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2025.04.20

FRIENDSHIP.の最新楽曲を紹介!Veg・Heavenstamp・Ghost like girlfriendほか全25作品 -2025.4.19-
New Release Digest Part 1
みさと:4月14日週にFRIENDSHIP.からリリースの新譜、全25作品の中から、Part-1をダイジェストでご紹介しました。リリースおめでとうございます。まずはじめまして、望月起市さんです。
金子:望月さんは1994年生まれ、東京出身の音楽家・シンガーソングライター。2022年11月より本格的な活動をはじめ、バンドセット、ガッドギターを用いた弾き語りを主に活動と。今回が1年ぶりの新曲で、クリックなしのバンド一発録りでレコーディングされていて、メンバーにはyeti let you noticeのギター・秋好佑紀さんが参加していたり、録音はこの番組ではお馴染みになってきたhmcスタジオの池田洋さん。
「不況」というタイトルで、ご本人によると、"この1~2年は自分自身、社会の波に飲まれて鬱々としていた時間が長かった"と。そんな中でも"生"を実感するたびに徐々に悲しさ、怒りも湧いてきて、そういった社会的動物として生まれた感情がすごく愛おしく感じたので、詞やメロディに反映させていったとのことです。こういうメッセージ性もそうだし、このバンドサウンドも含めて、2000年代初頭のSyrup 16gやBURGER NUDSと、今の君島大空くんのちょうど中間というか、ミッシングリンク的なすごくいい立ち位置だし、いいアーティストだなと思いました。
みさと:1分かけて世界観に引き摺るようなイントロからスタートするんですけど、まずそこが印象的。不協和音なギターも、泥沼にハマっていくようなドラムも、社会とフィットしていないサウンドメイクが素晴らしい。まさに「不況」というジャケットも注目してほしいです。続いて、DIRTY FOUR EYES。
金子:ひさしぶりの新曲ですね。彼らはジャズ、ファンクを基調としつつ、手練れが揃っていて、相変わらず素晴らしい演奏に今回はフィーチャリングでCHiLi GiRLが参加と。トランペットとかも入ったジャズな演奏と三味線が絡むことによるオリジナリティというのはすごくありますよね。しかも、この曲のテーマになっているのが"ZMS"、これが"税務署"という。
みさと:DAIGOさんのDAI語って感じでしたね(笑)。
金子:そうですね(笑)。最後の方で、"納税 増税"と言ってて、不況、納税、増税と、新年度から思いやられますけど。
みさと:いい流れですね(笑)。
金子:色々あるけど、サバイブしていこうよという、前向きな気持ちにもなれるような曲でした。
みさと:三味線ソロってなかなかこの音質的に使われるようなことがないから、オリジナリティが素晴らしいなと思ったし、税務署の曲と思って、もう一度聴き直すと、慌てふためいていたり、追い詰められたり、最終的には諦めたり、インストでこんなに耳を通して形に残ってくる表現力が素晴らしいですね。そんなPart-1からどうしましょう?
金子:Vegの新曲を紹介しようと思います。
みさと:Vegは1stフルアルバムリリースです。おめでとうございます。
金子:おめでとうございます。2021年に結成されて、ついに1stアルバム。インタールードも含めて17曲入っていて、結構なボリュームですね。最近はすごく売れてる人たちのタイアップ曲盛り盛りの長いアルバムとか、もしくは宅録の人たちが結構長いアルバムを出してたりするけど、バンドで、インディーで、これぐらいのボリュームのアルバムを作れるというのがまずすごいなと思いました。『Adrift in Time』というアルバムタイトルで、ご本人の言葉によると、"過去や未来を当てもなく行き来する音の旅"というテーマを込めたと。
"思い出に浸る瞬間もあれば、荒唐無稽の新しい宇宙を想像する瞬間もある。憧れの古き良き音楽を思い浮かべながら新しい音を追い求める。そんな私たちの音楽の旅路をこのアルバムで表現しました"とのことです。まさにこの旅路を17曲というフルボリュームで表現していますね。Vegもアンサンブルがすごく良くて、DIRTY FOUR EYESとも多少リンクする部分もあるような気がするし、こういうファンク、ジャズとかをベースにした音楽で言うと、今年はFUJI ROCKで、Vulfpeckがついにヘッドライナーになったりと、そういう流れを受けつつ、それをちゃんとポップスに落とし込んでいるという意味ではすごく時代性もあるし、いいアルバムだなと思いました。
