2020.12.18
音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.050は、12/2(水)に1stアルバム『iDoM』をリリースした、レトロとフューチャーを交差させる音楽クリエイティブユニット、am8に迫る。
am8
"懐かしいのに、新しい。フューチャーレトロな音の旅"
2020年、レトロとフューチャーを交差させる、全く新しい音楽ユニットが誕生。それがam8(エーエム・エイト)。
本業はデザインや広告、アートなどビジュアルの創作がメインなのですが、幼少の頃から趣味にしてきた音楽制作へ一度ドップリ挑戦してみたいと、メンバーかつ音楽プロデューサーの冨田くんに相談したのがきっかけだった、と思います。去年の話です。
また今回、自分の創作原点である「アナログレコードを作る」というのが明確なゴールイメージでした。レコードが音楽媒体の中心だった頃、内容は聴いてないけど、なんかジャケットが気に入って思わず買ってしまう、いわゆる「ジャケ買い」という現象があって、「ジャケ買い」なんだけど聴いてみると音楽も良い!なんて事も結構あった(もちろんハズレもあります)。
そんな訳で、やはりアーティストの音楽性とビジュアル性は非常に表裏一体みたいな関係だな、とずっと思っています。
この感覚はCDやMDだと当然味わいが薄れるし、サブスクとなれば、もはや形すら無いのが現状な訳で。今回am8という名前の語源にもあるのですが、「art」と「music」が「無限大(∞)」の効果を生み出すようなクリエイティブユニットでありたいと思っています。
そんな訳で自分にとって影響を受ける音楽というのはビジュアル込みで好き嫌いを捉えています。
カッコいいモノもあれば、ユニークなモノ、かわいいモノなどありますが、特に影響を受けた物をご紹介したいと思います。
言わずと知れたYMOの中期作品『BGM』。「RYDEEN」の爆発的ヒットによる浮ついたファンを突き放すべく、彼らの音楽的転換を図った作品であると同時に、このジャケットにまず衝撃を受けました。テクノに水彩画、ですからね。まず何だこれ?って感じでした。
舞妓さんを起用した広告など盛んに展開していた時期でもあり、音楽的にもビジュアル的アプローチで見ても多角的なその展開自体に非常に興味を持ちましたし、後に広告業界で働きたいと思うきっかけになったと思います。今見ても、なんか洒落てますよね。
その後、機材の技術が発展し、サンプリングを使った音楽が台頭してきます。
アカデミックな教育やテクニックレベルに関係なく音楽(音響)を重ねて作ることが出来る、これってかなり革命的なことだな、と思います。ジャーマンテクノからインダストリアルミュージック、アンビエントなムード、今のASMRにも通じるようなアプローチをふんだんに開花させたART OF NOISEのこのアルバムは、何でしょうね、ジャンルがよく分からん!とか言いながら毎日聴いていました。
音楽をジャンルで分ける意味なんて、本当は無いんですよね。ジャケットデザインも含め、彼らの美学みたいなものは自分の創作作法にかなり影響していると思います。
90年代に入ってくると、シンセサイザー系の機材もアナログからデジタルへとどんどん変わっていき、音がちょっと薄っぺらくなってきます。
デジタルの残響音のない音色もまぁ良いんですけど、ちょっとムードに欠ける感じに嫌気がさしていた時期、このアルバムに出会いしました。田島貴男さんのいた頃のピチカート・ファイヴ『ベリッシマ』です。何だ、このナヨナヨした内向的な男の歌は、とか思いつつも精錬され完成された彼らの世界観に見事にハマりました。
全体の音のリバーブ感とやはり印象的なのは弦楽器の音色です。僕の中でストリングスの音色は儚く、美的なイメージを作る楽器として憧れがとてもあります。まず技術的に弾くことは無理。無理なんですが、作る楽曲の中には結構入れちゃいます(笑)。
ちなみにこのアルバムの「カップルズ」という曲でボーカルを担当された高浪慶太郎さんは今回のアルバムのボーカルで参加頂いており、非常に光栄で夢のような出来事だ、と、冨田くんと喜びを分かち合っています。
あとこのジャケット。信藤三雄さんによるデザインは今でもヤバイです。大好きな作品です。
こんな感じで書いていくと本当にキリがないので、以下、今回のアルバムを作るにあたり影響したであろう作品をご紹介させて頂きます。もし興味があったらお聴きいただくと、僕らの音楽の源泉を感じると思います。
