドで弾いてみたいです。二胡が出てくる曲を誰かに作ってもらいたいなと密かに願っています(笑)。そして、誰か二胡の弾き方を私に教えてください...。
中島:作詞や作曲もやっているので、今後は僕の書いた曲も路地で形にできたら嬉しいと思っています。ボツにされないように良い曲たくさん書きます。マルチプレイヤーでもあるので、曲によってはドラム以外の楽器にもチャレンジしてみたいです。「このギターソロは鈴木/のすけ/中島、誰が弾いてるでしょう?」みたいなの面白いですね。
作曲に関しても「この曲は鈴木さん/のすけさんっぽい」の中に「中島っぽい」という3人めの選択肢が加わったら、それこそThe Beatlesみたいな楽しみ方ができて最高ですね。
飯島:パン作りとパン屋巡りです。最近はいろんなドーナツ屋さんを巡って食べ歩きしています。ドーナツにもたくさん種類があって、お店ごとに特長があって、行きたいお店がありすぎます。ちなみに、今度行ってみたいお店は「ふわもち邸」と「ミサキドーナツ」です。
あと、自作のドーナツ作りにも挑戦しています。私にとってドストライクで、そして人にプレゼントすることもできるような、そんなドーナツ作りを目指して、日々研究しています。
中島:コーヒーが大好きで、月一くらいのペースでコーヒーに関するコラムを書いています(最近始めました)。特別なこだわりがあるわけではないのですが、喫茶店でブレンドコーヒーを頼んだら出てくるような、深煎り寄りのザ・コーヒーみたいなやつが好きです。マンデリンが一番好きですが、その他にもいろいろ飲みます。「ブラックコーヒーの美味しさがわからないなんて...」と両親から煽られて育った結果、すっかりブラック派になりました。
彼女の絵は幾何学的というか、ただただ直線と曲線の融合なんです。それだけだとなんだか無機質な気もするのですが、一方で描くモチーフや色遣い、そしてざらっとした質感により、なぜか温かみを感じます。絵のことをよく知っているわけではないのですが、手で触れたくなるような、惹きつけられる不思議な作風です。先日、画廊で人生で初めて絵を衝動買いしたのですが、それもyasuo-rangeさんの作品です。
飯島:ドライフラワーでスワッグを作りたいです。以前、友人からもらった花をずっと残しておきたくて、自己流でドライフラワーを作ったことがあるんです。でも、それ以来ドライフラワーを作る機会がなくて。そしたら最近SNSでとってもオシャレなドライフラワーのしめ縄を見たんです。それで、もう一度挑戦したいなと思って。最近はドーナツのことで頭がいっぱいですが、その片隅でドライフラワーへの好奇心もくすぶっています。
中島:コロナ禍の影響もあり、媒体問わず生配信を視聴する機会が増えました。YouTubeの作業配信はそれこそ作業用BGMとして最適ですし、知り合いのTwitterスペースやインスタライブも楽しいです。VTuberとかのゲーム配信も見たりします。生配信自体は前からたまに見ていましたが、最近はあえてというか、進んで生配信を選ぶことが増えた気がします。
やはりリアルタイムでコメントやリアクションができて、それに対して反応してもらえるのが醍醐味だと思います。配信自体ももちろん楽しいですが、たまにコメント欄に面白い人がいたりするのも良いですね。生配信ならではのトラブルなんかも楽しみのひとつです。
自分でも毎週YouTubeで雑談メインの生配信をしていて、アーカイブをSpotifyにアップしています。ファンの方たちとリアルタイムに交流できるのが楽しいです。
路地『KOURO』
2022年10月19日(水)
試聴はこちら
路地
メンバーは飯島梢(Vo/Flute)、久保田敦(Gu)、鈴木雄三(Gu)、高橋鐘(Ba)、中島雄士(Dr)。多摩田園都市を拠点に活動する音楽グループ。メインストリートからひとつ角を曲がったその先で、自由気ままなポップスを紡ぐ。
2016年に1stアルバム『窓におきてがみ』をリリース。2017年に『りんご音楽祭』出演。2018年に2ndアルバム『これからもここから』をリリースし、『Tiny Garden Festival』(URBAN RESEARCH DOORS主催)出演。
2019年にデジタルシングル「日々を鳴らせば / 休日」をリリースし、2022年にデジタルアルバム『KOURO』をリリース。
@rojiband
@roji_band
Official YouTube Channel
FRIENDSHIP.
