SENSA

2025.05.11

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!The fin.・Tyrkouaz・春ねむりほか全19作品 -2025.5.10-

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!The fin.・Tyrkouaz・春ねむりほか全19作品 -2025.5.10-

カルチャーの前線で活躍するキュレーター達が厳選した音楽を配信するサービス FRIENDSHIP.の新譜を紹介。 キュレーターの金子厚武とナビゲーターの奥宮みさとによるFM福岡のラジオ番組「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」から、今週オンエアした内容を掲載!FRIENDSHIP.がリリースした最新の音楽をいち早くチェックしよう!

New Release Digest Part 1


みさと:5月5日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全19作品の中からPart-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。さあ、はじめましてさん。FUNNY THINK

金子:彼らは2013年に岩手県大船渡市出身のメンバーを中心に結成された3ピースのロックバンド。 サウンドもメッセージも非常にストレートで、今時、逆に珍しいぐらいかなりストレートに音楽性が伝わってくるバンドだなと感じました。資料に「中学生時代にHi-STANDARDに影響を受けて結成された」と書いてあって、確かにという感じがするし、もうちょっと調べてみたら、中学生のときに教育実習に来た先生にハイスタを教えてもらったらしくて。

みさと:人生何があるかわからないですね。

金子:すごくパンクなんだけど、でも実直というか、その感じがFUNNY THINKの音楽性ともすごく合うエピソードだなって感じがして、納得しちゃいました。



みさと:3ピースのロックバンドにしかできないことってあるな、と改めて感じさせてもらった1曲だったし、シンプルだからこそオーディエンスが声を上げることで完成する、"あなたのための曲です"というような1曲だったと思います。続いて、Haruna

金子:Harunaさんは今年最初の新曲なんですけど、これは面白かったですね。

みさと:好き!すごくよかった。

金子:トラックが独特で、アフロビートを基調にしつつ、ちょっと音数を絞ったビートになってて、そこにストリングスやハープが鳴っていて、この組み合わせがまず面白いなと思いました。歌詞は「心を動かす」ということがテーマになっていて、やっぱり最後のライン、〈真っ当な人生を歩んで 真っ当な人間になって 真っ当な愛を探して それでいいの?〉と繰り返されるのがすごく印象的で。誰かが決めた正しさ、尺度に必ずしものらなくてもいいんだよ、あなたはあなたでいいんだよという、まさに心を動かすメッセージがある。「あなたはあなたでいい」というメッセージとトラックの独自性がちゃんとリンクしてるし、すごくいい曲でしたね。



みさと:「(アレンジャーの)SEIKIくんに私をイメージしたトラックを作ってほしいとお願いした」ことからこの曲がスタートしたそうで、初めてこのトラックを聴いたときに、「私が嫌いな季節である春、その生ぬるい空気や鮮やかな色彩に心が揺れて、苦しくなったり切なくなったりする感覚を、今だからこそ書けるリアルな気持ちとともに、メロディーと歌詞に込めた」と伺っています。艶やかな春をイメージさせるトラックではあるんですけど、ハープとストリングスが持つ音の幻影みたいな感覚であったり、美しさの中に閉じ込めた嘘や真実、ゼロ距離の感情が悶えている、素晴らしいアウトプットだったと思います。大好きな曲です。そんなPart-1からどうしましょう?

金子The fin.の新曲を紹介しようと思います。

みさと:我らがThe fin.新曲です!待ってました。

金子:The fin.は今月UKの『The Great Escape』、去年だとHelsinki Lambda Clubとかカネコアヤノさんが出ていたフェスに出ることが決まっていて、なおかつロンドンでもショーを行うんですけど、それはShe Her Her Hersも一緒で。She Her Her Hersも『The Great Escape』に出るし、(2組でやる)ロンドンのショーはすぐにソールドアウトして、追加公演も決まってる状況で。
The fin.はUKを拠点に活動していた時期もあるぐらいだからファンベースがあるし、盟友であるShe Her Her Hersも一緒にやることによって、(She Her Her Hersは)中国で大人気だけど、さらにUKやヨーロッパでも広がるきっかけになるかもしれません。で、今回の新曲もThe fin.の今のモードがはっきりと表れていて、フルートやサックスをフィーチャーしつつ、ジャズやソウルの色合いが強い楽曲になっていて、この感じは今のロンドンでやったらすごく受けそうな感じがします。ビートに関してはちゃんとクラブミュージック的な色合いもあるし、そこにこのジャズやソウルの印象が加わって、UKで、ロンドンでどう受けるのか楽しみですね。



