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2025.11.02
New Release Digest Part 1
みさと:10月27日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全26作品の中から、まずはPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてさんですが、福岡拠点のバンド、爛漫天国(らんまんてんごく)。オンエアー聴いてるかな〜?
金子:彼らは2024年の4月に結成なので、まだ活動歴は1年半ぐらいですね。フォーク、ロック、ブルース、歌謡曲などに影響を受けて活動を開始したバンドとのことです。
みさと:福岡っぽい感じもする。
金子:福岡の大先輩でもあるandymoriの小山田壮平くんとちょっと通じるものを感じますね。歌詞の世界観も含め、ちょっと少年性の残る感じとか、フォーキーかつロックなサウンド感も通じるものがある気がする。なので、ここからどう独自性を強めていくのか、この先が楽しみなバンドだなと。
みさと:若さゆえの不器用な心模様がすごく声、音とマッチしていて、まだ活動して1年半ということなので、のびしろですね。続いて、東川亜希子さんです。
金子:ひさびさの新曲。1年ぶりぐらいですよね。
みさと:いいですよね〜。
金子:いいですよね。阿部芙蓉美さんが作詞、作曲・編曲が東川さん、ドラムとベースの演奏・ミックスが神谷洵平さんということで、この組み合わせ、素晴らしいですよね。
みさと:最強(笑)。
金子:「踊ってそして考える」というタイトルからしてすごくいいし、〈世界の最後まで やりたいことを やろうね やろうね おおよそ やろうね〉という歌詞で、諦めから入りつつ、でもほんのちょっと希望が見えてる、みたいな。世界はいつ終わっちゃうのかわからないし、やりたいこと全部はきっとできないんだけど、でもおおよそやろうねという、これぐらいの温度感がすごくいいなと思うし、そこにちょっとドライな、インディ感のある音像と、東川さんのボーカルが乗り、ユーミンを連想させるぐらいのめちゃいい曲です。
みさと:日本の文化を知っている人のDNAに刺さるような名曲ができたなと思っていて、人生には波があるけど、毎日心に置いておきたいのはこういう曲だなあと。伴走してくれるような歌詞の世界観で、この三者だからこそ無理がなく、私たちの心に溶け込むような曲ができたんじゃないでしょうか。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:CONTRASTZの新曲を紹介しようと思います。
みさと:すごい勢いですね!アルバムリリースになります。
金子:GLAYのJIROさんとLITEのJunIzawaさんによるツインベースのバンドですけど、改めて面白かったですね。やっぱりツインベースというだけで、珍しいわけですよ。で、普通ツインベースだとテクニカルな、バチバチにセッションするようなイメージが強いかもしれないけど、この2人の場合はCONTRASTZという名前が表しているように、全然タイプの違うベーシストで、音像もプレイも違う2人がその対比を生かしながら、構築的に曲を作っているのがまず面白い。ポッドキャストでもうちょっと長めに喋りたいなと思うんですけど、リード曲の「UNITE」に関してはアルバムの中で一番グルーヴィーでダンサブル、乗りやすい曲で、ちょっとマンチェスターに通じる部分もあったり。アルバムは基本的には変拍子の曲が多くて、すごく複雑なんだけど、多分唯一ぐらいこの曲はずっと"4"でのれるので、文字通りライブでもユナイトできるような曲になってるかなと思います。
みさと:没入感高め、深めな楽曲が揃っていて、1曲1曲のまさにコントラストがはっきりしているような、2人のベーシストが立ってるからこそ、このアルバムができたんだなと。複雑性の中の明確さもやっぱり面白いし、ユニットなんだなと感じました。あと、改めてGLAYのJIROさんが弾いてるんだと、ちょっとハッとする気持ちになる。今までの私の記憶のJIROさんと全く違うJIROさんがいるけれども、いろんな側面があるというコントラストも味わえるんじゃないかなと思います。あと井澤さんはこの世に一人じゃないと思ってる(笑)。
金子:あはは(笑)。ここ最近の多作っぷりはすごいですからね。
みさと:ポッドキャストも楽しんでください。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。こちらにもはじめましてさんです。sunsetinfall(サンセットインフォール)。
