SENSA

2021.10.13

ユニークな個性の結晶体「愛はズボーン」-Highlighter Vol.096-

ユニークな個性の結晶体「愛はズボーン」-Highlighter Vol.096-

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.096は、流行に囚われない独自の感性で自分たちだけのロックを追求し続け、今年結成10周年を迎えた愛はズボーンを取り上げる。10月13日にリリースされた初のトリビュートアルバム『I was born 10 years ago.~TRIBUTE~』には、彼らが敬愛する先輩から共に戦う戦友まで音楽シーンの一線で活躍する10組のアーティストが参加。それに伴い、参加アーティストの楽曲を愛はズボーンがカバーしたアルバム『I was born 10 years ago.~COVER~』も同日にリリースされた。もともとクセの強い愛はズボーンと、それぞれ強い個性を持ったアーティストたちが融合したユニークなカバーたちが新鮮な音楽体験を与えてくれる好企画になった。

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活動を始めたきっかけ
高校生の頃、文化祭がめちゃくちゃ好きで、高校3年の文化祭では学内の賞を密かに総なめしたんですよね。クラス賞。学年賞。部活賞。みたいに分かれてた賞を全部獲った。マジで全部の賞をぼくが獲ったんですよ。「密かに」ってのは、その賞に拘っている生徒なんて誰一人いなかったから、ぼくは心の中で勝手に喜んでただけ。表彰式みたいなのもあったのかなかったのか覚えてないです。で、文化祭が終わった時にとてつもなく寂しくなりました。そして、部活動程度にやっていたバンドを続ければ、この「何かを準備して本番を迎え、当日ステージに立つ」という体験を続けることができると考えたのが最初のきっかけだった気がします。

影響を受けたアーティスト
The Flaming Lipsのライブ映像を初めて観た時はかなり衝撃的でした。とにかくハッピーで笑いすぎて泣いてしまうような。いいライブとか面白すぎる映画の展開やかっこいいシーンって観ていると涙が出てくるんです。「感動の涙」って本来それくらい直感で流していいものだと思うんです。悲しいストーリーだったり、卒業式、結婚式の涙もわかるんですが、そういう理由のある涙じゃなく、もっと本能的で理屈がわからない時に溢れる涙。
そういう感覚を味合わせてくれるバンド、アーティストが好きですね。



注目してほしい、自分の関わった作品
愛はズボーンでは、アートワークもMVも結成当初から自分で作ってます。最初のうちは「いつか人に任せられるようになるまではとりあえず自分で作ろう」くらいに考えていたんですが、いつの間にか人から頼まれて作ったりし始めました。今では基本的には自分の表現として映像や音楽を作ったり、絵を描いたりするようにしています。


HPのデザインもやりました。

なんでもかんでも自分でやっちゃうことについて時々「人に任せた方がいいのではないか?」だったり、「もっと集中すべき事があるのでは?」など気持ちがぶれてしまうことがよくあります。だけど、ぼくはいろんなことに手を出していくことが自然なことだと思っていて。じゃないと飽きちゃう。仕事だって学校だって友達だって何年もずっと一緒だと嫌になるじゃないですか? 意外とみんなちょっとずつ変化をつけるようにしてると思います。

バンドやってMV作って、デザインして、歌詞書いて、ギター弾いて、曲作って、ライブして、めちゃくちゃ打ち上げするんです。だから毎日面白いです。

そして、今回直近で言いますと、バンド結成10周年の企画としてトリビュート&カバーアルバムを作りました。
10アーティストにトリビュートアルバムに参加してもらいながら、その10組のアーティストの楽曲をカバーし返すという企画です。参加アーティストは、

岡崎体育キュウソネコカミKING BROTHERS空きっ腹に酒THIS IS JAPANDENIMSナードマグネットHump BackHelsinki Lambda Club夜の本気ダンス

という豪華なメンツに参加してもらって、合計20曲の音源が集まりました。

かなり豪華なメンツなのですが、全く関係性のないアーティストが存在しないってところがぼくたちとしては拘ったところで、全10組と、この10年間の間で出会って関係性を持っているというところは、愛はズボーンの持つ素晴らしい一面だなと思っております。

