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2025.10.19
New Release Digest Part 1
みさと:10月13日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜全24作品の中から、Part-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。はじめましてさん、Massage Attack(マッサージアタック)。
金子:字面で見ると「Massive Attack」みたいなんですけど、音楽性は全然違いますね(笑)。プロフィールによると、2024年に結成されたロックンロールバンド、作詞作曲をしたメンバーそれぞれがボーカルを取るスタイルで、多様な楽曲を披露し続けているということで、バンド名からしてユーモアが感じられるわけなんですけど、カブトムシのメンバーが参加してたり、錯乱前戦のメンバーが参加してたり、いろんなことをやってる人たちが集まって結成されたバンドみたいです。今回の曲のようなピアノが効いているロックンロールとなると、THE HIGH-LOWSとかを思い起こさせるような部分があり、THE ロックンロールバンドという感じでしたね。
みさと:"いなたい"という言葉を使いたくなるような魅力を持つバンドかなと感じました。こなれてほしくないし、きれいにまとまってほしくないし、素材そのままなんだけど、何度も聴いていくと、彼らのこだわりが見えてくる、そんなロックンロールバンドではないでしょうか。続いては、Tocago。
金子:ひさびさのリリースですけど、やっぱりいいですね、好きです。今週はGuibaのリリースもあって、ドラムの礒部くんはGuibaもやってるわけですけど、この前優河さんのライブを観たら、そこにペダルスティールで森飛鳥くんが参加していて、彼はTocagoのギタリストでもある。あと最近、君島大空くんのキャリアを振り返る取材をしたんですけど、君島くんってボーカルの沖ちづるさんのサポートでギターを弾いてた時代もあったらしくて。沖ちづるさんの名前は昔から知っていて、どこで見てたんだっけ?とずっと思ってたら、君島くんがギターを弾いてたんだと。そんなそれぞれの活動もありつつ、Tocagoとしては芯の通った活動をずっとやっているなと、改めて見えてくるような曲でした。
みさと:"芯が通っている表現"というのがすごく感じられる言葉の選択をされているなというのをずっと感じていました。印象的な単語がいくつかあるので、自分の中、そして相手の中の心を内省的に掘り下げていきたいときにすごくフィットする一曲なんじゃないかなと思います。そんなPart-1から紹介したいのは...なんと、はじめましてさんなんですね。
金子:この番組でtoeを紹介することになるとは。toeは今年結成25周年というメモリアルイヤーで、今月両国国技館でライブをやることが決まっていて、FRIENDSHIP.がそのライブのお手伝いをしていたりもするので、多分そういう関係性もあり、今回リリースすることになったのかなと。曲自体は去年出たアルバムの最後に入っていた曲にJonah Yanoが参加して、リメイクした曲ですね。
Jonah Yanoは広島生まれ、カナダ育ちのシンガーソングライターで、Clairo、Badbadnotgoodとか、世界的なアーティストともコラボレーションしている人。ギターの山㟢さんがJonah Yanoのファンで、知り合いを通じてオファーをして、今回コラボレーションが実現したということです。toeとシンガーのコラボは女性アーティストのケースが多いので、男性は割と珍しいんですけど、Jonah Yanoの声がスペシャルで、toeの哀愁にもぴったりな、素晴らしいコラボだったなと思います。
みさと:オリジナルよりもすごくスムースで柔らかな感覚になれますよね。より光が確かになってるような、そんな印象を受けました。原曲は闇から見た闇の向こうを感じたんですけど、Jonah Yanoが歌うことで光から闇の向こうを見てるような。同じ曲なのに向かい合って歌っているような絵がすごく見えてきて、ぜひ聴き比べて欲しいなと思います。このタイミングで、(toeの)THE FIRST TAKEもちょうど公開されて、すごい勢いで再生回数が伸びているので、このコラボにも気づいていただけると嬉しいです。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。ちくわテイスティング協会がはじめましてさんです。
