SENSA

2022.03.16

宮沢賢治とエモリバイバルの邂逅に湧き立つ心象風景「simsiis」-Highlighter Vol.125-

宮沢賢治とエモリバイバルの邂逅に湧き立つ心象風景「simsiis」-Highlighter Vol.125-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.125は、ミッドウェスト・エモや日本のポストロックに影響を受けた平均年齢21.5歳、仙台発の4人組ロックバンド、simsiisを取り上げる。
3月9日にリリースされた最新EP『white hot』は、宮沢賢治の詞の一節からタイトルを引用した前作『hale glow』と対になる1枚。ボーカルkocoronoの「歌」に重点を置いたという今作は、美しく繊細な日本語のメロディとエモリバイバルサウンドが融合した作品になっている。


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活動を始めたきっかけ
フナワタリコウタロウ(Gt):大学入学後、東北大学アステロイズ(軽音学部)にて前身バンドを結成しました。そこからメンバー交代などを経て、2019年夏に現体制となり、simsiisとしてライブ活動を開始しました。

影響を受けたアーティスト
フナワタリコウタロウ:ジャンルで言うと、エモリバイバル、ポストロック、マスロック、オルタナティブロックなど。アーティストだと、PENs+Tiny Moving Partscinema staffthe cabs羊文学Algernon Cadwalladerです。
エモなどの凝り固まったジャンルを広く大衆に向けて聴いてもらうにはどうすればいいかを考えた結果、女性ボーカル日本語詞のバンドを思いつき、今に至ります。








注目してほしい、自分の関わった作品
フナワタリコウタロウ:バンド名のsimsiisは、simsiisの始まりとも言える曲「azalia」や、アザリアの学名がRhododendron simsiiというもので、そこから来ています。そして「azalia」という曲名は宮沢賢治の詩の一節から引用しています。

ならや栗のWood Landに点在する
ひなびた朱いろの山つゝぢを燃してやるために
そのいちいちの株に
hale glowとwhite hotのAzalia を
副えてやらねばならぬ
若しさうでなかったら
紫黒色の山牛蒡の葉を添えて
怪しい幻暈模様をつくれ
止むなくはすべてこれを截りとる
Gillochindox Gillochindae!
―― 宮沢賢治『装景手記』より引用


これまでリリースした2枚のEPのタイトルもこの詩からつけました。1枚目のEPに「hale glow」と名前をつけたときから、2枚目に出すならタイトルは絶対に「white hot」にしようと決めていました。

曲については、フナワタリが大まかに曲構成を作り、そこにドラムのアレンジ、ベースラインの構築、メロディや歌詞を書くという作業をメンバーそれぞれが行うことで完成させていくスタイルをとっています。

今回のEP『white hot』は、前述のポストロック、マスロック、ミッドウェストエモの要素を取り入れつつ、心象風景を音楽に落とし込むことをテーマとして制作を行い、前作以上にkocorono(Vo)の歌声を全面に押し出した作品に仕上げました。



今後挑戦してみたいこと
フナワタリコウタロウ:CDを沢山の方に届けたいです。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
kocorono:映画をよく観ます。家族から教えてもらったのですが、生まれて初めて観た映画は『雨に唄えば』でした。
「Make 'Em Laugh」という曲が特に好きで、人形と役者が戯れる新しい映像が当時の私にはとても面白くて、繰り返し観てしまうような中毒性があって楽しかったです。
他にも有名な「Singin' in the rain」も大好きなシーンです。
このシーンがきっかけで雨降りの日に外に出て、びしょ濡れで帰ってくるのにハマっていた時期があります。ジーン・ケリーは私にとって師匠のような、音楽の祖のような、そういう存在です。苦しい時にジーン・ケリーが歌うと、憂鬱をも喜劇になってしまうので。
昔から洋画はよく観ていて、ミュージカル映画はかなり大きな影響を与えてくれました。

中学生の時には『サウンド・オブ・ミュージック』の面白さに気づき、セリフを覚えるまで観たし、高校生の時には『ヘアスプレー』に大ハマりして、学校から帰ってきてはTSUTAYAの返却期限ギリギリまで観ていました。特にミュージカル映画は、人権や差別に関して躊躇なく題材にすることが多く、小さい時はただ楽しい映画、と思って見ていたものも、今改めて見てみると相当奥が深いと感じます。
ミュージカル映画に触れたことで、社会について考えるきっかけにもなり、高校生の時は真剣に映画を批評したり、社会問題を考えたりしていました。

私は、ミュージカル映画は映像としての面白さや、歌のうまさ、曲の完成度などは二の次だと思っていて、歌や映像を通じて何を伝えたいのかを感じることに一番価値があると思っています。
伝えたいことが割とはっきりしていて、そのおかげで歌が映えるのがミュージカル映画だと思っているので。



今注目しているカルチャー
kocorono(Vo):映画の中でも、特に最近はロードムービーに注目しています。
最近公開された『ドライブ・マイ・カー』をはじめ、『パリ、テキサス』や『バッファロー'66』など、車内シーンにとても惹かれます。
車内のシーンが流れたり、車内で煙草をふかしたりするシーンを観るとすごく感動してしまいます。映画を観た後に一息煙草を吸いたくなるような。
日常のワンシーンでしかないけれど、それがかけがえのない時間として感じられるのが刺激的というか、嬉しいです。

RELEASE INFORMATION

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simsiis『white hot』
2021年3月9日(水)
試聴はこちら

LIVE INFORMATION

しゅう pre. 生活に花
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3月16日(水)仙台FLYING SON
OPEN/START 20:00/20:30
入場チケット \1000(+1D)
act simsiis / TIDAL CLUB


Life goes on. Vol.4 simsiis 2nd EP "white hot" TIDAL CLUB 1st mini album "queue" RELEASE TOUR

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3月20日(日)新栄RAD SEVEN
OPEN/START 16:00/16:30
入場チケット Adv/Door \2400/\2900(+1D)
act simsiis / TIDAL CLUB / 音速ばばあ / youth / tweez


simsiis presents simsiis final live event "Good day, Good night, Good bye"

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3月27日(日)仙台FLYING SON
OPEN/START 17:30/18:00
入場チケット \2500(+1D)
act simsiis / WITH US / ANORAK! / soccer. / and more...

PROFILE

simsiis_a_1500_0311.jpgsimsiis
2019年11月結成。ミッドウェスト・エモや日本のポストロックに影響を受けたギターリフと、ボーカルkokoronoの透き通る歌声が特徴的。平均年齢21.5歳・仙台を拠点に活動する4人組ロックバンド。
2020年に自主リリースした1st EPが話題となり、タワーレコード、HOLIDAY!RECORDSでも好セールスを記録する。仙台に拠点を置きながらも、全国のインディー/エモシーンとも共鳴し、東京・名古屋・北海道でもライブを行う。

LINK
オフィシャルサイト
@simsiis
@simsiisjp
Official YouTube Channel

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