その他、影響を受けている楽曲のMVも。やはり音楽と映像の両方からの影響が多くある作品ですので、新旧問わず、色々とピックアップしています。
本業はビジュアルなのですが、今回は「音楽家に徹する」という立ち位置を決めたので、ビジュアル面は別に作家さんにお願いするスタイルに徹しました。
ジャケットアートでは長年お世話になっているアート集団「エンライトメント」代表のヒロ杉山さん。
MVでは、以前うちで働いていて、今はロンドンで映像作家をしている尾角典子さんと、旧知の中でもある児玉裕一さんにお願いしています。
ビジュアルや映像の魅力も僕にとっては音楽作品と思っているので、このような素晴らしい方達にご参加いただけた事は非常に嬉しく、またワクワクする大きな要因になっています。
きっかけにも書きましたが、これまでビジュアル人生だった自分が正式に音作りに挑んで、しかもそれが実現したというのが今の自分が居る座標。am8の今回の作品がもし一定の評判を得たら、「iDoM2」「iDoM3」くらいまでは完結させたいと思っています。3部作ですね。超がつく新人音楽家ですが(まぁ良い年齢なので)2025年くらいまでには実現できたらな、と考えています。
ただ、同じようなアプローチで次回作を作るのも面白くないので、「あ、今回はこう来たのか!」といった驚きがある展開を模索しています。
また現状「ライブをする」というのは頭にありませんが、もしかしたらライブでこのアルバムの音を再現する、というのが次にくる挑戦かもしれません。
◼︎TVCM
『Xmas express』 a TVCM of JR Tokai music by Tatsuro Yamashita
CMを沢山作ってきましたが、内容と音楽がピッタリかつエモいCMの金字塔と言えば、このJR東海の「クリスマス・エクスプレス」です。今回作った「Hatsukoi ft.HANA」という楽曲のMVは、往年のこのCMな感じをイメージしています。
◼︎映画
これも上げ出したらキリがないのですが、いくつかピックアップしてみました。
ウェス・アンダーソン監督 『Come Together』 -a H&M Holiday Short Film directed by Wes Anderson
彼の作品のオフビート感はどれも好きですが、このH&Mのショートフィルムは凄く好きです。映像の水平垂直感、色合い、そして音の設計とストーリー展開が見事です。
デイヴィッド・リンチ監督 『All The Things』 Short Film by Chrystabell & David Lynch
『ツイン・ピークス』をはじめ、リンチワールドは多大に影響を受けています。ただ自分はこの人の根幹にある「気持ち悪さ」は自分では作り出せないなぁ、とよく思います(笑)。こちらはMVなのですが、ドロッとした世界観がやはり独特で気持ち悪さ&美しさみたいな「生と死」のイメージは、嫌いじゃないなぁ、と思います。耽美的でロマンティック。
大島渚監督『戦場のメリークリスマス』
今の若い人たちが観ると意外な組合せでしょうけれど、この"戦メリ"のキャスティングは凄いです。デビッドボウイ氏、坂本龍一氏、ビートたけし氏、内田裕也氏など、出演者がバラエティに富んだ人選です。そして言わずもがなですが、坂本氏はこの映画から世界へ、サントラへとフィールドを拡張されて行かれる訳ですので、自分にとってとても感慨深い作品です。
ティム・バートン監督 『Big Fish』 Official Trailer directed by Tim Burton
ティムバートン作品もとても好きです。この『Big Fish』はその中でもとても綺麗で、やはり耽美的。バートン監督の場合はリンチ監督の気持ち悪さではなくて、シュールだったり、異次元だったり、ワンダーランド的な美しさがありますが、最終的にはどこか寂しさや悲しみといった読後感になるのが不思議です。
◼︎アニメーション
80年代のアニメーションは、とにかくストーリーが難しかったり、残酷だったり、リアリティある痛みを伴った作品が多かったように思います。それまでのアニメ=子供向けではなくなった黎明期、今日では当たり前ですが日本の代表的カルチャーへと進化する時代でした。
「生と死」をテーマに描くアニメをこれでもか!というほど脳に叩き込んだ結果、強烈なトラウマとして自作の根底に深く根付いているように思います。
