SENSA

2020.08.28

-Highlighter Vol.030-「evening cinema」

-Highlighter Vol.030-「evening cinema」

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.030は、8/26(水)にミニアルバム『AESTHETICS』をリリースした、Spotify月間リスナー60万人超えでアジアを中心に人気を集めるネオシティポップバンドevening cinemaのVo&Keyであり作詞作曲も担当する原田夏樹に迫る。


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evening cinema
音楽TV番組で蔦谷好位置氏が絶賛したボーカル兼コンポーザー原田夏樹を中心に、大学在学中の2015年8月に結成。70~80年のニューミュージック・シティポップなどを、90年代J-Pop的なフィルターを通して再構築したサウンドが特徴。敬愛する岡村靖幸氏に対するオマージュもサウンドの随所に鏤められていて音楽関係者からの注目度も高い。2016年7月、タワーレコード x Ano(t)raksによる共同レーベルLUCK by Ano(t)raks (運営終了) より1stミニアルバム "Almost Blue" をリリース。2020年8月、日中共同レーベル Luuv Label / Ano(t)raks より2年ぶりとなるミニアルバムを発売する。


活動を始めたきっかけ
evening cinemaは大学時代に知り合った友人と、バンド活動をしようと思ったのがきっかけです。僕自身軽音サークルに所属はしていたのですが、あまり対外的に活動しようとは、当初考えていなかった。試しに曲を作ってライブをしてみたら、これがなかなか楽しいということに気づいて、そのままどっぷりハマってしまったという感じです。メンバーが不安定ながらも、バンド活動を続けているうちに、楽曲提供など作家としてのお話も少しずついただくようになり、今に至ります。


影響を受けたアーティスト
ポピュラー音楽との出会いという点では、絶対的にThe Beatles。小さい頃からクラシックピアノを習っていた僕にとって、衝撃的な邂逅だった。彼らの曲を10曲程度コピーすれば、曲作りのイロハは一通り学べてしまうと、いまだに思っている。だから迷った時、行き詰まった時にはとりあえずビートルズに立ち返るようにしている。アンソロジーという、解散後に編纂された作品群があるのだけれど、小学生の時それのレーザーディスク(!)を毎日のように見ていたことを覚えている。解散直前のルーフトップのライブシーンは未だに憧れ。
習い事をしていた時は、ショパンが一番好きだった。メロディーセンスも和声も、ちょっとクサいくらいがちょうどいい、という今の僕の感覚は、多分彼がルーツにあるからなのだろう。あとはラフマニノフ、リストとかも好きだったなぁ。






注目してほしい、自分の関わった作品
やはり新作『AESTHETICS』、全編を通してこれまでより圧倒的にトラック数が多くなった。その一つには、コーラスを多用した点がある。例えば、「ネオンサインが呼んでる」だと、Ambrosia 、山下達郎などを意識した。
ビートの組み方、グルーヴにも注意を払った。「純愛のレッスン」はAnderson .Paakだし、「Last Chance」はLouis Cole、「大人になるまで」はDaft Punk。元ネタはそのほかもたくさんあるので、是非探してみて欲しいです!



あと、バンド以外だと最近楽曲提供した「こころ盗んで」(奥津マリリ)もお気に入り。僕はこう見えて90年代までのアイドル曲は結構追っていて、この曲一つでも5曲ほど元ネタが存在する。わかってニヤリとしていただければ本望です。




今後挑戦してみたいこと
挑戦してみたいことは、生のオーケストラをバックに一曲できるようになりたい。もちろんオーケストレーションも自分たちで。僕は、バンドだからといって音作りが4人という人数に制限されなければならないというのは、ひとつのドグマだと思っている。
あとは、いろんなボーカリストとコラボしてみたいですね。


カルチャーについて

触れてきたカルチャー
僕の場合は文学・思想が大きい(ひょっとしたら音楽以上に詳しいかもしれない)。
大学に入学して、トマス・ネーゲルという哲学者の論文に授業で触れた。邦訳も存在する、「コウモリになるとはどういうことか」という著作なのだけれど、「クオリア」という概念(日本だと茂木健一郎さんによって一躍有名になった概念)を説明する時に必ずといってもいいほど引用される文献。クオリアってのは、例えば赤い色を見たときの「赤っぽさ」、ワインを飲んだ時の甘さ、こういった主観的な経験の質のことを言うんだけど、なかなか説明しても分からない人もいる(例えば、同じ赤を見ていても、「僕にとっての赤」と「あなたにとっての赤」が同じとは限らないでしょう?)。これが何故だか面白くて、哲学とか文学、芸術の、科学や物理には換言できない領域に魅力を感じるようになりました。それから今に至るまで、大学院で哲学の研究を続けています。
写真は大学入って初めて自主的に読んだ哲学書(ハンナ・アーレント『人間の条件』)。
あとは昔の漫画も結構読んだ(最近のは全然詳しくないのだけど...)。とりわけ、『いつもポケットにショパン』は数え切れないほど読み返した。小学生の頃、親の本棚からこっそり拝借して隠れて読んでいたのがきっかけ。意外とみんなもこういう経験、多いのではないだろうか?
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ハンナ・アーレント『人間の条件』

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くらもちふさこ『いつもポケットにショパン』


今注目しているカルチャー
界隈以外の人にとっては何のこっちゃだと思うんだけど、ここ数年哲学界では「分析美学」というジャンルが盛り上がりを見せている。僕の専門ではないが、最近では書店でコーナーを組まれることも多くなった印象。入門書としては、『批評について』(ノエル・キャロル)が邦訳も平易で読みやすかった。
ちなみに昔の漫画を掘り下げると、僕に最大級の影響を与えているのは高橋留美子先生。
『めぞん一刻』は僕のバイブルであり、しばしば歌詞のテーマにも参考にさせていただいている。
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ノエル・キャロル『批評について』


RELEASE INFORMATION

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evening cinema『AESTHETICS』 (読み:エステティクス)
2020年8月26日(水)
¥1,800+tax
視聴はこちら


LIVE INFORMATION

"T2UI" @下北沢mona records
2020年8月30日(日)
配信:Qumomee(無料)
入場: ¥2,000(+1d)

open / start 19:30


evening cinema
SPENSR

hisabor(東京定期便)
チケット購入はこちら

ミニアルバム『AESTHETICS』全国発売記念 オンラインライブ&トークセッション in SHIBUYA TSUTAYA
2020年9月5日(土)15:00~16:30予定
配信URL:evening cinema 公式YouTubeチャンネル
イベント、SHIBUYA TSUTAYAオンラインストア特別特典、店頭連動企画詳細はこちら


LINK
オフィシャルサイト
@evening_cinema
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