SENSA

2025.10.01

EASTOKLAB「STELLA」──緻密な音響と情感が導く、星々を巡る新たな到達点

EASTOKLAB「STELLA」──緻密な音響と情感が導く、星々を巡る新たな到達点

名古屋を拠点に活動する4人組インディーロックバンドが、2作目のEP『STELLA』を完成させた。2024年に初のフルアルバム『泡のような光たち』をリリースし、直後にはボーカル&シンセの日置逸人が録音からミックス、マスタリングまでを担い、ベースの岡大樹がアートワークを手がけるオールDIY体制によって制作された『Your Morrow』を発表。過去最多のサンプルやシンセを用い、ミュージシャンとエンジニアの境界を越えた制作アプローチを打ち出した。そうした挑戦を経て辿り着いた『STELLA』は、バンドにとって初のコンセプト作品であり、キャリアの大きな節目を示す一枚となった。

本作は、ラテン語で「星」を意味するタイトルの通り、星空を統一のモチーフとして制作されている。録音は地元・一宮市に新設されたスタジオで行われ、制作の合間に見上げた夜空から着想を得た。広大で果てのない空、瞬く星の美しさと儚さを自身に投影するように書かれた歌詞は、彼らが追求してきたエレクトロとバンドサウンドの融合に必然性を与え、各曲を緩やかに結びつけている。

リード曲「Orion」は幾何学的なギターフレーズと透明感ある歌声が絡み合い、徐々に熱を帯びていく。やがて雷鳴のようなノイズギターが轟き、ディストーションの奔流に飲み込まれるドラマティックな展開は、冬の夜空を切り裂くオリオン座の光を想起させる。続く「Argo」は、ブリッジミュートを効かせた反復リフとハイトーンのボーカルが印象的。抑制された序盤から間奏で一気に高空へと突き抜ける構成は、神話の船アルゴ号が星々を目指して航海に乗り出す姿を思わせる。

一方「Mars」では流麗なギターフレーズとタイトなリズムが絡み合い、精緻な音響空間を構築する。中盤のリバーブの拡張は大気圏を突破するかのようで、異次元に吸い込まれるような没入感を与える。歌詞には赤錆びた大気の中で失われた存在を探す情景が描かれ、過去への憧憬と孤独感が響き合う。「Vega」はメランコリックな旋律と寄り添うギターが胸を打ち、静と動を往復する反復構成が強い訴求力を放つ。織女星の名にふさわしく、本作の中でもひときわ輝きを放つキラーチューンだ。そしてラストを飾る「Sirius」は、夜空で最も明るい恒星の名を冠し、静謐な輝きを放ちながら地球への帰還を告げる。淡々とした中に確かな余韻を残し、星々を巡る旅はここで幕を閉じる。

日置は「今この星空を切り取ったみたいな音を鳴らしたい」と語っている。エレクトロと生演奏をシームレスに交錯させながら、緻密なサウンドデザインと豊かな情感を高次元で両立させた『STELLA』は、EASTOKLABの歩みが星空に刻まれたかのような、鮮烈な到達点である。

文:黒田隆憲



RELEASE INFORMATION

STELLA_EASTOKLAB_JK_20250904.jpg
EASTOKLAB「STELLA」
2025年10月1日(水)
Format:Digital
Label:FRIENDSHIP.

Track:
1.Orion
2. Argo
3. Mars
4. Vega
5.Sirius

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LIVE INFORMATION

EASTOKLAB pre 2nd EP「STELLA」RELEASE PARTY"TOKYO STELLA"
2025年11月14日(金)
東京 下北沢THREE
OPEN18:45 / START19:15

EASTOKLAB
エスキベル
越雲龍馬

TICKET ¥2,900 (+1D)

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