みさと:数年前のThe fin.のイメージは「浮遊感」と「幻想的」で、私はよく水中と表現してましたけど、(コメントによると)今回は海と空の間を漂うような感覚を描いていると。(今回は)浮上したんだなということがわかるし、多幸感やナチュラルな温もりに包まれていて、よりボーカルが立つバランス感で今のThe fin.はこのモードなんだなと、とっても温かい気持ちになる曲でした。

金子:「Towards the Sun」にしろ「Alone in the Sky」にしろ、最近の曲は海と空の間にいるイメージがありますよね。新たな方向性を模索する中で、自分の理想はあるんだけど、そこにたどり着くのはめちゃめちゃ遠い、今は地道にやっていくしかないとYutoくん本人が言ってて、海と空の間を漂いながら、でも着実に一歩ずつ太陽に近づいてる。それがどの曲からも感じられるのがいいなと思います。

みさと:ぜひ太陽の下で聴いてみてください。

New Release Digest Part 2


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。さあ、Shimon Hoshinoさんの3作品がずらっと並んでおりました。

金子:最近このパターン増えてますよね。

みさと:Shimon Hoshinoを存分に味わえるコーナーが確立しております。







金子:今回はatticを改めて紹介しようと思います。atticはピアノとチェロをメインにしたプロジェクトなんですけど、今回の曲はピアノがメインになっていて、曲のタイトル「fleur」は"花"を表すフランス語。で、今回atticでもhario islandでもフェルトピアノを使っていて、ピアノの弦にフェルトをかぶせることによって、より温かみのある音が出ていて。このフェルトピアノの柔らかで温かみのある音色を通じて、花がゆっくりと咲き誇り、やがて風に吹かれて散っていく様子を表現しているということなんですよね。

みさと:花は咲いた瞬間に散るまでのカウントダウンが始まるじゃないですか。でも、散った瞬間も美しいし、その切なさであったりとか、余韻をすごく味わえる。どの瞬間も美しいけれども、いつか終わりが来る、その並行している様子がすごく味わえる1曲。やっぱりShimonさんの美的感覚はすごいですね。さて、花から代わってTaochyで「木」です。

金子:同じ自然をテーマにしたインストでも、作家によってこうも違うかと。

みさと:本当ですね。両極ですね。でもどちらも美しさは感じられる。素晴らしいですね。



金子:この曲は2024年に訪れた北海道の森林の中の情景を思い出しながら制作をしたそうで、「木漏れ日と風でさらさらと揺れる枝や葉の音が織りなす空気感をインスト曲として再現している」とのことです。atticの曲は柔らかで、儚さも感じさせる雰囲気だったけど、Taochyさんは新緑の瑞々しさが音からしっかりと伝わってくる曲になっていて、花と木をそれぞれの目線で表現しているのが面白いですよね。

みさと:並べて聴きたくなりますね。自然をテーマにして、このBPMで表現するってなかなかないと思うんですけど、瑞々しさとか若い力、あと北海道の太陽のきらめきみたいな大自然の力を持ったインスト曲だったかなと思います。そんな中、Part-2はどうしましょう?

金子Tyrkouazの新曲を紹介しようと思います。

みさと:どんどん力がみなぎる選曲ですね。

金子:ダイジェストのTyrkouazからTaochyの流れは良かったですね。

みさと:かっこよかったですよね。

金子:ハイパーポップ的な流れで、一緒にやってても良さそうな感じ。Tyrkouazは5月16日から対バンツアーが始まるんですけど、大阪はNIKO NIKO TAN TAN、仙台は80KIDZとか、Tyrkouazらしさが対バンを見てもわかる気がします。今回の曲もまさにTyrkouazらしいドラムンベースを主体とした曲になってるんですけど、途中でジャージークラブが出てきたり、ガバキックが出てきたり、ビートが1曲の中で目まぐるしく変わっていくのが面白くて、それが曲のテーマとも結びついていて。
ご本人のコメントで、「自分の中に神様(=無意識の存在)がいたんだと知り、もう一度自分を作り替えることで見えている景色を一新しようという、ゲームチェンジャー的ドラムンベースチューンです」とあって、まさに自分を作り替えて景色を新たに作っていくことが、このビートの移り変わりやアレンジの目まぐるしい展開に表れてる。なおかつ、それがちゃんとポップミュージックに落とし込まれているところも含めて、Tyrkouazはやっぱりいいなと思いました。

みさと:自分の中の神様との対峙を描いた作品でこのサウンドというのも驚きですけど、固定概念をぶち壊すというのも曲のテーマなので、まさにしてやられたなという1曲ですよね。

金子:「REBOOOOT」ですからね。

みさと:まさにリブート楽曲だった!



