SENSA

2025.05.18

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!水野蒼生・zuni・TAMIWほか全23作品 -2025.5.17-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!水野蒼生・zuni・TAMIWほか全23作品 -2025.5.17-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:5月12日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜の中からまずはPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。さてさてFUNKISTがアルバムです。おめでとうございます。

金子:ついにアルバムという感じですね。今年は25周年イヤーで8年ぶりのアルバムを2枚同時リリース。『Pride of Lions』という共通のタイトルが付いていて、サブタイトル的に1枚は「Beat」、もう1枚は「Heart」と付いています。この言葉通り、「Beat」の方はフィジカルに作用するような、ライブ映えするような曲が揃っていて、「Heart」の方は心に染み入るような、心に作用するような曲たちが揃っていて、まさに8年の歩みが20曲に詰め込まれた濃密な作品になっていました。



みさと:このアルバムで初公開となるのが「流れ星」という曲なんですが、"誰に笑われても指さされても、俺はこれが流れ星だと信じる"とセルフライナーノーツをいただいていて。流れ星って「あったよ」って言ったときには空にはなくて、そこにあったことを証明しようがないじゃないですか。でも、自分の見間違いを疑うのではなく、本当にそこに流れ星があったと信じること、そしてその証明をし続ける心の強さというか、指針みたいなものがこの(アルバムの)1曲目に込められていたかなと思います。素晴らしい幕開けですね。ぜひアルバム2枚通して聴いてほしいです。続いて、水野蒼生さん。EPです。

金子:FRIENDSHIP.からは初めてのリリースですね。水野さんは作曲家で指揮者、さらにはクラシカルDJというクラシック音楽専門のDJをやっている方で、個人的にはROTH BART BARONのイベントで実際にDJをする姿を見ていたりするんですけど、非常に面白いですよね。その一方では、葉加瀬太郎さんの専属指揮者としてオーケストラツアーに帯同したり、小室哲也さんのオーケストラツアーでアレンジをしたりとか、本当に幅広く活動されている。
今回の曲は「Wrong Place Wrong Moment」というタイトルで、これに関しては、あるアーティストのドキュメンタリー映画を見たときに、その中で"He was in the right place at the right moment"、「正しいタイミングで正しい場所にいて、だから成功した」みたいな話があったときに、自分はむしろ"I'm in wrong place at wrong moment."、間違ったタイミングで間違った場所にいるなと感じたと。つまりはクラシックという出自を持ちながら、いろんなところにいて、それはある意味で「間違ったところ」なのかもしれないけど、でもそれこそが自分のやり方で、それが自分のオリジナルなんだ、と思ったということだと思います。そこで出てくるのがKhamai Leonの尾崎くん。彼もまたクラシックを出自に持っているんだけど、今はバンドでラップをやっていたりする。その2人の共感がこの1曲を生んだという、この物語がバッチリなので、あとはもう「とにかく曲を聴いてください」と言いたくなっちゃうような曲ですね(笑)。

みさと:尾崎くんのすべての言葉がしっかり入ってくる、それは水野さんとのコラボレーションだからこそと思える、そんな完成度。<何者にでもなれるこの世界で 何者でもないことを歌おう>。このリリックをこの2人が歌うからこそ、グッと来てしまうというか。厚武さんが説明してくれたバックグラウンドを知った上で、ぜひ一度二度三度聴いてほしい1曲でした。



New Release Digest Part 2


みさと:新譜ダイジェストPart-2、はじめましてさんです。cocuri

金子:cocuriは植田章敬さんによるソロプロジェクト。「懐かしくも新しい独自のソングライティングでジャンルの垣根を超えたシーンを展開している」ということで、キャリアがある方なんですけど、今回の「Soil & Flower」に関しては、軽快なブレイクビーツと植田さんのソウルフルな歌声が心地いい1曲。
「Soil & Flower」というタイトルに関しては、最近の若者が生活の中で花になること、何者かになったり成功を収めたりすることを意識して人生を送っている人が多い中、「僕はみんなの持っている花を見たいなと思ったし、その花を咲かせるための土でありたいとも思った」という気持ちが込められているということで、やっぱりキャリアを重ねてきたからこその視点ですよね。あと「Soil & Flower」のnaked mixというのも同時にリリースされていて、一番最初にレコーディング・ミックスをしたバージョンで、シンプルだからこその良さがあるというところで出してるみたいなんですけど、ある意味naked mixがこの「Soil & Flower」の土になっているというか、その2曲を出すことによってメッセージもより重層的に伝わるような感じもしました。