また、テーマ曲やサントラといった映像に対する音楽的役割や影響力を体感するのも、こういったアニメ作品に触れ合って来た事が音作りの源泉になっていると思います。
風の谷のナウシカ(1984) by 宮崎駿
ナウシカは今回の楽曲「Hatsukoi ft.HANA」にも通じているように感じます。森のイメージ、少女、再生、そういった記号は、なぜか今の世の中のムードに重なるような気がします。
映画版のテーマ曲は細野晴臣さん、歌唱は安田成美さんでしたね。ナウシカは漫画版がよりディープなメッセージがある作品ですので、興味ある方は是非一度読んでみてください。
機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編(1982) by 富野喜幸 安彦良和 大河原邦男
ロボット玩具メーカーがスポンサーであるにも関わらず、リアルな戦争を描いた初めての作品じゃないでしょうか。
色々な大人の事情を頑張って跳ね除けながら作って来られた魅力的で説得力あるストーリーテリングは、今も大人の鑑賞に耐えうるアニメの品質のベースになっていると感じます。良い意味で非常に罪深い作品です(笑)。
◼︎マンガ
鉄腕アトム アニメ版最終回「地球最大の冒険」より by 手塚治虫
手塚治虫氏の作品は幼少の頃から沢山読みましたが、その中でもアトムは何度も何度も読んでいたように思います。
漫画版では子供向けのロボットキャラアニメと言い切れないような、切ない話やロボットであるが故の悲哀など、結構深いストーリーが多いのが特徴です。実に暗い。その意味でアニメ版は全体的に健全な内容だったのですが、最終回、地球を助けるため太陽に特攻して絶命するという結末は、さらっと描かれていますが、子供にとってはかなりキツいバッドエンドだな、と思います。流石にリアルタイムでは観ていませんけど...。
アナログレコードの存在感というのを改めて強烈に再認識させてくれた場所。ここ5年くらい通わせてもらっており、今回のアルバム制作のきっかけでもあります。
もう店中がレコードで埋め尽くされていて、スピーカーはドデカサイズのタンノイのウエストミンスター。オーナーがミュージシャン大沢伸一氏という事も納得のいく完璧な音楽空間です。
またこの空間で定期的に行われる音楽イベントで出会った方たち、その音楽には非常に色々な刺激を今も貰っています。特にここ何年かは、大沢さんや周りの仲間の方達に非常にお世話になってきました。今回このように自身のアルバムを創ることが出来たのも、こういった出会いが有ったからだと思いとても感謝しています。
田島一成 個展「WITHERED FLOWERS」
青山骨董通りのギャラリーで2021年1月まで開催中の田島氏の個展(と写真集)です。
田島さんとは仕事・遊び関係なく長年お付き合いさせて頂いていますが、このような素晴らしい写真たちをこの時期に送り出すことは凄く素敵だな、と思っています。花の「生と死」です。その意味にでは作品テーマが今回のアルバムと絶妙にシンクロしているようにも思います。アルバムジャケットも花、ですしね。
写真という表現とサイズ感からくるその緻密さと圧倒される生命力、ぜひ体感されてみては如何でしょうか。
ヒロ杉山 作品集 「Drawing leads to another dimension」
今回のアルバムアートワークをお願いしたヒロ杉山氏の25年分のドローイング集です。
まずその作品量に圧倒されます。毎日毎日描き続けていらっしゃるビジュアルは一見だと統一感がないのですが、ずっと観ていくと根底にある作家性が浮かび上がってきます。その時、なんとも言えない、ヒロさんの頭の中にいるピュアな少年性みたいなものを感じます。
大人になればなる程、失ったり自重してしまうようなピュアな感性が「もっと表現せよ」と囁いてくるような、そんな素敵な作品集です。
Stranger Things Season4 by NETFLIX
Netflixの大人気シリーズのシーズン4がもう間もなく始まりそうです。
このドラマの中でもやはり音楽が際立っており、特に内容もそうなんですが80年代へのオマージュ感が半端なく、シンセの音色一つとっても懐かしいような新しいような、そんな不思議な気分になる作品です。内容は子供たちの冒険+ミステリーホラーみたいな感じかな。とてもフューチャーレトロな作品だと思います。
am8『iDoM(アイドム)』
2020年12月2日(水)
視聴はこちら
am8__official
Official YouTube Channel
FRIENDSHIP.
