2021.12.22
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.108はモデル・女優としても活動する小日向ひなた(Vo)と、クラシックピアニストとして「ピティナ・ピアノコンペティション」で特級グランプリの受賞歴を持つカタヤマシュウ(Key)によるエレクトロポップデュオ、東京○X問題を取り上げる。
12月22日にリリースされた1st EP『さよなら△またきて□』はマスタリングエンジニアに砂原良徳が参加。小日向が10代の頃に作詞作曲をした「シブヤ・プラネット」「ウキウキ雨季」、初めて小日向とカタヤマのふたりで共作した「渦」という今年3ヵ月連続で発表した楽曲のほか、カタヤマが作曲をした「のうのう」など、バラエティに富んだ全6曲を収録する。
新しい挑戦ができそうな匂いがして、はじめて会ったその日に、その場で、私の楽曲を彼に渡し、その数日後に、アコギと私の歌声オンリーだった曲がメイクアップされて戻ってきました。それが昨年リリースした1stシングル『シブヤ・プラネット』の原型です。当時はまだ17歳とかで、その後色々あったんですが(笑)。今の○X問題として本格的に始動を始めたのはそこから大分空いて、2年前くらいのお話になります。
私は小学校3~4年生の頃、チャットモンチーに出会って音楽を自主的に聴き始め、子供の頃から今に至るまでコンスタントに聴いているのは、このチャットモンチーと、両親もよく聴いていたCIBO MATTOですね。
ここ数年は断トツで、AURORA、ビョーク、Grimesが好きです。あとTWICE(将来の夢はTWICEに入ることです)。
基本的に女の子が歌う音楽が好きなんだと思います。妖精のようで化け物のような、かわいいだけでは飽き足らない精神と、パッションだだ漏れの音楽に痺れまくります。
カタヤマシュウ:一番初めに触れた音楽は父が聴いていたMISIAです。彼女の音楽に内包されているクラブミュージックの影響を受けて、だんだんR&B、ヒップホップなどのダンスミュージックや、ソウルを聴き始めました。その途中で出会ったのがテクノです。やはりYMOは避けて通れず聴き始めました。当時からクラシックのピアノを始めていて、自分の中に二面性みたいなものを感じていたのが、教授(坂本龍一)の存在によってひとつに繋がった感覚を覚え、そこからかなりハマりました。アルバムでは特に『BGM』と『テクノデリック』が好きです。その後、YMO周辺のニューウェーブや、そこから派生したアーティストの音楽を聴き漁る日々です。
他方、クラシック音楽では割とバロック~近現代まで万遍なく触れてきましたが、特に近代フランスの作曲家が好きで、大学院の修了演奏ではドビュッシーを演奏しました。現代音楽の分野にも興味があり、最近はジェラール・ペソンの作品をよく聴いています。こうして列挙するとかなり雑多ですね......。
10代の頃、初めて自分で作詞作曲した「ウキウキ雨季」や「シブヤ・プラネット」「ラブドール」、シュウ君が作曲した「夜とクラゲと狂った女」「のうのう」。
そして、初めて2人で共作した「渦」。バラエティに富んだ楽曲集です。
歌詞に関しては、それこそ10代の頃に書いたものが多いので、ちょっと何言ってるかわかんないけど、なんか口に出したくなる遊び心あるフレーズとか、その時の私にしか描けないようなものを、きちんと形に残して世に出すことができて良かったなあとしみじみシジミ、思います。
カタヤマシュウ:1st EP『さよなら△またきて□』は、音源が仕上がったのは結構前ですが、こうしてリリースされとても嬉しく思っています。改めて聴き返すと(自分の技術的に)「ああしたい、こうしたい」とかありますし、色々と思う部分はありますが、当時の精一杯です。まりんさん(砂原良徳 )によるマスタリングは、僕的に痒いところに手が届いたような感じで、とても綺麗に仕上げてくださいました。収録曲で僕のお気に入りは「のうのう」です。
あと、DAWに触る前からDJをやっています。今まで2~3回現場でプレイしたことがありますが、始めてこの方自宅でミックスを作るばかりです。今後プレイが増えたら良いなと思っています。
英語がいつになっても喋れるようにならないので(特に何の努力もしていないので本当にダメな人間なんですが)、そこは頑張ります。個人的には北欧にあこがれが強いので、いつか北欧で隠居したいです。