金子:僕からすると結構ひさしぶりに聞く名前という感じなんですけど、もともと2009年に東京で結成されたバンド。プロフィールを読むと、ジャンベ、フルート、サックスなどを取り入れた多彩なアンサンブルと、即興演奏を軸にしたエネルギッシュなパフォーマンスが特徴の8人組バンドと。2009年結成とあるだけに、2010年代初頭に下北沢のライブハウスシーンでガツガツやってたイメージがあって、今回の作品も録音は2014年にしていて、諸事情でお蔵入りしていた7曲入り音源が、10年の時を経て日の目を見ることになってのリリースということらしいです。このサイケデリックなジャムバンド感というのが彼らの持ち味で、それはこの作品でも遺憾無く発揮されてたと思います。
みさと:ロックの文化に慣れ親しんでる人も、日本の文化に慣れ親しんでる人も、腹の底から刺激されちゃう、このジャム感というのはやっぱり経験あってこそだと思います。切り取るところによって全然違う楽曲に聴こえるんですけど、1曲通すとまとまってる。これはなかなかできないバランス感覚だし、エネルギーをもらいます。続いてはじめましてさんです。BOYLEKUWAI(ボイルクワイ)。
金子:こちらも2023年に結成されたバンドではあるんですけど、2000年代のインディシーンを追ってた人からすると、ちょっと懐かしいところがあるかもしれない。ala、asphalt frustration、Fed MUSIC、heとか、この辺のバンド名に「おっ?」となる人はおそらく同世代だと思うんですけど(笑)、2000年代のインディシーンでガンガン活躍してたバンドの元メンバーだったり、今も並行してやっているメンバーが集まって結成されたバンドなんですよね。音楽的にもthe band apart以降というか、ブラックミュージックをパンクロック的に解釈する流れが2000年代にあって、それを今に蘇らせているような雰囲気があるので、昔からこういうのが好きな人には間違いなく刺さるし、今の10代のリスナーにも逆に新鮮に刺さったりもするのかなと。
みさと:こちらもキャリアがあるからこそのサウンド感だなと思っていて、一つ一つの楽器の際立ちと、あとツインボーカルというところも魅力の一つだと思うので、結構沼ってしまうようなバンドなんじゃないかと思います。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:日向文さんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今作もいいですね。
金子:ひさしぶりのリリースですけど、今回は弾き語りのフォーキーな曲。「夏が終わったら」というタイトルなので、実際夏の終わりの曲なんですけど、ちょっと前にsucolaも夏の終わりの曲を出していて、10月に出る夏の終わりの曲って、今の時代に合ってる感じがしますよね。セルフライナーノーツをいただいていて、"寂しさっていうのは突然にやってきていつか終わるものではなく、ずっと抱きしめていくものなんだということを知った。この寂しさを誰かに託す事なく自分で持って生きていけることを幸せに思います"と。
みさと:素晴らしい。
金子:このセルフライナーノーツも非常に日向文節な感じしますよね。
みさと:すごくシンプルだからこそ言葉が余すことなく届いてくる曲で、日本は四季があって、季節に感情を投影させるのが昔から文化として、DNAとして共感度の高い表現方法だと思うんですけど、季節の変わり目に期待しちゃうような、自分ではコントロールできない感情の表現に秀でていて、共感度MAXな心に染み渡る1曲でした。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。こちら2組はじめましてさん。まずは、Ryo Hamamotoさん。
金子:はじめましてではあるんですが、個人的にはよく知っている方。キャリアは長くて、アナログフィッシュのサポートをずっとやっていたり、神谷洵平さんの盟友的な人でもあって、僕の中では勝手に日本のニール・ヤングみたいな人だと思ってます。フォーキーなんだけどオルタナティブなところもあって、非常にかっこいいシンガーソングライター。ギターも本当に素晴らしいんですけど、今回の曲に関してはリードギターでYOMOYAからヤマモトタツキも参加ということで、FRIENDSHIP.的な縁もある。FRIENDSHIP.からリリースしてくれて嬉しいです。