みさと:このアルバムに関しては、目的がある観光というよりは、目的のない、当てのない旅。だからこそこの曲の多さであって、構成もインタールードを挟んだり、17曲の中でもドラマチックな並びになっていることも納得の一枚になってます。これから紹介するリード曲に関しては、軽やかにスキップしたくなるような癖になるギターリフとメロが印象的で、リフレインするような構成で一見シンプルかと思いきや、たっぷり間奏を取ってたり、ギターソロもあったりと、1曲の中でも旅をしているような、自分の気持ちと人生に照らし合わせて聴いていただきたい一曲です。
New Release Digest Part 2
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-2でした。リリースおめでとうございます。こちらもはじめましてさん、Kawara,Sen(カワラ セン)。
金子:ちょっと変わった名前ですけど、"河原(カワラ)"に、川の音読みで"セン"をくっつけて、Kawara,Sen。"変わりゃせん(=変わらない)"の意味を持つということで。
みさと:遊び心〜。いいユーモアですね。
金子:名前からしてちょっと気になるし、手元にあるセルフライナーノーツも結構長文が書いてあって、まず人間的に気になるところがありつつなんですけど、東京を拠点に活動する音楽家で、作詞作曲・編曲から録音まで自身で手掛けて、歌とギターに加え、MIDIでプログラミングもして、アコースティックとエレクトロニックの要素を融合するサウンドを作ると。まさにその雰囲気がすごくあって、「Ever Since June」に関しては、ポストロック的なギターフレーズを使いつつ、ちょっとLITEを連想させるような雰囲気もあり、でもプログラミングが合わさることによって生とデジタルの融合が行われていて、かっこいいなと思いました。ちなみにここでもhmcスタジオの池田さんが、こっちではミックス・マスタリングで関わっていて。
みさと:大行列ですね。
金子:望月さんとも全然違う音像ではあるけど、アーティストによって色を使い分ける、エンジニアの巧みさも伝わるような作品でしたね。
みさと:望月さんと同じく1分使ったイントロからスタートしますけど。
金子:それも池田さんの好みなのかな(笑)?
みさと:どうなんだろうね(笑)。たっぷり世界観を最初に提示したっていうところでは、2人ともスタイルも似てるのかなと思いましたけど、この曲は6月の鬱陶しい雨をメタファーにされていて。雨の中、一人で歩いているときって、小雨のときは言葉や思考ってすごく動くけど、雨足が強くなると何も考えられないということに気づいたんですよね。真っ暗な中に降る雨なのか、天気雨なのか、長く降り続いている雨なのか、その雨とは何を象徴しているのか、思考とリンクする1曲だなと。面白い作品でした。続いて、aldo van eyck。
金子:福岡の期待の星であるaldo van eyckですけれども、2月には香港でのワンマンライブも成功させ、徐々にアジアにも進出しつつあるという中での新曲。かっこいいですね。
みさと:かっこいい!
金子:まさにノー・ウェイヴという感じで、リズムの構築と衝動が合わさったような感じは相変わらずかっこよくて、日本のバンドだと石若駿くんがやってるSMTKとか、イギリスだとBlack Midiとか、そういうバンドとも共振するような音楽性を持っていて、日本国内でもアジアでも、まだまだ広がっていくんじゃないかという手応えを感じます。
みさと:衝動と爆音だけれども、演奏のテクニックも伝わってくる。言葉を超えて、どの国でもフィットしそうな、熱狂的なファンがつきそうな、そんなバンドなんだなと改めて感じさせてもらいました。今回タイトルが「G」なんですけど、Gといえば私の中で虫しか思いつかなくて(笑)。その虫との戦いでも確かにシャウトするよなとか、でもちょっとそこから離れたい気持ちもありつつ、今惑わされています(笑)。
金子:あはは(笑)。
みさと:今度、どういう意味でアルファベットの「G」をつけているのか聞きたいですね。そんなPart-2からどうしましょう?
