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2025.07.27
New Release Digest Part 1
みさと:7月21日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全27作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。さあ、はじめましてさん。先週のポッドキャストで厚武さんが話をしていたのはこの方たちだったんですね!
金子:「FUJI ROCK FESTIVAL」のROOKIE A GO-GO出演者の話をして、そのときに「実はもう一組、FRIENDSHIP.から出るアーティストがいます」という話をしていたのですが、それがさらば帝国。
みさと:オンエア的に(さらば帝国の出演は)明日ですよね?
金子:このラジオが流れているときに僕は苗場にいると思います。
みさと:きっと明日の厚武さんはさらば帝国のライブを観ているはずですね。
金子:元気が残っていれば(笑)。
みさと:あはは(笑)。そんなさらば帝国ですが、プロフィールから。
金子:東京を拠点に活動する3ピースバンドなんですけど、面白いのがボーカルの前田さんが東京の新島の出身。その島で自主企画のライブをやってるんですけど、ライブハウスがないので、丘の上のレストランを借りて自分たちでステージを組んでライブをやったと。島の中から100人来て、島の外からも50人来たとか。
みさと:えっ!すごい集結力。
金子:今年も9月に新島でライブをやるみたいなんですけど、YouTubeでその場所でのライブ映像が上がってて、謎の盛り上がりを見せるわけなんですよ。その感じが面白い。「島」で言うと、MONO NO AWAREに八丈島出身のメンバーがいたりして、ちょっと音楽的にも通じるところある気がするし、これから島系のバンドが盛り上がるかも(笑)。
みさと:それこそ「島フェス」というのがあったり、島ならではの高揚感というか、いい意味で「断絶されている」からこそ、独自のクリエイティブや芸術性が際立つ、という考え方は一理あると思います。実際に新島に行ったことがあるんですけど、コンビニこそないものの、整備されていて観光にはまったく不便を感じないし、私みたいに観光で行く人と実際に島に住んでいる人では見えてるものが全く違うし、リアリティも含めてさらば帝国にしかできない楽曲作りをされてるんじゃないかと思います。続いて、Barbara。ミニアルバムリリースです。
金子:"Vacation Disco"をテーマに掲げているわけで、サマーバケーションにはピッタリな作品だと思います。今回からリズム隊の2人が正式メンバーとして加わって、新体制の4ピースとなってから初めてのミニアルバムリリースということで、バンドのアンサンブルがより強く押し出されていました。ご本人のコメントでも"ライブを重ねていく中で、「ロックやパンクの精神を持ちながら、ダンスポップを奏でること」がBarbaraらしさだと実感しています。今作は、そんな僕たちの今のモードを感じてもらえる作品になっているんじゃないかなと思います"ということで、まさにライブ映えする、バケーションにピッタリの作品になってますね。
みさと:ディスコやダンスミュージックにおいて要になるリズム隊が新メンバーでありながら、信頼できるミュージシャンであり親友でもあるということで、とてもしっくりきていて、納得の楽曲作りだったと思います。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:佐瀬悠輔さんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:アルバムがリリースになりました。おめでとうございます。
金子:素晴らしかったですね。
みさと:素晴らしい!
