2022.07.01
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.137は、作詞・作曲からトラックメイクまでを自身で手掛けるシンガーソングライター、ROUを取り上げる。全曲をホームレコーディング、DIYで制作したという初のセルフプロデュース作品『VISUALIZE』は、これまで自身が過ごした時間や場所、見てきたことや感じたことをできる限りそのままの形で音と言葉に残したい、という思いに端を発するアルバム。意図せず内省を深めたリリックとしなやかなメロディーがR&B/ヒップホップマナーのトラック上で踊る、密やかなポップ・ミュージック集となっている。
ピックアップしたアーティストを並べてみると、Maroon 5 やColdplayなどはジャンルをミックスして自分たち独自のものしてる。そうした絶妙なミクスチャー感は、自分の作品にも影響していると思います。
それから近年の制作スタイルに関しては、いわゆる世界のヒットチャートやヒップホップシーンに自然と影響されちゃってると思います。海外で制作したことはないんで、完全に自分のイメージの話になっちゃうんですが(笑)、自分たちがカッコイイとかイケてるって思えるならどんどん作品、出していこ。...的な感じ。そういうところって、リリーススパンの短さにも表れますよね。
ちょうど本格的に活動するってなった時から好んで聴いているアーティストは、Post Maloneです。憂鬱さやダークな感じとか、トラックはトラップなのにキーは高い位置。カントリーとかロックとかヒップホップとかジャンルに囚われてないスタイル。本格的な活動をする前は、「バンドをやれば」とか「バンドだったら」とか「ソロだとね...」とかいろんなこと言われてきた中で彼のスタイルに妙にしっくり来たというか、「そうだよな。自分のスタイルを見つけて、らしく音楽やっていいよな」ってなったんです。自分の中では、このアーティストとの出会いは大きな出会いでした。
共通点で言うと、2019年に完全にバンドアレンジの「EP」を制作した時も様々な思いがありました。それはまた後に話せたらと思いますが、アコギの弾き語りじゃない、ラッパーでもない、ダンサーでもない、"ソロの男性アーティストとは"ということを考えないといけない音楽シーンを常に意識する必要がありました。
そういうことを踏まえると、2019年からのコロナの影響も多少あると思いますが、2022年現在は、ソロのアーティストという視点だけで見させてもらっても、ソロにも少しいい流れが来ているんじゃないかなぁと思います。どこまでやれるかはわかりませんが、その時その時の最善と最良をセレクトして自分らしいスタイルを見つけていけたらと思っています。そういった面でも今回のアルバムをセルフのDIYで作り切ったこと。それは次の何かに繋がるんじゃないかなぁ、となんとなく感じています。
自分は、大きい視点で自分の作品を観ることをどうしても忘れてしまいがちなので、今、自分がやりたいことならやったらいいじゃん、的なマインドに持っていけるよういつも意識しています。セルフマインドを健康に保っていくこととか、近年はとても大事だと自分では思ってるので。
そして、6月15日にリリースしたばかりのアルバム『VISUALIZE』は1stセルフプロデュースアルバムということで、すべての工程をホームレコーディングだけで完結させました。正確に言うと、マスタリング以外すべての工程です(笑)。
サウンドのこだわりという点では、エレピを使わないで作ろうとか、曲のリファレンスというような正解を持たないで作ろうとか、流行は考えないで作ろうとか、そんな感じの大きい枠の制限だけを設けて作りました。正解を設けずに作ったと言えど、もちろん勝手に影響されているものも必ずあると思いますが、自分の頭の中でイメージできているモノにできるだけ近いものを残したい、というのが念頭にありました。
サウンドやリリックともに、"自分らしさ"みたいなことを軸に構成していますが、それが自分らしいのかはまだまだわからないし、これからやっていくことに制限を設けたくないので、断定しないで取り組んでいこうと思っています。自分の手から離れて音が育っていった先で見つかることや気づくこともあると思っているので、今回のアルバムは、コンセプトに合っているのでこれはこれで良し、と思っています。