カタヤマシュウ:まずは多くの人に作品を聴いていただいて、実際に人前でライヴを見てもらうことです。お互いに楽器が演奏できるのでそれを活かしたステージにしたいと話しています。
1番好きな映画は『インターステラー』、2番目は『不思議惑星キン・ザ・ザ』です(3番目は『ピアノ・レッスン』)。
『インターステラー』に関しては、もう数え切れないほど観たのですが、何度観ても、宇宙と邂逅する瞬間があって、訳もわからずボロボロと涙が出ます。3時間くらいある映画なんですが、トータル2時間半は泣いています。
一度劇場のIMAXで観たときは迫力も相まって死ぬんか?ってくらい誰も泣いてないシーンでも嗚咽していたので、うざかったと思います。
この映画に登場するディラン・トマスの詩や、時や重力や愛の概念は、かなり私の生み出す作品にも影響しています。
本も、宇宙飛行士のルポ本とか、ハッブル宇宙望遠鏡の写真集とか、リアルなものから、星新一のショートショートとかまで好き好んで読んでいます。
ひとりで電車乗り継いでJAXA観光に行ったりもします。一緒に行ってくれる友達が欲しいです。
カタヤマシュウ:物心ついた頃には既に様々なカルチャーが同等に存在していました。僕の場合クラシックとポップカルチャーを同時に体験してきたのですが、いずれにしても音楽を通して美術やファッションなど他の文化に興味を持ち始めました。クラシックもポップスの作品でも、曲の成り立ちやアーティストの人となりを調べるのは必要ですし、それが楽しいのもあって音楽を続けられている部分もあると思います。そこから色々なことを理解して吸収し、自分の表現を見極めていくということでしょうか。
ひょんなことで、去年の夏にガンダムを観てみたんです。正義のヒーローロボットモノだろうと思いながら観はじめたら大間違いでした。勿論ロボットモノではあるのですが、紛れもない人間対人間の戦争の物語なのです。果たして何が正義で何が悪なのか。
本当は誰しも平和を願っているはずなのに、どこまでいっても、戦うことでしか戦いをやめられない愚かな人間達がめちゃくちゃリアルに描かれています。この世の縮図っす。
宇宙世紀のシリーズしか観ていないのですが、是非同世代に見ていただきたい。世のおじさん達は大体皆んな通ってるんですが、私の世代になるとガンダム観たことない人ばかりなので、ガンダムトークできる同世代の友達が欲しいです。
不器用ながらも休日はガンプラを作っています。本当に不器用で、展開図的なものも子供の頃から大の苦手なので、大抵素組みだけで10時間以上かかります。
辛くて号泣→辛いならやめればいいのに、泣き喚きながら作っている自分が面白くて爆笑→でもやっぱり辛いしもう寝たくて号泣を繰り返しながら作ります。この休日が何故か癖になります。
カタヤマシュウ:ここ2~3年のLAのネオジャズ・ネオソウルあたりが面白いと感じています。
Louis ColeやJacob Mann、Moonchildなど、彼らの音楽を聴いていると、僕と同じようなカルチャーの体験をしているように感じます。皆マルチプレイヤーで、そういった所もある種時代の空気を感じます。
東京○X問題『さよなら△またきて□』
2021年12月22日(水)
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東京○X問題
モデル・女優としても活動する小日向ひなた(Vo)と、クラシックピアニストとして「ピティナ・ピアノコンペティション」で特級グランプリの受賞歴を持つカタヤマシュウ(Key)によるエレクトロポップデュオ。
@tokyo_oxissue
Official YouTube Channel
Vol.108はモデル・女優としても活動する小日向ひなた(Vo)と、クラシックピアニストとして「ピティナ・ピアノコンペティション」で特級グランプリの受賞歴を持つカタヤマシュウ(Key)によるエレクトロポップデュオ、東京○X問題を取り上げる。
12月22日にリリースされた1st EP『さよなら△またきて□』はマスタリングエンジニアに砂原良徳が参加。小日向が10代の頃に作詞作曲をした「シブヤ・プラネット」「ウキウキ雨季」、初めて小日向とカタヤマのふたりで共作した「渦」という今年3ヵ月連続で発表した楽曲のほか、カタヤマが作曲をした「のうのう」など、バラエティに富んだ全6曲を収録する。