金子:トランペットの佐瀬悠輔さんを中心に、ベースがKing Gnuの新井和輝くんだったり、ボーカルでermhoiさんも参加していたり、素晴らしいメンバーによる演奏が楽しめる作品で、ジャズを軸としながらも、ジャンルを横断するようにさまざまな種類のアレンジ、曲調が込められていると。リード曲の「Cosmic string」に関しては"ストリング"という言葉が入っている通り、ギターがかなり全面に出ていて、実際ジャズとメタルの融合したサウンドを目指したと。ギターの小金丸慧さんって面白い人で、佐瀬さんと同じ洗足学園音楽大学のジャズコースを出てるんだけど、卒業後にメタルバンドやっていたり、今は在日ファンクにいたり、かなり面白いプレイヤーで。彼の歪んだギターをフィーチャーしつつ、トランペットが絡んだり、シンセが目立つパートもあったり、1曲の中でより幅広いアレンジを見せていて、かっこいい曲でした。
みさと:本当ですね。トランペット奏者のソロアルバムで聴いたことのない音が詰まっています。だけど、キーとなるところでは必ずトランペットが鳴っていて、本筋に導いてくれる存在感があったというのが感想なんですけど、どんなジャンルの音でもクロスオーバーさせてしまうセッション感覚はジャズマナーが見え隠れしてるし、さらにメタルマナーまで味わえると。素晴らしい完成度でした。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。しんきろうのまちがアルバムリリースです。
金子:前作から7年ぶりのCDリリースとなるアルバムとのことで、ついに完成という感じですね。しんきろうのまちはプロフィールに"良い曲を良い演奏と良いサウンドで届ける。一番シンプルでいて一番難しいことに真摯に向き合うロックバンド"とあって、本当にそういう曲を作り続けてきたバンドだと思うんですけど、その曲たちを並べた中で、「しんきろうのまち」という自分たちのバンドのアルバムなんだと思って、そのままセルフタイトルをつけたと。それだけの自信作だと言っていいと思うんですけど、本人たちが思う名盤として、サニーデイ・サービスの『サニーデイ・サービス』を挙げていて、「I try」はまさにサニーデイ・サービスに通じるようなスタンダード感のあるめちゃめちゃいい曲で。オルタナティブな日本のロックのいい部分を詰め合わせて、シンプルにいい演奏といい歌でまとめているこのバンドの良さがすごく出てるんじゃないかなと思います。
みさと:エモーショナルな質感だからこそ気がつける、掴むことのできる感情や音がたくさん詰まってたなと思っていて、"いい"って人それぞれで物差しは違うけど、しんきろうのまちにとっての、いい曲、いい演奏、いいサウンドとは何なのかが1枚に詰まっていると思います。続いて、ゆうさりと綿貫雪。
金子:今年のROOKIE A GO-GOにはゆうさりさんもバンド形態で出ていて、1日目が無事に終わっているはず。綿貫雪はゆうさりさんのライブのサポートをやっていたりもして、その流れでゆうさりさんの以前の曲を綿貫雪がリミックスしたことがあり、それを今回しっかり完成させてリリースに至っていると。凡庸な例えで申し訳ないけど、君島大空の曲を長谷川白紙がリミックスしているような、まさに今の時代の感性を感じさせる、かっこいい曲になっていたなと思います。
みさと:この楽曲がテクノ的になるんだというか、この2人にしかできない、魔改造という表現を(綿貫雪が)されていますけど、チャレンジ精神と楽曲が持つヒリヒリ感もありながら、仄暗い、闇深いところも残しながらも、BPMをこれだけ上げると、新しい楽曲に進化していくんだなと。2人にしかできない楽曲、コラボレーションだったなぁと味わわせてもらいました。
金子:でも、いい意味で驚かないというか。弾き語りの表現でもバンドの表現でもエレクトロニックな表現でも、すごくシームレスなのが今の時代の感性だなという感じもしました。
みさと:そんなPart-2からどうしましょう?