性格上、変なことをしようと思ってしまうというか。メインから少し外れてしまうというか。そこが今回のアルバムには大いに現れたな(笑)という感じです。曲の構成とかも意識してないですし、どこがサビかわからない曲もあります。親切じゃないと思いますね、リスナーに。このアルバムには実験的な要素も含んでいるので、何年後かの自分が聴いたときにどう思うのか、そんなところも楽しみです。
このアルバムに対する自分としての見解は、"正解を提示しないことを表現した作品"です。そのときどきの自分の感情だったり、イメージだったりを自分により近い空気感と音で残しておきたい。そんな感じのアルバムです。だから少し内面的なほうに向いている楽曲も多いし、これまでの自分が歩んできたなかでの私見が反映されている気はしています。
作品を組み上げていく過程で正解を設けなかった分、すべての曲のミックスも納得のいくところで着地ができるのか最後まで定かではなかったし、セルフで完結させることの難しさもわかりました。それだけに、自分への理解が深まったと思います。
あとは、アルバムを聴いてくれたリスナーさん、みんなの感想を聞きたいです。このアルバムがどんなふうにみんなに届くんだろうって、かなり興味があります。よろしくお願いします。
1日の始まりは、起きてすぐその日に着る服を頭の中で決めてからいろいろ支度します。それくらい自分の1日の気分に直接左右するもののような気がしています。
ROU『VISUALIZE』
2022年6月15日(水)
試聴はこちら
ROU
10代より独学で音楽を学び、作詞・作曲からトラックメイクまで自身で手掛ける。生音と打ち込みを交えつつ、近年はヒップホップやR&Bのフィーリングも取り入れたポップソングを披露している熊本出身のシンガーソングライター。
2018年より本格的に音楽活動を開始。同年9月に初のシングルCD『Today』を発表し、ほぼノンプロモーションで2,000枚を超える販売数を記録する。2019年6月にリリースした『EP』はiTunesオルタナティブジャンルで1位を獲得し、同年9月の渋谷cycloneにおけるワンマンライブは即ソールドアウトに。2020年12月にはEP『ALLTANA』を発表。同作に収録の「NIGHT FISH」はApple Music、AWA、Spotifyの公式プレイリストにセレクトされた。
そして2022年6月15日に最新アルバム『VISUALIZE』をリリース。自身のスキルを余すことなく投入したセルフプロデュース作品となっている。
@ROU0815
@rou_xx_
Official YouTube Channel
FRIENDSHIP.
Vol.137は、作詞・作曲からトラックメイクまでを自身で手掛けるシンガーソングライター、ROUを取り上げる。全曲をホームレコーディング、DIYで制作したという初のセルフプロデュース作品『VISUALIZE』は、これまで自身が過ごした時間や場所、見てきたことや感じたことをできる限りそのままの形で音と言葉に残したい、という思いに端を発するアルバム。意図せず内省を深めたリリックとしなやかなメロディーがR&B/ヒップホップマナーのトラック上で踊る、密やかなポップ・ミュージック集となっている。
活動を始めたきっかけ
きっかけというきっかけはない気がしています。何となく歌うことが好きで、毎日カラオケで歌いまくって、当時は「バンドしたいなぁ」って思っても音楽やりたい友人が周りにいなくて。上京して、音楽とは別のことをやることになって、それでもやっぱり音楽したいな、ってなって今に至る感じです。影響を受けたアーティスト
はっきり言って、ゴリゴリに影響を受けたアーティストとか、そういう存在はいない気がしています。長く聴かせてもらってるのは宇多田ヒカル、Maroon 5やColdplayなど、みんなもよく知ってるアーティストです。友人の影響で、学生の頃は邦楽バンド、ヴィジュアル系も好んで聴いたりしてました。本当に雑食というか、昔からあんまりジャンルにとらわれてなかったです。そのときに好きなものを聴く、という感じでした。ピックアップしたアーティストを並べてみると、Maroon 5 やColdplayなどはジャンルをミックスして自分たち独自のものしてる。そうした絶妙なミクスチャー感は、自分の作品にも影響していると思います。
