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2025.07.20

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Helsinki Lambda Club・望月起市・Ivy to Fraudulent Gameほか全26作品 -2025.7.19-
New Release Digest Part 1
みさと:7月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全26作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。今週ははじめましてさんがたくさんいらっしゃいます。まずはカフェインジャンキー。
金子:カフェインジャンキーは2024年4月に活動開始。プロフィールには載ってないですけど、多分ソロアーティストっぽいです。「週刊連載」をテーマに毎週各種SNSで新曲を「読み切り」として発表して、好評だったものを「連載」としてフルバージョンでリリースすると。こういうリリースの仕方も今っぽいですよね。
みさと:本当ですね。アツムワンダフルさんの一服trackとちょっと似てますね。
金子:TikTokが広がってから、サビだけ出して、好評だったものをフルにするやり方はだんだん普通のものになってきて。でもそれを読み切りや連載という形でアウトプットするのは面白い。こういう現代的な感覚は楽曲自体にも表れていて、ボカロを通過した現代のポップスという感じで、跳ねる可能性を感じました。
みさと:歌声に関しては水曜日のカンパネラの詩羽ちゃんにちょっと通じるところあるなと思って聴かせてもらったんですけど。歌い回しとか語感の良さとか、トラックはソリッド感あるのに実はポップ。メインストリームで勝負できる完成度の高い楽曲作りをされるんだなと。コンセプトも含めてとても気になるアーティストです。続いて、Limited Express (has gone?)。EPリリースおめでとうございます。
金子:Limited Express (has gone?)は今年からドラマーが変わって、新体制での初EP。タイトルトラックの「CIEN ARAÑAS」はスペイン語のリリックがメインになっているということで、YUKARIさんが別でやってるニーハオ!!!!の曲がスペインのシンガーソングライター・ROSALÍAのプレイリストでピックアップされたみたいな話もありましたけど、だからスペイン語で作ってみちゃう?みたいなノリもあったりするのかな。でも日本語も一節入っていて、〈グダグダやってる場合じゃない〉と歌ってたり、このパンク感はやっぱりLimited Express (has gone?)ならではだし、今回もカッコ良かったですね。
みさと:苛立ちをガソリンにして、カーチェイスを楽しんでるような疾走感があって、イライラというある種のネガティブワードが全くネガティブに聞こえてこない。それさえコントロールしてしまうほどの勢いのあるEPになってたかと思います。「夏、暑いんだよ!」みたいなときにも聴いてもらって(笑)。憂さ晴らししたいときに聴いて、とっても楽しい気持ちになれると思います。さあ、そんなPart-1からどうしましょう。
金子:Helsinki Lambda Clubの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回コラボですね。
金子:今回はトリプルファイヤーの吉田くんをフィーチャリングで迎えての新曲。Helsinki Lambda Clubって時々コラボをするんだけど、選ぶ人がおもろいですよね。
みさと:おもろい〜。
金子:前だと柴田聡子さんとコラボしたり。
みさと:よかった~。Wez Atlasくんともやってるし。
金子:いつも「そこ行く?いいよね!」という音楽好き感が伝わってきて、今回のトリプルファイヤーの吉田くんも「なるほど!」な組み合わせで。曲自体もトリプルファイヤーとちょっとリンクするような、パーカッションを用いたファンキーなアレンジの曲になっていて、すごくハマってるし、吉田くんの歌い方というかフローは独特で、言葉選びがめちゃめちゃ面白くて。この曲に関しては「内輪が面白いと思う感覚とそれを俯瞰で見る人の冷めた視線」という構図をベースにしていて、どちらをいいとするわけでもなく、そのどちらも並べながら、でも最終的には"俺たち最高だぜ""スーパーナイスだぜ"とポジティブな方向に持っていくような感じ。緩いけど、前向きになるような雰囲気もあるという、この感じはすごく良かったですね。