Vol.050は、12/2(水)に1stアルバム『iDoM』をリリースした、レトロとフューチャーを交差させる音楽クリエイティブユニット、am8に迫る。
am8
"懐かしいのに、新しい。フューチャーレトロな音の旅"
2020年、レトロとフューチャーを交差させる、全く新しい音楽ユニットが誕生。それがam8(エーエム・エイト)。
活動を始めたきっかけ
令和のはじまりとか2020とか時代の転換期にモニュメント的な作品を作りたいな、と。自分自身もキリの良い年齢になったので、何事もやり残さない精神です(笑)。本業はデザインや広告、アートなどビジュアルの創作がメインなのですが、幼少の頃から趣味にしてきた音楽制作へ一度ドップリ挑戦してみたいと、メンバーかつ音楽プロデューサーの冨田くんに相談したのがきっかけだった、と思います。去年の話です。
影響を受けたアーティスト
ビジュアルとサウンド、カルチャーなどが渾然一体となった作品やアーティストに昔から興味があります。また今回、自分の創作原点である「アナログレコードを作る」というのが明確なゴールイメージでした。レコードが音楽媒体の中心だった頃、内容は聴いてないけど、なんかジャケットが気に入って思わず買ってしまう、いわゆる「ジャケ買い」という現象があって、「ジャケ買い」なんだけど聴いてみると音楽も良い!なんて事も結構あった(もちろんハズレもあります)。
そんな訳で、やはりアーティストの音楽性とビジュアル性は非常に表裏一体みたいな関係だな、とずっと思っています。
この感覚はCDやMDだと当然味わいが薄れるし、サブスクとなれば、もはや形すら無いのが現状な訳で。今回am8という名前の語源にもあるのですが、「art」と「music」が「無限大(∞)」の効果を生み出すようなクリエイティブユニットでありたいと思っています。
そんな訳で自分にとって影響を受ける音楽というのはビジュアル込みで好き嫌いを捉えています。
カッコいいモノもあれば、ユニークなモノ、かわいいモノなどありますが、特に影響を受けた物をご紹介したいと思います。
言わずと知れたYMOの中期作品『BGM』。「RYDEEN」の爆発的ヒットによる浮ついたファンを突き放すべく、彼らの音楽的転換を図った作品であると同時に、このジャケットにまず衝撃を受けました。テクノに水彩画、ですからね。まず何だこれ?って感じでした。
舞妓さんを起用した広告など盛んに展開していた時期でもあり、音楽的にもビジュアル的アプローチで見ても多角的なその展開自体に非常に興味を持ちましたし、後に広告業界で働きたいと思うきっかけになったと思います。今見ても、なんか洒落てますよね。
その後、機材の技術が発展し、サンプリングを使った音楽が台頭してきます。
アカデミックな教育やテクニックレベルに関係なく音楽(音響)を重ねて作ることが出来る、これってかなり革命的なことだな、と思います。ジャーマンテクノからインダストリアルミュージック、アンビエントなムード、今のASMRにも通じるようなアプローチをふんだんに開花させたART OF NOISEのこのアルバムは、何でしょうね、ジャンルがよく分からん!とか言いながら毎日聴いていました。
音楽をジャンルで分ける意味なんて、本当は無いんですよね。ジャケットデザインも含め、彼らの美学みたいなものは自分の創作作法にかなり影響していると思います。
90年代に入ってくると、シンセサイザー系の機材もアナログからデジタルへとどんどん変わっていき、音がちょっと薄っぺらくなってきます。
デジタルの残響音のない音色もまぁ良いんですけど、ちょっとムードに欠ける感じに嫌気がさしていた時期、このアルバムに出会いしました。田島貴男さんのいた頃のピチカート・ファイヴ『ベリッシマ』です。何だ、このナヨナヨした内向的な男の歌は、とか思いつつも精錬され完成された彼らの世界観に見事にハマりました。
全体の音のリバーブ感とやはり印象的なのは弦楽器の音色です。僕の中でストリングスの音色は儚く、美的なイメージを作る楽器として憧れがとてもあります。まず技術的に弾くことは無理。無理なんですが、作る楽曲の中には結構入れちゃいます(笑)。
ちなみにこのアルバムの「カップルズ」という曲でボーカルを担当された高浪慶太郎さんは今回のアルバムのボーカルで参加頂いており、非常に光栄で夢のような出来事だ、と、冨田くんと喜びを分かち合っています。
あとこのジャケット。信藤三雄さんによるデザインは今でもヤバイです。大好きな作品です。
こんな感じで書いていくと本当にキリがないので、以下、今回のアルバムを作るにあたり影響したであろう作品をご紹介させて頂きます。もし興味があったらお聴きいただくと、僕らの音楽の源泉を感じると思います。
その他、影響を受けている楽曲のMVも。やはり音楽と映像の両方からの影響が多くある作品ですので、新旧問わず、色々とピックアップしています。