それから近年の制作スタイルに関しては、いわゆる世界のヒットチャートやヒップホップシーンに自然と影響されちゃってると思います。海外で制作したことはないんで、完全に自分のイメージの話になっちゃうんですが(笑)、自分たちがカッコイイとかイケてるって思えるならどんどん作品、出していこ。...的な感じ。そういうところって、リリーススパンの短さにも表れますよね。
ちょうど本格的に活動するってなった時から好んで聴いているアーティストは、Post Maloneです。憂鬱さやダークな感じとか、トラックはトラップなのにキーは高い位置。カントリーとかロックとかヒップホップとかジャンルに囚われてないスタイル。本格的な活動をする前は、「バンドをやれば」とか「バンドだったら」とか「ソロだとね...」とかいろんなこと言われてきた中で彼のスタイルに妙にしっくり来たというか、「そうだよな。自分のスタイルを見つけて、らしく音楽やっていいよな」ってなったんです。自分の中では、このアーティストとの出会いは大きな出会いでした。
共通点で言うと、2019年に完全にバンドアレンジの「EP」を制作した時も様々な思いがありました。それはまた後に話せたらと思いますが、アコギの弾き語りじゃない、ラッパーでもない、ダンサーでもない、"ソロの男性アーティストとは"ということを考えないといけない音楽シーンを常に意識する必要がありました。
そういうことを踏まえると、2019年からのコロナの影響も多少あると思いますが、2022年現在は、ソロのアーティストという視点だけで見させてもらっても、ソロにも少しいい流れが来ているんじゃないかなぁと思います。どこまでやれるかはわかりませんが、その時その時の最善と最良をセレクトして自分らしいスタイルを見つけていけたらと思っています。そういった面でも今回のアルバムをセルフのDIYで作り切ったこと。それは次の何かに繋がるんじゃないかなぁ、となんとなく感じています。
自分は、大きい視点で自分の作品を観ることをどうしても忘れてしまいがちなので、今、自分がやりたいことならやったらいいじゃん、的なマインドに持っていけるよういつも意識しています。セルフマインドを健康に保っていくこととか、近年はとても大事だと自分では思ってるので。
注目してほしい、自分の関わった作品
2019年にリリースした『EP』は、当時のバンドシーンをめちゃくちゃ意識して、そこにオマージュ的な要素だったり、サンプリング的なストリート感覚を取り入れたり。あと、生でイケる楽器はできる限り打ち込みにはせず、生で録音して......みたいな、ソロとは思えないレベルの過程を踏んで制作したのを覚えています。レコーディングに参加してくれたミュージャンも同年代のすげぇやつらでしたし(笑)。 まぁ聴いてみてください。今でも収録曲をライブで披露したりしますが、バンドスタイルの曲ながら、現在の自分のテイストとも妙にバランスが取れてる気がしてます。そして、6月15日にリリースしたばかりのアルバム『VISUALIZE』は1stセルフプロデュースアルバムということで、すべての工程をホームレコーディングだけで完結させました。正確に言うと、マスタリング以外すべての工程です(笑)。
サウンドのこだわりという点では、エレピを使わないで作ろうとか、曲のリファレンスというような正解を持たないで作ろうとか、流行は考えないで作ろうとか、そんな感じの大きい枠の制限だけを設けて作りました。正解を設けずに作ったと言えど、もちろん勝手に影響されているものも必ずあると思いますが、自分の頭の中でイメージできているモノにできるだけ近いものを残したい、というのが念頭にありました。
サウンドやリリックともに、"自分らしさ"みたいなことを軸に構成していますが、それが自分らしいのかはまだまだわからないし、これからやっていくことに制限を設けたくないので、断定しないで取り組んでいこうと思っています。自分の手から離れて音が育っていった先で見つかることや気づくこともあると思っているので、今回のアルバムは、コンセプトに合っているのでこれはこれで良し、と思っています。
