2021.06.02
脳内イメージを加速させるエレクトロミュージック「natsumi hirota」-Highlighter Vol.073-
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.073は、都内を拠点にエレクトリックミュージックを制作するトラックメイカーnatsumi hirotaを取り上げる。6月2日にリリースされた2nd EP『pop quiz』は、彼女のルーツにあるテクノやジャズが多彩なサンプリング音と溶け合い、街の喧騒から熱帯のジャングル、果ては宇宙まで、脳内に様々なイメージを広げてくれる遊び心あふれる1枚。1曲目は「a. _________」、2曲目は「b. ________」と表記する、テストの解答用紙のようなタイトルには、リスナーの自由な想像力に解釈を委ねたいという思惑も見え隠れする。
今の自分の作風に一番影響を与えているのは、丸の内のジャズクラブcotton clubでのバイトの経験です。世界中のジャズミュージシャンのパフォーマンスを日々浴びるように吸収する環境で働けて、とても刺激的な体験でした。
中でも印象に残っているのはVijay Iyer Trioの公演で、「Hood」という曲を演奏していたのですが、トリオの生音でテクノとジャズがクロスオーバーしていて衝撃を受けました。あと何より彼自身がポリリズムを研究していることもあり、リズムが複雑な曲が多かったのですが、その中で最初から最後まで全員でグルーヴしている感じというか、でっかい波を作っていたのがカッコよかった。どんな種類の音もリズムセクションになるし、ウワモノにもなり得るということを意識するきっかけになりました。
「Taking Fight」からしれっと「Hood」に入るところなどが最高です。
そして、6月16日に韓国のレーベルHoney Badger Recordsからリリースされるコンピレーションアルバム『HBRTRX Vol.4』に参加させてもらっているので、こちらもチェックしてほしいです。JNS率いる韓国のいけてる若手トラックメイカーによるトラックが収録されてます。私のトラックとは対照的な無骨でかっこいいテクノに刺激を受けました。
natsumi hirota『pop quiz』
2021年6月2日(水)
試聴はこちら
natsumi hirota
東京を拠点に活動するトラックメイカー。
2019年より楽曲制作をはじめる。テクノとコンテンポラリージャズをルーツとしたエレクトロニックミュージックを制作している。プログレッシブなサウンドが持ち味。
@natsumi_hirota_
Vol.073は、都内を拠点にエレクトリックミュージックを制作するトラックメイカーnatsumi hirotaを取り上げる。6月2日にリリースされた2nd EP『pop quiz』は、彼女のルーツにあるテクノやジャズが多彩なサンプリング音と溶け合い、街の喧騒から熱帯のジャングル、果ては宇宙まで、脳内に様々なイメージを広げてくれる遊び心あふれる1枚。1曲目は「a. _________」、2曲目は「b. ________」と表記する、テストの解答用紙のようなタイトルには、リスナーの自由な想像力に解釈を委ねたいという思惑も見え隠れする。
活動を始めたきっかけ
3年前に新卒で入った会社を退職したことがきっかけです。社会人になり、時間がすごい速さで溶けていくのを感じる中で、「このままでは死んでも死にきれないな」という焦燥感が次第に募っていきました。それで、一回やりたいことを本気でやりきる経験が自分には必要だと考え、退社後ゼロからDTMで曲作りをはじめました。自分が好きでかつ向いていると思うことに力を注いでみようと思いました。影響を受けたアーティスト
父がよく家のピアノでブルースやジャズを弾いていたこともあり、幼少期から音楽は身近な存在でした。その後はピアノを習ったり、部活やサークルでダンスをしたり、緩く音楽と関わっていました。今の自分の作風に一番影響を与えているのは、丸の内のジャズクラブcotton clubでのバイトの経験です。世界中のジャズミュージシャンのパフォーマンスを日々浴びるように吸収する環境で働けて、とても刺激的な体験でした。
中でも印象に残っているのはVijay Iyer Trioの公演で、「Hood」という曲を演奏していたのですが、トリオの生音でテクノとジャズがクロスオーバーしていて衝撃を受けました。あと何より彼自身がポリリズムを研究していることもあり、リズムが複雑な曲が多かったのですが、その中で最初から最後まで全員でグルーヴしている感じというか、でっかい波を作っていたのがカッコよかった。どんな種類の音もリズムセクションになるし、ウワモノにもなり得るということを意識するきっかけになりました。
「Taking Fight」からしれっと「Hood」に入るところなどが最高です。
注目してほしい、自分の関わった作品
6月2日に2作目となるEP『pop quiz』をリリースしました。DTMを始めたときから構想していたことが少しずつ形になってきて、自分としては少し手応えを感じています。聴いてくださる方に「おや?」という感触を残せたら嬉しいです。そして、6月16日に韓国のレーベルHoney Badger Recordsからリリースされるコンピレーションアルバム『HBRTRX Vol.4』に参加させてもらっているので、こちらもチェックしてほしいです。JNS率いる韓国のいけてる若手トラックメイカーによるトラックが収録されてます。私のトラックとは対照的な無骨でかっこいいテクノに刺激を受けました。
今後挑戦してみたいこと
マシンライブに興味があります。以前ライブのブッキングをいただいたのですが、私自身一人で家に篭ってトラックメイクすることしかしてこなかったので、自身のトラックが他者にマシンライブを想像させたことに驚き、また同時に面白いなと思いました。それまで特に興味はなく、むしろ自分が納得のいく状態まで作品を作り込みたいという気持ちが強かったのですが、マシンライブに挑戦する中で創作の可能性が広がればいいなと思っています。カルチャーについて
触れてきたカルチャー
読書が好きです。小説やエッセイ、漫画、哲学書など色々読みますが。ここ数年では資本主義やその周辺について特に興味があり読んでます。わりと大きな小売業で働いていたのですが、その中で大量生産大量消費の様子を肌で感じたことがきっかけです。写真は最近読んだ本、今読んでいる本、これから読む予定の本です。今注目しているカルチャー
ポッドキャストをよく聞いています。最近のお気に入りは「ラジオ屋さんごっこ」です。異なる業種の3人による「言語化」を目的としたカルチャーポッドキャストなのですが、彼らのユーモアを交えた批評と悪口のバランスが最高です。外側にも内側(彼ら同士)にも、違和感を感じる物事について容赦なく切り込んで、言語化していく様子がすごく面白いです。自分の考えを補強するためのセッションというより、あくまで言葉にならないモヤモヤとした感情を互いに話し合う中で言語化するという姿勢なので、すごくフェアで、聴いていて気持ちがいいし、笑えます。RELEASE INFORMATION
natsumi hirota『pop quiz』
2021年6月2日(水)
試聴はこちら
PROFILE
natsumi hirota
東京を拠点に活動するトラックメイカー。
2019年より楽曲制作をはじめる。テクノとコンテンポラリージャズをルーツとしたエレクトロニックミュージックを制作している。プログレッシブなサウンドが持ち味。
LINK
@natsumi_hirota_@natsumi_hirota_