金子:Heavenstampの新曲を紹介しようと思います。
みさと:良かったですね。今回EPです。
金子:Heavenstampも去年中国ツアーを成功させて、今年も中国ツアーが決まってるみたいなんですけど、そんな中でのEPリリース。去年のアルバムが『Make Lemonade』だったところから、今回のEP『Make Lemon Sour』はそのスピンオフ的な作品ということで。『Make Lemonade』というタイトルは、"人生がレモンを与えるならば、レモネードを作りなさい"ということわざから来ていて、辛いこと、悲しいことがあったときにも、工夫次第で新たにチャレンジして乗り越えることができる、という意味合いがあったところから、じゃあ新たなチャレンジとして、レモネードじゃなくてレモンサワーを作っちゃえ!と。
みさと:いいな〜。
金子:その発想の飛躍がまず面白いし、だからこそ今回のEPは本当にいろんなタイプの曲を作っていて、幅を広げていると。「Underwater」という曲に関しては、タイトル通り、深い海の底を連想させるような低音のベースが印象的で、Sally#Cinnamonさんがギターからベースに持ち変えたというのが背景としてあるから、ベースが目立つ曲になっていて、でも、後半になってくると広がりのある音像のギターが出てきて、そこはもともと持ってるHeavenstampらしさだなと思ったし、今の彼女たちらしい曲だったなと思います。
みさと:スピンオフって映画もそうだと思うんですけど、人が見えて一気に作品全体への愛着度が上がるじゃないですか。踊る大捜査線法式というか、一気にキャラクター全員を好きになる!
金子:室井さんにも愛着が湧きますよね(笑)。
みさと:そう!下の句が揃ったなっていう感じがして、すごくいいEPになったなと思うんですよね。その中にSally#Cinnamonさんのドラマであったり、バンド自体のドラマがより私たちに近づいてきてくれた感じがするので、素晴らしい作品ができたなと思っています。インディーロックに乗るちょっと感傷的な日本語の歌詞もすごく際立っている作品だと思うので、ぜひお楽しみください。
New Release Digest Part 3
みさと:お送りしたのは新譜ダイジェストPart-3でした。リリースおめでとうございます。HEUGEがアルバムリリースです。おめでとうございます。
金子:HEUGEはベーシストでもある田中寿和さんのソロプロジェクト。作詞作曲から楽器演奏、ミックスマスタリングまで全てを手掛けると。いい宅録感があり、でもちょっとファニーなポップスに仕上がっていて、歌もいいなと思いつつ、でもやっぱりベーシストだなという感じはすごく伝わってきて、ベースが印象的な曲が多かったですね。
アルバムタイトルが『Tame Solitude』で、孤独(=Solitude)がテーマにはなってるんですけど、決して暗い感じにはなっていなくて。Tameは"飼い慣らされた"みたいな意味で、孤独は誰しも感じるものだけど、それをいかに飼いならして、楽しむかという精神性が、ちょっとファニーな曲調にも反映されているのかなと思いました。
みさと:そうですね。"年齢を重ねるごとに孤独感を感じることが増え、自然とそのことをテーマにした曲が集まりました"というコメントをいただいてるんですけど、年齢を重ねれば重ねるほど、孤独感を感じるということも声に出せなくなると思うんですよ。そういったパーソナルな世界観を作品にしてくれたことで救われる人たちはたくさんいるんじゃないかなと思いますし、ジャンルのミックス感がいい違和感になっていて、そのファニーさもHEUGEの持ち味、シグネチャーになっているアルバムだったと思います。続いてはWuinguinとFunny Facturesによる「Triangle」。
金子:Wuinguinはひさしぶりのリリースで、去年リリースした「Street」は僕が去年のベストソングとして挙げさせてもらいましたけど、それ以来の新曲。「Street」は結構バンド的な音だったんですけど、今回はひさしぶりにFunny Facturesとのコラボレーションです。こういう風に曲によって、シンガーソングライター的なもの、バンド的なもの、打ち込みとのコラボレーションと、ボーカルという軸は残しつつ、曲調が変わっていくのも面白いなと思いました。
Funny Facturesとのコラボレーションは2回目なんだけど、前回はFunny Facturesのトラックが先にあって、そこにWuinguinが歌をのせる形だったのですが、今回はWuinguinのデモが先にあって、それをFunny Facturesがよりブラッシュアップしていくという順番になったことによって、また違う曲調になっていて、ダンストラックというよりシンガーソングライター寄りで、トリップホップとかとも近い雰囲気がありました。ちょっと前にTAMIWのイベントにWuinguinが出てましたけど、これを聴くと相性の良さがわかるなと思いました。
みさと:今回の「Triangle」は過去の成功に囚われ、抜け出せない主人公を描いた、そんな1曲になっているそうなんですけど、SF的で、ミステリアスで、スリリングで、映画的な視点でも楽しめる1曲だなと感じました。圧迫感はあって抜け出せないんだけど、外の世界とのつながり、過去に囚われずに次の世界に向かっていきたい希望が(伝わるような楽曲でした)。讃美歌をルーツに持っているバックグラウンドがあるので、Wuinguinの声質って希望とか祈り(の雰囲気)、透明感があるんですよね。そこに対してのアプローチと世界観が本当にマッチしていて素晴らしい作品だったし、Wuinguinの世界観を残しつつも、お互いが進化できる余白と伸びしろを感じさせてもらえた楽曲だったと思います。そんなPart-3からどうしましょう?