今後挑戦してみたいこと
バンドとしてはできるだけ速く、多くの作品を世に送り出したいなと思って毎日を暮らしています。メンバー4人共がDTMでデモを作れる環境と能力が備わっているので、デモ音源を作る速さは他のバンドに比べると2~3倍くらいのペースなんです。なのでそれをリリースするところまで持っていく作業のクオリティを上げていきたいですね。

個人としては漫画を描いてみたいなと思ってます。というかもう描き始めてます。子どもの頃からずっと漫画家になりたいと思ってたし、いまどきWeb漫画家なら描けばなれるわけですから。子どもの頃からの夢を一つ叶えようかなと。
あとは、ラジオ番組を持ちたいです。こちらはWebラジオとかじゃなくどっかの放送局でやりたい。作家さんがいてプロデューサーやADみたいにスタッフがいて、ブースの中でメンバーと馬鹿話がしたいです。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
映画も漫画も好きですよ! あと漫才も好きだし、芸人さんのラジオも好きですね。アニメは時々ハマる作品があれば観る程度でチェックするというほどではないです。ゲームだったらマリオ64のRTA(リアルタイムアタック)がめちゃ好きだし、あとはApple製品のファンですね。Mac book proとiPhoneとiPadとAir Pods proと......めっちゃ持ってます。そしてちゃんと全部めっちゃ使ってます。そういうガジェットのデザインだったり、ソフトウェアの開発、デザインなんかもカルチャーとしての側面で捉えると楽しいですよね。

最近、というかこの5年くらいはYouTuberに夢中でしたね。ヒカキン、はじめしゃちょー、ヒカル、マホト、へきトラハウス、水溜りボンド、すしりくくん。めちゃくちゃハマって観てた頃はどのYouTuberも毎日更新が当たり前の時代で追いかけるだけで大変でした。でも「あの新しいカルチャーが構築されていく感覚」をリアルタイムで毎日観てられることが面白くてたまらなかった。

YouTuberを本気で追いかけるきっかけになった動画は、へきトラハウスの喧嘩動画
後にメンバーの相馬トランジスタが「あれは完全やらせ」と公言しているのですが、この「やらせかマジかわからない」の演出をノーカットワンカメで映し出すというやり方がTVでは楽しめない新しいバラエティだと感じたのを覚えています。

映画は基本的に好きですね。映画館も好きだし、家で特別な時間として映画鑑賞するのも好き。
最近は『マトリックス』(1999)がマイオールタイムベストな1本ですかね。9年ぶりくらいに塗り変わりました。以前までは『パルプ・フィクション』(1994)だったんですが、それを塗り替えて『マトリックス』がぶち上がってきました。

『マトリックス』ってめちゃくちゃ哲学の話してるの知ってました? 名台詞がめっちゃ多いんですよね。ド派手なワイヤーアクションとぶっ飛び設定が見所のSF映画だと思いきや、かなり哲学的側面の多い作品なので、そのあたりに注目してみると割と人生のヒントになる言葉とか見つかっちゃったりしました。

あとは、ガンダムシリーズをゆっくりゆっくりと開拓していってる途中です。今観た中では『Zガンダム』『第08MS小隊』あたりが好きかなぁ。

この前のキングオブコントも面白かったし、今年もM-1予選の動画からチェックしてます。できれば準決のチケットとれたら劇場に観にいきたい!
M-1はできれば毎年生で観たいんですよね。というのもどのネタが一番好きとか誰が優勝したってのももちろん生で観る楽しみのうちの一つなんだけど、あの音楽や舞台の演出、審査員との会話だったり、出番順による得点の高低差なんかも競技性があって面白い。本来お笑いで競い合うことなんて不純であるというのが通説だけど、それをエンタメとして消化しているあのM-1というショーが好きでたまらないんです。
2009年の笑い飯さんの「鳥人」に島田紳介さんが100点をつけた瞬間とか本当痺れました! しかもその年の優勝は笑い飯ではなくパンクブーブーさん。そういうストーリー含めて生で観るためのお笑い、お笑いに競技性を入れることで鮮度が大事になったM-1というショーが好きで好きでたまりません。


