SENSA

2020.09.12

-Highlighter Vol.034-「池田智子」

-Highlighter Vol.034-「池田智子」

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.034は、自主レーベル tiny_mou(タイニームー)を立ち上げ、ソロでの活動をスタート、9/9(水)に配信シングル「walkin'」をリリースした池田智子に迫る。

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池田智子
2019年 Vo.として所属していたバンド Shiggy Jr.が解散。約1年の休止期間を経て、自主レーベル tiny_mou(タイニームー)を立ち上げ、ソロでの活動をスタート。自主レーベルにおける制作・プロデュースと共に、外部プロジェクトへのゲストボーカルとしての参加なども展開予定。


活動を始めたきっかけ
前身のバンドの解散後、約1年の休止期間を経て、また歌いたいと思えたから。解散後しばらくは何も手に付かないくらい無気力で、音楽以外のことをしていく選択肢もあったのですが、自分を取り戻していくプロセス(超絶マイペースで、周りの人にはとても心配をかけました)のなかで、私にはまだ音楽でやってみたいことがあるなーとすんなり思えた瞬間があって、決めました。


影響を受けたアーティスト
Fishmansと宇多田ヒカルさんです。
Fishmansは、高校生のときに初めて聴いて、その頃は「何だろうこの不思議な感覚は...」と思いながら、どうにか噛み砕きたくて頑張って聴く、という感じでした。大学生になったある日、ビールの美味しさが突然わかるみたいな感覚で(ちなみにビールはいまだに飲めません)全てがパシーンとはまった瞬間があり、そこから一気にメーターが振り切れて、それ以来何年もFishmansばかり聴き続けていました。柔らかくやさしい言葉で真理を切り取っているような佐藤さんの歌詞も、dubっぽいビートも、独特の土臭い浮遊感も、言葉を羅列しようと思えば好きな理由はいくらでも挙げられますが、もうとにかくそんなことは超越して素晴らしい音楽だと思います。今はなんか好きすぎて気軽に流せないタームにいます。(その音楽との距離感って日々変わっていきますよね)



宇多田ヒカルさんがデビューしたとき私は8歳で、テレビも教室も社会現象のようにその話題で持ちきりだったのをよく覚えています。毎回新鮮な音像で誰にも似ていない表現を生み出し続ける宇多田さんの活動を心から尊敬していますし、次はどんな世界が覗けるんだろうと、新譜が出るたび心踊っています。特に好きなところは歌詞で、宇多田さんの歌詞にはいつもしっかりとした孤独の影が横たわっているので、好きです。それが諦めでも、逃げでも、誤魔化しでもなくて、孤独の果ての果てまできちんと覗いたからこその、しっとりとした温さのようなものがあって、その音楽に触れているととてもほっとします。月並みな言葉ですが、孤独だからこそ、一人ではないんだなと思えるというか、生きていこうと思えるというか。余談ですが、歌の道に進むときに最後の一押しをしてくれたのが、宇多田さんとお誕生日が一緒という事実でした。



注目してほしい、自分の関わった作品
今回リリースした、ソロ第一弾となるシングル「walkin'」です。%CことTOSHIKI HAYASHIさんにトラックを提供していただき、生まれて初めて自分で歌詞を書きました。1年間の休止期間に考えたことや、パンデミックによってイレギュラーな生活を強いられたとき(特にSNSの世界について)に感じたことなどがテーマになっています。「こうあるべき」から外れてしまったが故に無かったことにされてしまうような感情たちを、そのままのかたちで泳がせ見つめられる空間を作りたいと思って、歌詞を書きました。それが音像としてもきちんと伝わるように今回はミックスでもいろいろな挑戦をしていて、ボーカルの本数やパンの左右の振り方・拡げ方をブロックごとに微妙に変化させています。ヘッドホンで聞いたときに重力が一瞬揺らぐような浮遊感を目指してエンジニアさんと何度も調整をしました。音楽は自由なんだってことを、今回の制作で初めて実感できた気がします。





今後挑戦してみたいこと
「池田智子」として、ジャンルを超えいろいろな場所で歌っていくこと。ゲストボーカルのような形でもいくつかの作品に参加させていただくことが決まっているので、求められる限り、自分としてその表現にどう向き合うのかをいつも新鮮な気持ちで捉えて形にしていきたいです。
それから、ソロ活動を始めるにあたって、自主レーベル「tiny_mou(タイニームー)」を立ち上げました。私だけが在籍している小さなレーベルです。上記のような誰かとコラボレーションして生まれる作品とは別に、自主レーベルからのリリース物に関しては、0〜100まで自分の感覚に従ってクリエーションをしていきます。より色濃く今の自分を表現して形にする場所として、そのときの自分なりのテーマを作品だけではなく制作のプロセスにも反映させながら、丁寧にリリースを重ねていきたいです。

カルチャーについて

触れてきたカルチャー
幼い頃から読書が好きでしたが、自分が表現をするようになってから(特にソロを始めることを決めてから)は、作品の受け取り方もまた変わってきたように思います。強く影響を受けていると思うのは、吉本ばななさん、村上春樹さん、川上未映子さん、ポール・オースターなどです。
特に、村上春樹さんは近年創作のプロセスやスタンスをかなり詳細に文章にしてくださっているので、休止期間にも何度も読み返していました。この「みみずくは黄昏に飛びたつ」も、そのなかの一冊で、村上さんと川上さんの対談形式で村上作品を読み解いていくというものです。発売されたときは、こんなに豪華で豊潤な本をリアルタイムで読めるなんて、、と震えました。ページを折りすぎて本が分厚くなってしまうくらい、私にとって示唆の多い1冊です。

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今注目しているカルチャー
YouTubeです。そんなに詳しい方ではないと思うのですが、好きなYouTuberの方の動画は何度も見返すくらいよく再生しています。特に好きなのは、強いて名前を挙げるまでもなくメジャーな方々ですが、kemio君とフワちゃんです。お二人とも、何も考えずただ眺めるだけでもパワーを分けてもらえるくらい陽でポジティブなエネルギーに溢れた方ですが、ときどき見せてくれる本質的な鋭さや時代をアップデートしていくぞっていう気概みたいなものに、勝手に共感と信頼を寄せてしまうというか、頼もしく感じてしまうというか、「私もその片鱗背負っていくぞ!!背負わせてください!!」って思わせてくれる力があります。あと、もう一つお二人に共通しているのがボキャブラリーのキャラ立ちというか、独特さで、手垢のついていない自分だけの言葉で日々自分を表現出来るって最強だなぁと思います。kemio君のTOKYO DRIFT FREESTYLE はまさにそれの結晶で感動してしまいました。








RELEASE INFORMATION
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池田智子「walkin'」
2020年9月9日(水)
視聴はこちら


LINK
オフィシャルサイト
@ikemoco_
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@tiny_mou
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