活動を始めたきっかけ
小日向ひなた:私はバンド、シュウくんはクラシックピアノと、全く別の音楽活動をそれぞれしていたのですが、共通の知り合いが突然「一緒になにかやったら面白いと思う」とお見合い的なものをセッティングしてくれました。新しい挑戦ができそうな匂いがして、はじめて会ったその日に、その場で、私の楽曲を彼に渡し、その数日後に、アコギと私の歌声オンリーだった曲がメイクアップされて戻ってきました。それが昨年リリースした1stシングル『シブヤ・プラネット』の原型です。当時はまだ17歳とかで、その後色々あったんですが(笑)。今の○X問題として本格的に始動を始めたのはそこから大分空いて、2年前くらいのお話になります。
影響を受けたアーティスト
小日向ひなた:音楽って誰しも少なからず親の影響を受けると思うんですけど、うちの家庭は昼からソウル・フラワー・ユニオンで踊って、電気グルーヴが子守唄でした。(弟は小4でNirvanaにどハマりして闇落ちしていました)私は小学校3~4年生の頃、チャットモンチーに出会って音楽を自主的に聴き始め、子供の頃から今に至るまでコンスタントに聴いているのは、このチャットモンチーと、両親もよく聴いていたCIBO MATTOですね。
ここ数年は断トツで、AURORA、ビョーク、Grimesが好きです。あとTWICE(将来の夢はTWICEに入ることです)。
基本的に女の子が歌う音楽が好きなんだと思います。妖精のようで化け物のような、かわいいだけでは飽き足らない精神と、パッションだだ漏れの音楽に痺れまくります。
カタヤマシュウ:一番初めに触れた音楽は父が聴いていたMISIAです。彼女の音楽に内包されているクラブミュージックの影響を受けて、だんだんR&B、ヒップホップなどのダンスミュージックや、ソウルを聴き始めました。その途中で出会ったのがテクノです。やはりYMOは避けて通れず聴き始めました。当時からクラシックのピアノを始めていて、自分の中に二面性みたいなものを感じていたのが、教授(坂本龍一)の存在によってひとつに繋がった感覚を覚え、そこからかなりハマりました。アルバムでは特に『BGM』と『テクノデリック』が好きです。その後、YMO周辺のニューウェーブや、そこから派生したアーティストの音楽を聴き漁る日々です。
他方、クラシック音楽では割とバロック~近現代まで万遍なく触れてきましたが、特に近代フランスの作曲家が好きで、大学院の修了演奏ではドビュッシーを演奏しました。現代音楽の分野にも興味があり、最近はジェラール・ペソンの作品をよく聴いています。こうして列挙するとかなり雑多ですね......。
注目してほしい、自分の関わった作品
小日向ひなた:12月22日にリリースした、東京OX問題の1st EP『さよなら△またきて□』です。10代の頃、初めて自分で作詞作曲した「ウキウキ雨季」や「シブヤ・プラネット」「ラブドール」、シュウ君が作曲した「夜とクラゲと狂った女」「のうのう」。
そして、初めて2人で共作した「渦」。バラエティに富んだ楽曲集です。
歌詞に関しては、それこそ10代の頃に書いたものが多いので、ちょっと何言ってるかわかんないけど、なんか口に出したくなる遊び心あるフレーズとか、その時の私にしか描けないようなものを、きちんと形に残して世に出すことができて良かったなあとしみじみシジミ、思います。
カタヤマシュウ:1st EP『さよなら△またきて□』は、音源が仕上がったのは結構前ですが、こうしてリリースされとても嬉しく思っています。改めて聴き返すと(自分の技術的に)「ああしたい、こうしたい」とかありますし、色々と思う部分はありますが、当時の精一杯です。まりんさん(砂原良徳 )によるマスタリングは、僕的に痒いところに手が届いたような感じで、とても綺麗に仕上げてくださいました。収録曲で僕のお気に入りは「のうのう」です。
あと、DAWに触る前からDJをやっています。今まで2~3回現場でプレイしたことがありますが、始めてこの方自宅でミックスを作るばかりです。今後プレイが増えたら良いなと思っています。
今後挑戦してみたいこと
小日向ひなた:日本は勿論ですが、あわよくば海外の人にも沢山聴いてもらいたいです。英語がいつになっても喋れるようにならないので(特に何の努力もしていないので本当にダメな人間なんですが)、そこは頑張ります。個人的には北欧にあこがれが強いので、いつか北欧で隠居したいです。