テレビで観る音楽、音源で聴く音楽だけでなくライブで体感する音楽を大事にしているのはこういうところからの影響があるのかもしれません。

音楽以外のカルチャーからの影響はめちゃくちゃ多いです。影響というか、好きで触れてるという感じです。知識の量が欲しいわけでもなければ、作品に落とし込もうという意識もそんなにないですね。そもそも「すしらーめんりく」がぼくの作る楽曲に影響を与えるとは思えない。だけど、きっとそういう無意識の中の影響が何かあるのかもと思うことはあります。

ぼくにとってカルチャーは毎日を楽しく生きる活力なので、ぼくの関わった作品が誰かの活力になってたら幸いです。

今注目しているカルチャー
スポーツですかね。今まであんまりスポーツをやったこともなければ夢中になって観戦したこともなかったんですが、最近ちょっと心の変化がありましてスポーツ選手に興味があるんです。
というのも、ギターの練習を日々行っている中で「3日前まで弾けなかったフレーズが弾けるようになっている!嬉しい!」ということは未だにあるんですね。で、その「嬉しい」の感覚にどんどん惹かれて、最近はギターの練習を毎朝やることが楽しみになってるんです。
そうなってくると、この「できなかったことを鍛錬によってできることに変える」というマインドを定着させている人の言葉や思考が気になってきたんですよ。
ウサイン・ボルトがどんな思考回路で陸上世界記録保持者となったのかとか、前まで気にしてなかったことが気になってきて。
なので最近はスポーツ選手の思想や哲学を知ることに注目しています。

RELEASE INFORMATION

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トリビュートアルバム『I was born 10 years ago.~TRIBUTE~』
2021年10月13日(水)

Track:
1. THIS IS JAPAN / Z scream!
2. 空きっ腹に酒 / MAJIMEチャンネル
3. キュウソネコカミ / まさかのイマジネイション
4. Hump Back / ニャロメ!
5. ナードマグネット / 恋のスーパーオレンジ
6. KING BROTHERS / 愛はズボーン
7. Helsinki Lambda Club / ピカソゲルニカ
8. DENIMS / ゆ〜らめりか
9. 夜の本気ダンス / BABY君は悪魔ちゃん
10. 岡崎体育 / エレクトリックオーシャンビュー

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愛はズボーン『I was born 10 years ago.~COVER~』
2021年10月13日(水)

Track:
1. ウィーアーインディーズバンド!! / キュウソネコカミcover
2. 星丘公園 / Hump Back cover
3. SMILE SMILE / 夜の本気ダンス cover
4. 午時葵 / Helsinki Lambda Club cover
5. カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか / THIS IS JAPAN cover
6. THE GREAT ESCAPE / ナードマグネット cover
7. LAST DANCE / DENIMS cover
8. XXXXX / KING BROTHERS cover
9. 生きるについて / 空きっ腹に酒 cover
10. エクレア / 岡崎体育 cover

試聴はこちら

LIVE INFORMATION

Live House Pangea presents「Pangea10th Anniversary"AGARTHA SPECIAL"」
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2021年10月23日(土)大阪城音楽堂
出演:愛はズボーン / 赤犬 / eastern youth / envy / 岡崎体育 / toe / ピーズ

OPEN 11:00 / START 12:00
前売 5000円 (+1D)
https://eplus.jp/pangea-10th/

愛はズボーンpresents『I was born 10 years ago. SPECIAL』
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2021年11月20日(土)心斎橋BIG CAT
出演:愛はズボーン / DENIMS / ドミコ / PK shampoo / and more...

OPEN 13:00 / START 14:00
前売 5000円 (+1D)
https://w.pia.jp/t/iwasborn10thspecial/

PROFILE

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愛はズボーン
2011年7月結成。大阪アメリカ村を中心に活動。メンバーそれぞれが音楽のみならずアート、ファッション、ゲーム配信など多岐にわたる発信をしている。
2021年で10 周年を迎え、新たに進化し生まれ変わり続けている。

LINK
オフィシャルサイト
@iwasborn_band
@iwasborm_band
Official YouTube Channel

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