シティポップ的なサウンドの中に、幅広いルーツを自由に取り込んだ、まさに路地--メインストリートからひとつ角を曲がった道で奏でられた3rdアルバム『KOURO』は必聴だ。
活動を始めたきっかけ
鈴木雄三(Gt):高校生の時になんとなくギターを始めました。大学でバンドサークルに入って、フジファブリックやColdplay、The Beatlesのコピーバンドだったり、オリジナルバンドをしていました。そのままなんとなく就職して、音楽から離れた毎日を淡々と過ごすうちに、「やっぱりバンド好きだな、やりたいな」と思って。それで大学時代に同じバンドサークルだったのすけさん(久保田)に声をかけて「路地」を始めました。のすけさんは大学時代からギターが上手だったので、誘うならこの人かな、と考えていたら、たまたま夏フェスでバッタリ遭遇して、その帰り道にバンドに誘った記憶があります。とりあえず曲を書こうとなって、僕は「晴れの日」、のすけさんは「渚にて」などの曲を持ってきたんです。何となくお互いのインスピレーションが合ったような気がして、今に至ってますね。
飯島梢(Vo/Flute):もともと活動していた音楽ユニットが解散してしまい、歌う機会もなく、音楽から離れそうになっていた時に、友人から「ボーカルを探しているバンドがあるんだけど」と紹介してもらったのが路地でした。
中島雄士(Dr):YAOYOROSというバンドでドラムを叩いていた時に対バンしたのが、路地との出会いでした。曲やバンドの雰囲気がとても好きで、一ファンとしてずっと聴いていたのですが、タイミングが合ってバンドに誘ってもらえたので、これは断るわけにいくまいと引き受けました。それが去年の4月なので、そう考えると加入発表まで結構かかりましたね。満を持して登場しました。
影響を受けたアーティスト
鈴木:母がよく「荒井由美」「Carpenters」「Billy Joel」を聴いていたので、無意識のうちにその影響を受けている気がします。路地はギターロックバンドではありますが、僕が作る曲は比較的ギターで聴かせる曲が少ないのも、そのせいかもしれません。全体的にロマンチックな展開や雰囲気にしたがるというか...(笑)。大学時代、たまたま友人がBilly Joelの来日公演のチケットを余らせてしまって、タダで一緒に行かせてもらったんです。しかも東京ドームのアリーナ席。本物のBilly Joelに手が届きそうな場所で音や振動を肌で感じたことは忘れられないですね。Billy Joelの「Just the Way You Are」という曲のピアノが大好きで、そのイメージから影響を受けて、前作2ndアルバム『これからもここから』では、「月と舟」という曲を書いたりしました。
飯島:幼い頃、地元の鼓笛隊に入っていました。そこで演奏指導や作編曲をしてくれていた先生の一言一言が、今の私の音楽表現の土台になっていると思います。当時特に好きだったのは「サンライズ・マーチ」という曲です。楽器を演奏しながら心の中で歌うこと、そして合奏の一体感や喜びを幼い頃に学べたことは、とても有り難いことだと思います。
また、母の影響で小学校では合唱団にも所属していました。ここでは、熱血な先生から、三部合唱でハーモニーを奏でることの楽しさと歌の基礎を学びました。
中島:父の影響で、生まれた頃からずっとサザンオールスターズを聴いて育ったので、未だにサザンは大好きなバンドです。小学4年生のときにテレビで聴いたThe Beatlesの『I Want To Hold Your Hand』に衝撃を受け、そこからThe Beatlesの虜になりました。偶然にも同じクラスにThe Beatles好きが僕含めて4人いたので(小4にしては珍しい)、よくThe Beatlesの話をして盛り上がっていたのを今でも覚えています。Little RichardやChuck Berryも当時からよく聴いていました。
ちなみに幼少期、父の見よう見まねでカセットテープを再生して聴いていたんですが、生まれて初めて自分で再生した曲はキャロルの「ファンキー・モンキー・ベイビー」だったそうです。もちろん文字は読めず適当に選んだのですが、もしかしたら僕はその頃からロックンロールに導かれていたのかもしれません。
注目してほしい、自分の関わった作品