みさと:誰が聴いてもスーパーナイスで、このコラボって本当ハイパーナイスだよねと、内輪じゃない人たちもちょっと輪に加わりたくなるような、温かい気持ちになれる、ナイスと言いたくなる一曲です。みなさん、声を上げながら聴いてみてください。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。ODD Foot Worksはコンスタントにリリースしております。
金子:アルバムに向けて少しずつ新曲を聴かせてもらっている感じですが、今回の曲はビート感がちょっとレゲトンの感じがするので、まさに夏に聴きたいですね。プロデュースは有元キイチくんで、あえて手打ちで打ち込んだ、歪ながらも疾走感があるビートが特徴。Pecoriくんのラップは「1秒で思いついた楽曲タイトルにならって、一節ずつ衝動でフリースタイルで埋めていった」ということで、かなり遊び心が感じられるリリックになっていたり、そこも含めて夏の一曲という感じがしました。
みさと:トラックもPecoriの声も攻めているのに、日常生活にある誰もが知っている単語が出てくるので、一気に自分の曲として引き寄せやすいというのがODD Foot Worksの魅力の一つでもあるなと。新しい夏のアンセムができましたね。続いてははじめましてです。colormal(カラーマル)、アルバムリリースです。
金子:彼らは大阪を中心に活動する4人組。もともと2015年にボーカル・ギターのイエナガの宅録ソロユニットとして活動を開始して、2021年から現在のバンド体制になっていると。このアルバムのリリース元がOaikoという、この前yeti let you noticeのアルバムも出したレーベルで。レーベル自体はコロナ禍以降にできた新しいレーベルなんだけど、若手だけではなく、少し上の世代も含めたいろんなオルタナ系のバンドをリリースしていて、すごく勢いがあるので、Oaikoから出すというのも一つトピックですね。
今回はアルバムなんですけど、この「獣たち」って曲を聴いて、個人的にはすごいGRAPEVINE感あるなと思って。GRAPEVINEも長く日本のバンドシーンのトップにいる人たちですけど、すごく独特なバンドなんですよね。今年もアルバム出てて、これは褒め言葉なんですけど、めっちゃ変なアルバムで。colormalもそれに通じる、褒め言葉の意味での変さがあるし、でもちゃんとポップさもある。すごくいいバンドだなと思いました。
みさと:アルバムになってますので、ぜひ通して聴いてみてください。さあ、そんなPart-2からどうしましょう?
金子:望月起市さんの新曲を紹介しようと思います。
みさと:こちらもアルバムリリースです。
金子:さっきも話したyeti let you noticeのアルバムが出たときに、僕ポッドキャストで望月起市さんの新曲も一緒に紹介したことがあって。でもそのとき望月さんのバンドにyeti let you noticeのギターの秋好くんが参加してることを把握してなくて、それを後から知って、ここが近しいと感じるのはそりゃそうかと納得したんですよね。
みさと:そういうことなんだ。「望月さんの活動を初期から支えるバンドメンバーでもある」と資料でいただいてますね。
金子:今回はそういうバンドメンバーと一緒にがっつり録音をしていて、秋好くん以外のベースとドラムの2人はジャズのシーンと関わりが深かったり、そういうバランスも面白いんですよね。
みさと:面白い。
金子:前に紹介したときに「1990年代のSyrup16gやBURGER NUDSと、今の君島大空くんをつなぐような、ミッシングリンクになり得る存在かもしれない」という話をしたと思うんですが、今回のアルバムを通して聴いても、その印象はより強まって。今回のアルバムにはゲストでシンガーソングライターの高井息吹さんも参加してて、高井息吹さんのバンドは君島くんがギターを弾いてたり、ベースはKing Gnuの新井和輝くんだったり、やっぱりそことも通じるものがあると思ったし、普遍性と時代性を兼ね備えた、素晴らしい作品だったなと思います。
みさと:アルバムは『すべて光の為に』というタイトルなんですけど、闇は光の中で気づくもので、光も闇を知らなければ求めないということのような表現でもあって、サウンドと歌声の対比がまさに光と闇というか、コントラストが美しい一曲。一人でゆっくり聴いてほしいアルバムです。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェスト Part-3でした。リリースおめでとうございます。Gialloはちょっとひさしぶりですね。
金子:今年に入ってからは初めてのリリース。Part-3は比較的ストレートなロックバンドが並んでいた印象があって、その辺を紹介しようかなと思いつつ、Gialloに関しては...ストレートにもいろいろあって(笑)。
みさと:ストレートの多様性ね。しかも怪人だからね(笑)。