みさと:この曲を水野さんと尾崎くんに聴いてもらいたいですよね。「何者かになりたい」というテーマ性は同じでありつつも、cocuriは花ではなくて、土になりたいと。やっぱり土があるからこそ花が咲くんだという点では、水野さんや尾崎くんが聴くとどういう風に感じるのかという面白さもあると思うし、もがいている人にとってはこういう存在が僕たちの近くにいるのかも、と気づくきっかけになれるような曲だと思う。花を咲かすのは1人ではできないということ、人生の不思議に気がつかせてくれるような1曲であり、植田さんの人柄が素晴らしいですね。続いて、ayutthaya。EPです。



金子:プロフィールには書いていなかったんですけど、ayutthayaは2015年結成なので、今年で10周年のタイミング。「10周年!」みたいに打ち出すタイプでもなさそうだから、あえて書いてないのかなと思うけど、とはいえそんな節目のタイミングにEPが出るというのは、彼女たちにとっては大きな意味があるかなと思います。
今回ももちろんもともと持っているオルタナティブな音楽性はベーシックにありつつ、もはやオルタナという言葉をわざわざ使わなくてもいいような、J-POPの1つになってるぐらいの突き抜け感があって、「Get Out」は非常にスケール感がありました。セルフライナーを読むと、今回のEPは宇宙みたいなイメージがあったみたいなんですけど、そのイメージともリンクするし、本当にボーカルも伸びやかで、Superflyとかを連想するぐらい、ayutthayaとしてのポップが形作られているなと改めて感じました。



みさと:突き抜けるサウンドは素晴らしいし、J-POPとして、パワーのある女性ボーカリストという印象もありましたよね。もやもやしているものをジャジャーンと突き破って、どこまでも、大気圏の外までもという雰囲気が歌詞だけではなく、サウンドからもちゃんと伝わるアーティストだと思います。すごく背中を押される1曲でした。そんなPart-2からどうしましょう。

金子zuniの新曲を紹介しようと思います。

みさと:zuniさん、今回EPです。

金子:zuniさんはあらかじめ決められた恋人たちへのDUB PAでもある石本聡さんをプロデューサーに迎えて楽曲を発表してきていて、それらをまとめたEPができたと。zuniさんと石本さんは年齢的には離れているんだけど、2人ともThe BeatlesとかThe Beach Boysといったポップスが好きで、そこでのシンクロがありつつ、今回は石本さんの提案で、これまでの楽曲は音数が多かったのに対して、あえて削ってシンプルな音像にして、その代わりzuniさんの最大の武器であるコーラス・ハーモニーをふんだんに入れていると。
まさにThe Beatles、The Beach Boys的なコーラス・ハーモニーがふんだんに取り入れられていたし、「マーマレードボーイ」に関しては、ドラムンベースが使われていて。石本さんは新しい音楽も好きで、NewJeansも大好きという話があったので、まさにという感じがありつつ、EP全体でいうと、「Be myself」というダブの曲もあったりして、やっぱりこの2人だからこそできた作品であり、石本さんのプロデュースによって、zuniさんの持っているキュートさがさらにプッシュアップされたような印象を受けました。

みさと:「マーマレードボーイ」は少女漫画の『ママレード・ボーイ』からインスパイアを受けたと伺っていて、『ママレード・ボーイ』って名作なんですよ!

金子:名前は知ってるけど、読んだことないです。

みさと:本当ですか?『りぼん』で連載してたの。世代なので読んでたんですけど、『ママレード・ボーイ』って今でも少女漫画を語る上で欠かせない名作で、Netflixでアニメも観れたりするので、現代で鳴ってそうな音質であり、少女漫画が持つキラキラポップな雰囲気と、ちょっと背伸びをしているような少女時代の恋愛感がすごい表現されてたかなと思います。好き。聴きましょう。



New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。invisible design、今回アルバムリリースです。

金子Shimon Hoshinoさんによる「目に見えない音と香り」をテーマに活動しているinvisible designですけど、今回の作品は福岡の「買える化石博物館」からの正式オファーを受け、「静かに眠る化石博物館を舞台に、記憶と想像が交錯する夜の旅を描いた」ということです。

みさと:行きたい!



金子:福岡の博物館からオファーがあったということで、この番組が少なからず貢献してたりするかな?

みさと:だといいなぁ!