注目してほしい、自分の関わった作品
先述の通り、今作『iDoM』は音楽に挑んだ実質的"デビューアルバム"です。本業はビジュアルなのですが、今回は「音楽家に徹する」という立ち位置を決めたので、ビジュアル面は別に作家さんにお願いするスタイルに徹しました。
ジャケットアートでは長年お世話になっているアート集団「エンライトメント」代表のヒロ杉山さん。
MVでは、以前うちで働いていて、今はロンドンで映像作家をしている尾角典子さんと、旧知の中でもある児玉裕一さんにお願いしています。
ビジュアルや映像の魅力も僕にとっては音楽作品と思っているので、このような素晴らしい方達にご参加いただけた事は非常に嬉しく、またワクワクする大きな要因になっています。
今後挑戦してみたいこと
今回のアルバムタイトルが『iDoM(アイドム)』と言うのですが、そもそも挑戦の「挑む」の意味を込めています。きっかけにも書きましたが、これまでビジュアル人生だった自分が正式に音作りに挑んで、しかもそれが実現したというのが今の自分が居る座標。am8の今回の作品がもし一定の評判を得たら、「iDoM2」「iDoM3」くらいまでは完結させたいと思っています。3部作ですね。超がつく新人音楽家ですが(まぁ良い年齢なので)2025年くらいまでには実現できたらな、と考えています。
ただ、同じようなアプローチで次回作を作るのも面白くないので、「あ、今回はこう来たのか!」といった驚きがある展開を模索しています。
また現状「ライブをする」というのは頭にありませんが、もしかしたらライブでこのアルバムの音を再現する、というのが次にくる挑戦かもしれません。
カルチャーについて
触れてきたカルチャー
広告やビジュアルを仕事として生きてきましたので、やはり映像的なものに刺激を受ける機会が多いです。グラフィカルな構図、色設計、照明効果など、ディテールから学ぶべき作品はたくさんありますね。◼︎TVCM
『Xmas express』 a TVCM of JR Tokai music by Tatsuro Yamashita
CMを沢山作ってきましたが、内容と音楽がピッタリかつエモいCMの金字塔と言えば、このJR東海の「クリスマス・エクスプレス」です。今回作った「Hatsukoi ft.HANA」という楽曲のMVは、往年のこのCMな感じをイメージしています。
◼︎映画
これも上げ出したらキリがないのですが、いくつかピックアップしてみました。
ウェス・アンダーソン監督 『Come Together』 -a H&M Holiday Short Film directed by Wes Anderson
彼の作品のオフビート感はどれも好きですが、このH&Mのショートフィルムは凄く好きです。映像の水平垂直感、色合い、そして音の設計とストーリー展開が見事です。
デイヴィッド・リンチ監督 『All The Things』 Short Film by Chrystabell & David Lynch
『ツイン・ピークス』をはじめ、リンチワールドは多大に影響を受けています。ただ自分はこの人の根幹にある「気持ち悪さ」は自分では作り出せないなぁ、とよく思います(笑)。こちらはMVなのですが、ドロッとした世界観がやはり独特で気持ち悪さ&美しさみたいな「生と死」のイメージは、嫌いじゃないなぁ、と思います。耽美的でロマンティック。
大島渚監督『戦場のメリークリスマス』
今の若い人たちが観ると意外な組合せでしょうけれど、この"戦メリ"のキャスティングは凄いです。デビッドボウイ氏、坂本龍一氏、ビートたけし氏、内田裕也氏など、出演者がバラエティに富んだ人選です。そして言わずもがなですが、坂本氏はこの映画から世界へ、サントラへとフィールドを拡張されて行かれる訳ですので、自分にとってとても感慨深い作品です。
ティム・バートン監督 『Big Fish』 Official Trailer directed by Tim Burton
ティムバートン作品もとても好きです。この『Big Fish』はその中でもとても綺麗で、やはり耽美的。バートン監督の場合はリンチ監督の気持ち悪さではなくて、シュールだったり、異次元だったり、ワンダーランド的な美しさがありますが、最終的にはどこか寂しさや悲しみといった読後感になるのが不思議です。
◼︎アニメーション
80年代のアニメーションは、とにかくストーリーが難しかったり、残酷だったり、リアリティある痛みを伴った作品が多かったように思います。それまでのアニメ=子供向けではなくなった黎明期、今日では当たり前ですが日本の代表的カルチャーへと進化する時代でした。
「生と死」をテーマに描くアニメをこれでもか!というほど脳に叩き込んだ結果、強烈なトラウマとして自作の根底に深く根付いているように思います。