金子:Ghost like girlfriendの新曲を紹介しようと思います。
みさと:今回はフィーチャリングで黒沼英之さんを迎えています。
金子:黒沼さんは2013年にメジャーデビューをして、2014年に音楽活動を休止、2023年から約10年ぶりに活動を再開した方。岡林くんは高校のときから黒沼さんの音楽を聴いていて、いつかご一緒したいなと思っていた矢先に(黒沼さんが)突然活動を休止、もう二度とお会いできないと思っていたけど、昨年末に突如知り合い、ご飯に行き、一緒に曲を作り、レコーディングをしたと。ライブもしてるそうですね。
みさと:そんなことあるー?
金子:すごい出会いですよね。今回は2人に共通する"喪失感"をテーマに一緒に曲を作っていて、「phantom」="幻"という言葉がタイトルに付いてるわけなんですけど、岡林くんからすれば、ある種幻の存在だった黒沼さんと実際に出会うことができた。だから"幻"というテーマを扱ってはいるんだけど、ただ悲しいだけじゃなくて、どこか吹っ切れたような爽快感がある作品に仕上がっているのは、やっぱりこの出会いがあったからこそ生まれた曲なんだろうなと。すごく物語性を感じさせる、いい曲でしたね。
みさと:岡林くんが前作のEPで20代を終えて、自分の過去に対する作品をまとめて出したじゃないですか。過去を振り返っているタイミング、30代の新しいステージで、過去に憧れてた人との共作。ここは地続きになっているし、テーマ性としても今まで彼が大切にしてきたところがフィットして、ドラマチックだなと。作品の出来た過程も楽しんでほしい 1曲ですよね。黒沼さんは長い間表立った音楽活動から離れてらっしゃったと思うんですけど、ここまで自分のことを思ってくれていた人と一緒に共作できて、新しい活動の道がついてきてるっていうのはとても嬉しいことだと思うし、いい出会いだったと思うので、2人にとっても必要な1曲ということを含めて聴いてほしいですね
番組の後半はJun Izawaがゲストで登場!
RADIO INFORMATION
FM 福岡「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」
FRIENDSHIP.キュレーター達が厳選した音楽をラジオで紹介するプログラム「Curated Hour ~FRIENDSHIP. RADIO」。キュレーターの金子厚武をコメンテーターに迎え、奥宮みさとと共にFRIENDSHIP.がリリースをする最新の音楽を紹介。放送時間:毎週土曜日 26:00~26:55 放送局:FM福岡(radikoで全国で聴取可能)
NEW Releases FRIENDSHIP.
FM福岡で毎週水曜日の26:00~26:55まで放送中のラジオプログラム「Curated Hour〜FRIENDSHIP. RADIO」のアフタートーク、番組の中で紹介しきれなかったタイトルを紹介。DJの奥宮みさと、音楽ライターの金子厚武の2人でデジタル音楽ディストリビューション・プロモーション・サービスのFRIENDSHIP.から配信される新譜を中心に紹介するプログラム。
番組MC
金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズでのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『Real Sound』『ナタリー』『Rolling Stone Japan』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。デジタル配信サービス「FRIENDSHIP.」キュレーター。
@a2take / @a2take3奥宮みさと
ラジオパーソナリティ/ナレーター/MC/ヨガインストラクター/酵素風呂サロンオーナー。 TOKYO FM、ZIP-FM、InterFM、FM 福岡など、ラジオパーソナリティ歴12年目。 安室奈美恵さんをはじめとするお茶の間ミュージシャンからコアなインディーズミュージシャンまで無数のインタビューを経験。コロナ前は年間200件程ライブや全国のフェスに行く現場派。野外フェスのヨガプログラムなども担当。倍音と1/fゆらぎの声を持ち、耳馴染みの良いベルベットボイスが特徴。
@_M1110_ / @11misato10