金子:彼らは2016年に東京・立川で結成されたバンド。幾度かのメンバーチェンジを乗り越え、現在の形へとたどり着いたということで、キャリア的にはもう10年。そんな短くないキャリアを感じさせるような、エモやポストハードコアを背景に持つスケールの大きなサウンドを鳴らしていて、かっこいいバンドですね。若いオルタナのバンドが増えているので、こういうキャリアのある人たちと混ざっていくことによって、どんな広がりがここから生まれてくるのか。FRIENDSHIP.からは初のリリースなので、この先が楽しみです。
みさと:今回の曲は未来への不安定なイメージや過去を引きずり続けるのではなく、今ここを駆け抜けていく感覚を大切にしていきたいという思いが込められているとセルフライナーノーツをいただいてます。10年というキャリアの中でも、今この瞬間に思いを込める爆発力がサウンドにすごく表れている1曲でした。続いて、the hatch。アルバムリリースです。
金子:the hatchもかっこいいですよね。ポストパンクがベーシックにありつつ、そこからラテンだったり、ジャズだったり、ダンスミュージックにも手を広げるかっこいいバンドなわけですけど、さらにパーカッションとシンセを担当する新メンバーが入ったことによって、よりパーカッシブなサウンド、よりダンスミュージック的な側面も強まっていました。セルフライナーノーツに「音数多いのに距離感も離れすぎてないのに風通しいいのマジ不思議」ってあって、ホントそうで。パーカッション含め、いろんな音数が入ってるし、いわゆる立体的でダンスミュージック的なミックスというよりは、もうちょっとバンドらしい、距離感の近いギュッとしたミックスなんだけど、でも風通しの良さがあって、ダンサブルな感じがある。このバランスは本当に独特で、かっこよかったですね。
みさと:リズムアプローチの複雑さに加え、親しみのあるような、ちょっと開けた、でも開きすぎてはいない感じ。もちろん風通しはいいんだけど、窓全開なわけじゃなくて、そこに通気口あったんだな、みたいな。本当にこのバランス感覚マジ不思議、ということで、ぜひアルバム通して聴いてみてください。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:ゲシュタルト乙女の新曲を紹介しようと思います。
みさと:名曲。
金子:いい曲、いいコラボですよね。ゲシュタルト乙女は明日11月2日に大阪で雪国と共演、11月3日には東京でEnfantsと共演ということで、それを前に雪国のボーカル、京 英一くんをフィーチャーした新曲が届いたと。
みさと:明日演るんだろうね〜。
金子:やらないわけがないですよね。
みさと:観られる方、プレミアムです。
金子:ゲシュタルト乙女は去年the band apartの荒井さんとコラボしたりもしてて、人選がいいですよね。早速雪国に目をつけてるというところもすごくいいし、オルタナ感がありつつ、ちゃんとポップでもあるという その両者の相性の良さがすごく感じられて、絶妙なバランスのめちゃいい曲でした。
みさと:ゲシュタルト乙女のMikanさんからいただいているセルフライナーノーツなんですけど、"雨や台風が多かった今年、繰り返される季節の巡りとともに、疲れた毎日に巻き込まれながらも、それでも前に進むしかないよなーと、そんな心境を表す一曲を書きたいと思い、この曲を作りました"とあります。天候とともに馴染んでいく歌声と歌詞の世界観を書かれるお二人だと思っていて、後半に二人の声が重なるパートの距離感だったり、空と自分との関係性であったり、どんどん心情とリンクしていく感じで、自分の日々と内面に語りかけてくるような、リンクして自分の曲になっていくような、いい曲ですね。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。まずはEmerald。
金子:ひさびさの新曲が届きました。ポッドキャストでも少し話しましたけど、現在First Love is Never Returnedと『Re Friendship HOME TOWN TOUR 25'』という、お互いのホームタウンを行き来するツアーを開催中。その札幌編が11月1日に行われて、11月23日には東京編もある中での新曲です。今回はボーカルの中野くんによる弾き語りから生まれた楽曲ということで、歌に寄り添うようなアレンジがとても印象的。で、歌や演奏ももちろんいいんですけど、歌詞もすごく良くて。「いみをなくして」というタイトルで、無常感がテーマになっているみたいなんですけど、ストーリーテリングを続けていく中で、最後に〈飾りになれない君のその輝きは 風にはしゃげば全てを包んで 意味を無くしてくれる〉というラインにたどり着く。この流れが非常に美しくて、Emeraldは歌詞もいいなと改めて思わされた一曲でした。