性格上、変なことをしようと思ってしまうというか。メインから少し外れてしまうというか。そこが今回のアルバムには大いに現れたな(笑)という感じです。曲の構成とかも意識してないですし、どこがサビかわからない曲もあります。親切じゃないと思いますね、リスナーに。このアルバムには実験的な要素も含んでいるので、何年後かの自分が聴いたときにどう思うのか、そんなところも楽しみです。
このアルバムに対する自分としての見解は、"正解を提示しないことを表現した作品"です。そのときどきの自分の感情だったり、イメージだったりを自分により近い空気感と音で残しておきたい。そんな感じのアルバムです。だから少し内面的なほうに向いている楽曲も多いし、これまでの自分が歩んできたなかでの私見が反映されている気はしています。
作品を組み上げていく過程で正解を設けなかった分、すべての曲のミックスも納得のいくところで着地ができるのか最後まで定かではなかったし、セルフで完結させることの難しさもわかりました。それだけに、自分への理解が深まったと思います。
あとは、アルバムを聴いてくれたリスナーさん、みんなの感想を聞きたいです。このアルバムがどんなふうにみんなに届くんだろうって、かなり興味があります。よろしくお願いします。
今後挑戦してみたいこと
今回セルフですべてやった分、今後は一緒にやってみたい方々と音作り、作品作りができたらいいなぁ。そう勝手に思っています。実現できるようにがんばります。カルチャーについて
触れてきたカルチャー
カルチャーといった大それた感じではないんですが、個人的にはファッションとかが好きです。ファッションと音楽はすごく密接に関わってると思うし、時代とともに育っていったファッションやその時代の考え、流行の移り変わりとかにも興味がある感じです。どうしてこういう服ができたのかとか、流行ったのかとか。1日の始まりは、起きてすぐその日に着る服を頭の中で決めてからいろいろ支度します。それくらい自分の1日の気分に直接左右するもののような気がしています。
今注目しているカルチャー
自分のほぼすべての曲のアートワークをやってもらっているCG/VFXデザイナーのNANONや、自分のMVなどをよく担当してくれている映像チームのみんなとの出会いを通じ、CGだったり映像関係のコンテンツに興味を持つようになりました。(音楽に関してであれば)自分はほぼすべての工程を把握して活動しているので、こういった違うジャンルの刺激があるのはとてもありがたいことです。今回、映像チームと話し合いながら作った「PEACEFUL」のMVも曲の理解度にプラスとなる仕上がりになったと思うし、様々なギミックが効いた、いい感じの映像になっていると思います。RELEASE INFORMATION
ROU『VISUALIZE』
2022年6月15日(水)
試聴はこちら
PROFILE
ROU
10代より独学で音楽を学び、作詞・作曲からトラックメイクまで自身で手掛ける。生音と打ち込みを交えつつ、近年はヒップホップやR&Bのフィーリングも取り入れたポップソングを披露している熊本出身のシンガーソングライター。
2018年より本格的に音楽活動を開始。同年9月に初のシングルCD『Today』を発表し、ほぼノンプロモーションで2,000枚を超える販売数を記録する。2019年6月にリリースした『EP』はiTunesオルタナティブジャンルで1位を獲得し、同年9月の渋谷cycloneにおけるワンマンライブは即ソールドアウトに。2020年12月にはEP『ALLTANA』を発表。同作に収録の「NIGHT FISH」はApple Music、AWA、Spotifyの公式プレイリストにセレクトされた。
そして2022年6月15日に最新アルバム『VISUALIZE』をリリース。自身のスキルを余すことなく投入したセルフプロデュース作品となっている。
LINK
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