2021.07.07
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.080は、千葉県出身のメンバーを中心に結成されたギターポップ・バンド、THE TREESを取り上げる。
ベル・アンド・セバスチャンやトラヴィスといった海外のギターポップ/インディーフォークの影響を、日本語詞を大切にした邦楽として再定義して鳴らす彼ら。元シャムキャッツの菅原慎一をプロデューサーに迎え、6月23日にリリースした1stアルバム『Reading Flowers』は、全曲「花言葉」をテーマに制作したコンセプトアルバムになった。キラキラとした甘酸っぱさとエモーショナルが絡み合う全10曲には春~初夏の陽光がとてもよく似合う。
またギタープレイだとTelevisionやFelt等、ギターアンサンブルが美しいアーティストに影響を受けていると思います。
竹内里美(Vo/Ba):
私が小学校低学年くらいの頃父がよく自室でカーペンターズを聴いていて、ドアに張り付いてこっそり音漏れを聴くのが好きでした。いつも夜の8時以降。当時の8時過ぎというと早くお風呂に入って寝るように言われる時間帯で。バレたら怒られるとわかっていても、声を潜めてドア越しに聴いていました。
この曲の伴奏を弾いてみたくてピアノを触ったので、一番最初に影響を受けたアーティストかもしれません。
山本諒(Dr):ドラムで一番最初に衝撃を受けたのがRed Hot Chili Peppersのドラマー、チャド・スミス。彼からの影響を強く受けました。
彼の力強くグルービーなサウンド、抜けのあるスネアサウンド、巨大な大木のような存在感に憧れを抱いてました。
一番最初に買ったスネアも彼のシグネーチャーモデルだったので思い入れもありますね。
サマソニで初めてレッチリを見た時も衝撃的でその光景がずっと頭の中にあって多分一生忘れない出来事だと思います。
荏原優太郎(Gt/Cho):高校生の時バイトを始め、音楽にのめり込み、所謂名盤と言われるものを買い始めました。その中で知ったThe Smithsを聴こうとBOXセットを買い、リリースの順番に聴こうと決め、1stの『The Smiths』から聴き始めました。
ディスクを入れ、再生ボタンを押したところまで覚えているほど、自分が探していた音楽だと思いました。そこからさらに音楽を聴くようになるのですが、原体験の一つが彼らで、今も影響を受け続けています。
こだわった点は歌を活かすためのシンプルなサウンドです。シンプルだからこそプロデューサーである菅原慎一さんと楽器の音作りを丁寧に行いました。優しさや温かみを感じられるようなギターのアンサンブルやパーカッションを多用し、メリハリをつけたリズムなど、特色を出せたのではないかと思っています。
また歌詞についても、素直な気持ちを描くことができたと思います。聴いてくれた方の心に寄り添う花束のような作品になったと思いますので是非聴いてみてください。
アメリカの画家エドワード・ホッパーの図録(フランス版)です。神保町の古書店で購入しました。
代表作である『Nighthawks』を含む殆どの作品が掲載されているので、ホッパーを知るにはとても良い図録でした(フランス語のため作品の説明が読めないのは残念ですが......)。
ここ数年音楽以外の作品からインプットをしていこうと思い立ち、特に絵画作品を鑑賞することが多いのですが、その中でもエドワード・ホッパーの描く「孤独」や「郊外のノスタルジーな景色」等が今の自分が表現したいことに近い気がしていたため、前述した1stアルバムの制作中もよく見直していました。まだ実際に生でホッパーの作品を見ることができていないので、いつか見てみたいです。
竹内:実家が駄菓子屋兼よろずやということもあり、幼い頃から様々なタイプのキャラグッズや置物、ポスタペ、骨董品等がある環境で暮らしていました。いつしか自分の大好きなアニメのキャラグッズやぬいぐるみを集めたり身につけることが最大の癒しになり、活力になっています。たまに友人や家族から「子供みたいだ」と笑われることもありますが(笑)。何歳になっても大好きなキャラクターグッズに囲まれていたいです。
