SENSA

2020.08.02

-Highlighter Vol.023-「神谷洵平」

-Highlighter Vol.023-「神谷洵平」

音楽だけでなく、どのカルチャーも共通点やつながりがあるということをコンセプトにしているSENSA。INTERVIEWシリーズ「Highlighter」では、アーティストはもちろん、音楽に関わるクリエイターにどのような音楽・カルチャーに触れて現在までに至ったか、その人の人となりを探っていく。
Vol.023は、9/9(水)に自身初となるソロコラボアルバム「Jumpei Kamiya with...」のリリースが決定し、その中から7/29(水)に先行シングル第一弾「Shine Again feat. THE CHARM PARK」をデジタルリリースした神谷洵平に迫る。


kamiyajumpei_20200728_org.jpg
神谷洵平
1983年静岡生まれ
ドラマーであった両親の影響で幼少期よりピアノやドラムを始め、大学進学上京時よりプロ活動を開始。幅広い音楽性やアイディアを生かし、大橋トリオ、Predawn、THE CHARM PARK、優河のサポートから、矢野顕子、コトリンゴ、あいみょん、星野源、トータス松本など様々なアーティストのサポートドラマーとしても活躍。アルバム参加作品多岐にわたり、多くのアーティストに一目置かれた存在となっている。
ドラムのみならず、作曲、プロデュース、アレンジなども手掛け、東川亜希子とのユニット「赤い靴」また個人としても劇伴制作、様々なCM音楽の制作に携わる。
2019年から開始した近しい音楽仲間を招いたイベント「Jumpei Kamiya with...」を始めたことをきっかけにソロ活動を開始。
今回満を持して初のソロアルバム「Jumpei Kamiya with...」がリリース。
神谷洵平とは一体何者なのか。そんな彼の音楽が今響き始める。


活動を始めたきっかけ
今まで自分のユニット、赤い靴や、様々なアーティストの方のサポートとして作品やライブに参加して来ましたが、自分の音楽を一度作品としてきちんとリリースする必要性を感じ、以前から計画は立てておりました。しかし、サポート活動の合間でそんな時間がなかなか自分で作れず、まずはきっかけを作ろうと昨年からバンド形式で更にゲストボーカル「Jumpei Kamiya with...」というイベントを企画し始めました。
今年の頭に第二回の企画として、PredawnYohei ShikanoTHE CHARM PARKRyo Hamamotoなどを招き東名阪ツアーを企画していましたが、コロナの影響もあり止むを得ず中止にしまして。そのぽっかりと空いた時間をアルバム作りに充てようという気持ちに切り替え、素晴らしいバンドメンバー、岡田拓郎(Gt)、隅倉弘至(Ba)、Rayons(Pf)、副田整歩(Sax)と共にアルバム制作を開始しました。


影響を受けたアーティスト
10代から20代までは、所謂ドラムの為の音楽、特にブラックミュージックを中心にハマっていました。ただ、ドラマーだった父からの言葉「ドラマーになるな。ミュージシャンになれ。」という話を自分も確信しており、それとはまた別の思考で、所謂シンガーソングライターやバンドなどの好きな音楽、例えばBeckAphex TwinStingFrank Zappa、はたまた James TaylorTom WaitsRandy Newmanなどを高校時代は聴きながら、自宅にあった狭い地下室でMTRを使い宅録に明け暮れていました。
上京後の所謂20代前半に、ジャズピアニストBrad Mehldauの「Largo」というアルバムを聴いて、Rock、Jazz、 Soul、Blues、自分の好きな全ての音楽がこのシーンにあるような感覚になりました。それと数珠繋ぎにFiona AppleAimee MannEliott SmithRufus Wainright をひたすら聴いていました。






その作品全てに共通していたのが、Producer、マルチ演奏家、Jon Brionの存在でした。その時彼がサウンドメーカーという存在だけではなく、むしろ存在が「音楽」だと感じた事は、それからの自分の人生を大きく変えてくれました。ポップなプロデューサーでありながらも根本に何か即興性を感じる部分、そこがまた魅力の1つだったと思います。即興性という事と、作品を形としてまとめるという作業は、プレイヤーとしての自分と、作曲家としての自分を、うまく時間的な意識のバランスがとれた時に生かされるのだと、作品作りを終えた今実感しています。
それから、自分もドラマーとしてではなく、音楽に関わる人間として、どこまで「音楽」に近付けるのかという事を追求したいと思うようになり、曲作りを始め、アレンジ、プロデュースをいつか自分が主体になってやる事を目標にして活動してきました。
そして、 Jon Brionイズムでもありますが、面白い楽器収集に未だに明け暮れています。
それからの10年間。大橋トリオPredawnコトリンゴさん、矢野顕子さんなど本当に数えきれない沢山の素晴らしい音楽家方々と共演できた経験というのも、自分にとって運が良かったと思っています。