New Release Digest Part 3


みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。さあ、福岡のバンドです。奏人心



金子:福岡の突風ロックバンド、奏人心ですけど、今月末に博多で行われる「Bayside Music Jamboree 2025」への出演が決定していて、一緒に出るのがTHE ROOSTERSの大江さんだったり、HEATWAVEの山口さんだったり、福岡の大先輩たちとの出演が決まっていて、福岡の期待の星として将来がますます楽しみになっています。そんな彼らの若さ、衝動みたいなところを伝えるという意味で、今はライブ音源をどんどんリリースしていると思うんですけど、こういうバンドだからこそしっかり録音物を録って、アンサンブルの独自性や歌詞の面白さをちゃんと形にして、次のフェーズに行ってほしい感じが個人的にはしています。

みさと:奏人心に向けた業務連絡ですね(笑)。

金子:業務連絡(笑)。

みさと:ぜひ新しい音源も待っております。こういうライブができるからこそ、アンセム的な新曲であったりとか、大きなライブも控えているということなので、それを経た上でできた1曲ってすごく大切な1曲になりそうですね。活躍を期待しております。続きまして、荒山茉莉 Molly in Mountain



金子:台湾のバンドですけど、3月に来日をして、僕はJYOCHOのイベントに出てた日に観に行って、その日はLITEも出てたんですけど、すごくいいライブをしてて。音源を聴いて、「インストバンドだけど、ボーカルもすごくいい」という話を以前したと思うんですけど、生でライブを見ると、ちゃんとインストバンドとしてのかっこよさも感じられました。で、来日してさらに日本とのつながりが強まったからなのか定かではないですけど、揺らぎのKantaroさんのリミックスということで、FRIENDSHIP.的にもつながりが生まれていて。両者の持つアンビエント的な側面が結びついた印象というか、荒山茉莉 Molly in Mountainがもともと持っている音像のアンビエント感みたいなところを、Kantaroさんがよりプッシュしたような印象を受けました。

みさと:大共感ですね。それぞれのオリジナルとリミックスの良さを味わえるし、アンビエントの表現ってそれぞれの美学があるなと思うし、リミックスという形でやることによって、より個性が出ている1曲だったと思います。リミックスを聴くとオリジナルに戻りたくなりますね。素晴らしい曲でした。そんな中、初登場です。春ねむり



金子:春ねむりさんがFRIENDSHIP.からリリース。

みさと:嬉しいな〜。好きだからまさかの展開。独立されたタイミングというのもあるんですよね。

金子:そうですね。個人的には取材もしてて、彼女は日本以上に世界で支持されているようなアーティストになってきているので、FRIENDSHIP.と組むというのは納得。実際、去年だけでもヨーロッパ、タイ、ニュージーランド、オーストラリア、アメリカを回ってたり、今年も4月に中国ツアーをやっていて、8月にアルバムが出ることがアナウンスされてるんですけど、9月の北米ツアーももう決まってると。まさにワールドワイドな活躍。それはもちろん音楽性が面白いからで、出自としてはポエトリーラップ的なところがあり、エレクトロポップみたいな側面もありつつ、彼女は神聖かまってちゃんやFugaziだったり、ハードコアもルーツに持っている人だったりするので、今回の曲を聴いてもわかる通り、結構エッジの効いたギターサウンドも鳴っていて、その独自性が海外の音楽好きからも非常に評価されていると。今回の「panopticon」に関しても、その独自性が非常によく表れている1曲だったかなと思います。

みさと:彼女のフェミニズムやリベラルな姿勢はもちろんのこと、自主レーベルを立ち上げられたタイミングということもあって、一アーティストとして、一人間として、哲学や音の作り方、パフォーマンスがより濃く作品に落とし込まれていると思います。これからの作品のリリースもぜひ楽しみにしていただければと思います。

RADIO INFORMATION

FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」

fmgfukuoka_curatedhour_logo_ok_2204.jpg FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)



NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。

DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。



番組MC

kanekoatsutake_20210528.jpg金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3
1697255226457.jpg奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10

LINK
FM福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」 FRIENDSHIP.

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