山本:カルチャーとはちょっと違うかもしれないのですが、昔から生き物が好きでよく色んな生物を飼っていて、特に熱帯魚が好きです。
小さい頃はよくペットショップの小さいお魚コーナーで2時間ぐらいずっと魚を見ていましたね。
そうして見てるうちに自分で自然を再現したいと思い、水槽のレイアウトなどをするようになったのですが、これがものすごく深く面白くて、結構音楽に似通ってる部分も多いです。最初はレイアウトが全然上手くいかないんですけど、自然を水景の一部として見たり、直接水槽を見たりしていくうちにレイアウト技術が上がっていくのを実感できてとても面白いんですよ。
色んなものを見て感じて成長し、それを何かしらの形として残すというのは芸術にも似ている部分で。自分が音楽をしたり続けられるのも、そういった幼少期の経験などが関係しているのかもしれないですね。
荏原:中学生の時に読んだ重松清さんの『きみの友だち』にはとても感化された所があります。この間まだ読んでいなかったデビュー作の『ビフォア・ラン』も読み、とても良かったのでおすすめです。他に最近読んだ中だと、田島列島さんの『水は海に向かって流れる』がとても良かったです。
竹内:お酒についてもっと勉強したいと思っています。昔は飲めなかった日本酒が最近は美味しいと感じるようになったので、色々な日本酒を試して自分のお気に入りを見つけたいです。
山本:ファッションに注目しており、特にヴィンテージの服に興味を持ち始めました。
自分が生まれるより前の洋服が今もちゃんと着られる形で残っているところにロマンを感じ、そういうものを自分で集めてみたいという一種のコレクターみたいな部分もありますね。
何十年何百年と経っても未だに価値があるってすごいことで、作った本人が亡くなった後でもそれが何世代にもわたって誰かの手に届く、そこに魅力を感じ惹かれるのかなと思います。
そういう風に自分が作ったものや携わったものが、自分がいなくなった後でも伝わっていくように音楽も頑張りたいですね。
荏原:漫画家の町田洋さんの新しい作品が見られたらとても嬉しいです。『HUNTER×HUNTER』の続きも見られたら嬉しいです(今出ている話だけでも何回も読み返し楽しんでいます)。
THE TREES『Reading Flowers』
2021年6月23日(水)
試聴はこちら
日時:2021年9月12日(日) OPEN 17:00 / START 17:30
会場:下北沢BASEMENTBAR
料金:ADV. ¥2,400(+1D)
出演:THE TREES / Laura day romance
予約:b_t_tree@yahoo.co.jp
THE TREES
有馬嵩将(Vo/Gt)、荏原優太郎(Gt/Cho)、竹内里美(Vo/Ba)、山本諒(Dr)からなる、千葉県出身のメンバーを中心に結成した4人組ギターポップ・バンド。日本語の歌詞を大切にした温かみのある楽曲を鳴らし、2017年にCD+ZINE作品『Olive EP』を自主リリース、2018年に竹内里美が正式加入。写真家、勝呂亮伍と共作したCD+ZINE作品『KIDS EP』『Breakfast Club』を2年連続でリリースするなどリリース形態に拘り作品リリースを続ける。
2019年に下北沢BASEMENTBARにて初の自主企画「Younger Than Yesterday」を開催し、大成功を収めた。2021年6月23日、元シャムキャッツの菅原慎一をプロデューサーに迎えたデビューアルバム『Reading Flowers』をリリース。
@band_the_trees
Vol.080は、千葉県出身のメンバーを中心に結成されたギターポップ・バンド、THE TREESを取り上げる。
ベル・アンド・セバスチャンやトラヴィスといった海外のギターポップ/インディーフォークの影響を、日本語詞を大切にした邦楽として再定義して鳴らす彼ら。元シャムキャッツの菅原慎一をプロデューサーに迎え、6月23日にリリースした1stアルバム『Reading Flowers』は、全曲「花言葉」をテーマに制作したコンセプトアルバムになった。キラキラとした甘酸っぱさとエモーショナルが絡み合う全10曲には春~初夏の陽光がとてもよく似合う。
活動を始めたきっかけ