金子:Ålborgの新曲を紹介しようと思います。Ålborgも今年「FUJI ROCK FESTIVAL」に出ておりまして、2日目のGypsy Avalonに出ていたんですけど、この「Car」も演奏されていたのかな?夏の野外が似合いますよね。
みさと:絶対いいですね〜。
金子:Gypsy Avalonって割と小じんまりとしたステージではあるので、Ålborgのいい意味での素朴さがよく出てるんじゃないかな。この曲は「Car」というタイトルで、「車が欲しい」というシンプルなストーリーもありつつ、"ただの移動手段というよりもそっと寄り添ってくれる相棒のような存在が欲しいという気持ちに近い。小さな自由と自分らしくいられる場所を探す気持ちを歌にしました" ということで、Ålborgらしい精神性を綴っている、いい曲でした。
みさと:Ålborgって自分自身が主役になれる曲を作ってくれるなぁと感じていて。(戦隊モノの)赤レンジャーとかセーラームーンとかそういうのじゃなくて、日常を過ごすどこにでもいそうな私を主人公にしてくれる、自分でハンドルを切って、好きなところに好きなスピードで行っていいんだよと、主人公感をいつも与えてくれる楽曲作りをするバンドだなと思っていて。Gypsy Avalonの素朴な雰囲気をどう楽しんでもいいよという、「FUJI ROCK FESTIVAL」の懐の広さとマッチするライブをされたんだろうなぁと想像が膨らみますね。
金子:今回のジャケットには初めてメンバーが登場していて、5月のイギリスツアーで撮影された写真だそうなので、そこにも注目していただければと思います。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。まずはSPENSR。
金子:前作「Ain't Real!」からニューモードのSPENSRが始まっていて、今回もYouTubeで作曲配信をして、ビートメーカーとしてのSPENSRがより強く出た曲になっていました。さらに今回はフレンチポップの要素も取り入れているということで、またちょっと違う側面も見せてくれていて。Part-1で紹介したBarbaraとも相性が良さそうですね。
みさと:ビートメーカーとしてトラックの美しさを味わいつつも、シームレスな歌唱が楽曲自体の空気感をより洗練させているが印象もあって、強みがどんどん増えている、SPENSRの伸び代期間を味わいたいですよね。続いて、folk enough。はじめましてなんですが、福岡のバンドです。
金子:folk enoughは1990年代から活躍していて、インディ、アンダーグラウンドのオルタナシーンの中ではカリスマ的な立ち位置のバンドです。1990年代のオルタナ、ブルースロックを軸にしつつ、幅広くいろんな曲調を持っていて、今週はaldo van eyckがゲストで来てくれますけど、ボーカルの尾上くんがfolk enoughを師匠と崇めているらしくて。
みさと:納得。
金子:トレンドうんぬんというより、"かっこいいと思うものを突き詰める"みたいな、その精神性は通じるところがあるような気がしますよね。今回は6年ぶりの新曲で、しかも録音が那珂川の山奥の民家に新設されたmnt/studio(マウントスタジオ)で録っていると。
みさと:うちのチームのエスオ師匠は福岡出身なんですけど、福岡に住んでいた人からしても、すごい山の方とおっしゃっていたんですけど、とんでもないとこにあるんですよね。
金子:ホームページを調べてみたら、マジで自然。マジ山。
みさと:一軒しかないような場所でしたね。こういった場所があるからこそ、自分たちの音楽性をとことん追求できるんだと思います。6年ぶりの新曲になりますので、ぜひ聴き込んでみてください。ではPart-3はどうしましょう?福岡といえばの...?
金子:小田奈都美さんの新曲を紹介しようと思います。『愛をもって』というタイトルのEPで、レコーディングが伊豆スタジオ、エンジニアが濱野泰政さん、ギターがGateballersの濱野夏椰くんということで、FRIENDSHIP.的にはどうしてもカネコアヤノさんの名前を挙げちゃうんだけど、作品を重ねるごとに小田さんらしさがいろんなところから見えてきていて。リード曲の「天使のささやき」に関しては、ちょっとガーリーな雰囲気がありつつ、歌も含めて一発録りということで、ライブやレコーディングを重ねてきた今だからこそできることだと思うし、他にはアンビエントっぽい音像の曲もあったり、多面的な小田さんの魅力がEPのサイズでしっかり収められた作品になったんじゃないかなと思います。
みさと:小田さんが表現したいことが詰まったEPだと強く感じました。透明感のある声質や、女性らしい柔らかさが魅力だと思うので、その声でフォークを歌うこと自体に、他にはないオリジナリティが込められているのではないでしょうか。
番組の後半はaldo van eyckがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10