金子:せっかくだから、福岡に住んでらっしゃる方はぜひ行ってみていただきたいですね。

みさと:行かれた方はぜひ「#フレンドシップレディオ」で感想をお待ちしてます。感性のみで音を捉えるという意味では、恐竜の鳴き声とか環境音とか、そういった直接的な演出は入ってない、あえて排除したと伺っていて、まさにテーマ性とアウトプットがイコールで繋がった1曲1曲だったかと思います。今回はアンバーが使われているんですが、アンバーってウッディな雰囲気がありつつ、ほんのり甘さも感じられる香りなんですよね。
恐竜が生きていた時代の樹木や地層、化石といったものをイメージしたとき、アンバーの香りはそうした世界観にぴったりフィットすると思います。それにアンバーにはどこかミステリアスな空気感もあって、その甘さが幻想的なイメージ、まるで幻影を見ているような感覚を呼び起こすので、すごくフィットしてそう。一方で、シトラスは柑橘の爽やかさが印象的ですよね。化石ってかつてキラキラと輝いていた生き物たちが生き生きとしていた時代を現代に語りかけてくれる存在でもあると思うんです。たぶんそのときの瑞々しさみたいなものも想像してるのかなとか。私の想像にはなるんですけど、ぜひレシピを見た上で足を運んでいただきたいですね。続いて、ベルマインツがEPです。

金子:今週はEPが多いですね。今回の作品は『光あるところ』というタイトルになっていて、ボーカル/ギターの盆丸さんのコメントによると、"この数年間を遡るように並べられた5曲のEPは、自分が自分であることを確かめるために作られた、かなり個人的な作品だと言えます。前を向いて生きていくための様々な希望への足がけとして、光を歌います"とのこと。「この数年」というと、もちろんコロナ禍もあった中で、自分というものを確かめていたのが感じられるし、『光あるところ』というタイトルがついているように、光について歌われてはいるんだけど、でも煌びやかでキラキラした作品かというと、またちょっとニュアンスは違って。「様々な希望への足がけ」という言葉もあったように、そこへ向かっていくための寄り所となるような、ある意味落ち着きのある作品にもなっていて、「スロウ」に関しては特にその雰囲気が伝わってきて、まさに寄り添ってくれるような楽曲だと感じました。

みさと:ここまでシンプルな曲は一音一音、一語一語にスポットが当たってしまうがゆえに、作っていて恐ろしいというか、緊張感のある制作になるんじゃないかなと思うんですけど、『光あるところ』という軸はぶれずに、どこにスポットが当たっても、自信を持って世に出せる1曲だったんじゃないかと思います。



金子:まあでもやっぱりベルマインツはシンプルにメロがめちゃいいですよね。

みさと:いいよね〜。そんなPart-3からはどうしましょう?

金子TAMIWの新曲を紹介しようと思います。約2年ぶりのアルバムが完成しました。この間にはベーシストの交代があって、新体制になってからは初めてのアルバム。新体制になったからなのか、生演奏をしっかり聴かせる作品になっていて、これまでのサンプリング的な要素もあるとは思うんだけど、結構ロック寄りなイメージがしました。トリップホップとかヒップホップのニュアンスももちろんあるんだけど、作品全体としては非常にエネルギッシュで、2曲目の「Anthem of Sutra」はその象徴のような気がします。歪んだベースが頭からずっと鳴っていて、「Anthem of Sutra」というタイトルだから、Radioheadの「The National Anthem」だったり、あとはMassive Attackの「Angel」とか、そういう彼女たちのルーツを思わせるような一曲で、後半にゴスペルのようなコーラスが入ってくるのも印象的。ちなみに、「Sutra」の意味をご存知だったりしますか?

みさと:ヨガ的には経典とか、そんな意味がございます。

金子:そうそう。TAMIWはお寺を改造したスタジオを使っている人たちで、お経のアンセムというのはまさに自分たちを表したタイトルでもある気がするので、その意味でも象徴的な1曲かなと思います。



みさと:お世辞にも間口が広い曲だとは言えないですけど、広くて浅いではなく、狭くて深いことがこのバンドの価値だし、深くて濃いファンができるなと思いました。その深さがまさに経典。1ページ1ページめくっていくごとに、どんどん謎は深まるというか。きっと悟りというか、深みにはまっていくと思うので、深さがすごく感じられる1曲だったと思います。あと1分40秒のイントロって、時代に対してすごいカウンターだと思うんだけど、インディペンデントだからこその独自の芸術、音楽を追求したアルバムだったんじゃないかと思います。



番組の後半は烏兎 -utoがゲストで登場!



RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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