みさと:初めて聴かせていただいたんですけど、声が渋くて、説得力ある歌声を持ってらっしゃるなと思いました。いろんな活動もされていらっしゃるということで、その表現力が声の説得力にもつながっていらっしゃるのかなと。そして、経歴があるからゆえ、ご自身の内側と向き合ってきた時間も長いと思うので、それがすごく言葉に乗っていると思います。クリエイティブが素晴らしかったです。続いてもはじめましさんです。Nabi(ナビ)。
金子:プロフィールを読むと、"クリエイティブな欲求を縛られない、大人が子供で居られる場所。そのコンセプトを体現するように、韓国語で"蝶"を意味する「Nabi」(ナビ)という名を冠したバンド"ということです。ボーカルがYoung Keeという、ジェンダーレスな雰囲気が魅力的なシンガーソングライターで、彼のバンドプロジェクトと言っていい気がするんですけど、今回の曲も彼のソングライティング力がすごく生きていました。リリースカットピアノの音が印象的で、現代のボカロ以降のポップソングという感じもすごくしましたね。
みさと:最初にカセットテープのSEのようなサンプリング音から始まって、コンセプチュアルな感じがすごく素敵でしたし、Young KeeとベーシストのTomoyaさんによるバンド形態とのことで、ライブだと他の楽器はサポートになると想像しているんですけど、ボーカルとベースがフロントに来るタイミングだったり、途中で泣きのギターが入ったり、ライブでの表現も見えてくるような一曲になっていて、すごくライブが楽しみだなと思いました。歌詞には〈ああ どうしようもないことばかりでも もう愛したいよ このカラダ使い果たす前に ロストダンスを踊り続けようか〉という一節があって、終わりが始まりという表現。ここからの意思表示として、デビュー曲としてこの曲をリリースされたというのはすごく背中を押されるし、逆に背中を押したくなるような一曲になっています。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:minakoの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回アルバムリリースで、リードが「shape」という曲です。
金子:フィーチャリングのアルバムになっていて、各曲にゲストボーカルを迎えてるんですけど、「shape」にはJIGDRESSの山崎大樹くんが参加していると。僕、minakoさんの曲を聴くと、小林武史を連想するというか、もうちょっと言うと、小林武史と岩井俊二が組んだときの曲っぽい感じがするんです。
みさと:『スワロウテイル』ってこと(笑)?
金子:そうそう。『スワロウテイル』のCharaさんだったり、最近だとアイナ・ジ・エンドが出演した『キリエのうた』とか。あのテイストとminakoさんの曲が持ってるファンタジックなんだけどちょっと暗さもあるみたいな雰囲気がすごいハモるなと、個人的な感想として持っていて。だから、小林武史と岩井俊二がまた何かやることがあったら、minakoさんがいいんじゃないかな(笑)。
みさと:頼んだほうがいいよ〜!(笑)
金子:それぐらい魅力的で、今回はコラボレーションによってその魅力がさらに引き立てられてもいるなと感じました。
みさと:フィーチャリングアルバムというのがまず珍しいと思うんですよ。minakoさんはファンタジックでリアルではない世界観を描くことにすごく長けているし、minakoさん自身がすごく説得力のある声を持っていらっしゃるので、一つの作品として面白いなと。今回に関しては、そんなminakoさんが羨ましいと思うアーティストを招き、『JEALOUSY』というアルバムタイトルになっているわけなんですけど、そんな歌心を持ち合わせたアーティストのみんなと作り上げたアルバムになっていて、面白い活動をしながらも、物語としての側面とリアルとしての側面、両側面を味わえる作品になっているかと思います。
金子:minakoさん自身のパーソナルな部分がすごく反映されていて、それこそ短編映画とか、オムニバスドラマのような構成で、最後に全員参加の曲が来るという、その物語性も魅力だと思います。
番組の後半はomeme tentenがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10