有馬嵩将(Vo/Gt):大学時代に僕が宅録で制作していた曲をライブで演奏するために、高校、大学の同級生の荏原と地元の友人である山本に声をかけたことがきっかけです。その後、何度かのメンバーチェンジを経て、音楽活動を通して友人になった竹内が加入し、今の編成となりました。影響を受けたアーティスト
有馬:挙げるとキリがないですが、ルーツという意味では小さい頃よく車で流れていたThe Beatlesやスピッツ等になるかと思います。またギタープレイだとTelevisionやFelt等、ギターアンサンブルが美しいアーティストに影響を受けていると思います。
竹内里美(Vo/Ba):
私が小学校低学年くらいの頃父がよく自室でカーペンターズを聴いていて、ドアに張り付いてこっそり音漏れを聴くのが好きでした。いつも夜の8時以降。当時の8時過ぎというと早くお風呂に入って寝るように言われる時間帯で。バレたら怒られるとわかっていても、声を潜めてドア越しに聴いていました。
この曲の伴奏を弾いてみたくてピアノを触ったので、一番最初に影響を受けたアーティストかもしれません。
山本諒(Dr):ドラムで一番最初に衝撃を受けたのがRed Hot Chili Peppersのドラマー、チャド・スミス。彼からの影響を強く受けました。
彼の力強くグルービーなサウンド、抜けのあるスネアサウンド、巨大な大木のような存在感に憧れを抱いてました。
一番最初に買ったスネアも彼のシグネーチャーモデルだったので思い入れもありますね。
サマソニで初めてレッチリを見た時も衝撃的でその光景がずっと頭の中にあって多分一生忘れない出来事だと思います。
荏原優太郎(Gt/Cho):高校生の時バイトを始め、音楽にのめり込み、所謂名盤と言われるものを買い始めました。その中で知ったThe Smithsを聴こうとBOXセットを買い、リリースの順番に聴こうと決め、1stの『The Smiths』から聴き始めました。
ディスクを入れ、再生ボタンを押したところまで覚えているほど、自分が探していた音楽だと思いました。そこからさらに音楽を聴くようになるのですが、原体験の一つが彼らで、今も影響を受け続けています。
注目してほしい、自分の関わった作品
有馬:注目してほしい作品は、2021年6月23日に発売された僕らTHE TREESの1stアルバム『Reading Flowers』です。全編花言葉をテーマに曲を制作したコンセプトアルバムになっています。こだわった点は歌を活かすためのシンプルなサウンドです。シンプルだからこそプロデューサーである菅原慎一さんと楽器の音作りを丁寧に行いました。優しさや温かみを感じられるようなギターのアンサンブルやパーカッションを多用し、メリハリをつけたリズムなど、特色を出せたのではないかと思っています。
また歌詞についても、素直な気持ちを描くことができたと思います。聴いてくれた方の心に寄り添う花束のような作品になったと思いますので是非聴いてみてください。
今後挑戦してみたいこと
有馬:日本だけでなく海外でもライブができたらなと思っています。これからも良い作品を制作することを第一に音楽活動を続けていきたいです。カルチャーについて
触れてきたカルチャー
有馬:『Hopper Catalogue 1882-1967』アメリカの画家エドワード・ホッパーの図録(フランス版)です。神保町の古書店で購入しました。
代表作である『Nighthawks』を含む殆どの作品が掲載されているので、ホッパーを知るにはとても良い図録でした(フランス語のため作品の説明が読めないのは残念ですが......)。
ここ数年音楽以外の作品からインプットをしていこうと思い立ち、特に絵画作品を鑑賞することが多いのですが、その中でもエドワード・ホッパーの描く「孤独」や「郊外のノスタルジーな景色」等が今の自分が表現したいことに近い気がしていたため、前述した1stアルバムの制作中もよく見直していました。まだ実際に生でホッパーの作品を見ることができていないので、いつか見てみたいです。
竹内:実家が駄菓子屋兼よろずやということもあり、幼い頃から様々なタイプのキャラグッズや置物、ポスタペ、骨董品等がある環境で暮らしていました。いつしか自分の大好きなアニメのキャラグッズやぬいぐるみを集めたり身につけることが最大の癒しになり、活力になっています。たまに友人や家族から「子供みたいだ」と笑われることもありますが(笑)。何歳になっても大好きなキャラクターグッズに囲まれていたいです。