みさと:その言葉を盛り上げてくれるメロとリフが本当にたまらなくて、気持ちを抑えながらも漏れ出てしまうエモーショナルを表現するのに完璧すぎるメンバー。これぞEmerald節だなと味わいつつ、最後の一文でどんでん返しぐらいの感覚になれる、そんなドラマのような作り方で、数分の中でこれだけ感情を揺さぶられるって、やっぱりプロフェッショナルですね。続いて、Khamai Leonがアルバムリリースです。
金子:今回は全編一発録りによるアコースティック音源集ということで、過去の曲をリアレンジしていて、しかも即興の要素が強く、彼らの演奏力の高さ、表現力の高さが非常に感じられる仕上がりになっていました。いろんなアウトプットがあるというのも、彼らならではの面白さだなと。
みさと:オリジナルの楽曲は構築美というか、すごく計算されて作られたイメージで聴かせてもらってるんですけど、今回のアルバムはよりフィジカル強めで、即興的なスリリングさはありながらも、クラシックの持つ品性で唯一無二。そこに落とし込める作品作りもすごいなと思いましたし、同時にやっぱりライブでしか味わえない爆発力が見えてきたので、ライブに行きたくなっちゃうと思います。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:永原真夏さんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:こちらもアルバムのリリース、おめでとうございます。
金子:今年はソロ活動10周年ということで、ベスト盤も出てたりするんですけど、オリジナルのアルバムとしては3年ぶり。
みさと:すごいなぁ。
金子:作品紹介文を読むと、"オルタナティブ、ヒップホップ、フォーク、ポップスなど、様々なジャンルをバンドサウンドと反骨精神溢れる歌詞で串刺しにした一枚。ユーモアとファンシー、怒りと光の冒険活劇!"と、すごく永原真夏を表している一文だと思うんですけど、リードトラックが「けむしbe蝶々」で、このタイトルも非常にオリジナリティありますよね。コメントによると、自分で自分にかけた呪いやトラウマになってしまったものを乗り越えていく歌ということで、永原真夏流の進化論みたいな、変わっていくことを歌っている曲。その一方、アルバムタイトルは『うさぎなるままに』で、うさぎは真夏ちゃんの曲の中で頻繁に登場してくるモチーフなんだけど、ある種の弱さだったり、少女性もちゃんと持ち続けていく。変わっていくことと変わらないこと、どちらも抱きしめながら10年やってきたことを感じさせる作品になっているのもすごくいいなと思いました。
みさと:「けむしbe蝶々」に対してのコメントをもう少し読ませていただこうと思うんですけど、"明るいアップテンポな曲ですが、怒っています。あの日もあの日も、本当は怒っていたことに気がつく曲でもあります。躓くことは避けられない人生ですが、それでも少しでも一歩前へと、この曲が誰かのパワーになってくれたら嬉しいです"という、自分自身で蓋をしていたものに対して気づかせてもらえる曲なのに、真夏ちゃんの声とサウンドでダウナーにならずとも、そこへのトラウマが解消されるというか、そういう曲はなかなかないなと思っていて。自分で自分にかけた呪いに対面するときって、一緒に闇落ちすることが多いと思うんですけど、真夏ちゃんの手にかかると闇落ちせずとも、そこに向かっていける。けむしから蝶々になるためには努力や勇気が必要だけど、支えてくれるような曲がたくさんあるし、今までもそうやって生きてこられたんだなと、これまでの10年も感じられるような一枚になっているんじゃないでしょうか。
番組の後半はHarunaがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
 FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
 @a2take /  @a2take3
奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
 @_M1110_ /  @11misato10 
        
      



