SENSA

2025.04.15

KANA-BOON、対バンツアー「Jack in tour 2025」でロックバンドの矜持が響いたChevonとの熱い夜

KANA-BOON、対バンツアー「Jack in tour 2025」でロックバンドの矜持が響いたChevonとの熱い夜

KANA-BOONの対バンツアー『KANA-BOON Jack in tour 2025』が現在開催中だ。谷口鮪(Vo/Gt)いわく、「ロックバンドは戦わないとつまらない」「同期や先輩、やがて後輩とも戦うようになるのがロックバンド」であり、様々なバンドを招聘している今回のツアー。東京・Spotify O-EASTでの2DAYSのうち、4月9日公演では、Chevonとのツーマンライブが実現した。

※以下のテキストには、一部演奏曲名の記載があります。あらかじめご理解の上お読みください

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Chevonは、大型フェスに次々と出演したり、香取慎吾や東京スカパラダイスオーケストラらベテランアーティストからコラボをオファーされたり、ツアーを開催すればチケットが即完したりと、インディーズバンドながら飛ぶ鳥を落とす勢いの3人組。谷絹茉優(Vo)、Ktjm(Gt)、オオノタツヤ(Ba)は歓声に迎えられ、1曲目の「ノックブーツ」からバンドはもちろん、観客のテンションも高かった。スラップベースとギターリフによるイントロが刺激的な「冥冥」では、ワンマンライブかと錯覚するほど大きなシンガロングが。谷絹は「今日のお客さんは変に煽ったりしなくても盛り上がりそうですね!」と喜びつつも、低音でドスを効かせたり、ハイトーンでシャウトしたり、メロディにアレンジを加えたりと煽情的な歌唱で魅せる。MCでこの対バンを「KANA-BOON VS Chevon」と表現していただけあって、意欲に燃えているようだ。

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北海道在住のChevonは「こっちに来たら桜が咲いてて、春を感じます」と語りながら、3月にリリースしたばかりの新曲「さよならになりました」や「サクラループ」など春の曲を続けて披露。そんななか「久々にやります」と紹介されたのは、6曲目の「セメテモノダンス」だ。アップテンポで踊れる音楽を鳴らし、観客の心をも躍らせるChevonのエネルギッシュなライブスタイルは、インディーズ~メジャー初期のKANA-BOONを彷彿とさせるが、〈いつまでも付き纏う苦しみを 一歩でも踏み出して糧にして 敢えて明るい曲調で歌う せめて君だけでも踊らせる いまはそれしか、 あぁ、それしかしてあげられない〉と歌う「セメテモノダンス」を通じて、2組は精神性も近いのだと観客は理解したことだろう。谷絹は人々が密集するフロアを漠然と捉えることなく、一人ひとりの目を見て歌っている。〈君に〉という言葉を歌う際には目の前の人を指差し、紛れもなくあなたに歌っているのだと強調する。

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ライブ終盤のMCでは、「KANA-BOON、うちらの青春ド真ん中ですよ。うちらの世代の学祭の定番。マジでみんなKANA-BOONやってました。その人たちとライブできるって、すごいことですよ!」と感激を言葉にしつつ、「なので、僭越ながら1曲カバーさせてもらいます」とKANA-BOONの「シルエット」をカバーした。Ktjmが赤い髪を揺らしながら爪弾くあのギターリフに、フロアが大いに沸く。「あんたらの青春ド真ん中でしょ? あんたらの大事な場面にKANA-BOONがいたんでしょ? あんたらも歌っていいからな!」と観客に伝えた谷絹は、ラスサビの歌詞を〈教えてくれたKANA-BOONは消えぬ消えぬシルエット〉と変えた。続く歌詞は〈大事にしたいもの持って大人になるんだ どんな時も離さずに守り続けよう そしたらいつの日にか なにもかもを笑えるさ〉であり、KANA-BOONをコピーしていたあの頃の気持ちのまま、この素晴らしいステージに辿り着いた喜びを伝えたかったのだろう。

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そんなChevonのライブに対して、「Chevon、やってくれたな!」と笑みを浮かべたのはKANA-BOONの谷口。遠藤昌巳(Ba)も「Chevonのライブを観るのが楽しくて。あー、ライブっていいよな!って」と感想を語り、対バンが素晴らしいライブをしたという喜び、自分たちも負けていられないという気合いとともに、KANA-BOONはライブに臨んだ。