金子:2ピースバンドで、英語詞で、怪人で(笑)。これをストレートと言っていいのかわからないけど、でもロックのプリミティブな衝動を感じさせるという点ではある意味ストレートさがあるし、今回の曲は途中で日本語詞になって、メロディアスになるパートもあったりして。ロックのプリミティブな衝動を保ちつつ、サウンドのかっこよさがありつつ、聴き手を選ばない懐の広さもあって、彼らの曲の中でもひとつ先に抜けていくような一曲になるんじゃないかなと期待させる仕上がりでした。
みさと:Gialloに関しては愛を込めて、いつも「怖い」という話をしてるんですけど(笑)、(今回も)確かに怖いんだけど、ちょっと怖さの質感が変わったなと感じていて。今回の曲に関しては仲間であったり、自分たちの居場所みたいなところがテーマになっているということで、外見で判断されない空間を作ることを目的とする、Gialloマインドがサウンド、そして歌詞にも表れている一曲かと。いらっしゃい〜とドアが開かれているような一曲になっているかと思います。続いて、Mercy Woodpeckerです。
金子:彼らはJロックのシーンの中でもストレートに活動している印象のバンドで、毎回本当にキャッチーなメロディーを書くバンドなので、いつブレイクしてもおかしくないと思いますけど、今回の曲もメロディーがすごく入ってくる一曲。なおかつご本人のコメントで、"ダークでジャキジャキしたギターが好きな人、お待たせといった感じの曲である"と書いていて。
みさと:いいね〜。
金子:最近は結構ポップで明るめな曲調も多かったりするけど、今回に関してはジャキジャキしたギターの、ちょっと暗い側面もあるかっこいい曲。こういう曲が好きな人も間違いなく多いと思うし、一番最後で急にビートが変わって、ヒップホップっぽい展開になる遊び心もあったりして、いい曲でしたね。
みさと:"僕と同じように葛藤している人が暗いこの曲の中で何か少しでもポジティブなものを感じてくれたらいいな"とセルフライナーをいただいています。タイトルは「DEVIL」、闇の象徴というか暗い気持ちの象徴にはなっているんだけど、それをぶっ壊したくなるような衝動がジャキジャキの音に表れていたり、サウンドとテーマがすごく密接につながって、今のMercy Woodpeckerにしか作れない曲調になっているかと思います。結構ライブ映えしそうですよね。ライブハウスで聴きたいな。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:Ivy to Fraudulent Gameの新曲を紹介します。
みさと:こちらもライブで聴きたいですよね。
金子:そうですね。Mercy Woodpeckerと一緒にやってもよさそう。
みさと:また対バン作っちゃって〜(笑)。
金子:Ivy to Fraudulent Gameもコンスタントに新曲を出してくれてるんですけど、今回の曲はデジタルなビートが印象的で、すごく今っぽいなって感じました。去年はCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」でジャージー・クラブが注目されたし、今年に入ってからも米津玄師さんの「Plazma」と「BOW AND ARROW」がクラブミュージック寄りで、BPMも速め。海外だと去年はCharli XCXのアルバムもあったし、日本のポップスやロックでもクラブミュージックっぽい要素が増えてる気がしてて。そういう流れの中で、Ivy to Fraudulent Gameの新曲もちゃんとそのトレンドに乗ってる感じがしました。でも、ただ流行に乗っかっただけじゃなくて、ちゃんと自分たちの音として出せてるのがすごいところ。メンバーの福島くんはドラマーでもあるし、曲も書いてるし、エンジニアとしても活動してるんですよね。さっき言ったyeti let you noticeのアルバムにもエンジニアとして関わってて、ビートミュージックの要素を取り入れてるので、そういう作品に関わってるからこそ、今回みたいなデジタル強めの曲も自然に、高いクオリティで作れるんだろうなと思いました。やっぱり長く活動してきたバンドだからこそできることだなと感じましたね。
みさと:Ivy to Fraudulent Gameのもともとの魅力である歌メロの良さだったりとかサウンド感はそのままに、デジタルでしか出せない質感もちゃんと感じられるようなバランス感覚って、そこに秘密があったわけなんですね。ラストがやっぱりライブハウスで聴きたいなと思わせる締めくくりになっているので、ぜひ曲を丸々聴いてもらって、予習した状態でライブハウスに向かっていただければなと思います。
番組の後半はaldo van eyckがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10