また、テーマ曲やサントラといった映像に対する音楽的役割や影響力を体感するのも、こういったアニメ作品に触れ合って来た事が音作りの源泉になっていると思います。
風の谷のナウシカ(1984) by 宮崎駿
ナウシカは今回の楽曲「Hatsukoi ft.HANA」にも通じているように感じます。森のイメージ、少女、再生、そういった記号は、なぜか今の世の中のムードに重なるような気がします。
映画版のテーマ曲は細野晴臣さん、歌唱は安田成美さんでしたね。ナウシカは漫画版がよりディープなメッセージがある作品ですので、興味ある方は是非一度読んでみてください。
機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編(1982) by 富野喜幸 安彦良和 大河原邦男
ロボット玩具メーカーがスポンサーであるにも関わらず、リアルな戦争を描いた初めての作品じゃないでしょうか。
色々な大人の事情を頑張って跳ね除けながら作って来られた魅力的で説得力あるストーリーテリングは、今も大人の鑑賞に耐えうるアニメの品質のベースになっていると感じます。良い意味で非常に罪深い作品です(笑)。
◼︎マンガ
鉄腕アトム アニメ版最終回「地球最大の冒険」より by 手塚治虫
手塚治虫氏の作品は幼少の頃から沢山読みましたが、その中でもアトムは何度も何度も読んでいたように思います。
漫画版では子供向けのロボットキャラアニメと言い切れないような、切ない話やロボットであるが故の悲哀など、結構深いストーリーが多いのが特徴です。実に暗い。その意味でアニメ版は全体的に健全な内容だったのですが、最終回、地球を助けるため太陽に特攻して絶命するという結末は、さらっと描かれていますが、子供にとってはかなりキツいバッドエンドだな、と思います。流石にリアルタイムでは観ていませんけど...。
今注目しているカルチャー
GINZA MUSIC BARアナログレコードの存在感というのを改めて強烈に再認識させてくれた場所。ここ5年くらい通わせてもらっており、今回のアルバム制作のきっかけでもあります。
もう店中がレコードで埋め尽くされていて、スピーカーはドデカサイズのタンノイのウエストミンスター。オーナーがミュージシャン大沢伸一氏という事も納得のいく完璧な音楽空間です。
またこの空間で定期的に行われる音楽イベントで出会った方たち、その音楽には非常に色々な刺激を今も貰っています。特にここ何年かは、大沢さんや周りの仲間の方達に非常にお世話になってきました。今回このように自身のアルバムを創ることが出来たのも、こういった出会いが有ったからだと思いとても感謝しています。
田島一成 個展「WITHERED FLOWERS」
青山骨董通りのギャラリーで2021年1月まで開催中の田島氏の個展(と写真集)です。
田島さんとは仕事・遊び関係なく長年お付き合いさせて頂いていますが、このような素晴らしい写真たちをこの時期に送り出すことは凄く素敵だな、と思っています。花の「生と死」です。その意味にでは作品テーマが今回のアルバムと絶妙にシンクロしているようにも思います。アルバムジャケットも花、ですしね。
写真という表現とサイズ感からくるその緻密さと圧倒される生命力、ぜひ体感されてみては如何でしょうか。
ヒロ杉山 作品集 「Drawing leads to another dimension」
今回のアルバムアートワークをお願いしたヒロ杉山氏の25年分のドローイング集です。
まずその作品量に圧倒されます。毎日毎日描き続けていらっしゃるビジュアルは一見だと統一感がないのですが、ずっと観ていくと根底にある作家性が浮かび上がってきます。その時、なんとも言えない、ヒロさんの頭の中にいるピュアな少年性みたいなものを感じます。
大人になればなる程、失ったり自重してしまうようなピュアな感性が「もっと表現せよ」と囁いてくるような、そんな素敵な作品集です。
Stranger Things Season4 by NETFLIX
Netflixの大人気シリーズのシーズン4がもう間もなく始まりそうです。
このドラマの中でもやはり音楽が際立っており、特に内容もそうなんですが80年代へのオマージュ感が半端なく、シンセの音色一つとっても懐かしいような新しいような、そんな不思議な気分になる作品です。内容は子供たちの冒険+ミステリーホラーみたいな感じかな。とてもフューチャーレトロな作品だと思います。
RELEASE INFORMATION
am8『iDoM(アイドム)』
2020年12月2日(水)
視聴はこちら
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オフィシャルサイトam8__official
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