注目してほしい、自分の関わった作品
作品作りに取り掛かる時に、この時期に作る作品は、いつか振り返った時にきっと今でしか出来ない作品になると思っていました。
一番感じて欲しい部分は、'Vibes'だと思っています。社会がストップし始め、ライブが少なくなり、皆が自宅のみで音楽をせざるを得ない状況下で全員が同じ方向を向いて作った、その'Vibes'は何にも変えがたいもので。皆の音楽に対する気持ちが、作品内に行き渡っています。



今回リリースするアルバム「Jumpei Kamiya with...」は、全てのレコーディングをリモートで行いました。
僕の場合、幸い数年前に我が家に防音スタジオを作った事もあり、ドラムのマイキング、録音は全て自分でしました。そして、参加してくれた演奏者全員がそれぞれの思う自分の音、演奏を自宅でひたすら追求してくれました。
アレンジなどの土台は極力自分なりに提案しつつも、それを加味して更に素晴らしい演奏を仕上げてくれた時の感動。会って伝えたいけど、会えないもどかしさと、それをどこかで共有、また共感出来ている気持ちを信じて作業を進めました。皆さん、なんなら丸一日かけて1曲演奏してくれたり、自分の場合3日間くらいかけてドラムセットを取っ替え引っ替えし、1曲録り終えた曲もあったりします。普段のタイムスケジュールではあり得ない、録音と作曲を繰り返した約2ヶ月。本当贅沢な時間のかけ方をしたアルバムです。
また、アルバムのアートワークも、マスタリングも、今回気になる方にInstagramから連絡し、音を聴いて貰い、そこから親交し始めました。実は2人ともまだ会った事がありません。
アートワークはNishikoさんという方で、ふとInstagramでタグ検索している中に、一際才能溢れた作品を目にして、ダメ元でメッセージから連絡してみたところ、見ず知らずの私の要望を快く引き受けてくれました。
マスタリングのAndrew Sarloさんもです。ちょうどコロナでイベントを中止にするかを考えていた頃、一番ハマっていた音楽が昨年リリースされたBig Thief「U.F.O.F.」というアルバムでした。なんて最高なバンドなんだろうって。才能、即興性、グルーヴが閉じ込められた空気。まさに全てがここにあるなぁと驚いていました。そんなバンドの才能をまとめているキーマンがプロデューサーのAndrew Sarloさんだと知り、この際勢いで、何かアルバムに関わって貰おうとメッセージを送ってみたところ、音源を気に入ってくれ、最終マスタリングを彼にお願い出来る事になりました。
バンドメンバーも彼が関わったBig Thiefや昨年のBon Iver作品、Nick Hakimのアルバムを聴いていたので、最後のイベント(マスタリング)に向け、テンション上げ上げのままアルバムを完成する事が出来ました。
意図というと大袈裟ですが、今の「世界の音」に更に近付けられるかもしれない、という希望をそこに託しました。




今後挑戦してみたいこと
今はまだ明確にはありません。今回自分の名刺代わりになる作品を作ったつもりなので、これから色々な方に聴いて貰うのがまず楽しみです。それから、次の目標を考えてゆきたいです。
ただ、これからは音楽をもっと主体的に発信してゆく事をやれたらなと思っています。大袈裟になりますが、第二のドラマー人生を始める気持ちです。


カルチャーについて

今注目しているカルチャー
基本的に楽器・機材オタクなので、あまりカルチャーカルチャーした事を最近は意識しておりませんでしたが、しいて言えば、我々の世代が上の世代の作り上げたカルチャーをどう引き継ぐか。例えば料理店(街の定食屋、中華屋、とんかつ屋)の良さを引き継いでいけたり、いかなかったりと、所謂時代の移り変わりの中にある'世襲'に興味があります。それは、単に近い時代の事だけではなく、遺伝子レベルで物事を捉えたりしていきたいよななんて事を考えてます。
今、基本的な生活に立ち返る事が増え、何が自分に作用する出来事なのかを、より把握し易くなっていると思います。
進む事より、大事な部分、原始的な事への思考に置き換えて把握する事が、また何か新しい事を生み出すのではないかと考えています。大事な事を捉えずに、意図的に何か新しい事を生み出そうとしたら、もはやその時点で新しい事が生まれる可能性は低いと思っています。一つ一つの経験や体験をきちんと蒸留されている感覚を持ちながら、もの作りをしてゆきたいです。
あと、地味にワインにはまってます。



RELEASE INFORMATION

kamiyajumpei_jk_with_1200_20200729.jpg
Jumpei Kamiya ソロコラボアルバム「Jumpei Kamiya with...」
2020年9月9日(水)
視聴はこちら







LINK
オフィシャルサイト
@jumpeikamiya
@junpeikamiya
FRIENDSHIP.

気になるタグをCHECK!