山本:カルチャーとはちょっと違うかもしれないのですが、昔から生き物が好きでよく色んな生物を飼っていて、特に熱帯魚が好きです。
小さい頃はよくペットショップの小さいお魚コーナーで2時間ぐらいずっと魚を見ていましたね。
そうして見てるうちに自分で自然を再現したいと思い、水槽のレイアウトなどをするようになったのですが、これがものすごく深く面白くて、結構音楽に似通ってる部分も多いです。最初はレイアウトが全然上手くいかないんですけど、自然を水景の一部として見たり、直接水槽を見たりしていくうちにレイアウト技術が上がっていくのを実感できてとても面白いんですよ。
色んなものを見て感じて成長し、それを何かしらの形として残すというのは芸術にも似ている部分で。自分が音楽をしたり続けられるのも、そういった幼少期の経験などが関係しているのかもしれないですね。
荏原:中学生の時に読んだ重松清さんの『きみの友だち』にはとても感化された所があります。この間まだ読んでいなかったデビュー作の『ビフォア・ラン』も読み、とても良かったのでおすすめです。他に最近読んだ中だと、田島列島さんの『水は海に向かって流れる』がとても良かったです。
今注目しているカルチャー
有馬:上述した絵画関連で、開催が延期とはなってしまいましたが、アンリ・マティスの展覧会「マティス 自由なフォルム」に注目しています。またいい刺激をもらえる予感がしています。竹内:お酒についてもっと勉強したいと思っています。昔は飲めなかった日本酒が最近は美味しいと感じるようになったので、色々な日本酒を試して自分のお気に入りを見つけたいです。
山本:ファッションに注目しており、特にヴィンテージの服に興味を持ち始めました。
自分が生まれるより前の洋服が今もちゃんと着られる形で残っているところにロマンを感じ、そういうものを自分で集めてみたいという一種のコレクターみたいな部分もありますね。
何十年何百年と経っても未だに価値があるってすごいことで、作った本人が亡くなった後でもそれが何世代にもわたって誰かの手に届く、そこに魅力を感じ惹かれるのかなと思います。
そういう風に自分が作ったものや携わったものが、自分がいなくなった後でも伝わっていくように音楽も頑張りたいですね。
荏原:漫画家の町田洋さんの新しい作品が見られたらとても嬉しいです。『HUNTER×HUNTER』の続きも見られたら嬉しいです(今出ている話だけでも何回も読み返し楽しんでいます)。
RELEASE INFORMATION
THE TREES『Reading Flowers』
2021年6月23日(水)
試聴はこちら
LIVE INFORMATION
"Reading Flowers"Release Live
日時:2021年9月12日(日) OPEN 17:00 / START 17:30
会場:下北沢BASEMENTBAR
料金:ADV. ¥2,400(+1D)
出演:THE TREES / Laura day romance
予約:b_t_tree@yahoo.co.jp
PROFILE
THE TREES
有馬嵩将(Vo/Gt)、荏原優太郎(Gt/Cho)、竹内里美(Vo/Ba)、山本諒(Dr)からなる、千葉県出身のメンバーを中心に結成した4人組ギターポップ・バンド。日本語の歌詞を大切にした温かみのある楽曲を鳴らし、2017年にCD+ZINE作品『Olive EP』を自主リリース、2018年に竹内里美が正式加入。写真家、勝呂亮伍と共作したCD+ZINE作品『KIDS EP』『Breakfast Club』を2年連続でリリースするなどリリース形態に拘り作品リリースを続ける。
2019年に下北沢BASEMENTBARにて初の自主企画「Younger Than Yesterday」を開催し、大成功を収めた。2021年6月23日、元シャムキャッツの菅原慎一をプロデューサーに迎えたデビューアルバム『Reading Flowers』をリリース。
LINK
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