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谷口、遠藤、サポートメンバーのヨコイタカユキ(Gt)、関優梨子(Dr)が息を合わせて最初の一音を鳴らすと、観客が拳や声を上げる。そして曲が始まると、Chevonのライブによって既に温まっていたフロアがさらに熱くなり、沸騰した。思えば、世代は違うもののダンスロックバンド同士の対バンであった東京DAY2。軽快なビート、タイトなアンサンブルとともにバンドが早速アッパーチューンを連打すれば、観客は飛び跳ねながらの大盛り上がりで、むわっと熱気が立ち上がった。観客のリアクションを受け取って、バンドのテンションも曲を重ねるほどに上昇。遠藤が力強いプレイでバンドをぐいぐいと引っ張るなか、バンドの支柱である谷口のボーカルは、その明朗な歌声・発音で言葉を届け、バンドと聴く人の心を一対一で、ダイレクトに繋ぐ。

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ヨコイと向かい合ってギターを鳴らしていた谷口が、遠藤に視線を送ると、遠藤もやってきて、3人揃って無邪気に楽器を掻き鳴らしながらキッズに戻る。そんな微笑ましい場面もありつつ、"本家"「シルエット」を披露すれば、シンガロングをまるごと抱きしめるような、懐の深いサウンドを届けたKANA-BOON。会場を見渡せば笑顔ばかりの温かい時間が続くなか、ライブの中盤では谷口が次のように語り始めた。ステージの上やライブハウスで過ごす時間は最高だけど、日常は本当に最低だと。朝起きてもなかなか動き出せなかったり、「なぜ自分はこんなにつらいんだ」「いや、もっと苦しんでいる人がいるはず」と考え込んでしまったりすることがあるが、俺の苦しみは俺だけのもの、あなたの苦しみはあなただけものであるのだと。

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そして、「俺たちはそれ(人それぞれの苦しみ)をぶっ飛ばすような、あるいは抱きしめるような、そういうことをしたくてステージに立っています。日常生活で、クソみたいな世界で、誰もあなたを褒めてくれなくても、讃えてくれなくても、俺たちがいます。Chevonがいます。一生懸命歩いてきた道のりを、俺たちが讃えます。あなた自身に拍手を。今日までよく頑張りました。これからも一緒に、楽しく、強く生きていきましょう」と、昨年末にリリースされた最新曲「日々」に繋げた。作曲は遠藤、作詞は谷口によるミディアムバラード。日々懸命に生きる私たちと同じように、ロックバンドとして戦うKANA-BOONの姿、そのリアルな歩みから生まれた〈日々を愛して これからを愛して 大丈夫 それに値する未来があるから 信じてみる〉というメッセージに、勇気づけられた人も多いはずだ。熱量の高く、素晴らしい演奏だった。

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また、谷口は、Chevonのライブ中の谷絹の「歌や歌詞だけを見てほしい。それ以上は期待しないでほしい」という発言を受けて、自身の経験と照らし合わせながら「Chevonは必ず大きくなるし、想像もできない世界が待ってると思う。パブリックイメージとかに押し込められることは、きっと避けて通れない。俺たちもそうだったし、バンドはみんな経験するんじゃないかな」と語り、「Chevonにはぜひ戦ってほしい」とエールを送った。さらに谷口は「悔しいことを指折り数えて握った拳で、誰かの心を動かす存在になり得るんじゃないかと信じて勝負するのがロックバンド」と言葉を重ねる。そしてChevonに対し「あいつら、VSって言ったよな。本気の俺らに勝てるか、Chevon!」と不敵に投げかけながら、観客には「準備できたやつ、拳上げろ!」と呼びかけながら、「ロックバンド代表、KANA-BOONです!」という宣言とともにラストスパートをかけた。魂のこもったKANA-BOONの演奏に、オーディエンスはますます興奮し、ライブは熱狂のうちに終了。ステージに全てを置いていこうという気迫に溢れたバンドのサウンドと、分厚いサウンドを突き抜けて伸びる谷口のロングトーンは、観客の心に温かな余韻をもたらしたことだろう。そしてその余韻は、私たち一人ひとりの行く道を照らす光となってくれるはずだ。

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『KANA-BOON Jack in tour 2025』の次なる舞台は名古屋DIAMOND HALLで、4月16日にはUNISON SQUARE GARDEN、翌日17日にはサバシスターとのツーマンライブが行われる。この2日間も熱いライブになるだろう。

文:蜂須賀ちなみ
撮影:マスダカイ(KANA-BOON)、Yusuke Takagi(Chevon)

LIVE INFORMATION

KANA-BOON Jack in tour 2025
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2025年4月16日(水)
愛知 名古屋DIAMOND HALL
出演:UNISON SQUARE GARDEN / KANA-BOON

2025年4月17日(木)
愛知 名古屋DIAMOND HALL
出演:サバシスター / KANA-BOON

チケット:スタンディング ¥5,500(税込) ※ドリンク代別
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