鈴木:今作『KOURO』では僕は3曲書いています。M3の「名残」は路地で初めてのシューゲイズ・ドリームポップ楽曲です。実はデモの段階では歪んだギターは一切入ってなかったんです。なかなか満足のいくアレンジができずに悩んでた時に、のすけさんが「シューゲイザーっぽくしてみたらどうですか?」って。多分彼は適当に言ったのかもしれないんですが、「良いかも!」って思って。きのこ帝国の「WHIRE POOL」とか、Beach Houseの「Lazuli」とか、自分が好きなシューゲイズ、ドリームポップを参考にしながらアレンジに挑戦しました。録音では、Kevin Shields(My Bloody Valentine)のギター録音方法とかを調べたりして、轟音で甘いギターサウンドをBisshiさん(今作のサウンドプロデューサー/ex.PAELLAS)、のすけさんと試行錯誤したのが楽しかったです。僕が掻き鳴らす轟音をひたすら聴いていたふたりの耳は本当に大変だっと思いますが...(笑)。コード進行は俗に言うCity Pop的なお洒落なテンションコード万歳なのですが、そこにあえてシューゲイズなギターを乗せたところに面白さがあるかな、と思っています。個人的にも思い入れの強い一曲です。
M7の「不要担心」は中国語のタイトルで、恐らく「何とかなるさ」みたいな意味なんだと思います。デモを作った段階では中国語はいっさいなかったのですが、梢さんが「中国語入れてみたら面白いんじゃない?」と言ってくれて、またまた「良いかも!」と思って、遊び心で中国語を歌詞に織り交ぜてみました。
知人にすごくマイナス思考の人がいて、その人は悩んでも仕方ないことをネガティブに考え続けちゃうような人で、そういう人に向けて、「何とかなるさ」「否定してたら始まらないよ」って言いたくて、それをテーマに作曲しました。リズムや曲調は完全にフォークなのを、あえてシンセやリヴァーブのサウンドでアレンジしたところが、この曲のもうひとつの遊び心かなと思っています。
M9の「旅に出る」はコロナ渦真っ只中の休日に部屋でギターをポロポロ弾いてたら、いつの間にかできた曲です。どこにも行けない、外出することは悪みたいな時期で、その寂しさから何となくギターを持って口ずさんだメロディが原形です。広い世界を覗きたい、旅に出たいと願う主人公を思い描いた歌詞は、もしかすると当時の僕自身だったのかもしれません。『KOURO』9曲の中では一番素朴な曲ですが、アルバムのエンドロールというか、ボーナストラック的な感覚で聴いて頂ければと思います。
飯島:今回のアルバムは、収録曲のデモを聴いた時には「歌うのムズっ!!」と思った曲ばかりです(笑)。メロディの音程の高低差があったり、歌詞の世界観の表現だったり...。でも、メンバーみんなが音楽に向き合う姿をみて、私も頑張ろうと思えたんです。良い意味で自分にとって新しい発見と挑戦ができたなと思っています。また、M9「旅に出る」では初心者ながらフルートを吹かせてもらいました。頭の中では演奏のイメージがあるのに、なかなかその通りには表現できず、録音ではだいぶ手こずりました。
中島:今回のアルバムでいうと、僕としては初めて「路地のドラマー」として参加する作品なので、変にプレッシャーというか緊張感を持っていました。今までの路地ファンが自分のドラムプレイをどう感じるか、不安でもあり楽しみでもありました。
僕は前任のソウ君のドラムプレイがとても好きで、あのリズムがあってこその路地とまで思っていたのですが、それを真似することはできないので、自分らしさをしっかりと出しつつ新しい路地のサウンドを模索していこうと思いました。そういう意味では、M3「蟻とリンゴスター」なんかは開き直ってバカスカ叩けたので、新鮮さだったり今までとのギャップを感じてもらえるんじゃないかと思います。
一方M9の「旅に出る」では、あまり経験したことのないブラシでのプレイに挑戦しました。ロックンロールに導かれし僕ですが、こういうこともできるんだぞと、ちょっと自慢したい一曲になりました。
今後挑戦してみたいこと
鈴木:今作は総合的に見るとバンドのルーツであるオルタナティブに回帰したアルバムだと思っています。のすけさんとバンドを組んだ時の感覚を思い出したような気がするし、彼の作ってくれた曲も最高で、個人的には悔いのない大好きなアルバムになりました。次は新しいこと、例えばソウルやR&B、ネオアコの要素に着目した作品も作ってみたいなと思っています。あと、今はあまりライブ活動はできないのですが、路地を好きに思ってくれている人たちに向けて、いつかライブをしたいと思っています。それまでは、とにかく自分なりに良い曲を作っていきたいです。
飯島:最近、母から二胡を譲ってもらったので、バンドで弾いてみたいです。二胡が出てくる曲を誰かに作ってもらいたいなと密かに願っています(笑)。そして、誰か二胡の弾き方を私に教えてください...。
中島:作詞や作曲もやっているので、今後は僕の書いた曲も路地で形にできたら嬉しいと思っています。ボツにされないように良い曲たくさん書きます。マルチプレイヤーでもあるので、曲によってはドラム以外の楽器にもチャレンジしてみたいです。「このギターソロは鈴木/のすけ/中島、誰が弾いてるでしょう?」みたいなの面白いですね。