カタヤマシュウ:まずは多くの人に作品を聴いていただいて、実際に人前でライヴを見てもらうことです。お互いに楽器が演奏できるのでそれを活かしたステージにしたいと話しています。
カルチャーについて
触れてきたカルチャー
小日向ひなた:映画・アニメ・本など、基本的になんでもドブっと浸かるタイプなんですが、宇宙マニアなので宇宙に関連するものが多い気がします。1番好きな映画は『インターステラー』、2番目は『不思議惑星キン・ザ・ザ』です(3番目は『ピアノ・レッスン』)。
『インターステラー』に関しては、もう数え切れないほど観たのですが、何度観ても、宇宙と邂逅する瞬間があって、訳もわからずボロボロと涙が出ます。3時間くらいある映画なんですが、トータル2時間半は泣いています。
一度劇場のIMAXで観たときは迫力も相まって死ぬんか?ってくらい誰も泣いてないシーンでも嗚咽していたので、うざかったと思います。
この映画に登場するディラン・トマスの詩や、時や重力や愛の概念は、かなり私の生み出す作品にも影響しています。
本も、宇宙飛行士のルポ本とか、ハッブル宇宙望遠鏡の写真集とか、リアルなものから、星新一のショートショートとかまで好き好んで読んでいます。
ひとりで電車乗り継いでJAXA観光に行ったりもします。一緒に行ってくれる友達が欲しいです。
JAXAにて。1番イカしてたロケットのエンジン
カタヤマシュウ:物心ついた頃には既に様々なカルチャーが同等に存在していました。僕の場合クラシックとポップカルチャーを同時に体験してきたのですが、いずれにしても音楽を通して美術やファッションなど他の文化に興味を持ち始めました。クラシックもポップスの作品でも、曲の成り立ちやアーティストの人となりを調べるのは必要ですし、それが楽しいのもあって音楽を続けられている部分もあると思います。そこから色々なことを理解して吸収し、自分の表現を見極めていくということでしょうか。
今注目しているカルチャー
小日向ひなた:もう書き始めたら止まらないんですけど、私昨年の夏、ガンダムに出会ってしまいました!ひょんなことで、去年の夏にガンダムを観てみたんです。正義のヒーローロボットモノだろうと思いながら観はじめたら大間違いでした。勿論ロボットモノではあるのですが、紛れもない人間対人間の戦争の物語なのです。果たして何が正義で何が悪なのか。
本当は誰しも平和を願っているはずなのに、どこまでいっても、戦うことでしか戦いをやめられない愚かな人間達がめちゃくちゃリアルに描かれています。この世の縮図っす。
宇宙世紀のシリーズしか観ていないのですが、是非同世代に見ていただきたい。世のおじさん達は大体皆んな通ってるんですが、私の世代になるとガンダム観たことない人ばかりなので、ガンダムトークできる同世代の友達が欲しいです。
ガンダムUCのタペストリートレーナー。
不器用ながらも休日はガンプラを作っています。本当に不器用で、展開図的なものも子供の頃から大の苦手なので、大抵素組みだけで10時間以上かかります。
辛くて号泣→辛いならやめればいいのに、泣き喚きながら作っている自分が面白くて爆笑→でもやっぱり辛いしもう寝たくて号泣を繰り返しながら作ります。この休日が何故か癖になります。
例の日のInstagramストーリーより。
ランバラル機のグフが1番好きです。
ガンダムベース限定カラーザクⅡ。
カタヤマシュウ:ここ2~3年のLAのネオジャズ・ネオソウルあたりが面白いと感じています。
Louis ColeやJacob Mann、Moonchildなど、彼らの音楽を聴いていると、僕と同じようなカルチャーの体験をしているように感じます。皆マルチプレイヤーで、そういった所もある種時代の空気を感じます。
RELEASE INFORMATION
東京○X問題『さよなら△またきて□』
2021年12月22日(水)
試聴はこちら
LIVE INFOMATION
Tiny Base Sessions
PROFILE
東京○X問題
モデル・女優としても活動する小日向ひなた(Vo)と、クラシックピアニストとして「ピティナ・ピアノコンペティション」で特級グランプリの受賞歴を持つカタヤマシュウ(Key)によるエレクトロポップデュオ。
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