作曲に関しても「この曲は鈴木さん/のすけさんっぽい」の中に「中島っぽい」という3人めの選択肢が加わったら、それこそThe Beatlesみたいな楽しみ方ができて最高ですね。
カルチャーについて
触れてきたカルチャー
鈴木:音楽以外に語れるような趣味・カルチャーはないのですが。絵を眺めるのが好きです。ゴーギャンとか、おそらく印象派と呼ばれるような作品なんかを歴史背景も知らずにただただ眺めるだけですが。そのゴーギャンをモチーフにして書かれたという『月と六ペンス』(サマセット・モーム)という小説も大好きです。『月と六ペンス』
飯島:パン作りとパン屋巡りです。最近はいろんなドーナツ屋さんを巡って食べ歩きしています。ドーナツにもたくさん種類があって、お店ごとに特長があって、行きたいお店がありすぎます。ちなみに、今度行ってみたいお店は「ふわもち邸」と「ミサキドーナツ」です。
あと、自作のドーナツ作りにも挑戦しています。私にとってドストライクで、そして人にプレゼントすることもできるような、そんなドーナツ作りを目指して、日々研究しています。
手作りのドーナツ
中島:コーヒーが大好きで、月一くらいのペースでコーヒーに関するコラムを書いています(最近始めました)。特別なこだわりがあるわけではないのですが、喫茶店でブレンドコーヒーを頼んだら出てくるような、深煎り寄りのザ・コーヒーみたいなやつが好きです。マンデリンが一番好きですが、その他にもいろいろ飲みます。「ブラックコーヒーの美味しさがわからないなんて...」と両親から煽られて育った結果、すっかりブラック派になりました。
今注目しているカルチャー
鈴木:yasuo-rangeさんの絵が好きです。ご本人とはもともとバンド繋がりで知り合いで、当時から彼女がSNSに投稿している絵にとても魅力を感じていました。路地のメンバーもみんな彼女の作風が好きで、それで今回の『KOURO』のジャケットを彼女にお願いしました。彼女の絵は幾何学的というか、ただただ直線と曲線の融合なんです。それだけだとなんだか無機質な気もするのですが、一方で描くモチーフや色遣い、そしてざらっとした質感により、なぜか温かみを感じます。絵のことをよく知っているわけではないのですが、手で触れたくなるような、惹きつけられる不思議な作風です。先日、画廊で人生で初めて絵を衝動買いしたのですが、それもyasuo-rangeさんの作品です。
購入した絵
飯島:ドライフラワーでスワッグを作りたいです。以前、友人からもらった花をずっと残しておきたくて、自己流でドライフラワーを作ったことがあるんです。でも、それ以来ドライフラワーを作る機会がなくて。そしたら最近SNSでとってもオシャレなドライフラワーのしめ縄を見たんです。それで、もう一度挑戦したいなと思って。最近はドーナツのことで頭がいっぱいですが、その片隅でドライフラワーへの好奇心もくすぶっています。
中島:コロナ禍の影響もあり、媒体問わず生配信を視聴する機会が増えました。YouTubeの作業配信はそれこそ作業用BGMとして最適ですし、知り合いのTwitterスペースやインスタライブも楽しいです。VTuberとかのゲーム配信も見たりします。生配信自体は前からたまに見ていましたが、最近はあえてというか、進んで生配信を選ぶことが増えた気がします。
やはりリアルタイムでコメントやリアクションができて、それに対して反応してもらえるのが醍醐味だと思います。配信自体ももちろん楽しいですが、たまにコメント欄に面白い人がいたりするのも良いですね。生配信ならではのトラブルなんかも楽しみのひとつです。
自分でも毎週YouTubeで雑談メインの生配信をしていて、アーカイブをSpotifyにアップしています。ファンの方たちとリアルタイムに交流できるのが楽しいです。
RELEASE INFORMATION
路地『KOURO』
2022年10月19日(水)
試聴はこちら
PROFILE
路地
メンバーは飯島梢(Vo/Flute)、久保田敦(Gu)、鈴木雄三(Gu)、高橋鐘(Ba)、中島雄士(Dr)。多摩田園都市を拠点に活動する音楽グループ。メインストリートからひとつ角を曲がったその先で、自由気ままなポップスを紡ぐ。
2016年に1stアルバム『窓におきてがみ』をリリース。2017年に『りんご音楽祭』出演。2018年に2ndアルバム『これからもここから』をリリースし、『Tiny Garden Festival』(URBAN RESEARCH DOORS主催)出演。
2019年にデジタルシングル「日々を鳴らせば / 休日」をリリースし、2022年にデジタルアルバム『KOURO』をリリース。
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